中野京子のレビュー一覧
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中野京子さんの名画の謎。新約聖書と旧約聖書から紐解く。
恥ずかしながら、旧約聖書と新約聖書の違いすら知なかったが、そんな聖書初心者にもわかりやすく書かれている。それに、八百万の神を信じてきた、ある意味無宗教の日本人の観点で著者もツッコミを入れてくれるので、
そうそう、それが疑問なんだよ!
と、とても楽しく読めるのである。
神がアダムとイブを創りだすところから、最後の審判までにわたる、要所要所の聖書の場面でふたつずつくらい絵画が紹介される。画家の見せ所の違いの紹介も面白い。
個人的に面白かったエピソードをいくつか。
ひとつめは、レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知。マリアの純潔を表す白百合に、雌しべ雄しべがはっきりと描かれているなんて気付かなかった。人体に明るいレオナルドが、純潔で子供を生むことに懐疑的であり、それを絵画に忍ばせていたとしても何らの不思議もない!
もうひとつは、ミケランジェロの最後の審判。なんとなく、圧倒される威圧感のある絵だと感じていたが、それもそのはず。時の最高権力者ともいえるローマ教皇が、ルターに敗けないために、当時人気天才画家で圧倒的な権威を誇っていたミケランジェロの絵画で、カトリックの総本山であるシスティーナ礼拝堂を埋め尽くすことにしたのである!!道理でイエスが力強く(博愛というより)圧倒的な怖さを放っているわけだ!!
歴史を知ると、聖書を知ると、ますます絵画が面白い。おすすめです! -
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ネタバレ2019年の読み初め。
「怖い絵」シリーズはこれまでに何冊か読んでいたけど、この本はカラーなのでとても分かりやすかった。
他の怖い絵シリーズで取り上げられていたのと同じ絵画も何点かあったけど、「運命」とか「憤怒」とか、テーマにそった解説だったので、これはこれで繋がりが見えてよかった。
なかでも一番怖い!と思ったのは、ハプスブルク家の系譜だったかな。王族を描いた肖像画なのに、死相しか見えないんだものな。
西洋絵画の解説書ばかり読んでいたから、そういう学者さんだとばかり思っていたけど、著者の中野京子さんって作家で独文学者だったのね。
他の著書で、「中世ヨーロッパは識字率が低かったので、聖書の内容を教えるために、教会に宗教画を飾った」って解説してあって、目から鱗が落ちる思いだった。
カタカナの名前が苦手で、世界史を真面目に勉強してこなかったんだけど、「イワン雷帝は織田信長と同時代の人物」って補足なしに読めるように読めるようにならないとね。 -
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ネタバレレオナルド・ダ・ヴィンチの絵はミステリーを見ているみたいで、パーツが符号していく瞬間に快感を覚えずにはいられない。まだ色々な謎や秘密が隠されているのではないかと前のめりになってしまう魅力がある。
アンソールの絵にはグッとくるものがある。描かれた仮面には表情がある。その仮面こそ人間らしいのかもしれない。敵意と自己陶酔と自虐性が複雑に入れ替わる感情があらわされた作品のように感じる。
ゴヤの絵は、見て感じた思いを上手く言葉にできない。実物を見たら離れられなくなるかもしれない。
この本を読んでいくうちに、絵画の楽しみ方の、自分なりのコツが分かってきた。時折、画家の意図に射抜かれるような感覚にハッとする。
知らなかった歴史の裏側を身近に感じさせてくれるような知識が随所に埋め込まれている。人間の一生は思ったより劇的かもしれない。 -
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「名画」というのは、映画ではなく絵画のほう。
怖い絵の本をたくさん出している中野さんだが、この本はちょっとユーモラスだ。
女性のファッションについては語りつくされた感があるので、男性のファッションに注目してみる、という形で絵画を楽しんでみましょう、ということ。
主に14世紀から19世紀くらいの間、特に、宮廷で男も孔雀のように着飾っていた時代が多い。
いつもは、「そういう時代だから」とあっさり流したり「名画だから」とありがたがって、あえて突っ込み入れないのだが、たしかにファッションというものは、流行が変わってみると、「何であんなものがはやったんだろうね」と、気恥ずかしくなってしまうものだ。
そして、「へ~!へ~!」と、昔のテレビ番組のようにボタンを連打したくなってしまうほど、面白い薀蓄がたくさん書かれている。
「ヒゲ」という漢字が3種類ある訳とか、「股袋」「骸骨服」などという、しょもないセンスの日本名とか…
そして、男は脚線美!
おもしろくてためになる本です。 -
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ハプスブルク家のものと続けて読みました。中世から近代にかけてのヨーロッパ史を学ぶ上でキリスト教についてはある程度把握をしましたが、やはり様々な歴史書をよんで引っかかるのが家柄。今まで面倒くさくてほどほどにしていましたが、ちょっとスイッチが入ったので、ライトな者からでも手を付けていこうと本書を取りました。結果よかったです。何よりも文章が素晴らしい。それぞれのエピソードはあまり深くは語られないですが、人と人の関わりを大切にし、単純明快、豊かな日本語で語られています。ブルボンといえばルイ14世とベルサイユ宮殿の華やぎから、フランス革命のギロチンに消えたドラマチックなエピソードで有名ですが、知れば知るほど面白い。絡まり合った西洋の家柄を知っていく上での入門としておすすめです。
また著者の中野京子さんの絵画に対しての造詣が素晴らしく、そちらも好きな自分としては二重に美味しい一冊でした。じっくり読んでも3時間ほどで読み終わります。
17.1.9 -
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2016/12/04
ダンブラウンの天使と悪魔を読み終えて、キリスト教のことがものすごく知りたくなって、聖書を読もうかと思って手にとってみたら、難しすぎて買うのを断念!そして代わりに選んだのがこの本。キリストの生い立ちが名画とともに分かりやすく物語のように紡がれていて、1日で読めた。キリスト教をどうこうという前に、キリストの生い立ちは物語としておもしろい。って書いちゃうと語弊があるか…でも、これを読んで日本がいかに恵まれている環境にあるか思い知らされた。過酷な状況下に置かれた人々にとって、慈愛に満ちたキリストの教えは唯一の救いだったのだろう。もちろんいろんな解釈があるだろうから、これからも宗教関連の本や映画を読んで理解を深めたい。 -
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不幸になってはじめて、ひとは自分が何者かを知るのです。
マリー・アントワネットはようやく自分が何者なのかを知る。しかしそれは遅すぎた。
運命の歯車はもう止まらない。
時間は戻せない。
華やかで幸福だったマリー・アントワネットは、大切なものを次々と失っていく。
友達も子供も夫も、自分の地位も名誉も、最後には自分の命までも。
歴史において何かを成し遂げたわけでもない平凡な女性であったマリー・アントワネット。
それでも歴史上の女性の中で最も有名なひとり。
ルイ16世とマリー・アントワネットが断頭台で命を落としても、一度起きたフランスの動乱は収まらない。
国民から王室が否定されたことを表すこと以外には、歴史においては特に意味もなく消された命とも言える。
フェルゼンが最後まで愛し、まさに命懸けで救おうとした女性がマリー・アントワネット。
おそらく、そこまで深く愛されたことそれだけで、アントワネットが生きてきたことに意味はあっただろう。
最近になってマリー・アントワネットの二人目の王子、未来のルイ17世になるはずだったルイ・シャルルが、母親と引き離されたのち不幸なまま小さな生命の灯を消したことがわかってきたようだ。
それこそ小さな未来のフランス王は、自分が何者であったのかも知ることもなく命を落とした。余りにも切なく哀しい。
フランスに行ってみたいなと思う読書だった。