中野京子のレビュー一覧
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「名画」というのは、映画ではなく絵画のほう。
怖い絵の本をたくさん出している中野さんだが、この本はちょっとユーモラスだ。
女性のファッションについては語りつくされた感があるので、男性のファッションに注目してみる、という形で絵画を楽しんでみましょう、ということ。
主に14世紀から19世紀くらいの間、特に、宮廷で男も孔雀のように着飾っていた時代が多い。
いつもは、「そういう時代だから」とあっさり流したり「名画だから」とありがたがって、あえて突っ込み入れないのだが、たしかにファッションというものは、流行が変わってみると、「何であんなものがはやったんだろうね」と、気恥ずかしくなってしまうものだ。
そして、「へ~!へ~!」と、昔のテレビ番組のようにボタンを連打したくなってしまうほど、面白い薀蓄がたくさん書かれている。
「ヒゲ」という漢字が3種類ある訳とか、「股袋」「骸骨服」などという、しょもないセンスの日本名とか…
そして、男は脚線美!
おもしろくてためになる本です。 -
Posted by ブクログ
ハプスブルク家のものと続けて読みました。中世から近代にかけてのヨーロッパ史を学ぶ上でキリスト教についてはある程度把握をしましたが、やはり様々な歴史書をよんで引っかかるのが家柄。今まで面倒くさくてほどほどにしていましたが、ちょっとスイッチが入ったので、ライトな者からでも手を付けていこうと本書を取りました。結果よかったです。何よりも文章が素晴らしい。それぞれのエピソードはあまり深くは語られないですが、人と人の関わりを大切にし、単純明快、豊かな日本語で語られています。ブルボンといえばルイ14世とベルサイユ宮殿の華やぎから、フランス革命のギロチンに消えたドラマチックなエピソードで有名ですが、知れば知るほど面白い。絡まり合った西洋の家柄を知っていく上での入門としておすすめです。
また著者の中野京子さんの絵画に対しての造詣が素晴らしく、そちらも好きな自分としては二重に美味しい一冊でした。じっくり読んでも3時間ほどで読み終わります。
17.1.9 -
Posted by ブクログ
2016/12/04
ダンブラウンの天使と悪魔を読み終えて、キリスト教のことがものすごく知りたくなって、聖書を読もうかと思って手にとってみたら、難しすぎて買うのを断念!そして代わりに選んだのがこの本。キリストの生い立ちが名画とともに分かりやすく物語のように紡がれていて、1日で読めた。キリスト教をどうこうという前に、キリストの生い立ちは物語としておもしろい。って書いちゃうと語弊があるか…でも、これを読んで日本がいかに恵まれている環境にあるか思い知らされた。過酷な状況下に置かれた人々にとって、慈愛に満ちたキリストの教えは唯一の救いだったのだろう。もちろんいろんな解釈があるだろうから、これからも宗教関連の本や映画を読んで理解を深めたい。 -
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不幸になってはじめて、ひとは自分が何者かを知るのです。
マリー・アントワネットはようやく自分が何者なのかを知る。しかしそれは遅すぎた。
運命の歯車はもう止まらない。
時間は戻せない。
華やかで幸福だったマリー・アントワネットは、大切なものを次々と失っていく。
友達も子供も夫も、自分の地位も名誉も、最後には自分の命までも。
歴史において何かを成し遂げたわけでもない平凡な女性であったマリー・アントワネット。
それでも歴史上の女性の中で最も有名なひとり。
ルイ16世とマリー・アントワネットが断頭台で命を落としても、一度起きたフランスの動乱は収まらない。
国民から王室が否定されたことを表すこと以外には、歴史においては特に意味もなく消された命とも言える。
フェルゼンが最後まで愛し、まさに命懸けで救おうとした女性がマリー・アントワネット。
おそらく、そこまで深く愛されたことそれだけで、アントワネットが生きてきたことに意味はあっただろう。
最近になってマリー・アントワネットの二人目の王子、未来のルイ17世になるはずだったルイ・シャルルが、母親と引き離されたのち不幸なまま小さな生命の灯を消したことがわかってきたようだ。
それこそ小さな未来のフランス王は、自分が何者であったのかも知ることもなく命を落とした。余りにも切なく哀しい。
フランスに行ってみたいなと思う読書だった。 -
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歴史上には、その人物には相応しくない役回りを演じることになるひとがいる。その中でも有名なひとりがマリー・アントワネットだろう。
マリー・アントワネットは偉大なオーストリア女帝マリア・テレジアの娘として生まれる。
愛らしく上品なマリー・アントワネットは未来のルイ16世と婚姻してフランス皇太子妃になる。
ルイ15世の崩御と共にアントワネットは、自分が一体何者なのか、自分にフランス国民の生活がかかっていることも自覚出来ず責任も持てないままフランス王妃となる。
上巻では不穏な空気に包まれはじめたヴェルサイユで、マリー・アントワネットよりも自らの生命を選んだ貴族たちがアントワネットの周りから離れ亡命する中、命を賭けてフェルゼンがアントワネットの前に現れるところまでが描かれている。
普段余り漫画を読まないわたしが夢中になって読んだ「ベルサイユのばら」。それ以来フランス革命やマリー・アントワネットに興味を持っている。
今回ツヴァイクの「マリー・アントワネット」を読み、「ベルサイユのばら」はこの本をかなり参考にして描かれていたと感じた。
何故、マリー・アントワネットはここまで興味を持たれ有名な歴史上の人物になったのか。
マリー・アントワネットの深く物事を考えず、その場の愉しみを優先してしまう軽薄さ、不真面目さ、高貴な生まれゆえの上品さ、気高さ、愛らしさや優しさ。
良いところも悪いところも併せ持つ当たり前な人間。
とても歴史上の人物として記憶されなければならないような要素の無い人間。
ただ、たまたまオーストリア皇女として生まれただけの普通の女性。
その普通な人間が歴史の渦に巻き込まれ、華やかな世界から堕ちて行ったそのこと自体が、普通のわたしたちには興味の対象になるのだろう。
歴史を扱う本ではあるが、特に難しい内容ではなく読みやすい。華やかなフランス王室と貴族の生活を堪能できる。
オスカルは出てこないけれど、フェルゼン頑張れと応援しつつ下巻へ。 -
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常識なんだろうが、知らないことがたくさん知れた。
・19世紀前半までの評価はルネッサンス3大巨匠の中で、圧倒的にラファエロがトップだった。→ 自分の感覚では、1.レオナルドダヴィンチ2.ミケランジェロ3.ラファエロだったが → やっとラファエロ前派という名前の意味が理解できた。
・ルーベンスの天才、何をやっても優秀で、外交官としても活躍。経済人としでも大成功。大げさな絵柄から破天荒な人なのかと勝手に思っていたが、かなり優等生で、バランスのとれた性格ということに意外さを感じた。
・ゴヤの俗物性質の中に、後期黒い家にあるような真のアーティスト性があること。(これは知っていたが改めて気づいた)
・ミレーが何度もサロンに落ちたこと。政府が変わってアカデミックな絵画を特別扱いしなくなってチャンスがおとづれたこと。 -
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ゴッホより普通にラッセンが好き。
そんな人もゴッホがどんな想いで絵を描いたのか、どんな人生を送ってきたのかを知れば、ゴッホのほうが好きになるかもしれない。
後世に名画を残した画家が、人生の最後にどんな絵を描いたのか。
それを元に画家の心境や時代背景の変化を読み解く一冊です。
絶筆作品だけでなく、教科書にも絶対のってる人気絶頂のころの作品を詳細な解説とともに比較することで、絶筆に至るまでにどんな変遷を送ったのかを解説しています。
たとえばゴッホ。
「アルルの跳ね橋」とか、黄色を中心とした明るい色調の農村風景が知られていますが、絶筆となる「カラスのむれとぶ麦畑」は、なにもない麦畑にカラスの群が飛び交う風景を描いた作品。観ているだけですごーく不安になります。
アルルではようやく作家活動に希望を見いだせたのに、その後、友人のゴーギャンに愛想を尽かされ、自堕落生活一直線。女性にも逃げられ(かっれの場合、今に始まったことではないが)、酒とクスリにおぼれたうえに最期はピストル自殺。
そんな中でかかれた絶筆作品は、これまで培った技法や色調(やっぱり黄色が大好き)を駆使しつつ、不安感がMAXに込められたものになっています。
取り上げられた作家に共通していえるのは、どれだけ人生が変化しようと、彼らは一貫して絵を描き続けた、ということ。
画家の人となりとか逸話とかで、その絵の価値が変わることはないし、名がはいつみても名画だ。
だが、画家の人生や、その絵に込められた想いを理解することができれば、その絵を鑑賞するときの深みが増す(ワインと同じだ)。
ラッセンさんのほうがどんな人生を送ってきたのかは知らないが、美術館にいったときに作者の系譜をちゃんと読もう、頑張って図録も買おう、そんなモチベーションをあげてくれる一冊です。 -
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宗教美術にものすごく心惹かれます。
特にキリスト教。
沙羅双樹の下で涅槃に入った彼より。
我が国に八百万おわす神々より。
なかなかヘヴィな無理難題押し付けてくる唯一神とその周辺の人々の方に、魅力を感じるんですよねー。
支離滅裂にしか見えない言動オンパレードなキャラクタ大放出!な新約・旧約聖書が、絵画になった途端に一切のツッコミを受け付けない神聖さをまとっちゃう感が、すごく…好きなんです…←言い過ぎ
執筆当時の権力者の本意に沿って書かれてる感も興味深いし、聖人のモチーフを教会の意に沿ってしっかり描写しながら実はそれとは相反する画家の寓意もこっそり書き込んでるっていう解釈とかも好きやねん。すごくミステリーしてんじゃねーか!ってなんねん←結局それ
いつかまたイタリアとバチカンに行って、宗教絵画見たいなぁ。特にシスティーナ礼拝堂、あの空間にまた身を浸したい。
県立博物館様、浦添美術館様、
どうかどうか、とりあえず題は問いませんので宗教絵画をキュレートして頂けませんか。
印象派展観に行った時にリクエストしてみよっと。
【それ知らんかったわ〜おもろいわ〜なとこだけメモ】
・唯一神の筈なのに、「われらに似せて人をつくろう」って何でやねん。
・アダムの臍問題
・神はなぜ、アベルを贔屓したのか?(供物に差があった?)
・ノアの箱舟後の神「もう洪水で人類滅ぼしたりしないよん」→ソドムの町…
・バベルの塔は、何故神の怒りの対象になった?(その他の教会群は許されたのに)→ユダヤ人は、彼らの王国を滅ぼしたバビロニアがめっさ嫌いだった(バビロン虜囚)。
→→タロットカードの「塔」は、バベルの塔がモチーフ。正位置逆位置どちらもネガティヴな意味になるのは塔だけ。
・妻をファラオに献上し、息子イサクを神に供物として捧げ、エジプト人の侍女ハガルとの間に成した子イシマエルを砂漠へ追いやったアブラハム氏←
・イサクの息子ヤコブの騙し騙され周辺事情。
・旧約聖書で描かれる親子の物語の軸にあるのは「えこひいき」。
・ユダヤのヒロイン、ユーディト。アッシリア軍の将軍の首を切断!かのサロメとは、剣と大皿で見分けられる。
・描かれた人物たちは、アトリビュートが無ければほとんど断定が難しい。ex.ペテロは短剣、ユダは淡黄色 -
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中野京子さんによる絵画に秘められた物語や謎をまとめたシリーズ。今回は旧約聖書・新約聖書篇。
宗教画は大変多く描かれているが、残念ながら実物は殆ど観たことがない。壁画が多く、現地に行かないと観られないことも原因だとは思うけれど、そういう作品を扱う展覧会が余り開かれないこともあるだろう。
宗教画は大変ドラマチックで美しいものも多いので、わたし自身も観たいし他の美術ファンの方々にも観ていただきたい。
いつか宗教画を集めた展覧会が開かれることを期待しながら、本で楽しむ。
キリスト教や聖書に馴染みのないかたにもわかりやすく説明がされているため、面白く読める。
聖書は登場人物が膨大で、名前が同じひとも多いため、わたしもよく混乱した。
信仰のために読むのでなければ、多少人物がごっちゃになったり、間違った認識をしてもわたしは問題ないと思う。
世界で最もよく読まれるベストセラーである聖書を、ひとつの名作として楽しめばいいと思う。こんなにも面白い人間ドラマをキリスト教徒にだけ楽しませるのは勿体無い。
聖書を読んでみるときに、絵画を観て知っておくと更にイメージしやすくなるため、中野さんの本は良いきっかけにもなると思う。
聖書には実は矛盾も多く、それについても少し言及されている。
カインとアベルの部分のおかしな点もわたしには理解出来ず、何度か司祭に訊ねはしたのだが、やはり納得出来ず、本書にも触れられているのを読んだが、まだスッキリしない。
でも、聖書のこういう齟齬は多々見られるので、いちいち引っかかっているといつまでも読めなくなってしまう。
こういうもの、と割り切って読むことも必要だ。
聖書にもキリスト教にも興味がないかたでも、絵画が好きなかた、もしくはミステリー好きなかたにも楽しめる謎に満ちた一冊。 -
Posted by ブクログ
ヨーロッパ絵画を観に行けば、避けて通れない宗教画。
どこかやっぱり異世界のように感じる存在でしたが、この本の説明を受けて読むと、天使や神様にも人情味(?)が出てきたというか、物語性を見つけることができて、絵への興味深さが増してきます。
そして同じ場面を描いているのに、画家によってまったく違う風な絵となっている、というのも並べられると面白い。どれも宗教画、と画一的な感じで思っていましたが、いやいや想像力を駆使してい描かれているなあと思うのでした。
そしてさりげなく描かれた人物や静物や、その配置などの意味を知ると、絵画の計算高さに改めて感じ入ります。キリスト教を描いた絵画にもこれから興味を持った目線で見ることができそうに思いました。