中野京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
27.10.9東京都美術館で開催中のモネ展で購入。
大好きな印象派を中野さんの視点で解説。とても面白く、勉強になったしますます美術館に行きたくなる。(そしてもう一度モネ展に!)
原田マハさんのジヴェルニーの食卓を思い出しながら読み進めた。
印象派の絵は疲れずあまり考えず、ただ明るくて綺麗〜と観る感じ(だから日本人に人気だとか)だったけど、明るい中にもその時代背景、自分が思っていたのとは違う作者の意図があったり…。
それを知ることでさらに美術鑑賞が楽しくなるし、驚きや軽いショックを受けつつもますます魅入る。どんな背景があったとしても美しいと思う。
印象的な作者の言葉 [にもかかわらず美しい]
この言葉が全て表していると思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻のマリー・アントワネット、つまり人生後半の彼女は、とても上巻と同一人物とは思えない程一変している。まさに苦悩の人。
本書はアントワネットに同情的…というか、少なくとも革命派の野蛮さへは非難めいた論調が感じられるのだけど、結局のところ後世のフランスにおいてこの一連の出来事はどう評価されてるんだろう。革命自体は否定されないだろうけど、シマゴーグが過ぎたというか、やり過ぎだった、という風潮があるのかな。
あとがきで、回想録ブームが巻き起こったとか、ルイ18世治下ではみんな手のひらを返した、とかあって、さらにはそこにサンソンの名前も挙げられていて、狼狽した。サンソンもそいつらのうちの一人かい、みたいな。もう何を信じたらいいのかわからない。いや、振り回されすぎだ。所詮私なんぞが目にできるのは誰かのフィルターが何重にもかかった幻影みたいなものなんだから、信じたいものを信じることにしよう。 -
Posted by ブクログ
ルイ16世よ、この人は本当に語る者によって評価が分かれるな。
先に読んだ『死刑執行人サンソン』では、サンソン自身が王を敬愛していたとは言え、それを差し引いても、王を擁護する書き方であった。
対してこちらは、重大な場面一つ一つで、王の判断のまずさが強調される。それに対比させるかのように王妃には好意的だ。
本書を読んだだけの感想で言えば、ルイ16世は驚くべき「無能」、この一言に尽きる。しかし歴史にifがない以上、彼が違う決断をしていたらどうなっていたかなど誰にもわからない。彼には彼なりの論理があった。本書は明らかに無能・優柔不断な王という評価ありきで書かれているため、そのままの印象を持つことには慎重になりたい。
ま、近年、アントワネットへの評価が見直されてる流れを受けて、ルイ16世への見方も変わるのではないかという期待があったため、従来のイメージ通りの暗愚ぶりにちょっと失望した、というのが正直なところだ。
それにしても、境遇としてはチャールズ1世も似たようなものなのに、後世でのこの取りあげられ度の違いは何なんだろう。日本においては「べるばら」があったから、だけでは説明つかないような。 -
Posted by ブクログ
メンデルスゾーン、アンデルセン、スウェーデンのソプラノ歌手ジェニーの三角関係の物語。
中野京子さんの絵画シリーズはいろいろ読んだけれど、音楽シリーズははじめて。
小説仕立てになっていて読みやすかった。
メンデルスゾーンは軽いサロン音楽ばかりを作っていたイメージだったけど、
中野さんが言うようにもっと評価・研究されてしかるべき人なのかもしれない。
とりあえずメンデルスゾーンの曲を改めて聴いてみたくなった。
幼少期のうそのような可愛らしさにもびっくり。
ジェニーの歌声もいまとなっては楽しめないのが残念。
硬質でリリックでなめらかで、という言葉で想像を膨らませて「歌の翼に」を頭の中で再生してみよう。
そして何といっても一番のインパクトはアンデルセン。
文献やさまざまな人の日記を当たって実際の人物像に肉薄しているとしたら、
アンデルセンの無邪気さ、能天気さ、厚かましさ、無神経さ、鈍さには呆然としてしまう。
ほんとうにこんな人だったんだろうか?
素晴らしい物語を作る想像力はあったのだから、
人の気持ちももっと分かってもいいような気がするけれど。
ジェニーにストーカーの如く付きまとう姿は痛々しくて見ていられない。
ジェニーもいくら口下手だからってもっと早めにはっきり断ればいいのに、と思ったけれど。
でもとにかく面白かった。ほかの音楽シリーズの本も読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
ルーヴル美術館所蔵の絵画を中心に、硬軟おり交ぜてわかりやすく美術史、世界史の知識を得られてとてもお得な1冊です。
ルーヴル美術館所蔵作品の中でも特に有名なのが、表紙にもなっている、
「モナ・リザ」ですが、
この世界一有名と言ってもいい絵画について、中野先生は何を語られるのかな、と興味津々でしたが、
レオナルド・ダ・ヴィンチファンで平均よりは少し知識を付けているレベルの私が読んでも充分面白いものでした。
中野先生の著作を読んで面白いと感じた人なら、
この本も間違いなくオススメできると思います。
余談ですが、この本のカバーも、モナ・リザの顔の向かって左半分が表、右半分が裏になっており、
共に折り返しの部分にもう半分の顔があるのですが、
これは右半分は微笑み、左半分は悲しみの表情であるという説に基づいて
デザインされているのだと思いました。
個人的ですが、この本の1番気に入っているところだったりします。 -
Posted by ブクログ
後輩ちゃんとの読書サークルにて、シュテファン・ツヴァイクがお題になったので、迷わずこの一作を選びました。とはいえ後輩ちゃんに教えてもらって初めてシュテファン・ツヴァイクを知ったんだけど。
女性の生き方を描いた作品は好きなのですが、どんな女性の物語でも好きなわけではないなあと思ってて。マリー・アントワネットは中でもすごく好きな歴史人物なので上巻だけでもすごく面白かったです。
傲慢な女王ではなく、純粋な王妃。分別とか自制心とか必要ないろんなものが足りなかったのは確かだけど、そうではなく、意志の強さや純粋さや気を許した相手への無邪気な優しさや、彼女の美点のいくつかがもうすこし足りなければ、こんなに大きな悲劇に祭り上げられなかったのに、と思います。擬人化しないと気づかないっていう下りはすごく染みた。社会や時代や民衆や、そういう漠然としたものが間違った方向に進んでても、中の人間は気づかない。マリー・アントワネットという、あの時代そのものが宿った美しい人形が、人々の熱狂の明確な対象になったんだなと思いました。
シュテファン・ツヴァイクも、訳者の方もすごいなあ。現代の日本のわたしたちが読んでもぐさっとくるような、社会への批判や解釈や、人間関係の描写に引き込まれます。下巻も単なる伝記みたいにはならないだろうから楽しみ。