中野京子のレビュー一覧
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印象派の数多くの作品を豊富な図版で紹介しつつ、そこにえがかれている時代のありようについて解説をおこなっている本です。
ヨーロッパの絵画を解釈するにあたって図像学的な知識が必要となることは、現在ではひろく知られるようになりましたが、19世紀の風俗をえがいた印象派の絵画も、そこにえがかれている対象とそれらを取り巻く西洋社会の実態について知ることが欠かせません。本書は、文章による解説と図版に付された注釈によって、これらの絵画がえがかれることになった時代背景が理解できるようになっています。
著者は「あとがき」で、「なぜ日本人はこれほどまでに印象派を好むのでしょう?」という問いかけをおこない、「印象 -
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本の表紙の絵の女性は一体誰だろう
印象的な眼差し、一瞬にして心を奪われる
イワン・クラムスコイの「忘れえぬ人」
『アンナ・カレーニナ』のアンナを描いたと
言われている絵。元々のタイトルは
「見しらぬ女」
この絵が来日した際、日本人が、
「忘れえぬ人」と付けたらしい。そうとしか
呼びようがなく付けた、なんて素敵な
ネーミングだろう(さすが日本人)
中野京子さんが紹介してくれる歴史に刻んだ
美貌の人たち。時代背景がいろいろと分かり
興味深い。これを知った上で絵を見ると、
また違った印象を受ける。
たとえば「デヴォンシャー公爵夫人」
一見するとただの(?)美貌の女性、
男性のみならず多くの人を魅了し -
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ネタバレフランス国王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットのパリ脱出劇。これが計画通りに進んでいれば歴史は変わったのだろうか。ヴァレンヌを無事に抜け出せても、その後国王の思い通りになったかどうかはわからない。それだけ民との溝は深かったように思える。
時代背景や社会や人々の様子がわかりやすく解説されていて、当時どんな空気感だったのか想像しやすかった。追われる立場であるはずの国王一家が、のんびりと余裕を持った逃避行をしていて、なぜこんなことになったのだ?と思わずにはいられなかった。決断できない国王に対して苛立ちが募るけれど、最期にアントワネットに遺した言葉が切なくてこれがルイ16世という人だったのかなと、 -
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ハプスブルク王朝の拡大維持、ローマ皇帝の座を世襲とすべく残り十年の余命を使って奮戦するルドルフ一世(もとは弱小の豪族)、
その二〇〇年後戦の最前線に立ち孫の代まで婚姻外交に徹したマクシミリアン一世、父と夫が王の座をめぐり対立、自身は精神を病み、愛する夫が謎の死を遂げ弔う(迷走の旅)フアナ、七十の肩書きを持ち当時としては珍しく息子に王座を譲るカール五世、三人の妻に先立たれたフェリペ二世(フェリペが動けば血が流れた)、エリザベスと結婚できなかったフェリペ、政権を丸投げし早死にしたフェリペ三世、無能王と呼ばれるも絵画の審美眼の才能を発揮するフェリペ四世、野菜の肖像画として知られるルドルフ二世、フリー -
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表紙の絵は、モッサ『飽食のセイレーン』。怖いといえば怖いが、パッと見は迫力があるモンスターのイラストみたい。その他の絵画も「パッと見」の印象では怖さを味わえない。それを深く知って理解した時にゾッとする。つまり、絵画の背後にある物語を知らなければその世界に踏み込めない。
この状態というのが、私には「ラーメンを食べているのではなく、情報を食べているんだ」(byラーメン発見伝、読んだことない)を表している気がして…。つまり、絵画も結局は「誰が書いた」「何を書いた」「この絵にはこんな経緯があって…」という解説があって、はじめて怖さという感情が付与される。もちろんパッと見でこえーよーという絵画もあるが