中野京子のレビュー一覧

  • マリー・アントワネット 上

    Posted by ブクログ

    歴史上には、その人物には相応しくない役回りを演じることになるひとがいる。その中でも有名なひとりがマリー・アントワネットだろう。

    マリー・アントワネットは偉大なオーストリア女帝マリア・テレジアの娘として生まれる。
    愛らしく上品なマリー・アントワネットは未来のルイ16世と婚姻してフランス皇太子妃になる。
    ルイ15世の崩御と共にアントワネットは、自分が一体何者なのか、自分にフランス国民の生活がかかっていることも自覚出来ず責任も持てないままフランス王妃となる。

    上巻では不穏な空気に包まれはじめたヴェルサイユで、マリー・アントワネットよりも自らの生命を選んだ貴族たちがアントワネットの周りから離れ亡命する中、命を賭けてフェルゼンがアントワネットの前に現れるところまでが描かれている。

    普段余り漫画を読まないわたしが夢中になって読んだ「ベルサイユのばら」。それ以来フランス革命やマリー・アントワネットに興味を持っている。
    今回ツヴァイクの「マリー・アントワネット」を読み、「ベルサイユのばら」はこの本をかなり参考にして描かれていたと感じた。

    何故、マリー・アントワネットはここまで興味を持たれ有名な歴史上の人物になったのか。
    マリー・アントワネットの深く物事を考えず、その場の愉しみを優先してしまう軽薄さ、不真面目さ、高貴な生まれゆえの上品さ、気高さ、愛らしさや優しさ。
    良いところも悪いところも併せ持つ当たり前な人間。
    とても歴史上の人物として記憶されなければならないような要素の無い人間。
    ただ、たまたまオーストリア皇女として生まれただけの普通の女性。
    その普通な人間が歴史の渦に巻き込まれ、華やかな世界から堕ちて行ったそのこと自体が、普通のわたしたちには興味の対象になるのだろう。

    歴史を扱う本ではあるが、特に難しい内容ではなく読みやすい。華やかなフランス王室と貴族の生活を堪能できる。
    オスカルは出てこないけれど、フェルゼン頑張れと応援しつつ下巻へ。

    0
    2016年11月28日
  • 名画の謎 旧約・新約聖書篇

    Posted by ブクログ

    旧約聖書と新約聖書とわけて、それぞれの名画にからめて解説。
    ざっくり言うと、キリスト前が旧約、キリスト誕生の頃からが新約。

    知らないこといっぱい。
    マリアもイエスもユダヤ人なのに、何故に欧米ではあんなにユダヤ人は嫌われてるんだろう。生首持つユーディトのこと、初めて知ったよ。
    アトリビュートをもっと知識として持っていれば、もっと西洋画がわかるんだろうなあ。

    0
    2016年10月31日
  • 美術品でたどる マリー・アントワネットの生涯

    Posted by ブクログ

    アントワネットの生涯を通じながら美術品を見ていくという本。やっぱり、アントワネットってわがままだったんだなという印象。それとルイ16世も意外と立派だったという再評価をされつつあるもとっとと脱出しなきゃならんのにのんびりと物見遊山した結果バレて逮捕されてしまうというように頼りない。二人共誇張された悪い印象が持たれているが、そう思われても仕方がないほどダメダメな部分があったのは確かだったんだなと改めて思った。

    0
    2016年10月25日
  • 名画の謎 ギリシャ神話篇

    Posted by ブクログ

    ギリシャ神話にまつわる絵画の解説。

    ゼウスが酷すぎる神だと知ってびっくりだよ。どんな女好きだよ! 天の川の由来(Milky Way)もゼウスが愛人に生ませた子どもに、ゼウスの妻のヘラのお乳を与えようとして、いやがるヘラのお乳が飛び散ってMirky Wayになったって。なんとも救いようのない話だこと。

    でもいろいろ面白かった!

    0
    2016年10月11日
  • 印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ

    Posted by ブクログ

    印象派絵画について、画家の育ちや人となり、絵が描かれた当時の社会の風潮などを知ることができ、大変興味深かった。

    0
    2016年10月04日
  • 「絶筆」で人間を読む 画家は最後に何を描いたか

    Posted by ブクログ

    常識なんだろうが、知らないことがたくさん知れた。
    ・19世紀前半までの評価はルネッサンス3大巨匠の中で、圧倒的にラファエロがトップだった。→ 自分の感覚では、1.レオナルドダヴィンチ2.ミケランジェロ3.ラファエロだったが → やっとラファエロ前派という名前の意味が理解できた。
    ・ルーベンスの天才、何をやっても優秀で、外交官としても活躍。経済人としでも大成功。大げさな絵柄から破天荒な人なのかと勝手に思っていたが、かなり優等生で、バランスのとれた性格ということに意外さを感じた。
    ・ゴヤの俗物性質の中に、後期黒い家にあるような真のアーティスト性があること。(これは知っていたが改めて気づいた)
    ・ミレーが何度もサロンに落ちたこと。政府が変わってアカデミックな絵画を特別扱いしなくなってチャンスがおとづれたこと。

    0
    2016年09月17日
  • 「絶筆」で人間を読む 画家は最後に何を描いたか

    Posted by ブクログ

    ゴッホより普通にラッセンが好き。
    そんな人もゴッホがどんな想いで絵を描いたのか、どんな人生を送ってきたのかを知れば、ゴッホのほうが好きになるかもしれない。

    後世に名画を残した画家が、人生の最後にどんな絵を描いたのか。
    それを元に画家の心境や時代背景の変化を読み解く一冊です。
    絶筆作品だけでなく、教科書にも絶対のってる人気絶頂のころの作品を詳細な解説とともに比較することで、絶筆に至るまでにどんな変遷を送ったのかを解説しています。

    たとえばゴッホ。
    「アルルの跳ね橋」とか、黄色を中心とした明るい色調の農村風景が知られていますが、絶筆となる「カラスのむれとぶ麦畑」は、なにもない麦畑にカラスの群が飛び交う風景を描いた作品。観ているだけですごーく不安になります。
    アルルではようやく作家活動に希望を見いだせたのに、その後、友人のゴーギャンに愛想を尽かされ、自堕落生活一直線。女性にも逃げられ(かっれの場合、今に始まったことではないが)、酒とクスリにおぼれたうえに最期はピストル自殺。
    そんな中でかかれた絶筆作品は、これまで培った技法や色調(やっぱり黄色が大好き)を駆使しつつ、不安感がMAXに込められたものになっています。

    取り上げられた作家に共通していえるのは、どれだけ人生が変化しようと、彼らは一貫して絵を描き続けた、ということ。

    画家の人となりとか逸話とかで、その絵の価値が変わることはないし、名がはいつみても名画だ。
    だが、画家の人生や、その絵に込められた想いを理解することができれば、その絵を鑑賞するときの深みが増す(ワインと同じだ)。

    ラッセンさんのほうがどんな人生を送ってきたのかは知らないが、美術館にいったときに作者の系譜をちゃんと読もう、頑張って図録も買おう、そんなモチベーションをあげてくれる一冊です。

    0
    2016年06月18日
  • 名画の謎 旧約・新約聖書篇

    Posted by ブクログ

    宗教美術にものすごく心惹かれます。
    特にキリスト教。

    沙羅双樹の下で涅槃に入った彼より。
    我が国に八百万おわす神々より。

    なかなかヘヴィな無理難題押し付けてくる唯一神とその周辺の人々の方に、魅力を感じるんですよねー。

    支離滅裂にしか見えない言動オンパレードなキャラクタ大放出!な新約・旧約聖書が、絵画になった途端に一切のツッコミを受け付けない神聖さをまとっちゃう感が、すごく…好きなんです…←言い過ぎ

    執筆当時の権力者の本意に沿って書かれてる感も興味深いし、聖人のモチーフを教会の意に沿ってしっかり描写しながら実はそれとは相反する画家の寓意もこっそり書き込んでるっていう解釈とかも好きやねん。すごくミステリーしてんじゃねーか!ってなんねん←結局それ

    いつかまたイタリアとバチカンに行って、宗教絵画見たいなぁ。特にシスティーナ礼拝堂、あの空間にまた身を浸したい。

    県立博物館様、浦添美術館様、
    どうかどうか、とりあえず題は問いませんので宗教絵画をキュレートして頂けませんか。

    印象派展観に行った時にリクエストしてみよっと。


    【それ知らんかったわ〜おもろいわ〜なとこだけメモ】

    ・唯一神の筈なのに、「われらに似せて人をつくろう」って何でやねん。

    ・アダムの臍問題

    ・神はなぜ、アベルを贔屓したのか?(供物に差があった?)

    ・ノアの箱舟後の神「もう洪水で人類滅ぼしたりしないよん」→ソドムの町…

    ・バベルの塔は、何故神の怒りの対象になった?(その他の教会群は許されたのに)→ユダヤ人は、彼らの王国を滅ぼしたバビロニアがめっさ嫌いだった(バビロン虜囚)。
    →→タロットカードの「塔」は、バベルの塔がモチーフ。正位置逆位置どちらもネガティヴな意味になるのは塔だけ。

    ・妻をファラオに献上し、息子イサクを神に供物として捧げ、エジプト人の侍女ハガルとの間に成した子イシマエルを砂漠へ追いやったアブラハム氏←

    ・イサクの息子ヤコブの騙し騙され周辺事情。

    ・旧約聖書で描かれる親子の物語の軸にあるのは「えこひいき」。

    ・ユダヤのヒロイン、ユーディト。アッシリア軍の将軍の首を切断!かのサロメとは、剣と大皿で見分けられる。

    ・描かれた人物たちは、アトリビュートが無ければほとんど断定が難しい。ex.ペテロは短剣、ユダは淡黄色

    0
    2016年06月10日
  • 名画の謎 旧約・新約聖書篇

    Posted by ブクログ

    中野京子さんによる絵画に秘められた物語や謎をまとめたシリーズ。今回は旧約聖書・新約聖書篇。

    宗教画は大変多く描かれているが、残念ながら実物は殆ど観たことがない。壁画が多く、現地に行かないと観られないことも原因だとは思うけれど、そういう作品を扱う展覧会が余り開かれないこともあるだろう。
    宗教画は大変ドラマチックで美しいものも多いので、わたし自身も観たいし他の美術ファンの方々にも観ていただきたい。
    いつか宗教画を集めた展覧会が開かれることを期待しながら、本で楽しむ。

    キリスト教や聖書に馴染みのないかたにもわかりやすく説明がされているため、面白く読める。
    聖書は登場人物が膨大で、名前が同じひとも多いため、わたしもよく混乱した。
    信仰のために読むのでなければ、多少人物がごっちゃになったり、間違った認識をしてもわたしは問題ないと思う。
    世界で最もよく読まれるベストセラーである聖書を、ひとつの名作として楽しめばいいと思う。こんなにも面白い人間ドラマをキリスト教徒にだけ楽しませるのは勿体無い。
    聖書を読んでみるときに、絵画を観て知っておくと更にイメージしやすくなるため、中野さんの本は良いきっかけにもなると思う。

    聖書には実は矛盾も多く、それについても少し言及されている。
    カインとアベルの部分のおかしな点もわたしには理解出来ず、何度か司祭に訊ねはしたのだが、やはり納得出来ず、本書にも触れられているのを読んだが、まだスッキリしない。
    でも、聖書のこういう齟齬は多々見られるので、いちいち引っかかっているといつまでも読めなくなってしまう。
    こういうもの、と割り切って読むことも必要だ。

    聖書にもキリスト教にも興味がないかたでも、絵画が好きなかた、もしくはミステリー好きなかたにも楽しめる謎に満ちた一冊。

    0
    2016年05月10日
  • 怖い絵 泣く女篇

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最後のピカソの泣く女、からの後書きが印象に残っている。

    ・絵についてもっと語ってみたくなる。
    ・このような本を読むと、知識がついたように錯覚するが、そういったものは忘れてしまう。一方、絵に向かう「まなざし」は残り続ける。

    なんとなく納得してしまった。
    何となく見るのではなく、この小物はどういう意味を持つのか、この人物だけ周りの雰囲気とマッチしていないがどうしてか、そんなことを考えながら絵画を鑑賞するきっかけとなればいいと思った。

    絵が小さくて見難いのは文庫の弱点ですね。

    1
    2016年04月27日
  • 名画の謎 旧約・新約聖書篇

    Posted by ブクログ

    ヨーロッパ絵画を観に行けば、避けて通れない宗教画。
    どこかやっぱり異世界のように感じる存在でしたが、この本の説明を受けて読むと、天使や神様にも人情味(?)が出てきたというか、物語性を見つけることができて、絵への興味深さが増してきます。
    そして同じ場面を描いているのに、画家によってまったく違う風な絵となっている、というのも並べられると面白い。どれも宗教画、と画一的な感じで思っていましたが、いやいや想像力を駆使してい描かれているなあと思うのでした。
    そしてさりげなく描かれた人物や静物や、その配置などの意味を知ると、絵画の計算高さに改めて感じ入ります。キリスト教を描いた絵画にもこれから興味を持った目線で見ることができそうに思いました。

    0
    2016年04月16日
  • マリー・アントワネット 下

    Posted by ブクログ

    読み応えのある伝記?物語?でした。
    ツヴァイクの熱く、それでいて冷静な語り口は読んでいてとても味わい深く、ハラハラドキドキしながら読書を楽しめました。
    歴史に“もしも”はないとは知りつつも、色々と空想してしまいます。
    その空想してしまう、という奥行もまたツヴァイクのマジックなのかもですが。

    0
    2016年04月12日
  • 残酷な王と悲しみの王妃2

    Posted by ブクログ

    1,ルートヴィヒ2世
    2,アレクサンドル3世妃マリア
    3,カルロス4世
    4.カロリーネ・マティルデ
    それにしても思うのは,現在の庶民でよかったということ.

    1
    2016年03月29日
  • 怖い絵 泣く女篇

    Posted by ブクログ

    中野京子さんの「怖い絵」シリーズ。
    今回は泣く女篇。
    泣く女とは、ピカソの作品のタイトル。
    あの、物凄い迫力で泣いている、いかにもピカソなキュビズム作品。

    今回収録されている作品は22。
    有名な作品が多い。
    ちょっと挙げると、ドラローシュ、ミレー、ベラスケス、エッシャー、ブリューゲル、ヴェロッキオ、ピアズリー、ボッティチェリ、ブレイク、ルーベンス、カルバッチョ、レンブラントなどなど一度は耳にも目にもしたことのある芸術家の数々。

    正直、前に読んだ「怖い絵」の方が作品に隠された怖さとしては面白さが上なようにも思えるけれど、こちらはこちらで十分楽しめる。

    ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
    カレーニョ・デ・ミランダ「カルロス二世」
    これらの歴史上の人物を描いた作品を観ると、まるで一冊の歴史書を読んだかのように感じる。
    もっと深く知りたいと思わせる。

    ブリューゲル「ベツレヘムの嬰児虐殺」
    ヴェロッキオ「キリストの洗礼」
    ピアズリー「サロメ」
    ボッティチェリ「ホロフェルネスの遺体発見」
    これらのような宗教画は、聖書を読みながら観てみたいと思う。

    絵を観るとき、何の予備知識も持たずに、綺麗だなあとか凄いなあとか言いながら眺めることは、それはそれで楽しいことだと思う。
    でも、もしその作品に隠された物語を知っていて観ることがあったら、今迄特に思うことなく通り過ぎてしまっていた作品であっても、心に何かを感じるのではないだろうか。
    作家であれば、自分の思いを残らず文章することが出来る。
    でも、芸術家と呼ばれるひとたちは文字を用いずに表現するしかない。
    表立って言えないことや、社会情勢といったことを作品に載せているとしたら、言葉にならない言葉を聞きたくなる。

    いつか本物の作品をこの目で観ることがあるといいなと心から思う。

    1
    2015年10月27日
  • 印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ

    Posted by ブクログ

    27.10.9東京都美術館で開催中のモネ展で購入。
    大好きな印象派を中野さんの視点で解説。とても面白く、勉強になったしますます美術館に行きたくなる。(そしてもう一度モネ展に!)
    原田マハさんのジヴェルニーの食卓を思い出しながら読み進めた。

    印象派の絵は疲れずあまり考えず、ただ明るくて綺麗〜と観る感じ(だから日本人に人気だとか)だったけど、明るい中にもその時代背景、自分が思っていたのとは違う作者の意図があったり…。
    それを知ることでさらに美術鑑賞が楽しくなるし、驚きや軽いショックを受けつつもますます魅入る。どんな背景があったとしても美しいと思う。

    印象的な作者の言葉 [にもかかわらず美しい]
    この言葉が全て表していると思った。

    0
    2015年10月16日
  • ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間

    Posted by ブクログ

    フランス革命の一大転機となった歴史的事件である、”ヴァレンヌ逃亡”の24時間を追う側と追われる側の立場に立って忠実に再現した息詰まるドラマ仕立てドキュメンタリーもの。優柔不断で臆病なルイ16世と、贅沢で傲慢な王妃マリーアントワネット。キャラが濃すぎる二人の逃亡の鍵を握る、スウェーデン人フェルゼン卿と二人の関係にビックリ。筆者は、フランス中世史の研究者だけあって、事実を効果的に配し、推測と事実の境を感じさせない納得のストーリー。雅な世界に潜む陰を覗き込む事ができた至極の一冊~。。

    1
    2015年09月05日
  • マリー・アントワネット 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下巻のマリー・アントワネット、つまり人生後半の彼女は、とても上巻と同一人物とは思えない程一変している。まさに苦悩の人。

    本書はアントワネットに同情的…というか、少なくとも革命派の野蛮さへは非難めいた論調が感じられるのだけど、結局のところ後世のフランスにおいてこの一連の出来事はどう評価されてるんだろう。革命自体は否定されないだろうけど、シマゴーグが過ぎたというか、やり過ぎだった、という風潮があるのかな。

    あとがきで、回想録ブームが巻き起こったとか、ルイ18世治下ではみんな手のひらを返した、とかあって、さらにはそこにサンソンの名前も挙げられていて、狼狽した。サンソンもそいつらのうちの一人かい、みたいな。もう何を信じたらいいのかわからない。いや、振り回されすぎだ。所詮私なんぞが目にできるのは誰かのフィルターが何重にもかかった幻影みたいなものなんだから、信じたいものを信じることにしよう。

    0
    2015年07月15日
  • ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間

    Posted by ブクログ

    ルイ16世よ、この人は本当に語る者によって評価が分かれるな。
    先に読んだ『死刑執行人サンソン』では、サンソン自身が王を敬愛していたとは言え、それを差し引いても、王を擁護する書き方であった。
    対してこちらは、重大な場面一つ一つで、王の判断のまずさが強調される。それに対比させるかのように王妃には好意的だ。

    本書を読んだだけの感想で言えば、ルイ16世は驚くべき「無能」、この一言に尽きる。しかし歴史にifがない以上、彼が違う決断をしていたらどうなっていたかなど誰にもわからない。彼には彼なりの論理があった。本書は明らかに無能・優柔不断な王という評価ありきで書かれているため、そのままの印象を持つことには慎重になりたい。
    ま、近年、アントワネットへの評価が見直されてる流れを受けて、ルイ16世への見方も変わるのではないかという期待があったため、従来のイメージ通りの暗愚ぶりにちょっと失望した、というのが正直なところだ。

    それにしても、境遇としてはチャールズ1世も似たようなものなのに、後世でのこの取りあげられ度の違いは何なんだろう。日本においては「べるばら」があったから、だけでは説明つかないような。

    1
    2015年06月29日
  • はじめてのルーヴル

    Posted by ブクログ

    この方の絵画の説明は本当に面白い。
    絵に対する興奮がぶわっと伝わってきて、知識量もすごい。絵のテーマ、画家の紹介からふっと他の話に飛んだり自分的考察(良い意味でミーハーぽくてとても可愛い)を語り出したりするのが、対面で講義を聞いているみたいでエキサイティング、どんどん惹き込まれます。

    0
    2015年05月02日
  • 芸術家たちの秘めた恋―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代

    Posted by ブクログ

    メンデルスゾーン、アンデルセン、スウェーデンのソプラノ歌手ジェニーの三角関係の物語。
    中野京子さんの絵画シリーズはいろいろ読んだけれど、音楽シリーズははじめて。
    小説仕立てになっていて読みやすかった。
    メンデルスゾーンは軽いサロン音楽ばかりを作っていたイメージだったけど、
    中野さんが言うようにもっと評価・研究されてしかるべき人なのかもしれない。
    とりあえずメンデルスゾーンの曲を改めて聴いてみたくなった。
    幼少期のうそのような可愛らしさにもびっくり。
    ジェニーの歌声もいまとなっては楽しめないのが残念。
    硬質でリリックでなめらかで、という言葉で想像を膨らませて「歌の翼に」を頭の中で再生してみよう。

    そして何といっても一番のインパクトはアンデルセン。
    文献やさまざまな人の日記を当たって実際の人物像に肉薄しているとしたら、
    アンデルセンの無邪気さ、能天気さ、厚かましさ、無神経さ、鈍さには呆然としてしまう。
    ほんとうにこんな人だったんだろうか?
    素晴らしい物語を作る想像力はあったのだから、
    人の気持ちももっと分かってもいいような気がするけれど。
    ジェニーにストーカーの如く付きまとう姿は痛々しくて見ていられない。
    ジェニーもいくら口下手だからってもっと早めにはっきり断ればいいのに、と思ったけれど。

    でもとにかく面白かった。ほかの音楽シリーズの本も読んでみよう。

    0
    2015年04月09日