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名画に込められた、あふれる感情の波。ドラマチックな愛と、幸福への欲求は不変――画家たちは描かずにいられなかった。一目惚れ、狂恋、嫉妬、快楽、死への誘い……これもまた、愛なのか。西洋美術の歴史を通じて重要なテーマだった愛は、各時代、さまざまな形で表現され続けている。当時の風俗、文学、神話、旧約聖書などから題材がとられ、画家のインスピレーションを刺激して芸術の価値を高めてきた。時代が移っても変わらない、人間が抱く欲求や希望。ロマンチックな空想や情熱的なものだけではないその感情は、喜び、幸福、満足感をもたらして人々を惹きつける。派生して、呪いや嫉妬、怒りも。愛とはなにか、を考えさせられる作品52点をフルカラーで解説。 [本書の構成]第1章 甘美な恋への憧れ 第2章 そして、狂気へ 第3章 子どもをめぐる愛 第4章 運命の絆
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Posted by ブクログ
絵画に関してだけでなく、テーマやモチーフについての広がった説明や解説もあるのが、より分かりやすくて面白かった。
改めて著者の教養や興味の幅広さも分かって恐ろしい。
「エコー」や「シャロットの乙女」のように悲哀に満ちたものや、
「医者の治せぬ病」や「愛のアレゴリー」のように世俗的な視点で人間が人間を皮肉ったようなようなものなど、
"愛"とはなんなのかを、言葉通り目に見える形で様々な見解や要素を知ることができるのがすごく興味深くて面白い。
収録されている作品の中だと、エイブラハム・ソロモン「一等車の出会い一目惚れ」が、テーマの面白さや新鮮さ、パッと見た絵の魅力としても一番好きだったけど、
それとは別で「きょうだい愛」がテーマの作品における著者の言葉や解説がなんだか優しくて温かくて、すごく印象的だった。
著者の痛烈、痛快な言葉も好きだけど、こういった慈しみや敬愛の籠った文章も、じんわり心に浸透する温かさがあって素敵。
また著者の解説でもって絵の見え方が何倍にも広がり、かつ画家の技量や創造力の凄さに改めて気付かせてくれるのも良い。
Posted by ブクログ
中野京子さんの絵画解説本。
他の本よりも「愛」というテーマで絵画を解説している。
中野京子さんは絵画や歴史的背景をとでよく研究していらっしゃるが、読みやすく入ってきやすいのは解説やその語り口がとても心地よいものだからだと気づく。文量も言葉も適切であり読み手にしっかり伝えてくる。とても素晴らしい。
毎回絵画についても新しい発見をもたらしてもらうのだが、今回は「ベルト・モリゾ」という女性の画家との出会いがあった。ゆりかごに眠る幼子をそっと見守る母の絵だが、とても気になってしまう。
マネやルノワールのようでもあるが、白の色遣いがとてもきれいで奥行きがある。
こうした出会いを下さるのも中野京子さんの本あってのこと。
Posted by ブクログ
「星たちを引き連れた夜」エドワード・ロバート・ヒューズ
表紙絵に用いられている謎めいた女性は、夜の女神。抱えているのは幼い赤子だが、現世では亡くなっている設定。しがみつくのはキューピッド。青が基調の優しい絵だ。この絵で描かれているのは慈愛。
「テルモピュライのレオニダス」ジャック・ルイ・ダヴィッド
映画『300』で有名な、ペルシャ兵にわずか300の兵で立ち向かうスパルタ王レオニダス一世。中野さんの著書で何度も登場している。レオニダス一世はオールヌードなのに正面向き。見ているこっちが恥ずかしい。周囲ではボーイズラブの濃厚な場面が繰り広げられている。死地に向かう戦なので愛も燃え上がる?
「フリードリヒ二世とヨーゼフ二世の会見」アドルフ・フォン・メンツェル
ロシア&フランス&オーストリアの女性三人がタッグを組んだ、名高いペチコート作戦で苦しめられたフリードリヒ二世が、あろうことかそのペチコート作戦の一人、マリア・テレジアの息子ヨーゼフ二世から敬愛を捧げられる場面。若きヨーゼフ二世は、老獪なフリードリヒ二世にたやすく篭絡されてしまう。ちなみに、映画『ヒトラー最後の10日間』では、ヒトラーがフリードリヒ大王の肖像画を地下壕に飾っていた。いや、やってることは全然違うが。
「ロミオとジュリエットの遺体を前にしてのモンタギュー家とキャピュレット家の和解」フレデリック・レイトン
なんだかラストの粗筋をそのままタイトルにしたみたい。有名なロミオとジュリエットの死の場面。ロミオに殺されたパリスが絵画でも思いっきり邪魔者で不憫。
「バッカスとアリアドネ」ティツィアーノ
祖国を裏切って迷宮を出してあげたのに、その相手テセウスに逃げられたアリアドネに、酒神バッカスがフォーリンラブした瞬間をとらえたもの。バッカスはどちらかというと酒好きのいいかげんなイメージがあるが、年齢差のある(神対人間だから)夫婦仲は良かったとか。
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