中野京子のレビュー一覧
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音楽の秘密というほどでもないけどね。楽器や歌手が出てくる絵画をたくさん取り上げていて、それぞれの逸話がなかなか面白い。音楽に限らないが、絵画というのは様々なことが描かれ、さまざまなことを想像させる。
人の暮らしには音楽は欠かせなかったということだろうな。
若いメンデルスゾーンを招いたゲーテが、奏者がくたくたになろうが、次の曲次の曲と、メンデルスゾーンにピアノを弾かせまくったという逸話は知らなかった。音楽ソフトなどない時代では、生演奏は得難いものだったのだ。ましてや名手のものは。
そうそう、カラヴァッジョはその生々しさが好きじゃないのだが、この表紙の「エジプトへの逃避途中の休息」の抒情味は素晴らしいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ印象派とフランスの時代背景についての説明的な本だった。絵がたくさんあってたのしかった。
ドガの「カフェにて」という絵を初めて見たのだけど、女の人すごくつまんなそうな顔しておもしろ〜〜!って思って解説読んだら全然違う意図の表情だった。
絵って全部物語が盛り込まれてると思ってたから、印象派は見たままに描かれててメッセージ性はないから教養を必要とせず楽しめる、みたいなことが書かれててびっくりした。
洪水で水びたしになった村があって舟で移動するしかなかったところを絵に描いてる画家がいて、その人は水面のきらめきが好きだったのらしい。きれいだから描いたそうで、村人の苦労を伝える意図はないのらしい。映えてるから絵に描いたってこと……??
でも人がなに考えてるかは本人以外わからないから、こう解説されてても「こんなに村は大変なことになってるけどこんなに美しいです。こんなに美しいのに。」って思いながら描いたかもしれないよな。この画家に限らず、やや勝手なこと言ってそうだな、って思っちゃったところがあるので心情の部分はあまり信じないでおきます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいつもの中野先生の御本の感覚に慣れていると、各項目見開き約1ページ半という文章量ではどうにも物足りなさを感じてしまった。
もう少し、もう少し読ませてくれよ!という。
人物でも歴史でもなく、絵画に出てくる「もの」に着目した話としては珍しいし、その点は凄く面白かった。
前述通りの文章量なので、その分紹介されている「もの」は実に多数。
また数が多いからか、先生の解説がキレッキレなときとそうでないときも入り乱れていて、その差がちょっと気になりもした。
あの文章量ならさもありなん。
あとタイトルにある『怖い絵』にもクエスチョンが。
文庫化にあたってタイトルに足されたようだが、怖い絵を目当てで読むと少し肩透かし感があるかと。
怖い絵でもお馴染みの絵も出てくるが、怖いエピソードや背景がある絵ばかりではないので、どうにも違和感があった。
初手の絵から怖さはないので。
原題の方が断然よかった。
先生の著作には何が何でもタイトルに『怖い(絵)』を入れなきゃいけないのだろうか角川よ…… -
Posted by ブクログ
印象派の数多くの作品を豊富な図版で紹介しつつ、そこにえがかれている時代のありようについて解説をおこなっている本です。
ヨーロッパの絵画を解釈するにあたって図像学的な知識が必要となることは、現在ではひろく知られるようになりましたが、19世紀の風俗をえがいた印象派の絵画も、そこにえがかれている対象とそれらを取り巻く西洋社会の実態について知ることが欠かせません。本書は、文章による解説と図版に付された注釈によって、これらの絵画がえがかれることになった時代背景が理解できるようになっています。
著者は「あとがき」で、「なぜ日本人はこれほどまでに印象派を好むのでしょう?」という問いかけをおこない、「印象は作品が明るく、わかりやすく、心を癒し、市民階級(まさに現代の我々)の日常を肯定している、という点が大きい。何かを強く主張してこないので、疲れないのも良いのかもしれない」と述べています。これは、常識となっている印象派解釈に沿った説明といえるでしょうが、本書の解説はむしろこうした理解をくつがえすものです。
たとえば著者は、印象派の絵画にえがかれている貧富の差や女性の地位について、当時のヨーロッパ社会がかかえていた問題をわかりやすく解説します。さらに印象派がこれほどまでにひろく受け入れられるようになったのは、日本とアメリカの影響が大きいとしながらも、その受容史のなかにも権力勾配が存在していたことを明らかにし、さらに印象派の画家たちが目の前の世界をえがきとることにのみ関心を向けていて、社会に対する批判的精神を持ちあわせていなかったことも指摘されています。