【感想・ネタバレ】怖い絵のレビュー

あらすじ

残酷、非情で甘美……名画の“怖さ”をいかに味わうか。「特に伝えたかったのは、これまで恐怖と全く無縁と思われていた作品が、思いもよらない怖さを忍ばせているという驚きと知的興奮である」。絵の背景にある歴史を理解してこそ浮き彫りになる暗部。絵画の新しい楽しみ方を提案して大ヒットした「怖い絵」シリーズの原点が、満を持しての電子書籍化。ドガの『エトワール』、ラ・トゥールの『いかさま師』など全22作の隠れた魅力を堪能!

電子書籍版の絵画はすべてオールカラーで収録されています。

本書には、紙版に収録されていた以下の2点の絵は収録されておりません。
フランシス・ベーコン「ベラスケス〈教皇インノケンティウス十世像〉による習作」
岸田劉生「切通之写生」

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

どこか高尚で難解なイメージの西洋の絵画作品が、身近な恐怖や、語られることで想像できる恐怖に繋がって、とても近しい存在に感じられ
西洋絵画に興味を持つきっかけになった本です。
まず純粋に作品を見て、次に著者の解説を読み、また改めて作品を見返すと、新たな発見、知見を得れたことへの高揚感と、それにより見えてなかった怖さが浮き彫りになった事で更に増長した恐怖感。とても癖になります。

特に作品16「老婆の肖像」が、ただ作品を見ただけでは感じ取れなかった、もしくは感じても具体的に言語化できなかった怖さを最も強く感じました。

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2025年05月31日

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 著者の美術の知識量はもちろん、素人にもわかりやすく説明できる語彙力と文章力が素晴らしい。一見しただけでは特に何とも思わないが、時代背景や画家の意図を説明されるとじわじわと恐怖が押し寄せ、落ち着かない気分になる。やはり写真ではなく本物を観賞した時の恐怖を体感したい。ドガの『エトワール、または舞台の踊り子』なんて、本書を読むまで華やかで素敵な絵としか思っていなかったのに。説明がなくともゴヤやベーコンなどは一目見ただけで恐ろしさが伝わる。シリーズはもちろん、怖くないものも著者の解説を是非読みたい。

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2024年09月25日

Posted by ブクログ

画家それぞれの生い立ち、絵を描く前とその後まで知れたりしたこと、読後の満足度が高かったです。
でも長々と語っているのではなく、全22作を短編集みたいなイメージで語っている本でした。
難しい専門用語は全然なく、作品や画家に対して
どストレートで分かりやすい表現で書き記していた点が良かった。退屈もせず、楽しく読めました。

見てすぐ分かるホラーのような怖さ、
パッと見は可愛らしい絵だったり平穏な絵と思っていたら実は怖い意味があったり、と
気づいた怖さにも色々あったりたくさん学べる本です。

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2024年06月30日

Posted by ブクログ

いろいろな観点から「怖い」と感じる絵画をいくつも紹介しています。概ねヨーロッパのもので世界史に詳しくない私にはあまりピンとこないものばかりでしたが、それでもそれぞれの絵から迫力とエネルギーが感じられ途中から「次はどんな絵なのだろう」とビクビクワクワクしながら読み進めていました。
絵の解説も分かりやすく、絵を見ただけでは気づかない細かな点やその背景を知ることで改めてその世界観に圧倒される思いでした。
結局のところ「怖い」内容なのでハッピーな本ではありませんが、芸術的な感銘、迫力を感じられる本だと思います。

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2024年02月14日

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3回目くらい。何度読んでも面白い。
中野京子さんのわかりやすく端的な解説が大好き。絵画の楽しみ方を教えてもらった感謝すべき一冊。

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2023年01月06日

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本を読む面白さとアートの面白さを教えてくれた本。大塚美術館に行ったとき、この本に載っている怖い絵を元にしたツアーがあったけど、当日知ったのでツアーに参加できず、本を買ったらどっぷり美術館の沼にハマることになった。
大塚美術館も大変素晴らしい美術館なのでみんな四国に立ち寄ることがあれば行ってみて。

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2023年01月05日

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美術作品の持つミステリアスな雰囲気は好きだったけど、その作品にどういった時代背景があって、何を目的として描かれたのか?という深い所までは考えたことなかったのでものすごく興味深い作品だった^ᴗ ̫ ᴗ^♡倫理の授業で習ったこともちらほら出てきて、そのたびに「ふふふこれ知ってる〜!」と興奮

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2025年12月07日

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名画の怖さに注目して楽しく紹介。中にはちょっとこじつけの「怖さ」もあるけど、語りの面白さにそれもご愛嬌。

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2025年09月29日

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美術館は好きだけれど、絵の背景やさまざまな解釈について深く考えたことはなかった。
感覚的に一目で恐ろしく感じるものもあれば、説明を読んでゾワっとするものもあり、後者の方が恐ろしく感じた。
本や映画では自分なりの解釈や感想を持つようにしていたけど、たった1枚の絵から色々と読み解くことは情報量が少ない分さらに難しいと感じた。それでも今後はもっと絵の背景を知ったり、絵の隅々まで見て自分なりの解釈を持ちたいと思った。

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2025年09月23日

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描き手の悪意をひりひり感じさせる絵。
憎悪を隠さず、悪意に歪んだ目にうつったそのままを、現実をありのままに切り取ったかに見えるように描いた絵。

絵が描かれた時代背景から描いた画家の心情も読み取ることで、みるからに怖い絵がゾッとするほど怖くなります。

20点の名画の中で私が一番怖かったのは、ホルバイン「ヘンリー八世像」

ホルバインの天才的な筆力で、肖像画が気にいってもらえて良かったです。
6人の妻のうち2人を断頭台へ送ったヘンリー八世は肖像画が気に入らなければ、宮廷画家ホルバインを間違いなく処刑したと思います。
ヘンリー八世の目が怖くて直視できないです。

他の作品も絵画という形でしかうったえることができなかった時代背景のある作品はやはり凄みのある怖さです。

暑い夏に「怖い絵」はいかがですか?
私は肖像画が少し怖くなりました。

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2025年07月11日

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●取っ手のない玄関扉。人を拒む建物。かつてそこで起きた悲劇。内部に死を抱えたまま海に沈んでいく。●38歳のかつての王妃。刑が確定し一夜にして白髪になる。動物死体運搬用の荷車で後ろ手を縛られ大きく市中を引き回される●部屋の中央でうずくまる男がふたり。身を崩れかけている若者。抱き寄せる老人が左手で噴き出る血を止めようとする。傍らに長杖が横たわっている。…恐さの源、それは死。肉体の死、精神の死である「狂気」。抗いたいが、垣間見たい。皮肉にも死の恐怖は楽しみにもなる。見て感じ、知って味わい、生きてる実感を得る。

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2025年05月04日

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中野氏の提示する読み解き方を知って、印象が変わった作品多数。まさに「絵画の新しい楽しみ方を提案する」という謳い文句通りで、読んでいて楽しかった。
特に印象的だったのはドガの『エトワール、または舞台の踊り子』の解釈。
ドガの美しい絵の何がどう怖いのか?この部分を読むためだけにでも本書を買う価値あり。
文庫サイズの悲しさで掲載作品が小さいことだけが難点。

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2025年03月23日

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絵画作成当時どんな時代だったのかという歴史的背景から絵を鑑賞しており面白かった。解説を読むと絵の見方が変わる。大変良かった。

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2025年02月03日

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一見怖い絵と言われてピンとこない作品であっても、それぞれに解説を読んでいくと深い意味が隠されていることが分かった。画家が生きる当時の時代、政治的背景や育った環境などが大きく影響を受けていることを感じた。美術館に行った時ただ眺めるのではなく、絵を描いた今を考えて見てみたいと思う。

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

西洋美術について興味はあるものの知識は殆どないので、良い刺激になった。踊り子などは私でも知っている超有名な絵だが、この画面は劇場のどの座席からみたステージか、後ろの黒いスーツの男は何者か?などの推察が面白かった。
中にはこじつけというか、人の嫌な面を見ようとすれば誰でもそう思うだろうという、その絵としての説明から離れすぎた部分も感じられた。
しかし、紹介される絵の数も多く、超有名どころだけではないところに好感が持て、総じて絵画への興味が増した。

“怖い絵“というタイトルは本当は恐ろしいグリム童話のような印象だったが、本書はもっと現実的な人間の嫌な面を取り上げている。
怖い絵というからには、もっとホラーやグロテスクを期待してしまう。
我が子を喰らうサトゥルヌス、ベラスケスによる習作、ホロフェルネスの首を斬るユーディト、の3作などは見るからにグロテスクで印象通りだったが、確かにこうゆう絵ばかりが続くのも疲れるかもしれない。が、見たい笑

文庫本の構成上、難しいのかもしれない(絵がカラーであるだけ有難いのかもしれない)が、絵の後に解説ページが続くので、絵のこの部分は〜と言われる度にページを戻って確認しなければいけない手間が少し煩わしかった。

西洋絵画に興味を持つきっかけとして、良い本だと思った。

本作では、老婆の肖像が一番印象に残った。

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2024年07月01日

Posted by ブクログ

怖いの基準は人それぞれ違うから、私にとっての怖いと著者にとっての怖いは違うなと感じた。ただ共感する部分もあったし、ヘンリー8世の肖像画は怖いねってなった笑
結局人間が1番怖いな、、って世界史とか歴史を学ぶと感じる。

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2023年10月20日

Posted by ブクログ

再読。文庫ゆえ絵が小さいのが難点。ともかく怖さには、描かれた絵からわかるものもあれば、その背景の怖さにあって、同時代に生きていない私たちに分かりにくいものがあり、ナビゲーターの中野さんに案内されて理解を深め、面白さを伝えられる。今回の再読では、怒りに囚われて予期せぬ事態を生み出す意味で、ルドンの「キュクロプス」と、レービンの「イワン雷帝とその息子」には、近しいものを感じた

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2023年08月20日

Posted by ブクログ

以下はメモ。この本の内容をもって観覧したい絵画

ラ・トゥールのいかさま師
ティントレットの受胎告知
ブロンツィーノの愛の寓意
ボッティチェリのナスタジオ・デリ・オネスティの物語

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2023年07月04日

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様々な年代の絵画について、その描かれた背景・思想・作者の環境などについて解説された本作。
中でも人々の恐怖・畏怖・不安・猜疑心・悔恨などなど、“怖い”と感じる絵画を軸に解説がなされる。
絵画や芸術は中世時代に爆発的に発展を遂げたが、その成り立ちを考えると、そこには当時の宗教観や文化そのものを反映していると言っても過言ではない。
一枚の絵の中に無数にちりばめられたモチーフや構図、その一つ一つに込められた意味やその背景を知ることで、今まで見えていた世界がさらに広がりを持つことになる。
本作は、そういった芸術鑑賞の醍醐味を味わえ、さらに本物の作品を見てみたいと思わせてくれる図書となっている。
一般教養としてお勧めの図書。

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2023年06月01日

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取り上げている絵の数は多くないが、個々の絵が描かれた時代背景、使われている技法、作家の生涯を丁寧に説明している。
含まれている情報量が多いので下手をすれば簡素な説明本になりそうなところを、著者の巧みな筆力によってミステリー小説のような臨場感ある一冊に仕上げている。

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2023年03月07日

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単行本の刊行直後に手に取り、美術の世界に引きずり込まれました。以来、静かに広く深く語られる名画の中の物語に魅了され続けています。中野先生のご専門はドイツ文学。絵画と文学の融合を感じさせるシリーズです。
コツコツと展覧会巡りを続け、紹介されている作品にも、だいぶ出逢うことができました V
(記念講演会にも行ったので、中野先生にも逢えた V)

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2023年02月18日

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新書の「『怖い絵』で人間を読む」を最初に読んだので、こちらの方が内容が薄い気がした。
人によって好みが分かれるし、こちらを先に読んでも面白くて満足できるとは思います。
ボッティチェリの「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」は、興味深く見ました。現代人の視点からすると酷い話だけど。つくづく昔の女性は大変だ・・・。

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2023年01月29日

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ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』…etc。ここに取り上げられている20点の絵画。絵の中にこめられた凄惨・残酷・非情・無惨、そして甘美を味わって頂ければ…。





ビジネス書ばかり読んでいるとついこういうものを読みたくなって手にとって読んでいました。前にNHKでこの本がテレビ番組化されたものを一度だけ見たことがありますが、本格的に筆者の著作を読んだのはこれが初めてになります。

ここで紹介されているのは誰でも知っているような名画が実はこんな恐るべき意味を含んだものであることを紹介するというコンセプトで執筆されたもので、ムンク『思春期』やティントレット『受胎告知』などの一見『何でこの絵が!?』というものから『黒い絵』で知られる一連の連作で知られるゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』などの『言わずもがな』という作品まで20点の絵が紹介されておりまして、絵の中にこめられている人間、もしくは神々の中にある『ダークサイド』に見事なまでに光を当ててあって、1ページ1ページをめくりながら、底知れぬ怖さを持ってしまいました。

例えばブロンツィーノの描く『愛の寓意』という絵は中央で唇を交わす男女が実は…。であったり、さらに女性側の唇を見てみるといわゆる『オトナのチッス』だったりと後から考えると恐ろしいものがあったり、ブリューゲルの『絞首台の上のかささぎ』は一見、のどかな田園風景の中にこめられている濃密なまでの『死』のイメージなどここまでのことが描かれているのかと。

さらには宮廷画家のダヴィッドがスケッチした『マリー・アントワネット最後の肖像』にいたっては作者のこめた『悪意』など、詳細に解説されてあって、非常に楽しく読むことが出来ました。いい刺激になったと思います。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

描かれた小物の解説や時代背景が書かれているから、はーなるほど!と読めた
絨毯や壁紙すらも身分を現す小道具なのね

我が子を喰らうサトゥルヌスやイワン雷帝とその息子のインパクトが強い

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

タイトルから、ホラー的な怖さを想像して読んだら、政治的だったり、作者の人生を知る事で怖い印象がより怖くなるという、感情に訴えた話だった。
表面的にしか絵画を見てなかった事に気付かされたが、絵画を正確に鑑賞するという事がいかに難しいか痛感した。
私は、何も知らないママ、感性でみるのも良いと思っている。

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2024年08月26日

Posted by ブクログ

絵画の話で盛り上がった同僚に借りた本です。

「怖い」絵と言ってしまうと感じ方は人によるので言い過ぎな気もしますが。

絵よりもすぐに気に入らない人を死刑にする時代が怖いです。あと、ギリシャ神話。神様が気に入った子をすぐ誘拐。

一見、写実的で柔らかな絵画もよく考えると不自然という箇所がよく分かりました。

惜しいのは見開きの絵の綴じられてる箇所が見にくい!コストかかりそうですが、絵の左端を綴じてくれたらなぁと思いました。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

色々な視点からの「怖さ」があって面白かった。
人間のおぞましさが絵画でどのように表現されているのかを知れた。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

先日読んだ「フェルメールとオランダ黄金時代」を本屋で探してたら、それは見つからなかったんだけど、こちらを見つけたので購入。

表紙のインパクトがいい。
大きめシルプル明朝体フォントの赤字タイトルとマッチしてて、なんか得体の知れない怖さを感じる。

22の西洋絵画とその描かれた背景、画家の情報を、わかりやすく、時にドラマチックに教えてくれる絵画鑑賞の入門書みたいな本。
怖い、というのは直接的に怖い、というだけでなく、それが描かれた背景や画家の心理を探るうちに見えて来る怖さ、というのも含んでいる。

私が1番印象の残ったのは6作品目のブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
たぶんこれを美術館で観ても素通りしちゃいそうだな、と…それぐらい、不穏なタイトル以外にはあまりわたしの目を惹く要素はないんだけど、これが描かれた時代、一見楽しそうにパレードする人々、絞首台、そしてヨーロッパにおけるかささぎの意味など、効果的に開示される情報によって、わたしにとっても忘れられない「怖い絵」になった。

ほかの21作品もそれぞれに見応え、読み応えがあり、西洋絵画の沼が手招きしてくる一冊。
シリーズ本みたいなので、またしても読みたい本に出会う楽しみが増えた。

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2023年07月24日

Posted by ブクログ

新しい章になるたびに「なんでこんな怖い絵ばっかり」と思ったけど、これ怖い絵だった。
題材の絵のほかにもいろいろ紹介されてて、その度に調べてたら時間がかかった(笑
絵の説明もすごく細かくて、そういう風に見れなかったので勉強になった。

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

展覧会に足を運ぶのは好きだが、1枚の絵に対してこんなに時間をかけて観たのは初めてだ。
どの作品も背景知識を知ってから観ると違った印象を持てて面白かった。
2017年の「怖い絵展」には行ったが数枚しか記憶にないので、先に本を知っていたらよかったとつくづく思う。
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「特に伝えたかったのは、これまで恐怖と全く無縁と思われていた作品が、思いもよらない怖さを忍ばせているという驚きと知的興奮である」。絵の背景にある歴史を理解してこそ浮き彫りになる暗部。絵画の新しい楽しみ方を提案して大ヒットした「怖い絵」シリーズの原点が、満を持しての文庫化。ドガの『エトワール』、ラ・トゥールの『いかさま師』など全22作の魅力。

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2025年04月14日

匿名

購入済み

電子書籍には不向き

良著ですが、電子版には掲載されてない絵があります。
また、解説を読みながら絵を見返しにくいので、電子版ではなく紙の本を購入するのをオススメします。
紙の本だったら星5つです

#タメになる #ダーク

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2023年08月23日

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