中野京子のレビュー一覧
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シェイクスピア「ヘンリー8世」がアン・ブーリンの処刑まで描かれていなかったので、オカルト好きの血が騒ぎ、「ブーリン家の姉妹」「エリザベス ゴールデン・エイジ」を見た後、本書を読む。
多くの人を幽閉・処刑したロンドン塔には自分の首を持ったアン・ブーリンが出るという・・・
現在でも彼女の処刑の日を再現した寸劇が行われているらしい。
最も印象に残るのは、表紙にもなっているレディ・ジェーンの絵。時代と政略に翻弄され、わずか9日間・17歳で処刑された。無実の罪で斬首される彼女を純白のドレスと傍で嘆き悲しむ侍女、処刑台への介助をする司祭、目を伏せる処刑人とその悲劇を効果的に表現している。
本書にあるように周辺国との政略婚・近親婚の歴史を鑑みると、ヨーロッパがアジアと比較して共同体意識が醸成されやすいというのも納得。
上野にプラド美術館展を見に行ったとき、ベラスケスの本物(フェリペ4世)を見ましたが、やはりハプスブルグ家のアゴは必見ですね -
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読書録「残酷な王と悲しみの王妃」3
著者 中野京子
出版 集英社
p38より引用
“ これまでのいきさつ上、死んだ息子の嫁
をカトリーヌが優遇するなどありえなかった。
メアリーがもう少し知恵を働かせ、姑に対し
て慎重な言動をとっていれば状況は違ってい
たかもしれないが、今となっては「子なきは
去る」しか道はない。”
目次より抜粋引用
“メアリー・スチュアート
マルガリータ・テレサ
イワン雷帝の七人の妃
ゾフィア・ドロテア
アン・ブーリン”
独文学・欧州史に明るい著者による、ヨー
ロッパの五人の王と王妃を巡る逸話を取り上
げた一冊。同社刊行作文庫版。
政敵との覇権争いをした者から夫のでたら
めさに振り回された者まで、肖像画とともに
ダイナミックなエピソードが記されています。
上記の引用は、メアリー・スチュアートと
カトリーヌ・ド・メディシスの関係がひっく
り返ったことを記した項での一節。
王妃として我が世の春を謳歌して、姑にも悪
い態度で接していたところ、夫が死に宮廷に
居場所がなくなったそうです。人生はいつ何
時逆転してしまうか、誰にも分からないもの
なのかもしれません。
自分の息子を殴り殺したり、自分の妻を斬
首にしたりと、ロクなやつがいません。しか
し、現代のニュースを見ていても、同じよう
な事件が後を絶たないのを見るに、人は思っ
た程進歩していないのではないかと感じてし
まいます。自分がそうならないためにも、歴
史を学ぶことには意義があるのではないでしょ
うか。
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第1章 古典のなかの美しいひと
プロセルピィナーロセッティ
アポロンとマルシュアスーペルジーノ
ユーディットと侍女ーアルテミジア
小椅子の聖女ーラファエロ
マグダラのマリアークリヴェッリ
スザンナと長老たちーファーブル
麗しのロジーヌーヴィールツ
第2章 憧れの貴人たち
侯爵夫人ブリジータ・スピノラ=ドーリアールーベンス
デヴォンシャー侯爵夫人ートマス・ゲインズバラ
狩りのディアナーフォンテーヌブロー派
自画像ーヴァン・ダイク
ゾフィ大公妃ーシュティーラー
醜い公爵夫人―マサイス
第3章 才能と容姿に恵まれた芸術家
シャネルーマリー・ローランサン
凸面鏡の自画像ーバルミジャニーノ
バイロンートーマス・フィリップス
リストーアンリ・レーマン
サラ・ベルナールーミュシャ
自画像ータマラ・ド・レンピッカ
第4章 創造意欲をかきたてたミューズ
商人の妻のティータイムークストーディエフ
ブージヴァルのダンスールノワール
モンテスキュー伯爵ーボルディーニ
夢ーパブロ・ピカソ
忘れえぬ女(ひと)-クラムスコイ
あとがき -
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序章
第1部 テューダー家
第1章 ハンス・ホルバイン『大使たち』
第2章 アントニス・モス『メアリ一世像』
第3章 アイザック・オリヴァー『エリザベス一世の虹の肖像画』
第2部 ステュアート家
第4章 ジョン・ギルバート『ジェイムズ王の前のガイ・フォークス』
第5章 ポール・ドラローシュ『チャールズ一世の遺体を見るクロムウェル』
第6章 ジョン・マイケル・ライト『チャールズ二世』
第3部 ハノーヴァー家
第7章 ウィリアム・ホガース『南海泡沫事件』
第8章 ウィリアム・ビーチ―『ジョージ三世』
第9章 ウィリアム・ターナー『奴隷船』
第10章 フランツ・ヴィンターハルター『ヴィクトリアの家族』
第11章 フランツ・ヴィンターハルター『エドワード王子』
第12章 ジョン・ラヴェリ『バッキンガム宮殿のロイヤルファミリー』
あとがき
年表(本書に関連した事項のみ)
主要参考文献 -
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"「『怖い絵』の中野京子先生に、絵画に出てくる奇妙な生き物について色々聞く、という本はどうだろう?タイトルは『怖いへんないきものの絵』とかで!」
私はそのアイデアを、懇意にしている編集者に話した。しかしそれは八割型、冗談であった。中野京子先生のような方が、こんな企画に乗ってくれるわけもないし、私なぞ相手にしてくれるわけもない。
だが、編集者は私の冗談話を真面目に受け取り、社に戻ると、こともあろうに本当に中の先生にご連絡さしあげてしまったのだ。何ということをするんだ君は。"[p.03_はじめに]
へんないきものの出てくる怖い絵に対する対談集。
「トカゲに噛まれた少年」にまつわる考察は素直に面白かった。 -
Posted by ブクログ
キリスト教編を読んだらギリシャ神話の方も気になってしまったので、続けて読んだ、中野京子さんの名画の謎。
ギリシャ神話はもはや神話というよりかなり人間味を帯びたお話ばかり。
いくつか面白かったものを。
いろんなものに姿を変え、想いを遂げるゼウス…もはや何者だと現代人は思うけれど、そんなゼウスだからこそ、名画に取り上げられるシーンとして官能的で美しかったりする。レンブラントのダナエは本当に美しい。こちらまではっと思わされてしまう表情と仕草。一方のクリムトのダナエも表現こそ違えど、こちらも圧倒される。
表紙のピグマリオンとガラテア。写真かと思うほどんい美しいが、不気味でもある。男性の夢…自分で作ったものを愛すーーそしてそれは子孫へも繋がる。なんともいえない不気味さはそこにあるのだ、きっと。
ジョバンニ作のヒュアキントスの死も面白い。
テニス愛好家の伯爵が、ヒュアキントスの死の原因をテニスにしてしまったのだから。絵がいかに当時の娯楽であったことがわかるエピソードだ。
ペルセポネの帰還も絵としてとても美しい。がこれは神話が興味深い。デメテルの執着が異常だったのではという考え方だ。確かにざくろという冥界の食べ物まで食べたペルセポネが冥界の王ハデスを愛していなかったのか?ゼウスたち神々はなぜ黙っていたのか?おんぶおばけのような母親と、それに従ってしまう一卵性母娘の問題はおそらく昔からあったのだろうと思わせる神話だ。
面白かった部分を抜粋したが、神話の神々はほんとうにやりたい放題だ。難しく考えずに、エンターテイメントのひとつとして絵画を味わえばいいのだなと心から思えた。