あらすじ
絵画に描かれた美女が誰か、あなたは即座にわかるだろうか。
そばに薔薇があればヴィーナス。百合が添えられていればマリア。皿を捧げていればサロメ。剣を携えていればユーディト。
ちょっとした知識があれば、隠された画家からのメッセージを探りあてることができる。「見て・感じる」だけではわからない、絵を読み解く手がかりをテーマ別に解説。
この本を読めば、鑑賞体験はもっと豊かなものになる。図版120点収録。
(本文より)
印象派が登場する前までは絵にも意味があり、読み解くための「絵の言語」があった。(中略)絵独自の言語を読むことで、人々は画面に見えているものだけではなく、その奥に隠された画家からのメッセージを探りあてた。日本人には西洋的思考を完全に理解するのは難しいが、シンボルのいくつかを覚えておくだけでも、絵画鑑賞はぐんと楽しくなるに違いない。
■目次■
【「植物」の章 】薔薇/百合/リンゴ/月桂樹/イトスギ
【「天体・自然」の章】月/虹/川
【「動物・虫」の章】黒猫/テン/牡牛/蛇/ハエ/蝶
【「食べ物」の章】卵/蜂蜜/魚
【「相反する要素」の章】赤と青/右と左/分かれ道
【「武具」の章】剣/大鎌/矢/ハンマー
【「道具・装飾品・楽器」の章】天秤/十字架/鏡/甕/子供服/真珠/リュート/シャボン玉
【「建物」の章】窓/梯/井戸
【「技法」の章】擬人像/画中画/異時同図法/タイムスリップ
【「現象」の章】パンデミック/天を仰ぐ/運命
【「人物描写」の章】道化/三美神/聖母マリア
【「身体」の章】母乳/骸骨/髪/翼/目隠し
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
絵画は小説と違って多くの文章で物語を紡ぐことができない。だから、一枚の絵に描かれるあらゆる物、人、風景等に、様々なシンボルを重ね合わせ複合的、暗喩的な意味を含ませる。本書は西洋絵画における代表的なシンボルの意味を解説した1冊。
と言っても別に学術的に小難しく解説しているわけではなく、著者の博識に独特のセンスを織り交ぜた、真面目なんだけど時々ふざけちゃう文章がほんとに読みやすくて、絵画エッセイみたいな感じで気楽に読めます。西洋絵画初心者でも、むしろ初心者にこそ刺さる内容だと思います。
これを読めば西洋絵画の見方が一層深まります。
Posted by ブクログ
中野京子さんの絵画解説、もう何冊読んだかと言うくらい読んでいるけどまた新しい絵画との出会いでした。
この本はタイトルの通り50のタイトルと、タイトルに沿った絵画の解説。中野京子さんの解説がなければ、綺麗な絵だなぁ…で過ぎてしまうものばかり。
そこにこんなものが絵が枯れていたのか、これは男性なのか、これはそう言う意味なのか…など気付かされる。
背景とその意図すること、日本人にはその風習がなくて計り知れないものもあるが、とても深いなあと思う。
Posted by ブクログ
アトリビュート解説本として非常に面白い
絵画を交えてこの持ち物はうんたらかんたらで、、と解説することにより絵画を見る教養を自然につけてくれるような本
絵画を見て語る時には途方もない量の知識をつけないといけないと思うが、この本を読むことにより「語り」のための第一歩として進み出している!!!と思っている、知識を獲得したことが良い結果として残った
中野京子だから読みやすい!面白い!という個人的な好みから来る感想だが流石の文章力でするする流れる川のように読めてどんどん知識吸収できたような気分になった、これが全能感である
Posted by ブクログ
いやー面白かった!
“西洋絵画のお約束 50”
百合、月桂樹、黒猫、大鎌,天秤など 意味することは もう大体知っているのもあれば、白てん、黒てん、左と右、赤と青,シャボン玉、リュート、などなど 今まで目にしてきたが 何も思わず楽しんできた絵画の多かったこと!読み応えありました!
Posted by ブクログ
西洋絵画を読み解くための「絵の言語」を教えてくれる絵画エッセイ。
西洋絵画に描かれた美女。そばに薔薇が描かれているなら、その美女は女神ヴィーナス。三日月のモチーフがあればアルテミス。剣を携えるのはユーディト、皿を捧げるのはサロメ。
神々のシンボルや静物に込められた暗喩を知るのが単純に楽しいだけでなく、「見る」だけだった作品を「鑑賞」できるようになるので満足度が高い。
例えば、表紙は「壊れた甕」という作品だが、本書で絵画の文法を学べば、少女がなぜ甕を抱えているのか理解できるようになる。
美術館に行きたい!画集が欲しい!と思う一冊。
Posted by ブクログ
読み応えのあった1冊でした。
西洋画を観るのがあまり好きではなく(どことなく怖いが先に来てしまって)避けていたのですが、お約束の知識を入れると一気に面白くなりました。今すぐにでも何か西洋画を観に行きたくなります。
ゴッホについても数点触れていて、なるほど〜と思うことばかりでした。
挿絵の絵がもう少し大きいと細かいところまでみれてもっとよかったのですが、著作権とかで難しいのかな…?
今年の秋は美術史にハマりそうです。
Posted by ブクログ
西洋絵画、特に近代までの絵画には約束事があって、それを知っていれば絵の意味もわかるという本です。
絵の解釈に直結する著者の解説もあれば、単なるエッセイもあって、軽く読めるのがいいところ。
Posted by ブクログ
ムリーリョの「無原罪の御宿り」の話が
勉強になりました。
ホルバインの「大使たち」のリュートの弦や
ラファエロの「小椅子の聖母」の
ヨハネの葦の十字架を
じっくりと観てみようと思いました。
Posted by ブクログ
著者である中野京子の絵画の見方を50のワードで解説した本。西洋絵画はこれらのことがわからないと、ただ単に配色が綺麗だとか、構図が素晴らしいとか、感覚で捉えるしかない。この本には多くの西洋絵画がカラーで紹介されており、この1冊で西洋絵画通になれる。美術館に行く前には必読の本。
Posted by ブクログ
絵画を見るのが好きで美術館に寄ることもしばしばあるのですが、ただ自分の感性で絵を見ていても「よくわからない」と思うことが多くありました。本書を手に取って、様々な絵のお約束(絵画の言語)を数多く知ることができ、今度美術館に行くときの楽しみが増えました。図版が多く示されているだけでなく現代の様々な事例と比べながら説明しているので、とてもわかりやすかったです。
Posted by ブクログ
まず、殆どが右ページが説明で左が絵画というレイアウトなので、分かりやすく読みやすい。
文体も小難しくなくとっつきやすい。フルカラーでキレイだし。
前半は「これが描かれていたら何を表す」みたいなのが多く特に分かりやすく面白かったかった。
しかし、最後の方は何となく難しく、そして面白みが減っていった。それもなんか暗い感じの項目で終わったので読後感が良くないというか。
途中までなら★5。最後の方でマイナス。
Posted by ブクログ
「植物」の章
「天体・自然」の章
「動物・虫」の章
「食べ物」の章
「相反する要素」の章
「武具」の章
「道具・装飾品・楽器」の章
「建物」の章
「技法」の章
「現象」の章
「人物描写」の章
「身体」の章
あとがき
Posted by ブクログ
最近は、同じ作品を異口同音に評す様な作品が多かったが、今作は西洋絵画の決まり事、つまり文章における文法を、12の章で表している。
絵画の中の植物、動物、道具など。漠然と絵画鑑賞をするも良し、絵画に隠された文法を見つけて納得するも良し。歴史や時代背景なども含めて読んで良かった一冊だった。
Posted by ブクログ
書店で見つけて、ふっと手に取ってしまいました。
恥ずかしながら絵画については何も知らず、自分にとって未知の分野であるところに魅かれました。
この本には、絵画のお約束が絵付きで説明されています。その絵の描かれているものの意味や読み解き方など、筆者の言う「絵画の文法」に触れることができます。
異時同図法という表現技法があるなんて、全く知りませんでした…。
ただ5秒だけ見て解説を読むよりも、色々な技法や文法・背景を知っている方が絵画もより楽しめるというもの。
この本にあるのはその触りの部分だけではありますが、非常に興味深く読むことができました。今後美術館などに行く機会があれば、新しい絵画を鑑賞する前に、もう一度読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
年2回毛が抜け替わるテン。白の時は貞淑を示すが、黒になると娼婦と共に描かれる。赤と青の使いわけ。受難と神の愛を現す赤、天上の真実と永遠を示す青。物の配置にもわけがある。よきものは右、左はろくでもないものと極端に意味づけされる。リンゴはエロスと結びつき、月桂樹は勝利や名声のシンボルになり、流れる川は時や人生に喩えられる…未知の外国語を示されて、感覚だけで意味を解釈するなどできない。文章に文法があるように、絵にも約束事がある。見た目の印象だけで鑑賞してはいけない。感性を発揮するのは、意味を読み解いた後でよい。
Posted by ブクログ
西洋絵画に描かれているモチーフの解説書。
動植物やアクセサリー、武具、ポーズなどを駆使し、画家が作品の意味や狙いをどのように表現しようとしているかを学べた。
本書を片手に美術館に入れば、絵画鑑賞がもっと楽しくなりそうだ。
Posted by ブクログ
アトリビュートの話ばかりかと思っていたら、異時同図法などの手法の話もあって、より興味深かった。
中野先生の著作ではお馴染みの絵画や(この本で言うところの)「絵の言語」いわゆる決まりごとやお約束を一挙に読めて学べるのは有意義だった。
復習でもあり、予習でもあり。
西洋絵画の展覧会を見に行く前に読めば、その絵の解像度がぐんっと上がると思う。
この一冊で50も紹介されているので覚えるのはなかなか骨が折れそうだが。
50もありながら、どの話も見開き2ページ以内で使用された絵も多く、先生の小気味いい語り口調で今回も非常に読みやすかった。
先生の書かれるツッコミもまた楽しいのだ。
取り敢えず、自分は画中画に注目して見る癖をつけようと思った。
背景の絵、ただの背景の一部としてスルーしがちなので。
無駄なものは絵の中にないの精神で見ます。
Posted by ブクログ
中野京子さんの本をいくつか読んでいます。それまでは美術に全く興味がなく…ピカソやゴッホなと両手に数えるほどの画家さんしか知らない状態でした。中野京子さんのお陰で、西洋画に興味を持つきっかけを貰いました。知識0でも、本の半分が絵で、簡単な説明のみなので読みやすいと思います。絵画を観て、綺麗だなあ、上手だなあと感じるのに加えて、中に込められているメッセージや意味が分かると幅が広がり、より面白く感じます。この本の内容はごく一部、初歩的な部分だけだと思うので、絵画をより深く知りたいと思えるような本でした。
Posted by ブクログ
西洋絵画にはお約束ごとがあるのを知ったのは、美術の授業ではなく、中野さんの本を読み始めたからだ。知らないよりは知っていた方が、絵画を観る世界が広がると思う。この本は、そんなお約束ごとをそれなりにまとめて書いてくれている格好の本だと思う。残念なのは、新書だから仕方ないけど、絵が小さいこと。この本を片手に画集を見るのが良いかな〜
Posted by ブクログ
「お約束」が学べて勉強になる。でも多分すぐ忘れると思うけれど。西洋だと(日本でもかもしれないけれど)こういうのが「教養」ってことになるんだろうなあと思う。
Posted by ブクログ
アトリビュートを含めたシンボルと、技法についても少し触れたフルカラーの一冊。
もともとは連載ものだったこともあり紹介文もシンプルで、フルカラーで該当シンボルが使われている絵画も載せてくれているのでわかりやすい。
アトリビュートはその人物を表すものなので良いのだが、シンボルは本当に多面性があり、絵画の文脈の中から読み解くのは中々に難しい。
だが一つでも意味を知っているだけでも何も知らないより絵画は楽しめる。そのためのガイドとして良さそうだ。
Posted by ブクログ
タイトル通り、西洋絵画のお約束について解説したくれているもの。「百合は純潔」「蛇は知識や邪悪」などの、よく知られているものの他に、果物や花、女神、皿の有無など、いろいろなメッセージが込められている。確かに、これらを押さえておくことで、絵画鑑賞がずっと楽しくなりそう。
Posted by ブクログ
目次
【「植物」の章 】薔薇/百合/リンゴ/月桂樹/イトスギ
【「天体・自然」の章】月/虹/川
【「動物・虫」の章】黒猫/テン/牡牛/蛇/ハエ/蝶
【「食べ物」の章】卵/蜂蜜/魚
【「相反する要素」の章】赤と青/右と左/分かれ道
【「武具」の章】剣/大鎌/矢/ハンマー
【「道具・装飾品・楽器」の章】天秤/十字架/鏡/甕/子供服/真珠/リュート/シャボン玉
【「建物」の章】窓/梯/井戸
【「技法」の章】擬人像/画中画/異時同図法/タイムスリップ
【「現象」の章】パンデミック/天を仰ぐ/運命
【「人物描写」の章】道化/三美神/聖母マリア
【「身体」の章】母乳/骸骨/髪/翼/目隠し
知識があったほうが楽しいと思うのだが、なかなか覚えられない。