【感想・ネタバレ】展覧会の「怖い絵」のレビュー

あらすじ

美女の口元から垂れた生贄の血が、点々と羽毛に染みを作る『飽食のセイレーン』──作品に込められた重要なダブル・イメージとは? その酒を飲めば豚に変えられてしまう『オデュッセウスへ杯を差し出すキルケ―』──妖艶な魔女の背景に描かれた、数々のアイテムが示す意味とは? 入場者数68万人超、最長3時間半待ちの大行列。美術史に残る大ヒットとなった「怖い絵」展を監修者の著者が解説。リアルに匹敵する、永久保存版「読む」展覧会!

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Posted by ブクログ

西洋絵画の解説というと、文化的にも時代的にも高尚で難解なものという印象を受けてしまい手を出しにくいのですが、この本での書かれ方は遠慮が無く、使われる言葉も現代的というか世俗的というか、そういった部分がとても分かりやすい上、面白くてぐんぐん詠み進められてしまいます。
あと巻末の、展覧会の舞台裏について当事者目線で書かれたおまけもとても興味深く面白い内容でした。

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2024年12月29日

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中野京子はよ〜!絵画に吸引力をつける文章書くんだよなあ!!読ませる文章でさあ!!!絵画に詳しくなりてえよ!って気分にさせるのが上手いんだよなあ…

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2024年08月22日

Posted by ブクログ

中野京子さんの絵画解説はとても面白い。
展覧会でもガイドがあるとより楽しめるようになって世の中進化したなと思うが、通り過ぎてしまう細かな部分の因果関係まで解き明かし推理小説のよう。

絵画が素晴らしいのは最もだけど中野京子さんの解説でより掘り下げられ成る程と思うものだ。
アンニュイについての表現があり、欧米の言語と日本語のニュアンスの違いを感じた。

この本は特に怖い絵を取り上げているが、中野京子シリーズはどれも読み応えありです。

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2022年05月22日

Posted by ブクログ

件の「怖い絵」展は実際に観に行ったし、あの重くて分厚い図録も買って帰った組だが、新たな発見も多い一冊だった。
こうして改めて展覧会後の反応等を交えて絵を振り返る、この楽しさと興奮よ。
当時本物の絵を間近にした時の感動を追体験しつつ、更なる解説に興奮しっぱなしという。
(図録の解説は中野先生ばかりではなかったこともあって)
先生がTwitterの反応をかなり気にしておられたのと、その反応を受けての解説文にもなっていたのが、特に面白かった。
まさに新感覚の、今の時代の展示だと思ったので。

巻末には「怖い絵」展の裏側を知れるエッセイも。
別のところでも読んだが、改めて数々の縁と奇跡でもって開催された凄い展覧会だったのだなと感謝しきりである。

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2022年05月05日

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絵はそれだけでも力を持つものだけれど、パッと見ただけではわからない絵画は、どんな解説を読むかでも魅力度が変わってきますよね。
中野京子さんが語る絵画の時代背景や注目ポイントはわかりやすく、面白い。そして通常の説明より文学的な表現で、私は好きです。

あと、「怖い絵」展開催までの裏話も面白かった。上野での「怖い絵」展、すごく混雑しているというニュースは見たけれど、開催するまでは不安が大きかったんだなぁ。

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2025年06月27日

Posted by ブクログ

怖い絵シリーズ4冊目。これまた面白かったです。今回は展覧会のー ということで2017年に神戸と東京で開催された「怖い絵」展にて展示された作品がピックアップされています。
いつも文庫のちっちゃな絵でしか見ていない作品を実際に見られる機会があったなんて…!レディジェーングレイの処刑の大きな作品もあったとか。見てみたかった。
巻末では展示開催までの過程が綴られていて、興味深かったです。もっと詳しく聞いてみたい。

20250422

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2025年04月25日

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中野氏の絵画の解説は面白く為になる。鑑賞には知らなくても良いかもしれないが、知る事によってより深く味わう事が出来る。第一章の「モッサ」の作品は初めて。これがいまから120年まえの作品とは驚いた。

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2022年11月29日

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原著はもとより、展覧会自体も幸いにして観に行けたので結構懐かしい気分に。覚えていないのもちらほらあるなぁ。
表紙のモッサは大出世じゃなかろうか。確かに滅茶苦茶インパクトがあった。その分、あまり作品が残されてないのが残念だったけど。
あとがきに等しい、「怖い絵展のできるまで」も面白い。結果的に大成功だったとはいえ、現場では「際物」扱いだったとは。開催にこぎつけた皆様方に感謝するばかりだ。

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2022年04月25日

Posted by ブクログ

2019年11月刊行『もっと知りたい「怖い絵」展』(KADOKAWA 刊行の単行本)の文庫版。単行本を読んだのは2年前。覚えているが、濃淡はある。「切り裂きジャックの寝室」は強烈な印象で残っている。当人がいないところが恐怖を増す。画家も有力容疑者。視点にいるのが本人なのか。殺されたのは売春婦たち。ウォータールー橋から身を投げるのも娼婦たち。「発見された溺死者」も覚えている。落ちるところまで落ち、追い詰められ至った姿。それは美しくなければならない。落ちる瞬間、切り裂かれる瞬間、何を思ったろう。

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2022年04月20日

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モッサ「彼女」と「飽食のセイレーン」が凄い。月並みな感想だけど、100年前にこんな絵画があったとは。

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2022年03月14日

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詳しい解説を読みながら想像して物語をたどる「絵の小説」のようだった。知れば知るほど奇妙に思えて、本当に怖い絵だった。神話、伝説、風刺画、史実など宗教と同じくらい重要なくらい絵画のテーマとなることなど知れた。東洋と西洋との絵画の価値の違い、当時の西洋での真の価値は「人間のドラマ」の表現だと知るとこの怖さもなんだか納得もしてしまう。一番興味深かったのは神話の「オイディプス」、精神分析のフロイトが唱えた「オイディプス(エディプス)・コンプレックス」はこれなのだと知れました。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

表紙の絵は、モッサ『飽食のセイレーン』。怖いといえば怖いが、パッと見は迫力があるモンスターのイラストみたい。その他の絵画も「パッと見」の印象では怖さを味わえない。それを深く知って理解した時にゾッとする。つまり、絵画の背後にある物語を知らなければその世界に踏み込めない。

この状態というのが、私には「ラーメンを食べているのではなく、情報を食べているんだ」(byラーメン発見伝、読んだことない)を表している気がして…。つまり、絵画も結局は「誰が書いた」「何を書いた」「この絵にはこんな経緯があって…」という解説があって、はじめて怖さという感情が付与される。もちろんパッと見でこえーよーという絵画もあるが、大体はそうだろう。

この解説が見事なのが中野京子。本書は「怖い絵」展の展示作品を中心に、絵画の背後にある歴史や物語を解説した一冊なのだが、先の理由の通り、解説とセットで味わうものなのだ。

で、話はちょっと横道にそれるが、モッサに似たような絵画を最近ではAIに描かせる事ができる。その時、その絵を見て何を感じるだろうか。それはきっと中野京子の解説がない、つまり物語がないイラスト。私が最初に受けた、単なる迫力あるモンスターの印象の域を出ないのではないか、とふと思ったのだ。

AIと人間の作品の差がそこにあるんじゃないか。それは「情報を食べている」という事だが、その情報とは、作者本人、あるいはその伝道師から語られる価値。それが他者の眼差しへの同調、人間感情に届く「物語」による説得力、付加価値だ。

AIの写真みたいな絵より、被災地の子供たちの絵や閉鎖空間で育てられた信者の子供たちの絵の方が余程語りかけてくるものがあるだろう。本書はそうしたAIへの対立命題になり得る、考えさせられる本でもあった。

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2025年06月01日

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