中野京子のレビュー一覧
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ネタバレ最初のページでその絵画の一部分を見せて引き付ける、もしくは想像させてからの全体図と解釈。
いつもとはまた違った構成の美術話、大変興味深かったです。
描く作品に対する文章量は少なめながら(解説としては見開き1ページ分くらい)『モノ語り』のときほど物足りなさは感じなかったように思う。
短文に慣れたからなのか。
個人的には絵の作者名のところにも一・二文程度ながら解説があったのが大きかったと思う。
そんなところまで読ませてれるのかと。
印象的だったのはクラムスコイの『月明かりの夜』
これ中野先生のご指摘にもあったとおり、最近実際の絵を見たことがあったので、あの時の神秘的な感覚を思い出して鳥肌が立った。
見覚えのある絵が出てくるのは嬉しいものです。
「分かる分かる」の感覚がより強くなるので。
後はワッツの『希望』
この本の表紙もパンドラを描いているので、まさしくタイトル通りの「希望」に纏わる話ではあるのだが、ワッツの『希望』の凄まじさたるや。
気になった方は是非本を手に取ってご覧ください。
今回のテーマの一番の核心を突いた絵だったかもしれない。 -
Posted by ブクログ
クリムトの出自や経歴だけでなく、彼の生きた時代についても詳しく載っていて彼自身や作品についてよりくわしく知れて、より面白かった。
特にこの本の中でクリムトとは切っても切れない関係性を示すハプスブルク王朝、特にフランツ・ヨーゼフについての話がすごく印象的だった。
著者が表した「神話上の悲劇の巨人」という表現があまりに的を得ていてすごい。と同時にすごく物悲しい気持ちになった。
彼の死をきっかけに終わっていくハプスブルクの歴史の流れが切なかった。
クリムト作品といえば、金箔の輝く艶やかで特徴的な作品を思い描いていたけど、当然クリムトらしさが生まれる以前、または描き方を模索したり試作したりしてきた時期もあったわけで、そんな作品達についても知れたのが嬉しかった。
そんな中で特に好きだったのが「旧ブルク劇場の観客席」という作品。一見全くクリムトらしさの見えない作品だけど、ぐわっとくる画面の広がりに一目で心を奪われた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレゴッホやボッティチェリ等、一度は目にしたことのある名画にこんな逸話が残されていたのかと、読み進める度に知ることができて楽しい本だった。
何よりも最後の頁にあるゴッホの「花咲くアーモンドの木」の内容が良かった。
「ゴッホの短い生涯で、この絵を描いている時が、もっとも希望と喜びに満ちた幸せな時だったのだろう」という一節がとても心に刺さった。
死後に評価され、今に至るゴッホの作品だが、生前は1枚しか絵が売れず精神的な面でもとても苦しんだ話をよく目にする。
そんな中でも甥っ子が生まれた喜びを感じることのできるこの「花咲くアーモンドの木」に関する逸話を、作者のこの言葉を読むことができたことがとても良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み進めるのがとても楽しかった。聖書にまつわる知識を得られるとともに、絵画作品の鑑賞の仕方も勉強になる。
ピーテル・ブリューゲルの『バベルの塔』と『ベツレヘムの人口調査』が特に印象深い。絵にこめられた画家の意図を読み解いていく、それがこんなに面白いとは。
ジェイムズ・ティソ『十字架上のキリストが見たもの』は個人的に衝撃的だった。イエスの姿は足の先だけで、イエスが見たであろう光景が画面いっぱいに広がっていることになぜか動揺した。我々が見ているのなら、イエスもこちらを見返しているのだと気付かされる。
次はどんな作品が紹介されるのだろうとワクワクしながらの読書となった。聖書に詳しくなくても楽しめるし、知っていてもさまざまな解釈のひとつとして楽しめるのではないかと思う。