中野京子のレビュー一覧
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プロイセン王家12の物語。
プロイセンと聞いて思い出すのは、やはり鉄血宰相ビスマルク。フリードリヒ大王よりも、ビスマルクです。明治維新後の岩倉使節団との関わりもあって、日本史でも馴染み深いというのが一つ。あとは「鉄血宰相」という響き五感の素晴らしさです。
プロイセン建国から滅亡までの217年間を、名画とともに振り返ります。
ただ、ドイツでなくプロイセンというと、とんとなじみが薄くなる。ハプスブルクやフランスのような強大な国家が誕生したのが遅かったからかしら。神聖ローマ帝国というものに対する、自分の理解と知識の少なさからくるものではあると思います。
プロイセンというものに対する印象。質実剛健。このイメージを自分に決定づけたのはビスマルクで、プロイセンの歴史からすると後期だったのか。現在にも通じるイメージで、別段間違ってはいないと思うのだけど、テンプレに過ぎるかもしれない。日本=スシ・サムライ・ニンジャみたいなものかしら。
いや、サッカーで言う所の「ゲルマン魂」も質実剛健というイメージの下地があってこその異名だと思うので、日本のそれよりは実情を得ているのか。
第7章扉の『ブライデン通りのバリケード』が目を引きました。
初見ですが、モノクロ写真かと思うような筆致で描かれたバリケードと、唯一色鮮やかな黒・赤・黄のドイツ国旗。この当時は国旗ではないですが。
「三月革命」の戦闘後を描いた絵画。混乱と狂乱の革命戦闘後の、不穏をはらんだ一服の静寂が伝わってくるようです。この絵画をみれてよかった。 -
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不可思議で神秘や怪奇を含み、ゾクゾクする恐ろしさも孕んだこういう奇譚や怪談話は何故こうも惹き付けられるのか。
怖いのにページをめくる手が止まらなくなる魅力があって、この感情についても作中で触れられていて「確かにな」と深く納得できた。
なんとなく知ってるような有名どころの話でも、新たな知見や驚きがあってすごく興味深い。
そして、あらゆる事柄には必ず当時の社会情勢も深く関わっているんだなと改めて認識できた。そして作者さんの知識の広さにも驚く。
幽霊はじめ、十字路や斬られた首など、世界各国で共通するモチーフで語られる話ながらも、それぞれ国(または地域)ごとに特色ある物語たちが比較することでより面白かった。またそれらが持つ印象の違い、類似点についてもすごく興味深い。
「斬られた首」については特に、片や宗教的なもので、片や人間の執着によるものでと、全く違う印象で驚いた。そしていくら聖人といえども、首を斬られても尚歩きだす姿は普通に怖い。
あとがき後の奇譚年表を見ると、人間の業とか性について思い知らされてる感じがして、なんかしみじみしてしまった。 -
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気軽に絵と出合えてよい本。美術館に行きたいのに行けない日に読みたい。
最初に絵の一部分のクローズアップからはじまるのが、全体を想像させて面白い。
この本をみてやっぱり王家の肖像は面白いなぁと再確認。血が繋がってる人は別の画家の絵でも似てる
。プラド美術館には多くの肖像画があるようで、昔行った時には無知でちゃんと見てなかったことが残念。
肖像は本当に面白い。
あとは、わたしはどうやらこの本に2作品出てくる、ジョン・エヴァレット・ミレイの絵が好きみたい。色がきれい。
トレチャコフ美術館から一回も出たことがない、シーシキンの『松林の朝』も良かった。お菓子のパッケージになるほどのかわいさもあるし、森の絵を見てると心がスーッと楽になりそう。
最後がゴッホの『花咲くアーモンドの木』で終わるのもよい。 -
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【感想要約】
カラー図版を多用し、メディチ家の人物像と絵画を結び付けて平易に紹介する読みやすい入門書。個々の人物や制度の詳細分析は少ないため専門的知見を求める読者には物足りないかもしれないが、通史的理解には有用。図版資料としての価値もある。
【内容】
花の都フィレンツェを舞台に栄えた大富豪メディチ家の350年にわたる歴史を、それを彩った数々の名画とともに紹介している本。特にメディチ家の隆盛期はイタリア半島におけるルネサンスの最盛期だったため、どの絵画もみな華やかかつ対象人物の人間的魅力を肉感豊富に描写しており、それらからは各人物の往時が生々しく伝わってくる。また教皇を立て続けに2名も輩出した彼らはカトリック教会史、そしてルターの宗教改革にも多大な影響を与えた存在だった。
【感想】
豊富な絵画(なんと全編カラー‼︎)、魅力的な人物描写で紹介される激動の人生を歩んだ個性的なメディチ家の人々の人生。名画で読み解く本シリーズの登場人物として、芸術の都市フィレンツェを統べたメディチ家はまさに題材としてふさわしい。合間合間で挿入される興味深い小話もあり、面白くて読みやすい一冊。最後まで一気に読んでしまった。新書というよりは歴史小説を読んでいるような気持ちで気軽に読める。
また人物ではなく絵画に焦点を当てて読むと、本作内で紹介される数々の絵画の歴史的背景を自然と理解できる点が優れている。また先述のとおり全編カラーのため、絵画資料として持っておく価値もあるのかもしれない。
一方でメディチ家の350年の歴史を一気に、かつ平易に紹介するため、一人一人への記述は非常に簡素である。本来2代目のコジモの波瀾万丈な人生は、それだけで一冊の新書にしても足りないほどである。また当時のフィレンツェの政治制度や文化、カトリック協会の教皇選出の制度等に関する記述もなく、あくまでメディチ家に焦点を当てている。歴史や絵画史の新しい知見の発見を期待して読む人には、あまり向いていない本かもしれない。
それにしても、19世紀の統一以前、都市国家が並立していたイタリア史はなかなか理解しづらいものがあり敬遠していたが、いざ様々な本で読んでみるとなかなかに面白い。統一される前の方が魅力的で面白い地域だったのではとも思ってしまう。個人的にイタリア史はもう少し理解を深めたい分野である。 -
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世界に不思議な話。不思議な出来事は多い、嘘だ、ほらだ、幻だ、錯覚だ、気の迷いだという当時のおかしな出来事が今に伝わったもの。歴史的現象奇譚が伝わったもの。それはなぜ?中野さんは説く。
1ハーメルンの笛吹き男
グリムではハーメルンにやってきた男が報酬をもらう約束で鼠を川に沈めたが、
報酬をもらえなかったので130人の子供を連れ去った。
古文書に記され、今も研究中でさまざまな論考がある。
面白いのは舞踏病に集団感染して踊りながら町を出て行った、などこれはマユツバ。
子供たちは十字軍に 入ったのかとも。笛吹き男は徴兵係だったw
2マンドラゴラ
物語に登場する(ハリーポッターなど)、聖書にも記載がある植物。春咲きが雄、秋咲
きが雌といわれ、引き抜くとき抵抗して嫌な音を出す。薬にもなるが快楽効果があり
麻薬のように怪しげな使い方をされてきた。
3ジェヴォーダンの獣
取り残されたようなジェヴォーダン村の狼のような獣。スティーブンスンが旅の途中で
立ち寄ったが怯えている村人に冷たくされ、憤慨して狼寄りの記録を残したとか。
剥製がイギリスにあったが今は行方不明。
4幽霊城
イギリス人は幽霊が好き城も多いし。
5さまよえるオランダ人
オランダ船が嵐に会い怒った船長が南十字星に向かって発砲して呪われ、それからは
未来永劫海を漂うことになった。
ワーグナーは借金を逃れるのに妻と舟に乗って嵐に会い、オペラ「さまよえるオランダ人」
を書いた。
6ドッペルゲンガー
もう一人の自分に出会ったらそれは。ドッペルゲンガーがらみの話は多くて興味深い。
数々のドッペルゲンガー譚。しかし実際には、幽霊譚と比べてはるかにその数はすくない。
なぜだろう?
自分が自分を見る――その衝撃は幽霊を見るのと比べ物にならぬほど大きいからで
はないか。幽霊などよりずっとずっと怖いからではないか……。(by中野)
7ゴーレム
人の形をした泥の塊。時間の経過とともに巨大化して暴れだす。
ラビが作って魂を入れたらしい。
人造人間の元祖。
8ブロッケン山の魔女集会
山の上に日の出頃に立つと、影に太陽の光輪がかさなって霧に写る。ブロッケンの怪。
この頂で魔女が4月30日から翌日まで集会を開く「魔女の夜」もある。
あまり高くない山だが 奇譚がおおい。
9蛙の雨
空から蛙の雨が降った。降るはずのないものが降る「ファロッキーズ現象」
石川県ではおたまじゃくしが降ったことがあるそうだ。
ほかには魚,亀や小型のワニ、植物,硬貨、血。
初期の目撃はローマ時代。
江戸時代に綿糸のような物が落ちてきたという。蛙の例が多いが謎は解けていない。
10ドラキュラ
ルーマニアはドラキュラを観光資源にしているとか。トランシルバニア地方には ドラキュラの
ブラン城があるものね
ウラド3世の「串刺しの刑」は「八つ裂きの刑」と肩を並べて物語に出てくる。
刑罰はどんなものでもイタイ、コワイ。でも耐え忍んで助かった人もいるそうだが。
ブラムストーカーの夜に甦るニンニクが嫌いな「吸血鬼」にもなって。
映画ではドラキュラは闇のスーパースターだ。
なるほど(by中野w)
11犬の自殺
犬が飛び降りる橋がスコットランドのオーバートンにあるそうだ。
12ホワイトハウスの幽霊
リンカーンとケネディの悲劇はたまたまいろんな点で奇妙に一致するところが
あるそうで、100後という所でぴったり重なるとか。
また歴代大統領は夜歩いているとか。
13エクソシスト
初めてホラー映画を見た時「エクソシスト」は「オーメン」よりキングのいろいろより
怖かった。
それでも最近「実話」というのを見た「エミリー・ローズ」は怖くてもう二度と見たくない。
14貴種流離譚
折口信夫が命名した「貴種流離譚」とは「高貴な血脈に生まれながら自国を遠く離れてさすら い数かずの試練を経て神や尊い存在になる」という説話の一型を指す。
ああ、デュマの「鉄仮面」はそれだ。前に読んだロシアの偽世継ぎ現る事件。ドミトリ-、
タカラーノヴァ、びっくりニュースのアナスターシア。やっぱり嘘をついてまで権力と金 は魅力的ということ。
カスパー・ハウザーは王子か、ということで大騒ぎだったが襲撃されて死亡、未解決。
15デンマークの白婦人
この幽霊に会うと死ぬという。勝手に恨んで出てきては呪い殺したらしい。
16大海難事故
勿論タイタニック号だ。そのほか幽霊船になって霧の中から現れる帆船も絵になるが
不気味。
17コティングリー事件
コナンドイルの妖精写真は有名、周りも本物だと信じた事件。
18十字路
十字路には悪霊が住む。信号をよく見て一気に駆け抜けよう!!
19斬られた首
宗教の対立で首を斬られる。得の高い牧師は首を持って歩いたが首は説教を続けていたそうだ。
20ファウスト伝説
ゲーテのファウストは「時よ止まれ」といったが天才ファウスト博士は実在した。
ギリシャ神話の抗議など学生に訊かせたので処分されたが、各地を巡って占いや話で
豪勢な生活を送ったソウダ。
21ディアトロフ事件
ウラル工科大学の学生が遭難した、隊長ディアトロフ以下10名が消息を絶った。
調査では低体温症による死だとされたが、暴力的外傷が多くみられ放射能が
検出された。
事件の謎は解明されていない。
また長くなったが、中野さんは絵画も添え現実の研究結果も書いている。
知っているつもりの話もこういう所から始まってきていたのか。
また読みたい本が増えた。 -
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何年も前に上野の美術館で「怖い絵展」をやっていて観に行ったな〜
当時は大行列で、館内の展示物の説明もじ〜っくり自分のペースで読み進めることができなかったです。
でも初見ではただの絵としか認識されなかった絵達が、解説を読んだ後に再度観ると怖さというか、描かれている絵の意味がわかり、より彩り豊かになっていく感覚が今でも忘れられないです。
文庫本なので仕方ないですが、是非絵はググってwikiなどに載っている鮮明な絵を見てほしいです。
本だと暗い部分がよくわからなかったり、塗りつぶされているように見える部分も鮮明にみえて、拡大したりもできますから。
時代背景やその画家の人生をみると想像も含まれますが、こんな意味があるのかと新たな発見と出会える素晴らしい本です。
今後美術館での絵画鑑賞の時にも、ただ絵を順にみていくだけだったのが、なぜ?どうして?と調べたり考えようと思えるキッカケをくれました。
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書名のとおり、「フェルメール」と「オランダ黄金時代」についての本です。
フェルメールの作品だけでなく、かれが生きた17世紀オランダの画家たちの作品を紹介しています。分量的には、前者より後者への比重が大きいです。じじつ、本書が紹介している作品は38作で、そのうちフェルメールの作品は8作です。
作品それ自体を語るだけでなく文脈に置くことで、作品を関係の総体の一部と捉えているのは、さすがと思わせてくれます(いくぶん牽強付会に思える箇所もありますが)。知識をひけらかすこともなく、文体もわかりやすいです。
フェルメールについて知りたいという読者には期待はずれかもしれませんが、フェルメールが生きた時代を知りたい場合には期待どおりでしょう。個人的には、後者でした。
表紙では『フェルメールとオランダ黄金時代』というタイトルの「黄金」を色使いで強調していることからもわかるように、フェルメールは黄金期に生きた、あまた多くの画家たちの一人だったのです。