中野京子のレビュー一覧
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カラヴァッジョとは、この画家の本名ではない。ダ・ヴィンチも、レオナルドからが名前だと思っている人も多いはずだ。彼と同様、カラヴァッジョも生まれた村の名前だ。21歳でローマで最高の画家の工房で修行するが8か月で辞めている。デル・モンテ枢機卿が彼の作品『いかさま師』を気に入ってパトロンになったことから、生活の心配をせず絵を描ける環境を手に入れる。
…と、まったく惨劇は登場しない。おや、順風満帆でいいじゃないか、と誰しも思う。しかしカラヴァッジョ、血の気が多い性格が災いして、あちこちで喧嘩や乱闘騒ぎを起こし、果ては殺人犯にまでなってしまう。さあここからが惨劇のローマの始まりだ。落ちる所まで落ちた感のある彼だが、逃亡中も作品のクオリティを落とさない所は、生粋の芸術家ゆえか。絵に命を懸けるよりも、性格をなんとかしよう。しかし、優れた芸術作品を作り出す才能が、激情的な性格と、波乱万丈すぎる人生と引き換えだと知れば、誰が芸術家になりたいと思うだろうか。
最後はあっけなく病気で亡くなる。恩赦を求めて無理をした結果である。38歳という早すぎる死と共に、彼が持っていくはずだったが、忽然と失われた三点の絵画も惜しまれる。 -
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名画で読み解く名家シリーズの最後を飾るのは、王家ではないが、ヨーロッパの王家のような権勢を誇り、事実上の支配者とされたメディチ家だ。フランス王妃を二人、教皇を二人輩出している。惣領冬実さんの漫画『チェーザレ』に登場するロレンツォ・ディ・メディチが有名で、フィレンツェの統治者だった。ロレンツォ・イル・マニフィーコ(偉大なるロレンツォ)とも呼ばれる。経済的基盤を持ち、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロらルネサンス期に活躍した芸術家たちのパトロンとなった。
メディチは英語で発音の似ているMedicine=薬から来ている。もとは薬屋だったが銀行業に乗り出す。ロレンツォの息子ピエロは住民から反発されてフィレンツェを追い出されるが、後にメディチ家出身の教皇クレメンス七世が誕生し、帰還を果たす。追い出されたり、戻ったりする事が、大事件のように扱われているあたりが、君主ではない君主たる所以だったが、後にフィレンツェ公、トスカーナ大公となる。
但し、最初はよい薬ばかり扱っていたのが、毒薬を使った血なまぐさい事件もメディチ家では起こっている。
メディチ家の最後の女性アンナ・マリーア・ルイーザ・デ・メディチが、遺言として「メディチ家のコレクションがフィレンツェにとどまり、一般に公開されること」を条件に、すべての美術品をトスカーナ政府に寄贈。これによりメディチ家の財産は、フィレンツェの遺産として現代まで遺されることとなった。芸術品は、分散されれば、どうしてもいくつかが散逸する。宗教改革の原因を作ったとんでも教皇レオ10世や、ルネサンス期の女傑カテリーナ・スフォルツァの息子で勇敢な戦士となったジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ(黒隊長)、ルーベンスの連続絵で知られるマリー・ド・メディシスなど、華やかな人物を数多く輩出したメディチ家は、多くの名画、芸術品を生むもととなった。 -
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ヨーロッパ王朝の興亡史を12の名画で紐解くシリーズ
今回はロシアのロマノフ家です
そして表紙は19世紀のロシア人画家フラヴィツキーが描いたエリザヴェータ女帝の娘『皇女タラカーノヴァ』を名乗る女性を描いたもの
注目すべきはやはりおっぱ( ゚∀゚)・∵. グハッ!!
いやなんかそれにしてもなんか偽物騒ぎ多いのよなロマノフ家
だいたい家系図の中に出自の怪しいのが2人くらいおって、ちゃんと血が繋がってるのかそもそも疑わしい
まぁ滅亡しちゃってるので、今さらですが
そして今回は筆者の研究者中野京子さんがロマノフ家というかロシア人に対してめちゃくちゃ辛辣でそこが面白い
中野さんロシア人と何かありました?w
そしてロマノフ家と言えばもちろん最後にちゃんと登場しました怪僧ラスプーチン!
エルミタージュ美術館に所蔵されているクロカーチェヴァ・エレーナ・ニカンドロヴナのスケッチ『ラスプーチンの肖像』の怪僧感がエグい
それにしてもみんな絵うまいな〜(当たり前すぎる感想言うな!) -
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新書でページ数が限られているのがもったいない、ブルボン王朝の王とそれに関わる人物たちの物語。ルイ14世のソフトパワーは凄まじく、未だにフランスの文化や芸術は世界中の人を魅了する。そしてルイ14世たちが飲んでいたよりも遥かに美味しいワインを現代の庶民は堪能している。
強烈なビジュアルで印象を与える名画により、西洋史が視覚的にイメージされて親近感を与える。王の名前だけ見てもただのカタカナの羅列でしかないが、そこに凄腕の画家が描いた顔があると血の通った人間の営みが見えてくる。時代の趨勢を読めない王たちを残念に思う資格は我々にはきっと無いのだろう。後の時代からすると、現代人の思想も滑稽なものに映るに違いない。 -
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2009.3月ころ読んだ。江村洋著「ハプスブルク家」を読んだので、書棚の奥からだしてみた。
マリー・アントワネット出自のハプスブルグ家の歴史を、その王様・王女様たちの肖像画を通して概観するユニークな切り口の書。おもしろくて一気に読んで、観てしまいました。
○○家の歴史、といった歴史書ではたまに挿絵があるくらいで、誰と誰が結婚したとか系図はあるもののどうもややこしくて頭に入ってきません。が、本書では13世紀から始まり、途中オーストリアとスペインに別れつつも20世紀初頭まで約650年の長きにわたるハプスブルグ家を12の代表的な絵画で時代順に説明します。その他ほとんどカラーで関連画が豊富にあります。
デューラー、エル・グレコ、ベラスケス、アンチボルド、マネ、知らずに観ていた名画が実はハプスブルグ家のものだったのでした。
・ハプスブルグ家二大美女は?
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マリー・アントワネットとエリザベート皇后だそうです。
ヨーロッパの王朝は国を超えた結婚が多い(と思いましたが)、特にハプスブルグ家は血族結婚が多く、そのかぎ鼻と受け口が特徴だそうです。それを知って肖像画をみると、確かにそうだわー と画家は王様が気に入るように修正を施し美男に描いたようですが、きちんと?その特徴は描きこんでありました。
*スペイン・マルガリータ王女~密かに西洋の麗子像だ・・と思ってたのですが。。 ベラスケス最高の傑作だそうです。題は「ラス・メニーナス」
2009.3記
2008.8.15初版第1刷 購入 -
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26年8月、関西でフェルメール展が開催されると話題になっていたため、(まさに開催中)書店でフェルメールの関連の書籍がたくさん並べられ、ちょっと気になっていたので、読んでみようと思った。
学生のころ、絵画、特にルネサンス時代や印象派の絵画が好きで、はじめは絵がきれいだなぁ、華やかだなぁと鑑賞して、その後、描かれた絵画の持つ意味を知ることによって、再びその絵をみるとまた違った一面が見えてくる、その感覚が好きだったなぁと思いだしてしまった。
謎解きのような感じ?
また、作者が、中野京子さん、彼女の怖い絵シリーズも好きだったなぁと思いながら。
「真珠の耳飾りの少女」があまりにも有名で、フェルメールの名前は知っていたが、残念ながらそれぐらいしか知らなかった。
このエッセイは、フェルメールを中心にというより、オランダ建国までの流れ、そして黄金期時代に至るまでその時代を生きていた画家たちが、当時の日常の一コマを描いた絵画から、どういう時代だったかを紹介するような形だった。
そこに、国を代表するフェルメールや、レンブラントなどの絵も紹介されていた。
学生時代は、派手で華やかで、時には残酷でもあったスペインや、フランス、イギリスなどそちらの歴史ばかり関心があったけれど、改めてオランダの建国までの道のり、黄金期がどのようなものであったか知るきっかけにもなり、最後まで面白く読むことができた。
中野京子さんの絵画にまつわる他の書籍も、久しぶりに読んでみようと思う。 -
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ミケランジェロ・ブオナローティ「システィーナ礼拝堂天井画」
見上げていると首が痛くなる天井に描かれた聖書の逸話。「アダムの創造」が有名だが、ノアの箱舟の物語もある。遠方に方舟、前方には、舟に乗りたくて争う人々。人間の悪意に嫌気がさして大洪水を決めた神だが、洪水が起ころうと何があろうと、悪心を消すことは無理なのでは。
ニコライ・アルボ『オーディンのワイルドハント』
中央付近で槍と弓を持っている女性は、ワーグナーのオペラで有名なワルキューレ。中央にいるのは、ハンマーを持っていることから、マイティ・ソーことオーディンの息子、ソールだ。
ジャック=ルイ・ダヴィッド『テルモピュライのレオニダス』
中野さんの著書で頻繁に取り上げられる絵画。映画『300』で知られる、寡兵でペルシャの大軍に向かった王レオニダス。覚悟を決めたかのように、正面を見つめる彼の周囲には、死を前に感情が高ぶったボーイズカップルが。
ジョン・マーティン『ソドムとゴモラ』T
退廃の町、ソドムで、善き人だったため逃がしてもらえたロトだが、妻がふと後ろを振り返ると、そのまま塩の柱に。死海西岸の岩塩の山には、「ロトの妻」と名付けられたそれらしい塩の柱も立っている。
ギュスターヴ・モロー『ソドムの天使』
同じ題材を扱っていても、こちらは宙に浮かぶ天使がメイン。右手に剣を持っている。
ポール・ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』
ヘンリー八世の妹の孫だったジェーンは、王位継承順位が低いにもかかわらず、実父や舅の画策により、女王の座に据えられた。だが間髪いれずヘンリー八世の娘メアリもまた女王宣言。戦いは後者の勝利に終わり、「九日間の女王」ことジェーンは16歳で処刑。ごたごたしていた時代のイギリスを象徴する女性。
史実については歴史的背景も説明してあるので、わかりやすい。 -
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美の基準は人それぞれである。そのため、中には、「えっ、これが美?」と驚く絵も。
「醜い公爵夫人」マサイス
タイトルについている通り、美しくない!いや、美の基準は様々だから、美しいと感じる人もいる?
「ゾフィ大公后」ヨーゼフ・カール・シュティーラー
ハプスブルグ帝国の有名な皇后、エリザベートの姑だ。エリザベートにイジワルをした悪役認定されがちだが、個性的なヘアスタイルはさておき、美人でしっかり者の印象を与える。覇気のない夫ではなく、英邁な自分の息子フランツ・ヨーゼフに皇位を継がせようと考えるくらい、国の事を想える女性だった。
「サラ・ベルナール」アルフォンス・マリア・ミュシャ
ウィーンに行くとミュシャのポストカードが至る所で売っている。一度見たら忘れられない特徴的な絵。画家の経験もないミュシャが大抜擢で大女優サラ・ベルナールのポスターを作った所、大ヒット!
「モンテスキュー伯爵」ジョヴァンニ・ボルディーニ
プルースト『失われた時を求めて』のシャルリュス男爵のモデルになった人物。スティッキを持った姿はダンディなおじさまそのもの。
「デヴォンシャー公爵夫人」トマス・ゲインズバラ
ダイアナ后の遠い祖先。生き方も似ていて、夫とは不仲でダブル不倫。
「シャネル」マリー・ローランサン
絵画を依頼したものの、ローランサンの描くシャネルは色調からして暗かったために、送り返されてしまう。
「ユーディトと侍女」アルテミジア・ロミ・ジェンティレスキ
国を救うために美人局で将軍を殺した烈女。ジェンティレスキの描く彼女は美しいというより、たくましい。