中野京子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
血で血を洗う権力争いをくぐりぬけてきた皇女の威厳を感じる「皇女ソフィア」。
色っぽい表情の中に無垢な愛らしさと陰々滅々とした表情を両立させる美女「ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ)」。
理想的な農民の祝祭の姿と現実の姿とのギャップに支配層側のエゴを感じる「豆の王様」。
幻想的な風景の中に呪縛されている女性の姿が母性神話に縛られている姿のように感じる。確かに堕胎の罪で女性が死後に永遠の責め苦に苛まれるのであれば、男性も同じような目に合わなければ納得いかない。
図説拷問全書の表紙にもなった「悪しき母たち」。
周りも自分も仮面を被り、いつしか外せなくなってしまっているのはのは自分たちも同じだと思う。
むしろ、現代はSNSのアカウントによって仮面を変えていたりしていると思うと、現代の方がよっぽどひどいのかもしれない。
尊敬する人の仮面を被り続けた結果、自己と同一化して画家としての名誉を得た彼は幸運だと思う「仮面にかこまれた自画像」。
毎回、絵画に隠されたドラマに戦慄する。 -
Posted by ブクログ
周りを警戒しなかったがために処刑されたイングランド最初の女王「レディ・ジェーン・クレイの処刑」。
描いているのは労働の崇高さと夫婦愛の美しさ、それとも亡き子に祈り悲しむ姿か。どちらにしても寂しげな印象を受ける「晩鐘」。
崇高なる血を濃くし続けた一族の咎を引き受けざる得なかった少年王「カルロス二世」。
幸福に満ちた時間を提供するために道化として他者の優越感の犠牲になる者の怒りを描いた「ラス・メニーナス」。
一つの平面としてなら違和感がないのに、複数は成立できない。本当は存在しているのに私たちが見えないだけだろうか「相対性」。
今回も中野さんの知識に唸った。 -
Posted by ブクログ
合唱サークルでメンデルスゾーンを歌うことになり、その上大好きな中野京子さんということで興味を持ち購入。
無知であり初めはメンデルスゾーンとアンデルセンに接点があったこと、ジェニーリンドという歌手が実在することもしらなかったのでフィクションかと思うくらい、おとぎ話のようだった。
偉大な作曲家と作家が友人同士だったとは!
しかも1人の女性を巡って色々あって、、、。
中野京子さんの読みやすい文体でどんどん読めて、知識量にもいつも驚かされる。美術、音楽、歴史、中野さんが得意とするともが全て私のツボなのでついつい読んでしまう。
メンデルスゾーンの生い立ちも知れたし読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
[至宝、その楽しみ方]モナ・リザ、キリストの埋葬、ナポレオンの戴冠式......。贅を尽くした美術館中の美術館とも言えるルーヴルの代表作を、その成立背景や画家の歩みとともに解説してくれる作品です。絵そのものも収録されているため、美術に関して詳しくない人も手軽に手に取ることができるようになっています。著者は、面白い視点からの西洋絵画に関する著作を多く執筆されている中野京子。
肩肘張らずに絵画について造詣を深めることができる良作。(自分もそうだったんですが)「西洋美術と言われても何から手をつければいいかわからない」という方は、学校の授業で見たことがあるような作品がたくさん紹介されていることもあり、本作をまず手にとってみるのもアリかと。難しい話や持って回った言い回しがまったくなく、美術に詳しくない人も、そしてもちろん詳しい人も楽しめる作品かと思います。
教科書的記述が続くのではなく、下記抜粋のように思わず「確かに」と頷きたくなる著者からの指摘がスパイスのように効いているのも本作の魅力の一つ。また、章を繰るごとに「これもルーヴルだったのか」という絵画が非常に多く、改めてルーヴル美術館の凄さに思い至りました。ルーヴルに行く機会がある方や日本でたまに行われるルーヴル展に足を運べる人は、本書でルーヴルを二度満喫できるかと。
〜芸術を求める者は少なく、心地よさを求める者のほうが(いつの時代も)多い。〜
美術に関しては特に疎い自分ですが☆5つ -
Posted by ブクログ
[追記]
こないだ頂いたポストカードがドガだった。
今までだったら、単なる「ドガのバレエの絵」だったが、
この本をよんだおかげで、この絵の背景や登場人物が何を表現しているかが、わかって絵の見方がかわった。
知識というのが、見方をかえる。ということがよくわかった。
---------------------------以上 追記------------------------------------
「怖い絵」シリーズの印象派の解説版。
今回は印象派と呼ばれるドガやモネ、マネ、ゴッホ等を中心に、
印象派とは何かがかかれている。
フランス革命がおわり、ナポレオン3世の時代に今までの
宗教画や人物画ではなく、感じたままに、
思った通りに書くという絵画の革命がおこった。
なるほど、印象派の絵画は内容がわからなくても
なんとなく良いとか、直感的、感情的にみることができる。
絵画が貴族たちの教養のひけらかしから
一般市民が見ることになってきたという時代背景もあるようだ。
歴史を重んじるヨーロッパよりも、新しい歴史を作りたいアメリカによって買われ、結構な数の絵画がアメリカの美術館にあるのはそのためらしい。
最後のし目の言葉がぐっときた。「にも関わらず美しい」作り手がどんな人間だろうが、芸術は美しいものはうつくしい。それこそが芸術の毒とのことだった。
美術館にますます行きたくなった。こういう本を読むと楽しみが深くなる。