あらすじ
累計40万部突破の人気シリーズ「名画で読み解く 欧州名家12の物語」シリーズの約4年ぶりの新刊にして、シリーズ最終巻。「ハプスブルク」「ブルボン」「ロマノフ」「イギリス」「プロイセン」に次ぐ物語の舞台は、イタリア。ローマ帝国崩壊後に統一王家が存在しなかったイタリアには、フィレンツェという芸術都市を統べた名家がありました。商家からの成り上がり一家が治めたルネサンス期の歴史を、華麗な絵画と共にお届け。
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Posted by ブクログ
【感想要約】
カラー図版を多用し、メディチ家の人物像と絵画を結び付けて平易に紹介する読みやすい入門書。個々の人物や制度の詳細分析は少ないため専門的知見を求める読者には物足りないかもしれないが、通史的理解には有用。図版資料としての価値もある。
【内容】
花の都フィレンツェを舞台に栄えた大富豪家系であるメディチ家350年の歴史と、それを彩る数々の名画が紹介されている。特にメディチ家の隆盛期はイタリア半島におけるルネサンスの最盛期だったため、どの絵画もみな華やかかつ対象人物の人間的魅力を肉感豊富に描写しており、それらからは各人物の往時が生々しく伝わってくる。また教皇を立て続けに2名も輩出した彼らはカトリック教会史、そしてルターの宗教改革にも多大な影響を与えた存在だった。
【感想】
豊富な絵画(なんと全編カラー‼︎)、魅力的な人物描写で紹介される激動の人生を歩んだ個性的なメディチ家の人々の人生。名画で読み解く本シリーズの登場人物として、芸術の都市フィレンツェを統べたメディチ家はまさに題材としてふさわしい。合間合間で挿入される興味深い小話もあり、面白くて読みやすい一冊。最後まで一気に読んでしまった。新書というよりは歴史小説を読んでいるような気持ちで気軽に読める。
また人物ではなく絵画に焦点を当てて読むと、本作内で紹介される数々の絵画の歴史的背景を自然と理解できる点が優れている。また先述のとおり全編カラーのため、絵画資料として持っておく価値もあるのかもしれない。
一方でメディチ家の350年の歴史を一気に、かつ平易に紹介するため、一人一人への記述は非常に簡素である。本来2代目のコジモの波瀾万丈な人生は、それだけで一冊の新書にしても足りないほどである。また当時のフィレンツェの政治制度や文化、カトリック協会の教皇選出の制度等に関する記述もなく、あくまでメディチ家に焦点を当てている。歴史や絵画史の新しい知見の発見を期待して読む人には、あまり向いていない本かもしれない。
それにしても、19世紀の統一以前、都市国家が並立していたイタリア史はなかなか理解しづらいものがあり敬遠していたが、いざ様々な本で読んでみるとなかなかに面白い。統一される前の方が魅力的で面白い地域だったのではとも思ってしまう。個人的にイタリア史はもう少し理解を深めたい分野である。