池澤夏樹のレビュー一覧

  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    池澤夏樹のノウハウ本。生きるためには、情報、知識、思想が必要。情報とはその時に起きていること、起きようとしていることやデータ。知識は、ある程度普遍化した情報。思想とは情報や知識を素材にして構築される大きな方針のことを言う。それを踏まえ著者が実戦している仕事術、ノウハウを紹介する。
    作家の仕事術本ということで、サラリーマンの仕事とは多少違和感を感じる部分もあるが、参考にできる事も多かった。

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    2020年01月03日
  • 叡智の断片

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    久し振りに再度。ウィットに富むとはこういうことかと感心する。続編を出して欲しいものだが雑誌の廃刊につき難しいのだとか。残念。

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    2019年12月30日
  • 文明の渚

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    東日本大震災から1年5か月後に行われた講演会の記録。被災地を何度も訪れた池澤夏樹の言葉には重みがあるけれど、それ以上に心に残ったのは最後のメッセージ。

    「よく見て、新聞を読んで、本を読んで、考えて、悩んで、迷ってください。ぼくはいろいろ言ったけれど、それは全部嘘かもしれない。まことしやかに言っただけで。ある意見を聴いて、ああそうか、と思ったら別の意見を聴いて、いろいろな意見を自分の頭の中でぶつけてみてください。それが多分、それぞれの考える力を磨くことだから」

    肝に銘じます。

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    2019年10月31日
  • 近現代作家集 III

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    やっとここまで来た。あと源氏物語3巻だけ。
    昭和(戦後)以降の文学選
    幸田文『崩れ』
    村上春樹『午後の最後の芝生』
    鶴見俊輔『イシが伝えてくれたこと』
    池上夏樹『連夜』
    筒井康隆『魚籃観音記』
    堀江敏幸『スタンドっト』
    稲葉真弓『桟橋』
    が気に入りました。

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    2019年09月23日
  • すばらしい新世界

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    2000年9月に出版された本で、2000年といえば9.11もまだだし、東日本大震災も、福島の原発事故も当然起こっていない。今とはまったく違う世界である。
    その当時から、環境問題や原発の危険性についてこれだけのトーンで語っているのに、20年経った今はどうだろう。原発事故は起こってしまったし、環境問題もよくなっているとは思えない。この20年は一体なんだったのかと愕然としてしまう。
    ともあれ、全体的にとても美しい物語と語り口で、文庫で700ページにも及ぶ長編ながら、夢中で読み切ってしまった。
    特に中盤の娼婦の夢の描き方が最高だった。
    やたらと文章の上手い妻子や、なんでもあけっぴろげに語り合う夫婦関係

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    2019年10月10日
  • 万葉集の詩性 令和時代の心を読む

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    文学や編集に携わる8名の手による万葉集エッセイ集、といえばよいか。
    出だしから中西進氏による『旧約聖書』と『万葉集』のリンクが展開され、度肝を抜かれる。良き文学とはほかの文学と共鳴するものとはいうが、まさかそんなところと響き合うとは。しかも万葉集の第一人者の一人中西進氏からそんな。おみそれしました。
    川合康三氏の「山上憶良と中国の詩」、高橋睦郎氏の「いや重く謎」あたりは若干硬めの印象を受けるかもしれないが、基本的には一流の文化人たちによる平易な万葉集エッセイである。いや平易と言ったが完全に万葉集知りませーん何書いてあるんですかーな人には向かないかもしれない。ちょっとは齧った人向け。だが、ちょっ

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    2019年08月15日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    作家・詩人の池澤夏樹さんが自身の「知のノウハウ」を公開した本。

    現代社会を知的に生きるためには、情報(日付のあるデータ)、知識(普遍化された情報)、思想(情報や知識を素材にして構築される大きな指針)の3つを常に更新していくことが大事です。
    情報・知識・思想をいかに更新していくのか、池澤夏樹さんなりの方法が本書に書かれています。

    社会をまとめていくためには議論が必要になります。議論をするには「知」がなければなりません。そして、「知」は常にアップデートしなければ議論についていくことができないのです。

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    2019年07月21日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    文字通り、知を育成するにはどうすれば良いかを説いた一冊。

    有名な作家だけあって、説得力があった。

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    2019年05月28日
  • 堀田善衞を読む 世界を知り抜くための羅針盤

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    堀田善衛は何冊か読んでいたが、この堀田善衛の魅力を伝える紹介本を読んで改めて他の作品も読みたくなった。5人の作家や学者による紹介文も彼の魅力をよく伝えているが、終章の「堀田善衛のことば」は直接に彼の考えが伝わるので非常に参考になる。
    「おれは、人が生きることに賛成なのだ。」『路上の人』より
    「納得できない場合には、未決のままにしておかなければならない。」『ミッシェル 城館の人』より

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    2019年03月25日
  • 南の島のティオ

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    不思議な話もあり、人間としてのあり方を問う話もあり。
    南の島のティオという少年を主人公にした短編集。

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    2019年01月20日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    この本は良い、作家である池澤夏樹氏が自身の技術論を公開してくれており、多くの刺激を受ける。

    新聞の活用法、本の探し方等実用的なノウハウを多く教えてくれる。特に書評については私も本選びの参考にしている。

    やはり定期的にこのような本を読む必要性を感じる。新たな気付き、知的興奮が人には必要と思う。反知性主義に抗していくために。

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    2019年01月17日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    興味を引かれたところを2点、引用。

    ・「本選びは精錬に似ている」
    世の中に出回る本ぜんたいをざっと眺めて、その中から価値あるものを選び出す行為。それは金属の精錬に似ているという説。全ての本に目を通すことが不可能な以上、何を読むか(=何を読まずに切り捨てるか)を選ぶことは非常に重要な行為。それは主観で構わない。というか、主観にしか意味はない。そうしていかに自分なりに、純度の高い金属を取り出すか。そこを意識すると読書の意味が変わり、密度の濃い読書ができるだろう。

    ・「メディアこそがメッセージである」
    マクルーハンの孫引用。発信するのにどのメディアを選ぶか?そこにこそメッセージの核心が含まれてい

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    2019年01月07日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    非常に心地よく読めた一冊だった。特に文章の美しさが際立っていて、小説でもないのにすらすらと読めた。筆者の仕事の進め方が細かく書いてあったが、この年代の作家さんでも結構最新のガジェットを使い倒していることに驚いた。

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    2018年11月26日
  • 夏の朝の成層圏

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    ネタバレ

    「考えてみると昔からぼくは『あそこ』的な人間だった」
    背景や詳しい状況がよく分からないところから始まり、引き込まれる。
    現実離れしているようで妙に現実感のある独特の雰囲気。

    漂着したすぐの頃の、椰子の実との格闘が面白い。

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    2018年08月11日
  • 南の島のティオ

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    不思議爽やか短編集だった。
    あーーーーーっ!!!!
    旅行行きてーーーーーー!!!!
    島でスローライフ送りてーーーーーー!!!!
    ってなります。

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    2018年07月07日
  • 砂浜に坐り込んだ船(新潮文庫)

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    砂浜に坐り込んだ船/大聖堂/美しい祖母の聖書/苦麻の村/上と下に腕を伸ばして鉛直に連なった猿たち/夢の中の夢の中の、/イスファハーンの魔神/監獄のバラード/マウント・ボラダイルへの飛翔

    目の前に在る物にふと意識を向けるとそこに思い出が揺蕩っている。辛いものも楽しいものも懐かしくそこにある。ひと時を緩く過ごしたら、また歩き出そう今を思い出す時まで

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    2018年07月06日
  • 夏の朝の成層圏

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    状況は極端でも、彼の葛藤、気持ちの揺れに置いてきぼりにされず、半端な気持ちがリアルだった

    2018.6.17

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    2018年06月17日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    眠くなってきたので手短に。
    去年、池澤夏樹さん個人編集の「日本文学全集08」を読みました。
    ほかでもない、十数年追いかけている作家、町田康さんの「宇治拾遺物語」が読みたかったから。
    いや、爆笑しました。
    古典を読んでこんなに笑ったのは初めて。
    中学、高校時代に出合っていたら、古典が好きになっていたに違いありません。
    本当は古典って面白いものだと思うんです。
    それを恐らく研究者や学者たちが、無用に格調高いものにしてきたんでしょうなぁ(恨み節)。
    あ、で、本書はその日本文学全集で各作品の新訳を手がけた作家たちによる講義集。
    もちろん、町田康さんの「宇治拾遺物語」の講義も含まれています。
    私は、町田

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    2017年11月19日
  • 静かな大地

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    ネタバレ

    幕末、明治から大正にかけて時代は巡るが、概要は明治における北海道、アイヌに関わった三郎の物語を姪である由良が語るというもの。内容は非常に美しく、儚い。物語は複数の語り部が存在しており、章ごとに異なる。そのため、語り部の感情が物語へ反映されることとなっている。
    史実を取り入れたフィクション、となっているのが特徴で、北海道開拓やアイヌの歴史、考えなどが様々に取り込まれている。その中を物語の主人公である三郎が駆け抜けていく姿は非常に心地よい。だが、常にどこか暗い何かが物語を覆っているのは、その後のアイヌ、そして三郎に何らかの不幸が訪れることが語り部は知っており、読者も感じているからだろう
    物語は語り

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    2017年11月12日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    作家・詩人・翻訳家として知られる著者が、初めて自らの仕事に関わって書いた本。知人に教えてもらって手に取りました。

    池澤さんの時代に対する見方が、「はじめに」(あるいは反知性の時代の知性)に書かれてあります。生きるために大切なことが3つ(①情報②知識③思想)あり、それをいかに獲得し更新するに自らの工夫していること(新聞の活用・本の活用・アイデアの整理と書く技術等)を整理して読者に投げかけていく構成です。

    自分なりに「ものの見方・考え方」を持つこと、そのための知恵や工夫・技術を身につけること・継続させることなど、いろいろと考えるきっかけを与えてくれたように思います。新聞に出る書評記事など、これ

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    2017年09月23日