池澤夏樹のレビュー一覧
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池澤さんにはこのタイプの本がけっこう多いように思うのですが、写真+小説というスタイルです。
サーフィンの魅力に取り付かれた主人公は、ふだんは日本で仕事をしているけれど、まとまった時間がとれると、休暇をとってハワイに波乗りに行く。
あるときふとした縁で、有名な建築家が建てたという家を訪ねるようになる主人公。そこには出身も年齢もさまざまな、ハワイの魅力に取り付かれた人々が入り浸っていて……
男運がわるくて日本で苦労してきた老婦人が、ハワイに移住してがらっと生き方が変わった……というエピソードがありまして、本筋にはそれほどかかわってこないんですけども、そこがすごく印象に残りました。
池澤 -
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火山活動についての研究者である主人公の頼子は、日々忙しく研究にいそしむ一方で、仕事と日常の間の折り合いのつけ方に、心の底のほうで疑問を抱いている。
ある日、弟の友人である広告マンが、頼子のもとに、変わった話をもってくる。電話を利用したサービスを企画しているのだという。
その企画の名称は『シェヘラザード』。色々な分野に関する短いエピソードを大量に集めて、利用者がその番号にダイヤルすると、その中からランダムにひとつのストーリーが選ばれて、読み上げられる。
その話のひとつひとつには、意味はありそうであまりない。何が出てくるか分からないことが、価値なのだという。ふとした日常の隙間にダイヤルして -
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火山学者の女性が、「電話をかけると物語をひとつ聞かせてくれる」というベンチャー事業に関わりながら、言葉やものがたりへの見方を変えてゆく話。
主題は多分言葉や物語と現実との溝だと思います。
一言でまとめてしまえば、言葉や物語は、重ねれば重ねられるほど、どんどん現実から乖離してゆく。それならば自分の五感を信じよう、という話でした。
言葉にはいつも誤差があって、物語にはいつも脚色がある。
それは確かにそうだろうな、と思います。
けれど結局それは、物語の場合は聞き手側が面白いことを望んでいるからそうなるのであって、物語自体の性質ではないのではないかな、と。そして言葉の含む誤差もまた、オブ -
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カイマナヒラとは、ダイアモンド・ヘッド(ダイアモンド・ヒル)をハワイイ語で発音したものらしい。タイトルからも分かるように、ハワイイの、それも「カイマナヒラの家」を中心としたショートストーリィ。1つ1つが短編のようになっているが、基本はカイマナヒラの家を中心として起こる人間模様を描いている。全体としてのまとまり方と、話ごとのシメ方が妙技ですぐ読めてしまった。
とりあえずこういう雰囲気のある小説を読むと、自分はかなり影響される。ハワイをハワイイと書きたくなるし、サーフィンもやってみたくなるし、浜辺で水平線をいつまでも眺めていたり、水平線に沈む夕日を見たりしたいと思う。馬鹿みたいに単純である。 -
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長く読み継がれている『星の王子さま』。
この本が出版されたのは1943年、第2次世界大戦の真っ只中でした。
著者サン=テグジュペリは、何を願ってこの本を書いたのかと問われると、やはりそれは、「平和への願い」だったのかもしれません。
サン=テグジュペリは、パイロットであり小説家でもある稀有な存在。 空の上から、人間の暮らしをずっと見つめてきた彼だからこそ、 暮らしの中にともる灯りが、星のように見えた時もあったのではないでしょうか。すべての星に、誰かの暮らしがある。
それを簡単に壊してはいけないというメッセージも強く感じます。
物語の中では、面白い星の住人がたくさん出てきますが、特に印象に残っ -
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前半は読むのがつらかった
なぜか?
なんだか海外事業部の方の専門的な
説明とそれに伴う現地視察
の報告書のような話しが続く
そして、環境問題やボランティアに
詳しい妻との
たいへん真面目なメールでのやり取り
そんな中で、チラッと覗く
夫婦としてのよろめき的な会話が
なんだか違和感を覚えてしまう
このまま読んでいていいのだろうか
はたして最後までついていけないのでは
ないかと思ったが‥
なんと後半は面白かった
森介の冒険的な話しになってからは
引き込まれた
チベットの宗教や、中国との関係
なんだか本当にチベットの
何かただならぬものが
周りを漂っているかのような
神秘的な雰囲気
発展途上国へ