池澤夏樹のレビュー一覧

  • カイマナヒラの家

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     池澤さんにはこのタイプの本がけっこう多いように思うのですが、写真+小説というスタイルです。
     サーフィンの魅力に取り付かれた主人公は、ふだんは日本で仕事をしているけれど、まとまった時間がとれると、休暇をとってハワイに波乗りに行く。
     あるときふとした縁で、有名な建築家が建てたという家を訪ねるようになる主人公。そこには出身も年齢もさまざまな、ハワイの魅力に取り付かれた人々が入り浸っていて……

     男運がわるくて日本で苦労してきた老婦人が、ハワイに移住してがらっと生き方が変わった……というエピソードがありまして、本筋にはそれほどかかわってこないんですけども、そこがすごく印象に残りました。
     池澤

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    2010年03月28日
  • カイマナヒラの家

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    まず冒頭に、「この物語の登場人物はすべて架空であり作者の想像の産物であるが、家は実在した。」と。ダイアモンド・ヘッドではなくて、カイマナヒラ。カイマナヒラの家を軸にした物語。カヴァーの著者紹介が、いい。「1945年、北海道生まれ。87年、「スティル・ライフ」で中央公論新人賞、翌88年、同作品で芥川賞受賞。海を愛し、世界中の浜辺で昼寝をする作家。」芝田満之(こちらの紹介は「……。海を愛し、世界中の波に乗り続けるカメラマン。」)による何枚ものカラー写真が、とても美しい。解説・沢野ひとし。単行本は2001年、文庫版は2004年刊行。

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    2011年07月19日
  • 異国の客

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    気になっていた人、池澤夏樹さん。
    知らなかった世界、出来事、考え方。
    新しい世界への見聞を広めたいと心から思いました。

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    2010年01月06日
  • 真昼のプリニウス

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     火山活動についての研究者である主人公の頼子は、日々忙しく研究にいそしむ一方で、仕事と日常の間の折り合いのつけ方に、心の底のほうで疑問を抱いている。
     ある日、弟の友人である広告マンが、頼子のもとに、変わった話をもってくる。電話を利用したサービスを企画しているのだという。
     その企画の名称は『シェヘラザード』。色々な分野に関する短いエピソードを大量に集めて、利用者がその番号にダイヤルすると、その中からランダムにひとつのストーリーが選ばれて、読み上げられる。
     その話のひとつひとつには、意味はありそうであまりない。何が出てくるか分からないことが、価値なのだという。ふとした日常の隙間にダイヤルして

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    2009年10月29日
  • 夏の朝の成層圏

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    南の島に漂流したお話。
    この設定は、何個か読んだことがあるけれど、
    このお話の彼、ヤシはとても冷静で前向きで暢気。
    文章も不快(な状態の)描写が殆ど無く、
    南の島に対する筆者の愛情が溢れ出ていて、美しい。
    上質のファンタジーを読むみたいに、すんなりと世界に浸ることができた。
    生きていくということ、社会と世界、人と人の繋がり、仕事、生活について
    とても真摯に向き合った作品。
    とっても面白かった!気持ちいい読書、大好きです。

    マイロンとヤシの関係が可愛いくて、ちょっとにこにこしてしまった。

    池澤夏樹さんの本をもっと読んでみたい。

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    2009年10月04日
  • 夏の朝の成層圏

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    個人的に、そしてきっと多くの人が惹かれてしまうだろう南の島のロビンソン・クルーソー生活。憧れゴコロを満たす南の島の風物を十分に描きつつ、一人の男性の成長、友情などをさらりと織り込み、さらにこのベタなネタたちを冷静に(しかし冷徹ではなく)見つめる視線が心地よい。

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    2009年10月07日
  • 真昼のプリニウス

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    今年になって池澤夏樹とは出会った。畳み掛けるように彼の作品を読み漁る。彼の世界と言うべきか、作風が体に染み渡ってくる。全く不快感はなく一種の高揚感を感じる文章。この作品も何となく消化できた。でももう少し時間が欲しい。自分の中の別のものとの反発が何か消化しきれないところがあるみたいだ。

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    2009年10月04日
  • 夏の朝の成層圏

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    もし漂流してしまったら……?
    そんなことを考えさせてくれます。
    無人島の描写などがすごく細かくていいと思います。

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    2009年10月04日
  • カイマナヒラの家

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    ハワイが好き海が好きな人ならきっと共感できる部分が多い作品。
    ただ純粋に主人公や周りの人間の生き方が羨ましい。ハワイだからできる考え方。穏やかに流れる時間を、物語を読みながらも一緒に共有できる。

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    2009年10月04日
  • 真昼のプリニウス

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     火山学者の女性が、「電話をかけると物語をひとつ聞かせてくれる」というベンチャー事業に関わりながら、言葉やものがたりへの見方を変えてゆく話。
     主題は多分言葉や物語と現実との溝だと思います。
     一言でまとめてしまえば、言葉や物語は、重ねれば重ねられるほど、どんどん現実から乖離してゆく。それならば自分の五感を信じよう、という話でした。

     言葉にはいつも誤差があって、物語にはいつも脚色がある。
     それは確かにそうだろうな、と思います。
     けれど結局それは、物語の場合は聞き手側が面白いことを望んでいるからそうなるのであって、物語自体の性質ではないのではないかな、と。そして言葉の含む誤差もまた、オブ

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    2009年10月04日
  • 夏の朝の成層圏

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    中学生のときにジャケ買いをしたら当たった。村上春樹の感じに似ていますが、もう少し硬質で透明な感じがしました。

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    2009年10月04日
  • 憲法なんて知らないよ

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     英語で書かれた、原著の日本国憲法の新訳。というか大分砕いて池澤夏樹の言葉で書いた本。読み易いので暇つぶしにでも一読の価値アリ。

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    2009年10月04日
  • カイマナヒラの家

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     カイマナヒラとは、ダイアモンド・ヘッド(ダイアモンド・ヒル)をハワイイ語で発音したものらしい。タイトルからも分かるように、ハワイイの、それも「カイマナヒラの家」を中心としたショートストーリィ。1つ1つが短編のようになっているが、基本はカイマナヒラの家を中心として起こる人間模様を描いている。全体としてのまとまり方と、話ごとのシメ方が妙技ですぐ読めてしまった。

     とりあえずこういう雰囲気のある小説を読むと、自分はかなり影響される。ハワイをハワイイと書きたくなるし、サーフィンもやってみたくなるし、浜辺で水平線をいつまでも眺めていたり、水平線に沈む夕日を見たりしたいと思う。馬鹿みたいに単純である。

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    2009年10月04日
  • すばらしい新世界

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    途上国で風車の設計にかかわる技術者の話なんだけれど、自然体な主人公のキャラクターがとても良い。説教くさくなく、本当に必要な「環境の保護」「技術援助」ということについて考えられます。読み終わった後に静かに満足できる本でした。

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    2009年10月04日
  • 星の王子さま

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    長く読み継がれている『星の王子さま』。
    この本が出版されたのは1943年、第2次世界大戦の真っ只中でした。
    著者サン=テグジュペリは、何を願ってこの本を書いたのかと問われると、やはりそれは、「平和への願い」だったのかもしれません。

    サン=テグジュペリは、パイロットであり小説家でもある稀有な存在。
空の上から、人間の暮らしをずっと見つめてきた彼だからこそ、
暮らしの中にともる灯りが、星のように見えた時もあったのではないでしょうか。すべての星に、誰かの暮らしがある。
    それを簡単に壊してはいけないというメッセージも強く感じます。

    物語の中では、面白い星の住人がたくさん出てきますが、特に印象に残っ

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    2025年11月13日
  • ワカタケル

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    王が統べる世で引き継がれてきた歴史。
    安泰の世も乱世もいかほどに。
    著者の作品は初めて読みました。スラスラ読むことは出来た。

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    2025年11月05日
  • すばらしい新世界

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    前半は読むのがつらかった
    なぜか?
    なんだか海外事業部の方の専門的な
    説明とそれに伴う現地視察
    の報告書のような話しが続く
    そして、環境問題やボランティアに
    詳しい妻との
    たいへん真面目なメールでのやり取り
    そんな中で、チラッと覗く
    夫婦としてのよろめき的な会話が
    なんだか違和感を覚えてしまう
    このまま読んでいていいのだろうか
    はたして最後までついていけないのでは
    ないかと思ったが‥

    なんと後半は面白かった
    森介の冒険的な話しになってからは
    引き込まれた
    チベットの宗教や、中国との関係
    なんだか本当にチベットの
    何かただならぬものが
    周りを漂っているかのような
    神秘的な雰囲気

    発展途上国へ

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    2025年09月15日
  • カイマナヒラの家

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    池澤夏樹著を初めて読んだ
    とても読みやすかった

    ハワイには何度か行っているが、
    知り合いがいるとまた違う旅になる

    それもいいなぁと思った

    カイマナヒラ(Kaimana Hila)は、ハワイのダイヤモンドヘッドを指す言葉だと初めて知った

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    2025年09月07日
  • 来たよ! なつかしい一冊

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    巻末の本紙掲載年月から見て、すべて既読のはずなんだけど、全く初見のノリで読めました。人の読書体験を垣間見るのって、このくらいの分量だとちょうど楽しめますな。

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    2025年08月19日
  • 堀田善衞を読む 世界を知り抜くための羅針盤

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    堀田さんの本を直接読むより、ハーそういうことかと納得する場合があった。読者の幅の広さも大したものだ。

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    2025年08月06日