池澤夏樹のレビュー一覧
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池澤春菜さんのお名前は「本の雑誌」でお見掛けしていたけど、似た名前の方だなと長いこと思っていた。池上冬樹さんという書評の方もいらしたから、池のつく姓と春夏秋冬の名は語呂が良いんだなぐらいに思っていた。
父君の夏樹氏の書評は昔、良く読んだ。お嬢さんもかなりの読書家らしいので、小川洋子さん・平松洋子さんの「洋子さんの本棚」に似た感じかなと思って読む。
「岩波ようねんぶんこ」、知らなかった。「ムギと王さま」の挿絵が冒頭にある。積み上げた本の前で、本にのめり込んでる女の娘が春菜さんそのままだったんだろうな。冒険モノが多いのと、ナンセンスものが好きだったという。羨ましい。僕ももっとそういう読書したか -
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日本の現代詩のだいたいのところを読んでみようと思って、これが手っ取り早いかなと思って読んでみた。
明治から平成までの詩を池澤夏樹、短歌を穂村弘、俳句を小澤實という人たちがそれぞれ選んでいる。
短歌と俳句は関心がないのでナナメ読み。
詩は島崎藤村から入沢康夫まで41人。
一人につき1つか2の詩。
金子光晴と中野重治しか印象に残らなかった。
現代詩は、田村隆一、谷川雁、大岡信、荒川洋治、谷川俊太郎 とか、名前を聞いたことがある人たちの詩をたぶんはじめて読んだけれども、よくわからなかった。
といってあわてる必要もない。
そのうちわかるようになるかも。 -
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『フィクションを書くには、心理的にある一線を飛び越えなきゃいけないんだ。世の中には「嘘をついてはいけない」という倫理があるけど、フィクションってそもそも嘘だからね。(中略)言ってみれば万引きと同じ……というと語弊があるけど(笑)。最初は勇気が要る。でも、だんだん上手になるにつれて、大きなものが盗めるようになる。その一線は越えなきゃいけない。中途半端に事実に近いところだけ書いていても、結局半端なものにしかならない。』
これは小説を書こうか悩んでいるという春菜にした夏樹のアドバイス。だから、僕は池澤夏樹の本が好きなんだと思う。
じめじめとして、他人と自分に、つまり、人間に興味津々な日本の作風から -
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これまでにも南の島での暮らしをテーマにした小説を執筆してきた池澤夏樹と、海の写真を多く撮影してきた芝田満之の作品です。
「カイマナヒラ」とは、ハワイのダイヤモンド・ヘッドのことで、そのふもとにある一軒の巨大な家の管理をしているロビンやジェニーといった人びとと、一人の日本人の交流をえがいた連作短編となっています。
ゆっくりと流れる時間と、人びととの心温まる交流といった南の島での暮らしに癒しを感じることのできる作品です。もちろん、こうした幻想をいだいてしまうことに対する自省的なまなざしをもつ読者もいるでしょうが、そうした自家中毒的な内省のループに陥るのではなく、物語のもつ力に自分自身をゆだねて -
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風力発電の開発に従事している天野林太郎が、小型の風力発電装置を開発し途上国で売り込むために、ネパールのナムリンという村を訪れます。彼は、現地で献身的に支援をおこなってきた工藤隆や、チベットの行く末を案じるブチュンといった人びとに出会い、さらに彼の帰りを待つ妻のアユミと小学生の息子の森介、会社の上司であり林太郎をサポートしてくれる浜崎課長らに支えられながら、文明と環境、あるいは宗教と国家などの問題について考えさせられることになります。
著者自身の思想的な関心が前面に押し出されており、物語そのもののおもしろさにどっぷり身を浸すといったたのしみかたのできる作品とは、すこしちがった印象です。魅力的な -
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堀田善衛という人は「インドで考えたこと」ぐらいしか知らなかった。「広場の孤独」「方丈記私記」「ゴヤ」「定家明月記私抄」「めぐりあいし人びと」など、脱走米兵を匿うベ平連の活動、南京虐殺事件への関心、ゴヤへの関心も反戦から…。ゴヤが描いた死が迫っていることへの恐怖に怯える眼をした犬の絵に関する解説は驚き。堀田がゴヤに惹き込まれていった原因はそこにあるという。「何万人ではない、一人ひとりが死んだのだ。この二つの数え方のあいだには、戦争と平和ほどの差がある。」との南京事件を取り上げた「時間」の文章も凄い!宮崎駿が映画にしたかった作品!堀田氏のキリスト教嫌いが想像できる一方で、「伝道者の書」の引用がた
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ネタバレきれいなお話
物質文明よりも精神的な豊かさへの憧れ、でもそれは物質的に豊かな生活をしているからこそ思えること? 本当にそれを捨てられるのか? 林太郎はそれはできないだろうと考えた。
大きな風車ではなく小さな風車 シンクグローバル、アクトローカル
援助することの本当の意味、本当の役割
林太郎とアユミの幸せで信頼のあるラブラブ関係(笑)。
ネパールか、一度行ってみたい
森介の冒険はまあいいとして、そのあとの埋蔵経を運ぶ旅はちょっと蛇足? それほどのエピソードもなく、ダライ・ラマに会ったことでなにかが起きたわけでもなく。
プロジェクトは順調にスタートを切り、帰国した父子を待ち構えたアユ