池澤夏樹のレビュー一覧

  • 文明の渚

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    い図。2017/8/22
    ◆引用
    ・p32…日本から一番遠い都市として、アルゼンチンのブエノスアイレスに行くと考えてみましょう。あそこまでは16,000kmあります。今の大きな旅客機ならば一度に飛べる距離です。その時に飛行機に積み込む燃料が160トン。もし同じ熱量を原子力で賄うことができるとしたら、消費する燃料は10グラムちょっとです。それが7桁の違いということです。「だから原子力はすばらしい」と彼らは言う。しかしぼくは、「だから原子力はおそろしい」と言います。

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    2017年08月22日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    タイトルはビジネス系のようだが、小説家の「知のノウハウ」なので半分以上が読書に関する内容であった。
    本書が陳腐化しているというよりも、この手の本を何冊も読んできたせいか、新鮮味がなくなってきた。本質的なところは、共通しているところが多いということだと思う。

    ・人間にはもともと知的好奇心がある。「知りたい」しいという気持ちが、人を動かしている。身体が食べることで新陳代謝を行うのと同じょうに、脳の中は、知的な食べ物の摂取と不要なものの排出によって常に新しくなっている。その入れ替えを意識的に行いたい。生きるためには、軽い順に一「情報」、ニ「知識」、三「思想」が必要だと考えてみよう。
    ・「情報」はそ

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    2017年07月01日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    元々、読書術とか知の技術という類の本は好きである。著述家の楽屋を覗き見するような感じで、また、そこから自分の本読みに生かしていくことにもつながる。実は著者の小説は読んだことがないが、時評や書評から興味を持ち、楽屋を覗かせてもらった。やはり新聞の意義と書評についての論が一番面白く読めた。最後に印象に残った一文、「生きるためには、軽い順に、一、情報、二、知識、三、思想、が必要だと考えてみよう」

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    2017年05月07日
  • 氷山の南

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    面白かった。氷山を曳航する船に密航した少年の冒険と成長の物語。
    池澤氏の文体が短く簡潔で心地良い。
    さまざまな人に出会って、いろんな人の話を聞いて、行く先々でさまざまな体験をする様子は、まるでRPGのよう。
    それぞれのエピソードがつながっているわけではないので、次はどうなる?といったハラハラドキドキはないが、それが却って少年の日々の成長を間近で見ているように感じる。
    いろんな人がいて、いろんな意見があって、世界はできている。
    2017/04

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    2017年04月02日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    芥川賞作家、書評家にして、個人で世界・日本文学全集を編集する著者の知のノウハウ。
    新聞、本、書店、時間、取材、アイデア、語学に関する著者なりのノウハウや矜持。
    特に書評について全く知らなかった世界に触れさせていただいた。
    ノウハウとしては、著者固有の部分も大きく、個人的に有用な情報とは感じられなかった。
    17-33

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    2017年03月03日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    混迷深まる現代を知的に生きていくためには、「情報」や「知識」だけではなく、さらに深い「思想」が必要だ。それをいかにして獲得し、更新していくか。自分の中に知的な見取り図を作るための、新聞や本との付き合いかた、アイディアや思考の整理法、環境の整えかたなどを指南する。小説だけでなく、時評や書評を執筆し、文学全集を個人編集する碩学が初めて公開する「知のノウハウ」。

    新聞書評の現場が興味深い。

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    2017年02月16日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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     作家で詩人の著者による知の活かし方。いろいろ情報が飛び交い何が真実で何がフェイクニュース(うそのニュース)か分からない今という時代を生き抜くための参考にと思って読んでみた。



     池上彰も述べているが、ネットのニュースだけでは不十分で紙の新聞も読むことを説いている。インターネットはそれぞれのニュースを素早くとらえるのには向いているが、全体像をつかむのには新聞のほうがよいと述べている。


     本の手放しかたと言う1章があるのが印象に残った。本を買って読むとたまっていく一方で預金と違って利子がつくわけではなく、ただ部屋が狭くなっていくだけ。ストックの読書とフローの読書と言う考え方を示している。

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    2017年02月05日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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     こういうノウハウの本は、ときどき読みたくなる。
     取り入れるためではなく、自分のやり方を見直すために。
     この本の場合、「信念」が伝わってくる感じで良かった。

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    2017年02月05日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    題名に“仕事術”とあるが、著者は小説家なので、本書の個々のノウハウが一般的かといえばそうとは言えないかもしれない。
    しかし、「情報、知識、(それから思想も)」をいかにして獲得し日々更新していくかについての著者が取り組み方に、自分ももっと日々の生活と仕事のやり方に工夫を凝らさねばと刺激される。

    新聞を読んで今の世界がどのようになっているか世界の見取り図を自らの頭の中に作る、乗り物での移動中はスマホを見ずに本を読む、などの基本姿勢に共感したり反省したり。また、本の手放し方にルールを決める、などはこれまであまり考えたことがなかったので、そう思って日々の生活と仕事のやり方を点検すれば工夫は無限大に思

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    2017年01月21日
  • 南の島のティオ

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    「ティオの夜の旅」(合唱曲)と関係があるのかなーと思って今更ながら読みました。
    ティオはでてくるけどそんなに密接な関係はないみたい。
    どうやら詩が先にできたらしいですね。
    小説にはフェアリ・メイも出てこないしローラ・ビーチもありません。

    合唱曲の詩のほうがなかなかに電波……なので、小説はどんな感じなのかと思いましたが優しいすこし・ふしぎなお話ばかりでした。
    短編集だから一気読みもできますけど、そうはせずにちょっとずつ読み進めていきたい本でした。
    電車に乗ってるときとか、こたつにはいってもぞもぞしてるときとか、そういうときにちょっと手に取りたい本ってありますよね。

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    2016年12月29日
  • 古事記

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    内容はいわずもがなの驚愕の世界観。それがぐっとわかりやすくなった現代語訳、またページ構成、編集者としての池澤夏樹にも感服。しかし、原典主義者としては、やはり岩波古典大系が欲しいかな・・・。

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    2016年09月06日
  • 古事記

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    古事記はそれこそマンガから始まって簡単なものはいくつか読んでストーリーは知っているけど、全部は読んだことなかったから、これで「全部読んだ!」と思えて嬉しい。笑
    で、全部読んだ感想は、系図が長い、ということ。正直そこは飛ばし読みだが、人名とか文章が読みやすくて良かった。そして注釈が面白い。ストーリーはもともと面白いし。

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    2016年07月18日
  • 南の島のティオ

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    読み心地がとてもよかった。

    南国の少年ティオを中心に展開する不思議で、時には恐ろしく、時には優しい物語。

    だけど、この本を通して読んで、一番心に残るのは、昔に失ってしまった何か思い出すような切なさだった。

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    2016年07月01日
  • 南の島のティオ

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    この本のおかげで、週末を幸せな気持ちで過ごせました。
    ひとたびページを開くと、南の島にひとっ飛び。
    魔法が、精霊が息づく、どこか懐かしい10編の物語です。

    きっと、昔はどこもこんな風に見えないものが信じられていたんでしょうね。
    文明が発展して便利になる一方で、失われてしまったものもたくさんあったのだと思います。神様がいて、精霊の声を聴く人がいて、生命の息吹を感じられる。魔法だって信じられる。そんな世界の存在自体が、こんなにも自分を癒してくれるなんて。

    「絵はがき屋さん」
    受け取った人は、必ず来たくなる。
    そんな魔法のような絵はがき。ものすごく、わくわくしませんか?
    ピップさんが語る渡り歩い

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    2016年04月17日
  • 春を恨んだりはしない 震災をめぐって考えたこと

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    あの日から忘れられない記憶…

    東日本大震災の被災地を巡り、被災者に触れ、著者が想うこと、考えたことを綴った作品。鷲尾和彦による写真も収録。震災から半年後に出発された単行本の文庫化。文庫化にあたり、『東北再訪』を収録。

    あの日からの記憶が蘇り、あらためて、あの日のことについて考えるきっかけになった。

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    2016年02月09日
  • 終わりと始まり

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    実は、池澤夏樹さんの小説を読んだことがない。
    ただ、朝日新聞に掲載される著者のエッセイは、いつも楽しみにしている。
    タイトルの『終わりと始まり』はポーランドの詩人による詩作『終わりと始まり』に由来する。

    戦争が終わるたびに
    誰かが後片付けをしなければならない
    物事がひとりでに
    片づいてくれるわけではないのだから

    この詩の、『戦争』をいろいろな言葉に置き換えてみると、いろいろなことが見えてくるし、感じられる。共感し、反発し、もう一度考えてみる。

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    2016年02月14日
  • 詩のなぐさめ

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    両親がマチネ・ポエティックの詩人(福永武彦と原條あき子)であり、自身詩人でもある小説家が、岩波文庫の中に収められた詩を材にとって、気ままに想像の翼を広げ、そこから思いつく異なる時代、異郷の詩人の詩との思いがけない出会いを綴ったもの。詩の鑑賞の手引きであり、批評であり、詩にまつわるエッセイでもある。こういう本は、小説なんぞとはちがって、読み終わった、などといいたくない。手元に置き、折にふれて読みかえすことこそふさわしい。

    そういえば、福永武彦には『芸術の慰め』という、西欧の絵画、画家について論じた一書がある。その巻頭で福永は、「題名は如何にも物々しくて、ボエティウスの『哲学の慰め』とかジョルジ

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    2015年12月23日
  • 古事記

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    池澤夏樹氏の「古事記」です。
    本当は積読リストに、人気作家三浦しをんさんのお父様である国文学者の三浦佑之氏の「口語訳古事記」が先にあったのですが、パラパラめくったら躊躇してしまい、池澤版を先に読んでしまいました・・・(本書の解題を書いていてびっくり)

    これまでも何冊か超訳的なものや紀記合わせた解説本を読んできたこともあり、意外とすんなり世界に入ることは出来ました。
    とはいえ、きっちり最初から最後まで古事記だけを訳されたものを読むのは初めてだったので、新たな発見があり楽しめました!

    まず、もともと古事記は帝紀としての役割があり、多くの氏族の祖先としてたくさんの神を設定し、天皇を中心とする権力

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    2015年08月05日
  • 夏の朝の成層圏

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    ここではないどこかへたどり着いた彼。
    つむぐ物語は無人島でなんとか生をつなごうとするところから、いずれ戻らなければならないところへたどりつくまでの休暇。

    あとがきの池澤夏樹は「境界を描く作家」というのが心に残りました。

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    2015年11月12日
  • 古事記

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    脚注に時折池澤氏のつっこみが入るのが楽しい。
    読みやすくはあったけど、じっくり読み通すのはなかなか骨が折れる。もう一度じっくり読んでみたい。

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    2015年05月15日