池澤夏樹のレビュー一覧
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ネタバレタイトルはビジネス系のようだが、小説家の「知のノウハウ」なので半分以上が読書に関する内容であった。
本書が陳腐化しているというよりも、この手の本を何冊も読んできたせいか、新鮮味がなくなってきた。本質的なところは、共通しているところが多いということだと思う。
・人間にはもともと知的好奇心がある。「知りたい」しいという気持ちが、人を動かしている。身体が食べることで新陳代謝を行うのと同じょうに、脳の中は、知的な食べ物の摂取と不要なものの排出によって常に新しくなっている。その入れ替えを意識的に行いたい。生きるためには、軽い順に一「情報」、ニ「知識」、三「思想」が必要だと考えてみよう。
・「情報」はそ -
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作家で詩人の著者による知の活かし方。いろいろ情報が飛び交い何が真実で何がフェイクニュース(うそのニュース)か分からない今という時代を生き抜くための参考にと思って読んでみた。
池上彰も述べているが、ネットのニュースだけでは不十分で紙の新聞も読むことを説いている。インターネットはそれぞれのニュースを素早くとらえるのには向いているが、全体像をつかむのには新聞のほうがよいと述べている。
本の手放しかたと言う1章があるのが印象に残った。本を買って読むとたまっていく一方で預金と違って利子がつくわけではなく、ただ部屋が狭くなっていくだけ。ストックの読書とフローの読書と言う考え方を示している。 -
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ネタバレ題名に“仕事術”とあるが、著者は小説家なので、本書の個々のノウハウが一般的かといえばそうとは言えないかもしれない。
しかし、「情報、知識、(それから思想も)」をいかにして獲得し日々更新していくかについての著者が取り組み方に、自分ももっと日々の生活と仕事のやり方に工夫を凝らさねばと刺激される。
新聞を読んで今の世界がどのようになっているか世界の見取り図を自らの頭の中に作る、乗り物での移動中はスマホを見ずに本を読む、などの基本姿勢に共感したり反省したり。また、本の手放し方にルールを決める、などはこれまであまり考えたことがなかったので、そう思って日々の生活と仕事のやり方を点検すれば工夫は無限大に思 -
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「ティオの夜の旅」(合唱曲)と関係があるのかなーと思って今更ながら読みました。
ティオはでてくるけどそんなに密接な関係はないみたい。
どうやら詩が先にできたらしいですね。
小説にはフェアリ・メイも出てこないしローラ・ビーチもありません。
合唱曲の詩のほうがなかなかに電波……なので、小説はどんな感じなのかと思いましたが優しいすこし・ふしぎなお話ばかりでした。
短編集だから一気読みもできますけど、そうはせずにちょっとずつ読み進めていきたい本でした。
電車に乗ってるときとか、こたつにはいってもぞもぞしてるときとか、そういうときにちょっと手に取りたい本ってありますよね。 -
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この本のおかげで、週末を幸せな気持ちで過ごせました。
ひとたびページを開くと、南の島にひとっ飛び。
魔法が、精霊が息づく、どこか懐かしい10編の物語です。
きっと、昔はどこもこんな風に見えないものが信じられていたんでしょうね。
文明が発展して便利になる一方で、失われてしまったものもたくさんあったのだと思います。神様がいて、精霊の声を聴く人がいて、生命の息吹を感じられる。魔法だって信じられる。そんな世界の存在自体が、こんなにも自分を癒してくれるなんて。
「絵はがき屋さん」
受け取った人は、必ず来たくなる。
そんな魔法のような絵はがき。ものすごく、わくわくしませんか?
ピップさんが語る渡り歩い -
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両親がマチネ・ポエティックの詩人(福永武彦と原條あき子)であり、自身詩人でもある小説家が、岩波文庫の中に収められた詩を材にとって、気ままに想像の翼を広げ、そこから思いつく異なる時代、異郷の詩人の詩との思いがけない出会いを綴ったもの。詩の鑑賞の手引きであり、批評であり、詩にまつわるエッセイでもある。こういう本は、小説なんぞとはちがって、読み終わった、などといいたくない。手元に置き、折にふれて読みかえすことこそふさわしい。
そういえば、福永武彦には『芸術の慰め』という、西欧の絵画、画家について論じた一書がある。その巻頭で福永は、「題名は如何にも物々しくて、ボエティウスの『哲学の慰め』とかジョルジ -
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ネタバレ池澤夏樹氏の「古事記」です。
本当は積読リストに、人気作家三浦しをんさんのお父様である国文学者の三浦佑之氏の「口語訳古事記」が先にあったのですが、パラパラめくったら躊躇してしまい、池澤版を先に読んでしまいました・・・(本書の解題を書いていてびっくり)
これまでも何冊か超訳的なものや紀記合わせた解説本を読んできたこともあり、意外とすんなり世界に入ることは出来ました。
とはいえ、きっちり最初から最後まで古事記だけを訳されたものを読むのは初めてだったので、新たな発見があり楽しめました!
まず、もともと古事記は帝紀としての役割があり、多くの氏族の祖先としてたくさんの神を設定し、天皇を中心とする権力