池澤夏樹のレビュー一覧
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2018年に高志の国文学館(富山)で開催された「堀田善衛特別展」に際してのインタビュー、5つを収める。以下は気になった4つ。
「堀田善衛が旅したアジア」――ジャーナリスト、吉岡忍から見た堀田。堀田はアメリカを描かなかった。それがなぜかを論じている。(余計なひと言も書いてある。「あの司馬遼太郎さんだってアメリカ紀行があります」。)
「「中心なき収斂」の作家、堀田善衛」――なぜゴヤやモンテーニュに憑りつかれてしまったのか。仏文学を専攻したこととの関係を、同種族の鹿島茂が語っている。
「堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤」――20歳の頃からの熱狂的ファンの宮崎駿が『方丈記私記』について熱く語っている。これだけ講演録。
「堀田善衛のスペイン時代」――スペイン美術史の大髙保二郎、同行することが何度かあった。その時の堀田夫人の立ち振る舞いのことを書いている。しかもサルバドール・ダリの奥さんと比べている。うーん、ガラかよ。 -
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子供の頃から名前だけは知っているけど読んだことの無い本!というイメージ。
きつね?星?王子様?なんの繋がりがあるの、、、?ふわふわファンタジー?と思いながら購入。
きっと読み終わる頃には心がフワンフワンと優しい気持ちになるような可愛い話なんだろうな〜あんなにグッズ出るくらい売れてるんだし!…くらいの気持ちで読み始めた本書。
読後。
子供の頃に読んでおけばよかった…と思うものの、きっとあの頃の自分が読んでも、何も分からず「花がしゃべってる〜」と鼻垂らしながらエヘエヘ言って本を置いて公園に走り出していそう。それも良い。
そう思うと共に、こういうお話しを読んで考える事ができる大人になれて良かったなと思う。ママンありがとう。
ちなみに、最近ガチャガチャで星の王子さまが出ているのを知り勢いで回した。
私のスマホには可愛い王子様がぶら下がっているよ^^ -
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お二人の尋常ならぬ多読っぷりにたじたじ。
少年小説もSFもミステリーもあまり読んでいないわたしには知らない本が多かった。
唯一興味が重なりそうな児童文学でさえ読んでいないものが多く、さらにわたしの好きな少女小説はちょっと苦手、とのことで…時々知っている本が登場する程度だったけど(ケストナーとかサンテクジュペリとか)、やっぱり本について語られるのを読むのは楽しい。
p40 宮沢賢治の「貝の火」や「土神と狐」jは今はわからないけど、いずれわかるだろうって思いながら読んでた、とか、わかるなあ、と。
春菜:『銀河鉄道の夜』でいえば、河原のサンタクルスの火を見て、「みんなあそこへ行くんだ」ってつぶやく箇所。印象的なのに、何が描いてあるのかわからない。とても美しいものが描かれている気がするのだけど、それが何かはっきりとは理解できない。
夏樹:「すごいらしいけど、よくわからない。また来よう」。で、いったん去る。それを繰り返す。
春菜:じつは『星の王子さま』もそう。(略)読み終えるたびに「また三年後くらいに戻ってこよう」と思う。
(略)
春菜:奥のほうに何かがあるのに、「ここから先にはまだ行けない」という感覚がいつもあって、まるで、一見さんお断わりの「注文の多い料理店」みたい。「次に来たときは扉が開くかな」と思いながら読み続ける。そんな作品。
日本はSF翻訳大国だそうで、「ウィンターミュート」という作品について、春菜さんが「あれを英語で読まなきゃいけない人は損しているとすら思う」と言っていたのが面白いなと。さらに父親の夏樹さんが「シェイクスピアと一緒だ。イギリス人は原文でしか読めない」と。翻訳が原文を凌ぐほど素晴らしいとは!(わからないでもないけど、何てこと!)
夏樹さんが父親の福永武彦について語るp160以降はとても興味深く貴重。
◎池澤夏樹が選ぶ福永武彦の三冊
『深淵』(『池澤夏樹=個人編集 日本文学全勝17』河出書房新社収録)
『世界の終わり』(同)
『廃市』(同)
「今は父の一族のことを書くべく準備を重ねている。九州北部から得て多くの実績を上げた聖公会の信徒たち。」とのことで、出版されたら読みたいな。 -
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ネタバレ「銀河鉄道の夜」が好きなら好きになるだろう、日没時の不思議な色の柔らかい雲のような文章。名著故に様々な名シーンが沢山の人々に取り上げられている本書だが、私が印象に残ったのは以下。
飛行士のボアの絵の話で始まったこの物語は、中盤、王子様がバラの咲き乱れる庭園に着いて、“それから彼はこう考えた――特別な花を1本持っているから自分は豊かだと信じていたけれど、 ぼくが持っていたのは普通の花だった。(中略)これだけじゃぼくは立派な王子とは言えない・・・・・・草の中に倒れて、彼は泣いた。”(P93~94)
ここを読んで、ああ、わかるなあ、子供から少し大人になる頃、あるいは子供でいることが少し長くなって無理が来た頃に、私もこんなふうに悲しい思いをした気がする。あのなんとも言えない失望がこうも鮮やかで奥行きのある詩的な言葉で顕されているなんて、こういうことがあると名著だよな、と思うとともに何か勝手に共感された気持ちになって嬉しくなるのだ。
この物語は全体を通して、童心(子供の純粋な視点、価値観)と“心で見る”(P104)ことへの讃歌だと感じた。では上記のような失望に作者はどう答えたか?
そこで、そのすぐのちのキツネの話をとおして、王子様は「飼い慣らす」ことを知る。
“「きみがバラのために費やした時間の分だけ、バラはきみにとって大事なんだ」”(P104)
更に、転轍手とのシーンがすぐ後に続く。
“「子供だけが自分が何を探しているか、知っているんだ」と王子さまは言った。「ぼろきれの人形と時間をかけて遊ぶから、だから人形は大事なものになる。なくしたら、子供は泣くんだ……」”(P106)
「時間をかける」……単に言葉にすると簡単になってしまうけれども、本書に「時間をかける」とこの言葉に無限のニュアンスや含みを感じ取れる。
ところで、今回は「難解」「意味不明」との世間評に身構えながらこの年齢で初めて読んでみたのだった……。が、思ったほど、(そういう意味で)ひどい話ではなかった。
何か本を「ちゃんと読む」なら、作者の生い立ちみたいな情報が……海外の文学は特に、向こうの文化や時代背景や比喩への知識を求められる事がある。(それがないと通読しても、まるで歯抜けに読んだようになるような話も少なくないと思う)でもこの話で私が(私の知識が浅いだけかもしれないけど)その力を使ったのは「点灯夫」「転轍手」と言われてピンとくる、という程度のことだけだった。しかも、これは単にスムーズに読める以上の意味もさして、ない。むしろ作者はそういう読み方は「大人の読み方」って思うんじゃないか?そして、その必要のない書き方をしているんじゃないか。そういう意味でもなるほど、たしかにこの話は「小学校高学年」で適齢だと思った。
最後に王子様の体まで消えてしまったのは、王子様そのものが飛行士の見た幻だったのか?それとも?に対する私の解釈は、本当に、“そんなに重い身体ではなかった”(P134)から、飛行士の知らない間に体も取りに戻ったに違いない。王子様は、王子様の薔薇のために責任をもって、死を覚悟するくらい勇気を出したし、飛行士も無事に帰ったって言っているんだから。……私の心の中の子供がそういうハッピーエンドがいい、と言っているので。 -
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本好きな池澤父娘の仲の良さが伝わってきて、楽しげで微笑ましい。
児童文学から始まり、SFやミステリへと話が広がって行って、私の好みのジャンルであったこともあり、これは読んだことがある、それはまだ読んでいないという感じで二人の話に入り込み易かったのも良かった。
翻訳本にはあまり食指が動かない私だが、「翻訳物は確実に面白い。訳者が翻訳して日本で出版する時点で、すでに高いハードルをクリアしているわけで、よほどでない限り外れはない」という発言を読み、読んでみようかなと心動かされる。
子どもの頃の私の愛読書だった坪田譲二が「今ひとつ切れ味が悪い」と評価が低かったのには苦笑した。
「人間そのものに対する関心が薄い」という夏樹氏の発言がったが、だから氏の作品が好きなのかなと思った。 -
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古事記を一度ちゃんと読んでみたいと思っていたけれど、いろんな訳が出ている中で、この池澤夏樹さん訳、三浦佑之さん解説の古事記は読みやすく、理解しやすかった。
子供の頃絵本で読んだヤマタノオロチや因幡の白兎が実際は、こういう神様達の物語だったんだという気付きと、アマテラスからの歴代天皇のつながり、多くの神々の名前、その関係など、知れば知るほど面白い事ばかり。三浦さんが書かれているように、古事記を読む事は以前、戦争協力体制に利用された事もあって、誤解され、敬遠されていたけれど、今の私達は、純粋に神話や天皇の事績を記した歴史書として楽しみたいと思う。
上中下巻の三部からなっている古事記は、古代の人々にとって、哲学であり、教訓であり、歴史、科学、規範、文学であったという説には賛成。登場する多くの神々の行動は驚く事ばかり。これらの神々は全国各地の神社で祀られていて、アマテラスが伊勢に祀られた由緒や大神神社に祀られた大物主大神、出雲大社に祀られた大国主命などの物語を読むと、神社巡りをしながらいにしえの神様達に会いたいと思う。 -
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ある星の汽車、銀河鉄道の夜と読んで星の王子さまの順序で呼んでいると、小さい頃私の実家のお風呂が外風呂で風呂上がりに夜空を眺めながら隣町を走る電車の音を聞いたことを思い出します。果てしなく広がる星の世界やお月様が大好きで良く眺めています。自然淘汰され消えていく生き物の話、死んでしまい銀河に旅立つ話、そして何かを探して旅する小さな王子様の話。それらを読んで人生が終わった時に次は銀河の世界に旅立つんだと思うとなんだか素敵なことに思えてきて死ぬことへの怖さや不安を消してくれます。星の王子さまは旅するうちに自分の住む星に守るべきものがあったことを再認識し、自分の星に帰って行きます。今いる所や今の状況に不安があったりこんなはずじゃないと思った時、その場所を離れて俯瞰で眺めて見ると、やるべきことや守るべき物や人がある事に気付かされる。そんな事を気づかせてくれる本でした。