池澤夏樹のレビュー一覧

  • 真昼のプリニウス

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    長い手紙。長いだけで直接的なメッセージがない、そんな手紙が読まれるシーンはなんだか村上春樹の「ねじまき鳥」が思い出されました。(いきなり関係ない作者出してすみません)

    この作品では前述した手紙をはじめ江戸時代の女性の物語や「シェヘラザード」用のエピソードなど物語の中で物語が突然、そして何度も語られます。なんだこれ、ごっちゃごちゃの短編集みたいだな、と思いながら読んでいたのですが、主人公が意識を変化させていく中でそれらの物語の効果が理解できて、わぁすごいと感動しました。

    なるほど池澤さんのテーマは一貫していたんですね。言葉からなる物語や神話からでしか物事を見ようとしないことへの反発とその「言

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    2012年07月19日
  • すばらしい新世界

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    世界のある部分を切り取って、手のひらにのせて見せてくれる小説。
    (バルザックか!)
    読むのに時間がかかったけど、飽きることはなかった。
    現実に対する問題提起と小説というものがきちんと融合していて、すごく良かった。

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    2012年06月28日
  • 夏の朝の成層圏

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    池澤夏樹のなかでも最もすきな本。
    皮膚に迫ってくるようなリアルな自然。夢中であっと言う間に読み終えました。

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    2012年06月12日
  • 電子改訂版 沖縄からはじまる

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    県知事の大田昌秀と作家の澤夏樹との対談である。単なる言葉のやりとりではなく、大田知事が自分でいろいろと調べ、アメリカに訪問して沖縄の米軍に対する政治家の意見を述べている。
     読んでいるうちに対談を忘れるようなものである。中身が濃い。

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    2012年04月08日
  • 異国の客

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    池澤さんのことばを借りると、「カジュアルなファシズム」。今の日本の国民の思想や思考のあり方を形容するのに、これほど的確な表現は無いだろう。
     2000年代に起きた様々な国際問題を、近代以降の歴史の延長に見ると同時に、この時期自身が移住したフランス、フォンテーヌブローを中心としたフランスの現代社会事情と日本のそれとを対比させる。こうした比較を踏まえた上で、私たちの身の回りに立ち返ると、この国を今なお蝕んでいる、抗いがたい負のエネルギーの本質が見えてくる。

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    2012年03月02日
  • 真昼のプリニウス

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    世界を理解するためにはどのような態度をとるべきかのヒントになる。自らに都合のよい部分を切り取ってつくりあげた物語や神話に(宗教もそうかも)、居心地の良さを求めるか、あるは己の好奇心を原動力とする自然科学的探究の行動を実践するのか。後者を選ぶときにはプリニウスや野ウサギの運命のような過酷さを受け入れる覚悟が必要だということ。その覚悟をきめ、行動することを選ぶ火山地質研究者・頼子の逞しさ。

    頼子の意識が、ハツの手記、壮伍の手紙、戸井田教授、神崎、門田との交流を通して研ぎ澄まされていくのが、この小説の醍醐味だろう。浅間山が舞台となる印象的な終幕。読後の余韻が深い。

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    2012年01月22日
  • 夏の朝の成層圏

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    初版は1990年、著者の小説デビュー作。
    内容の概要を書いてもいいのだけれど、それを書いてしまうとこれから読む人たちのあの最初の印象を奪ってしまうことになるので、伏せておいた方がいい気がする。
    そうなるとここに書くことは、一体どういうものがいいのだろう。わたしの、漠然とした、自分にしかわからないイメージや浮かんだ言葉の列挙か、もしくはどこかの引用か?

    とにかく、淡々とした描写の中に、具体的なものと漠然としたものが混在し、主人公の思考も、その思考の移り変わりも、かなり鮮明になって頭の中に浮かび上がる。
    小説としてもすごくおもしろかったけれど、お金以外で量る幸福度を考えるのにもいい本じゃないかと

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    2011年09月24日
  • 夏の朝の成層圏

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    ネタバレ

     無人島に漂着した青年のお話。
     最初ロビンソンクルーソーのような物語かとおもいきやSFのようでもあり、実は現代のお話である。

     自分の身に起こりえない設定なのだが、読み進むうちに「そうなったらこう思うかも」と思い始めてくるのが怖いところだ。
     万人向けにすすめられるかと聞かれると悩むけど、個人的に面白かった。

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    2011年04月06日
  • すばらしい新世界

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    今、地球が抱えているさまざまな問題をいろいろな角度から天野家の物語に盛り込んであり、とても読み応えがあった。集中ではなく、分散。大規模ではなく、小規模。視点を変えて考えてみると、今とは違う道が見えてくる。こんな時だからこそ、読んで考えてみるといいのだと思う。それから、「現場の知」ということと、アユミさんがしきりに言っていたナショナリズムとの距離の置き方。もう少し、自分でもよく考えてみようと思う。それと、森介の新しい学校の担任の先生が言った「変わったところのある、おもしろいお子さんですね」というひとことが印象に残る。そんな感覚を私も忘れずにいたいと思う。

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    2011年03月20日
  • 夏の朝の成層圏

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    すごくすきだ。この透明感。
    いざという時の道を確保しながらのサバイバルだし、現実逃避気味の楽園ラブな作品かもしれないけど、なぜか惹かれてしまう。
    やしのサバイバル能力が素晴らしい。
    パンの実っておいしいのかな、、、

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    2011年03月18日
  • すばらしい新世界

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    政治も宗教も哲学も科学も、極めてフラットな視点で語られる。

    ちょっと変わった、でも絵に描いたような仲良し家族。
    一枚板ではないNGO。
    利益を追求する企業の論理/ステレオタイプな会社員。
    魅力的なナムリンの人々。

    世界そのものを変えるのではなく、「自分」と「世界」の関係性を変えること。
    個人の視座次第で、ガラリと世界は表情を変える。
    新しい世界とは、そういうこと。

    常識とは、極めて狭い世界での通奏低音なんだと気付かされる。
    本当は世界はとてもシンプルで、複雑にしているのは自分や社会の固定観念なのかもしれない。
    (ルールを作ったのは人間だ)

    良い風が吹いたら、流れに乗ればよいのだ。

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    2010年06月08日
  • 異国の客

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    池澤夏樹のエッセイはスラスラ読めてしまう。でも、ところどころ引っ掛かる言葉や人名、場所があって、その都度メモしたりgoogleで調べたりすることになる。読書という個人的な体験に、自分なりの意味を与えるとしたら、それは間違いなくそんな「引っ掛かり」に出会うことだと考えている。その点、池澤夏樹のエッセイは自分にとって「いい」本だ。

    近年、彼の関心は9.11以降の情勢に向けられています。そのため、この本は著者が沖縄からフランスに移住してから1年程の間の出来事を綴ったエッセーなのですが、そこでの生活に垣間見える出来事や国民性などの向こうに、9.11以降の世界について書かれた文章が多く含まれており、彼

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    2010年01月20日
  • 異国の客

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    池澤さんがフランスへの移住で感じたことを知りたくて。
    あらゆる国が地続きの大陸に住むということが
    どのようなことなのか。考えてあれこれ心動きました。
    ヨーロッパの古い町並みで、駐車事情はどうなっているのか
    前々から疑問でしたが、まさかそんなに苦労が多いとは。
    アスパラガスを食べてみたくなりました。

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    2009年10月17日
  • カイマナヒラの家

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    しつこいですが、この人の本が大好きです。
    あまりにも「スティル・ライフ」が予想外にしっくりどっぷりと、
    なんていうか「海が一緒」みたいな感じで響いて来て。

    これは、池澤さんの本を読みはじめて3冊目の本。
    休暇がほしくて読んだ本。

    サーフィンに出逢ってるだけで、
    その人の人生は半分成功したようなもの。

    なんだって。

    へー。。。



    むっちゃサーフィンしたい!!(笑)

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    2009年10月04日
  • すばらしい新世界

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    <poka>
    読んだあと、なんとも言えないさわやかな、すっきりした気持ちになります。
    分厚い文庫ですが一気に読めました。

    <だいこんまる>
    風車に向かうドンキ?

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    2009年10月25日
  • カイマナヒラの家

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    友人にもらったものです。

    いい波とワーゲンバスといい家がある環境。

    そんなところに厄介になりたいものです。

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    2009年10月04日
  • すばらしい新世界

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     700Pに及ぶ長編小説というだけあって、本当に多くの事柄を含んだ小説。それでいて、読み辛いとかくどいとかいうことは一切ない。むしろ、1章1章に読ませる部分があって、うんうん唸ったり、クスリとほくそ笑んだり、グサっと心に刺さったりする。「やがてヒトに与えられた時は満ちて…」を読んだ時の衝撃も、それはそれで大きなものがあったのだが、この小説もまた違った意味で自分の中に大きく残る小説だった。

     この小説は本当に色んなメッセージを含んでいて、「これはこういう小説だ」と一言で表せるようなものではない。むしろ表そうとすること自体がナンセンスであるほどだ。でも、これほどある意味で欲張りに、詰め込みに詰め

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    2009年10月04日
  • 憲法なんて知らないよ

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    池澤夏樹氏翻訳、英語憲法の日本語訳。
    全くの余談だが憲法は明治、昭和に初めて日本に登場したものと思われがちだが、聖徳太子が七世紀に十七条憲法を発している。「和をもって尊しとする」から始まる十七条と見比べて見るのも面白いかもしれない。

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    2009年10月04日
  • 憲法なんて知らないよ

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    憲法がなんのためにあるのかというまえがきがものっすごっく私に大切なことを教えてくれた。
    にんげんは弱肉強食の世界に抵抗するために憲法つくったんだな。最大の違いじゃないか。
    第9条は本当世界遺産にしたいな!

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    2009年10月04日
  • すばらしい新世界

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    鬼ほどよかった。
    多分今っていうタイミングもよかったんだろうが、私の人生に影響を与える予感がする。
    あーチベットいきてえな。
    次はチベット仏教の本を読もうかな。

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    2009年10月04日