池澤夏樹のレビュー一覧

  • わたしのなつかしい一冊

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    作家、歌人、学者、研究者、翻訳者、評論家、歌舞伎役者等、総勢50名によるコラム。とくに土屋賢二・選『白痴』は、理路整然とした文章に大学の先生らしさを感じ、エッセイとはまた違う顔が見えて良かった。本としては、小島ゆかり・選『光と風と夢』、佐伯一麦・選『ヘンリ・ライクロフトの私記』が気になる。また、中村吉右衛門・選『紫陽花舎随筆』は、とても丁寧な紹介文から生前の姿を思い浮かべてしんみりとした。

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    2022年01月19日
  • 堀田善衞を読む 世界を知り抜くための羅針盤

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    ネタバレ


    第二章 堀田善衛が旅したアジア 吉岡忍
    p52
     これはもう本当に堀田さんの『橋上幻像』の世界です。次々に国家から逃れて、どこに自分の居場所があるんだと探しているうちに、通過してきた言葉どれも自分のものではなくなっている。

    第五章 堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤 宮崎駿
    p152
     ですから僕が漫画を書いたり、何かを書く時にも、これはどういった意味を持っているのか、自分はどこまで見渡してこれを書いているのか、自分がどんなに善良にこれをやりたいと思ってやったことでも、その裏側にどういう意味があるのか、それが自分がどうしてやりたくなったのか、何によって自分は突き動かされているのか、突き動

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    2021年11月08日
  • スティル・ライフ

    購入済み

    佐々井と僕

    バイト先で出会った佐々井という男。
    世の中をどこか達観したような不思議な空気をまとった佐々井と僕の3ヶ月。

    実体を伴わないような佐々井の存在感に不思議な魅力が宿っている。登場人物はほぼ二人だけだが、ほどよい距離感の二人の会話と、洗練された文体が心地よい。

    短いので一日でさらっと読める。

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    2021年11月03日
  • みっちんの声

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    池澤夏樹と石牟礼道子の対談集。池澤夏樹の石牟礼道子に対するひたすらな尊敬がストレートに伝わってくる。池澤夏樹のマシアスギリの失脚を読んだときに、すごく抑制されているように感じたが、そういうものと関係しているんだろうなと読んでいて感じた。石牟礼道子は苦海浄土を途中で断念しているので再度読まないといけないなと気持ちを改めました。。。

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    2021年11月01日
  • 知の仕事術(インターナショナル新書)

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    ネタバレ


     人々が、自分に充分な知識がないことを自覚しないままに判断を下す。そして意見を表明する。そのことについてはよく知らないから、という留保がない。
    はじめに より

    キュウリに似たものを買ってサラダにしようと思ったら食べられない。友だちに聞いて火を通すのだと知った。それがズッキーニとの出会いだった。ギリシャ語では「コロキザキア」といい、アラビア語では「クーサ」と呼ぶ。
    11 語学学習法 より

     マクルーハンが「メディアはメッセージである」と言ったときに人々が気にしていたのは「テレビが出てきて映画はなくなるんじゃないか」ということでした。さらに前の時代で言えば、トーキーが盛んになったことで弁

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    2021年10月08日
  • 夏の朝の成層圏

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    文章がかなり好み。常夏の島の景色や、音や温度が脳裏によぎり、そこに自分も行ったように感じる。大変魅力的な文章。
    彼のように全てを捨ててしまいたくなること、時々あるから、共感しながら読んだ。

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    2021年10月03日
  • わたしのなつかしい一冊

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    好物のブックガイド。タイトルを見て”おっ!”と思い、でも古典が多そうな主旨にちょっと引いたけど、書店で実際に手に取ってみると面白そうで、最終的に入手に至る。予想通りというか、読書欲をそそられた本はほぼ皆無なんだけど、各人の熱い思い入れとか、読んでて興味深かったです。

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    2021年09月10日
  • ワカタケル

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    久しぶりに小説を読んだ。前半の盛り上がりが後半失速する感じがちょっと残念。
    本書と関係ないですが、たまたま手に取った本が妻と一緒でなんでウチに2冊あるんだ?という話になった。妻と同じ本を読んで色々話ができる幸せを味わいました。

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    2021年08月19日
  • ぜんぶ本の話

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    本が大好きな親子の対談本。知らない本の名前がいっぱいでした。
    当然の如く読んでる御二人の読書量には舌を巻きます。
    ふたりして毒を吐いてるところ、ミステリオタクの会話みたいで良かったです。

    「とにかく一度書いて、しばらく放っておくといいよ。半年くらい置く。そのあと、読み返すと、きっと欠点が見つかるから。そこからどうするか、考えればいい。」
    この考え方は何事にも共通しますね。

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    2021年08月17日
  • ぜんぶ本の話

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    児童書、少年小説、SF、ミステリー、そして「作家の父を持つこと」について、父娘が初めて語らった対談集。


    春菜さんが学校の図書室の本を読みきって「転校したい」と言った伝説を持つのも頷けるほど、二人の児童書知識がものすごい。私は岩波ようねんぶんこ及び岩波少年文庫とは縁遠く、挙げられている本のなかで読んだことがあるのはダールくらいだった。幼い頃から日本の作品より海外のものが好きだったというところは共感。子どもの本に詳しく、けれど読書傾向に口出ししない両親がいるのは羨ましい。
    二人が今の職業に行き着くまでを語った最後の章も興味深かった。福永武彦と原條あき子のあいだに生まれ、女であるがゆえにキャリア

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    2021年05月26日
  • ワカタケル

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    日本文学全集の「古事記」の全訳が、池澤夏樹の日本古代史正篇としたら、これは日本古代史列伝だろう。小説とは違う、というものを池澤夏樹は目指した。自らが稗田阿礼の如き語部となし、現代の考古学的成果を少しだけ取り入れながら、綿々と「伝えられてきた」神話を語って見せた。だから近代小説の持つドラマトゥルギーや研究書の持つ歴史的な正確さは無視する。

    何故ワカタケル(雄略)だったのか。おそらく、古事記の中でも比較的研究が進んでいて、現代の著者の中に豊かにイメージが湧いたのだろう。ホントは最も語りたかったのはヤマトタケルなのに違いないが、それは本書の中で「既に神話となった物語」として生き生きと語られる。

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    2021年05月08日
  • 南の島のティオ

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    豊かな自然と精霊の息づく島の、
    透明な、絵はがきみたいな短編集。

    見たことがないはずの美しい景色が鮮明に、
    なぜか懐かしく思い浮かぶような、
    原風景のような作品でした。

    それにしても、精霊とか南の島とか、
    そんなに馴染みやすい舞台設定ではないはずなのに
    なんでこんなにすっとはいってきて、
    心地よく馴染むのか。

    子供を読者として想定している池澤さんの作品、
    すごい好きだ。

    風景描写もさることながら、
    登場人物のおおらかさ、あっけらかんとした感じも
    さっぱりと心地よい。

    “たぶん勇気というのは男らしさや元気や
    無謀な冒険心とはまるで違うもので、
    ひょっとしたら愛と関係があるのかもしれない

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    2021年05月05日
  • されく魂 わが石牟礼道子抄

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    石牟礼さんの三回忌を前に、インタビュー集「みっちんの声」と共に出された石牟礼道子論集。池澤夏樹をしても石牟礼さんは掴みきれないという無力感が感じられて好ましい一冊。おそらく同じように不足感を感じたであろう米本浩二の評伝を立てているのも同じ志と失意を共有する仲間のようで好感がもてる。それにしてもやはりいくら言葉を費やした石牟礼論であっても、石牟礼さんの一行の引用にはかなわない。

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    2021年04月18日
  • ぜんぶ本の話

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    とてもディープな読書対談でした。かっちりと手応えのあるものをたくさん読んできたお二人の姿がくっきりと見えてきます。親子ですけれど、すごく対等な、ちょっとドライな仲の良さも、嫌味がなくて好感が持てます。一箇所だけ、他の方に対して「あれ?ちょっと上から目線??」と、どきっとした箇所があり、読んだ私の感じ方が過敏だったかなと思うので、もう一度時間を置いて読み直すつもりです。こちらがある程度の読書量がないと楽しめない本なので、知らないことが出てきても、ふむふむと気軽に読んで、こちらの読書量を底上げしましょう。

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    2021年03月10日
  • ワカタケル

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    ネタバレ

    日本の第21代天皇、雄略天皇(仁徳天皇の孫)の物語。
    天皇の系譜では、ここからが実在の天皇と言われているようです。ワカタケルや巫女の井ト、皇后となるワカクサカ、みな生き生きとして、リアリティがあります。
    権力の座を手に入れるため、ライバルを次々と殺すワカタケル 。しかし、国を一つにまとめあげるには彼の持つ力が必要でした。日本は、彼によって国家が始まったとされています。
    葛城の亡霊と語り、使いの狐と言葉を交わすワカタケル 。現実と神話が神話が溶け合って、特別な世界観が生み出されています。
    小説なので全てが真実ではないけれど、この時代の「大王」(おほきみ)の概念や、「巫女」のもつ力の現れ方などは分

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    2021年01月18日
  • ワカタケル

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    恐らく記紀の記述に基づいて書かれたと思うが、神話の不可思議さ、古代日本のおおらかで野卑な雰囲気がよく表れた物語となっている。

    ワカタケル(雄略天皇)の4代後の武烈天皇に直系がなく、5世代遡った応神天皇の5世孫である継体天皇が継ぐなど、この頃には天皇制が定着していることを示唆するように思えるが、現代皇室承継の参考例にもなる気がする。

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    2020年11月17日
  • ぜんぶ本の話

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    中学校のお友達のキヨちゃんのお父さんが半村良だった、というエピソードに「へぇ」3つ。
    (キヨちゃんは苗字の略だったようで)

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    2020年10月28日
  • ワカタケル

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    ネタバレ

     日本経済新聞の連載で読んでいた。早く一冊の本になってまとまらないかと楽しみにしていたが、1年も経ってようやくだ。『日本文学全集』の編纂作業と並行して大変だったのかな。
     その全集の完結に寄せてと、出版社のフライヤに、日本人の性格の要点を知ったと、著者は以下の3つを挙げている;

    一、自然すなわち神々への畏怖の念
    二、常に恋を優先する生き方
    三、弱きものに心を寄せる姿勢

     そして、「今、ぼくたちはこういう日本人ではなくなってしまったかもしれない」と。

     そんな思いも汲みながら、本書を振り返ると、原日本人への回帰の思いが感じられる気もした。ちょうど、平成から令和へと、生前退位が成って、皇位継

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    2020年10月11日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    古典文学を訳すにあたり、作家たちがどう読み取って現代語訳に落とし込んだか、その思考の一端に触れることができる。
    訳された作品だけでも面白いが、本書も合わせることでより読み易くなったと感じる。
    是非一緒に読んでもらいたい。

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    2020年10月07日
  • 古事記

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    ページの下部に脚注が詳細に付いており、訳者に「ほらここ、これはこういう解釈で」「ここはちょっと意味わかんないよね」みたいな解説をしてもらいながら読んでる気分になる。名前の羅列も、ただの羅列に終わらず、読み進められました。古事記の無秩序さが魅力的にも見えてくる。

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    2020年09月03日