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漂着した南の島で否応もなく始まった孤絶の生活。 文明世界を脱した青年は、自然と一体化する至福を刻々と体感していく――。 この上なく鮮烈な長篇デビュー作。
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Posted by ブクログ
臨場感があって自分も漂流しているような気分になった。星や宇宙や内蔵の話をミランダとしてるシーンが好き
最近は池澤夏樹にハマっている。なんとなく、彼の清潔で頭の良さそうな感じの物語世界が今の気分にぴったりな感じ。文明社会に組み込まれつつも少しだけ距離を取り、人間以外の世界の仕組み(動植物や星空や宇宙など)と対比させる感じが、巣篭もり生活の良き伴走者になってくれる感じがする。 本作は、文学版「あつ森」...続きを読むみたいな感じで、ちょっとした気の緩みから孤島に流れ着いた新聞記者が、島の生活に順応していくという物語。遠い南の島の孤独な生活がとても心地よい感じがする。 読後感は、ゴツゴツとした感触で、まさしく、処女作といった感じの小説だった。これから文章で身を立てていくという意気込みみたいなのがとくに後半部から書き連ねられており、その気迫みたいな熱さを感じた。 これから飽きるまで彼の作品を追っていくつもりでいるのだけれども、どうなるか気になる。
再読日 19940301 20000529 主人公のヤシが島で生きていくための知識をひとつずつ覚えていくのが、自分のことのように感じられて面白い。島の生活に馴れた結果、文明との距離の取り方、そしてラストで文明に回収されることを先延ばしにし続ける態度に共感できる。マイロンの別荘があるため、文明と完全...続きを読むに隔絶しているわけでもない、いわば中間の存在。このような島での生活ができれば、文明の日常に帰還する必要ってあるのだろうか? 20000723
すごいすごい、素晴らしい。 無人島に漂着して、生命を維持することが目的の生活を送る。 その愉悦と現実に戻らないことへの背徳感。 想像力で人はここまでのものが書けるんだなあ。 本当にこの作家さんは素晴らしい。 世界と人間を手のひらにのせて、見せてくれる。
池澤夏樹のなかでも最もすきな本。 皮膚に迫ってくるようなリアルな自然。夢中であっと言う間に読み終えました。
初版は1990年、著者の小説デビュー作。 内容の概要を書いてもいいのだけれど、それを書いてしまうとこれから読む人たちのあの最初の印象を奪ってしまうことになるので、伏せておいた方がいい気がする。 そうなるとここに書くことは、一体どういうものがいいのだろう。わたしの、漠然とした、自分にしかわからないイメ...続きを読むージや浮かんだ言葉の列挙か、もしくはどこかの引用か? とにかく、淡々とした描写の中に、具体的なものと漠然としたものが混在し、主人公の思考も、その思考の移り変わりも、かなり鮮明になって頭の中に浮かび上がる。 小説としてもすごくおもしろかったけれど、お金以外で量る幸福度を考えるのにもいい本じゃないかと思った。 一番好きな設定は、主人公の元々の職業が地方の記者だったってこと。
すごくすきだ。この透明感。 いざという時の道を確保しながらのサバイバルだし、現実逃避気味の楽園ラブな作品かもしれないけど、なぜか惹かれてしまう。 やしのサバイバル能力が素晴らしい。 パンの実っておいしいのかな、、、
池澤夏樹の小説デビュー作が本作である。今年になって彼の作品を読み漁っているがやっとデビュー作に行き着いた。南洋の無人島、孤独、文明、精霊。それらを整理して彼の訴えかけようとする事を受け止めようとするが・・・まだ何か自分には足らないのだろうか。完全に作品に浸れない自分がいる。もう少し時間が必要なのかも...続きを読むしれない・・・
なんだか行き詰まった時に読む本です。 今まで何回かお世話になりました。 現実逃避じゃん!っていわれるとそれまでなんですが、読んだ後はなんだかすっきりするんです。
新聞記者のヤスシ・キムラは、遠洋マグロ漁についてのレポート企画の準備をしているとき、誤って船から落ちてしまい、無人島に流れ着きます。彼は、自分が漂着した島を「アサ島」と名づけ、ヤシの実やバナナを食料に現代のロビンソン・クルーソーのような生活を送ります。しかし、周辺の島の探索をはじめた彼は、「ユウ島」...続きを読むと名づけた島に一件の家が建てられているのを発見します。そして、その家にアメリカ人の映画俳優であるマイロン・キューナードがやってきて、二人は出会うことになります。 彼は、文明社会へつながる導線を保ったままで島の暮らしをたのしむマイロンに、ときおり説明のできない反発をおぼえます。マイロンは、そんな彼の態度にロマン主義的な心情を見てとり、そのことを指摘しますが、彼にとってより大きな問題だったのは、マイロンに出会ったことでみずからの心情に説明がつけられてしまうことに対する疑いでした。やがてマイロンは島を出ることになりますが、彼はまだしばらく島に滞在すると告げ、自分自身の体験を記すことを決意します。 南洋での彼の生活は、文明と自然を対照する視座そのものを包むようなスケールを示し、彼はそれを前にして説明することばをうばわれながらも、表現を通じてその自然を包み返す試みへとつながるプロセスがえがかれているように感じました。
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