池澤夏樹のレビュー一覧

  • ぜんぶ本の話【毎日文庫】

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    本についての池澤親子の対談集。素敵な親娘関係だなと思った。

    日本語でなったものは読むが、日本語で書かれたものは、あまり読まないという娘の嗜好が影響してか翻訳物の話が多め。

    素晴らしい翻訳物は、原書よりもいいとのことで、ちょっと読んでみようかなと思った本も多数。出先で読んだので、ポストイットを忘れたのは痛恨の極み。

    一部の翻訳者への苦言(特に某魔法ファンタジーのベストセラー)や、某ベストセラー作家(誰なんだ?)への悪口など、ダークな一面もポイントかな。

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    2025年06月08日
  • 古事記

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    池澤夏樹の真骨頂
     『ハワイイ紀行』でも膨大な註釈におめにかかったが、かういふやり方は池澤の十八番で、真骨頂である。
     大江健三郎も一気読みして認めた翻訳で、それは『池澤夏樹、文学全集を編む』に対談として載ってゐる。

     しかしまあ、父親・小説家の福永武彦とそろって古事記を訳すことになるとは、誰が予想したらうか。

     古事記について一言いへば、あくまで素人目には上巻が面白い。「因幡の白兎」もイザナギイザナミも、ヤマタノオロチもすべて上巻である。
     中巻以降は天皇の系譜の羅列とでもいふべきものになり、とんと馴染みがうすい。

     古事記には、論理的なところと文学的なところと、適当なところがあって、その雑駁したかんじが古代だなあと詠嘆する。

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    2025年05月01日
  • 夏の朝の成層圏

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    ネタバレ

    終盤があまりにも美しい小説だった。

    不運に見舞われ太平洋の無人島に漂着した主人公。都市の生活から自然の生活に移ったことで、生きることが手段ではなく目的へと変わり、その生活にも慣れていく。
    中盤に入ると、彼の周辺は一変する。島を移ったことで現代文明に触れ、そして文明人と出会う。
    そのアメリカ人との邂逅が、自然と一体化した(そう思っていた)彼の心境までも変えてしまう。

    彼の自然に対する虚構が暴かれ、向き合い直し、最後に見た悪夢。これらの一連の流れによって生じるカタルシスのようなもの。しっとりとした小説だったが、いつまでも残響が耳を漂っていた。

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    2025年04月13日
  • 科学する心

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    数学苦手な人の意見で、実在で語ろうとして、それが存在しないから分からないっていう意見はそもそも違うんだと思った。数学って現実では無い、数学というパラレルワールドで繰り広げられてる概念操作だからね。現実にあるかないかとかの話ではないよ。

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    2025年03月03日
  • 近現代詩

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    普段ほとんど詩を読まないので、単純にすごい良かった。

    詩は声に出して読みたくなりますよね。

    最後にいずれも注のついた読み応えのある大作が3つ収録されているのも良かった。

    収録されていて特に気に入ったのは以下の作者の作品

    萩原朔太郎
    天野忠
    田村隆一
    多田智満子

    ものすごく定番だと思うのだけど、これまでほとんど触れてこなかった萩原朔太郎の作品がすごく気に入ったので、今度ちゃんと詩集を読んでみたい。あと、翻訳者のイメージが強かった田村隆一の作品もすごく好き。

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    2025年02月07日
  • ぜんぶ本の話【毎日文庫】

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    やっぱり本の好みが合う方たちの本談義は読んでて面白いー!!! ガッと一気に読んで、共感したところに付箋を数十本貼って、読みたい本が9冊新たに見つかった。

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    2025年01月30日
  • こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方

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    最近山が楽しすぎるのとyamapに超お世話になってるのがあり春山さんはどんな考えを持った方なんだろうと気になっていた本です

    あと世の中がもっと“生きやすく”なればいいなと思うことがあり、でも“生きやすい”ってなんだろう?とも思っていて、個人的にそれをテーマに読み進めました

    生きやすくなるためにはこうするとよさそう

    ①自分もまた自然であり生き物であることを知る
    自然経験を通じ、自分もまた自然であり生き物であるので、存在としてここにいていいこと、に気付く

    ②自分の命の尊さに気づく
    山に行けば、転ばないように歩いたり、お腹が空いて何かを食べたいと思ったり、気付かないうちに生きることに集中していて、自分の命を大切にしている自分がいることに気づくことができる

    ③自分を社会の物差しで測らない
    社会の物差しとは新自由主義が生み出した競争の順位など
    地球上に存在するすべての生き物はフラットであり、何かができなくても他によいところがあることに気づく
    “自分が”大切だと思うことをする

    ④自分の命のときめきに素直に生きる
    衝動に素直に生きる
    素直でいれたら生きている意味や人生の奇跡性を実感することができる
    衝動に素直に生きた経験は自分なりの仕事にもなっていく

    これらに人が気付く助けになるような活動をしていけたらいいな

    なんだかこの本を読む前に思っていた自分のやりたいことや目標は社会に競争させられてできたものでもあるなと思いました
    さらに盲目に走り続けてきてしまったなとも思いました
    今後の人生も今ときめいていることを実現するためにはこれからも競争に参加しなければいけない場面は多々あると思いますが
    忘れずにいたい観点です
    阿蘇山の草千里ヶ浜でどこまでも続く草原を駆けて自由だ!と感じた時、あれが命が外に開く感覚だったのかもしれない


    AIとの付き合い方にも触れられていました
    AIには検索すれば分かるような情報、知識を任せる
    これからの人類の可能性は人にしかできないことである、遊び、コミュニケーション、余白にある




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    2024年11月02日
  • こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方

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     YAMAPの創設者、春山さんは、なかなか優秀な方だなあと思った。自然に触れ合うことの少ない現代生活において、山に登ることは、自然と向き合う良い機会となるそうだ。
     今、子育て中の親御さんに是非読んで欲しい一冊である。

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    2024年10月28日
  • こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方

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    ゼット世代です
    まだ読み終えてはいないのですが
    自分がそろそろ子育て世代になるなと思い
    自然とかけ離れている現代でどう子育てすれば良いのか少しでも参考にしたくて買いました。
    子育てについてだけではなく、最近感じている世の中のおかしなこと(気候変動や自然を考慮せず、便利さや効率重視になり開拓してしまっている現状など)についても議論されており
    痒いところに手が届くような、自分たちが感じていた違和感を言語化してくれている感じがして読んでいて納得の嵐です。
    人生の参考書でもあります。

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    2024年08月30日
  • また会う日まで

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    朝日新聞連載小説をまとめたもの。作者の親、その叔父世代の話。海軍軍人で天文学者、そして敬虔なキリスト教徒であった秋吉利雄。日露戦争の後、さまざまな軍艦に乗り、順調に昇進。第二次大戦時は戦地には行かず、測量が仕事の水路部に所属する。戦前、ローソップ島での日食の観測にも出ている。キリスト教の信条と軍人の仕事とのはざまで悩み続ける。
    昭和天皇に、水路部の仕事は平時こそ大切だと言われ、それが戦後、水路部の資料を燃やせという命令を受けた時にこれに抗う決意を後押ししているのが興味深い。平時に使える資料として占領軍にすべてを渡したのだ。

    文学、地理、測量、非戦。スティルライフの頃からの作者の作品の来歴が浮かび上がる個人史。読み応えがあった。

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    2024年07月07日
  • 真昼のプリニウス

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    ぐいぐい引き込まれるストーリーとは言いにくく、主人公の思索が多いため、ページ数のわりに読み進める時間を要したが、非常に充実した読後感であった。

    物語を排除して見つめるということは、科学に携わる者にとっても実はかなり難しい。文庫の解説が素晴らしい。

    しかし、紹介文がすごいネタバレであることよ。ストーリーとしてはそう書かなければならなかったのだろうけど。

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    2024年03月31日
  • 古事記ワールド案内図

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    池澤先生は、学者ではなく小説家。古事記の翻訳をしておられる。
    古事記をそのまま読んでも、人名の羅列だったり、どこまでが神話でどこからが歴史なのかわからない。池澤先生によれば、古事記は文学的ではないという。個々のエピソードは面白いものもあるのに、ぶっつり切れていたりして構成がない。そこで、読みやすい形に翻訳したとおっしゃっている。

    古事記の上巻は、主に天皇の系譜について書かれたが、まだ天皇たちは神であって、人ではない。
    中巻、下巻になると、天皇が歴史に登場するようになるが、内容は民話的、物語的になっていく。日本書紀は官吏が黙読で読み、歴史を勉強するもの、中巻、下巻の古事記は誰か(この時代は庶民ではなく豪族の師弟、宮廷の舎人や采女たち)に読んで聞かせる物語のようで、のちの猿楽や狂言に通じるおおらかさがあるという。

    池澤さんは小説家なので、専門的なことへの言及は避けておられるが、世界中の神話の成り立ちを持ち出したり、発想がとても自由。
    エピソードにも、取り上げられている歌にも、とても惹かれる。
    (まだうたは長歌の時代。長々と、詠唱する形式だった)

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    2024年03月27日
  • こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方

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    養老孟司さん 自然の中で身体を動かすことで無意識に教育を受けている

    中村桂子さん たとえ都会の真ん中でも、小さい子にとって、自然はいくらでもある

    池澤夏樹さん 遊びや余白にこそ、私たち人類の可能性がある

    三人の話はどれも、自然を特別なものとせずというより、人も自然の一部であることを感じることの大切さを教えてくれる

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    2024年03月05日
  • 古事記

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    今となっては複数ある現代語訳古事記の一つであり,膨大な固有名詞を上手く整理しているところが本書の特徴である。

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    2024年01月06日
  • 古事記

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    太安万侶にリスペクトして訳された池澤夏樹さんの『古事記』はとても禁欲的な文章なのではないかと思います。ということは、原典にたいへん忠実だということになります。2014年に「日本文学全集」の一冊として出されたものの文庫化で、そこにも「解題」を書かせてもらったのですが、今回、まったく別の内容で「解題」を書き下ろしました。

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    2023年12月03日
  • また会う日まで

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    ネタバレ

    クリスチャンで天文学者で、海軍少将だった秋吉利雄。池澤夏樹の父である福永武彦の伯父。軍人ではあるが、艦隊勤務ではなく、天測によって航路を知り航海暦を策定するのが主たる任務。タイトルはクリスチャンにはなじみのある聖歌の一節。聖公会は日本では少数派のクリスチャンの中でも、さらに少数派。七百ページを超える大部の小説で、クリスチャンのありようを語り尽くす作品は、日本文学の中でも稀有なこと。ミッションスクールの外国人宣教師が、戦時中の日本を語った文章はいくつも存在しているが、戦前、戦中、軍隊にあって、天文学者という合理を極め用とした人が、聖書で日常を語る人など、これまでなかった。この作品をキリスト教文学と呼ぶのがふさわしいかどうかわからぬが、遠藤周作の『沈黙』と並ぶ重要な作品だと思う。

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    2023年09月24日
  • 星の王子さま

    購入済み

    読みやすい

    本を読み慣れていない私でも読めたので、どんな人でも読めると思いました。

    #笑える #感動する #エモい

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    2023年07月11日
  • また会う日まで

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    海軍軍人、天文学者、キリスト教徒でった筆者の大伯父(祖母の兄)の一生涯、戦争に翻弄されつつ信念を貫き通した人生を描く感動作。

    全く前知識なく読み、実在の人物を描いた小説であったことを途中で知る。海軍兵学校では、ミッドウェーで空母飛龍艦長として戦死した加来止男と同期だった秋吉利雄。妻や子、当時の死亡率の高さには驚かされる。キリスト教徒として肉親の受け入れる、時に迷いつつも。

    朝日新聞に連載されたという大作。Mという友人の語る戦局があまりにも後世からの視点になっているところが気にはなるものの(少年Hのように)、それを差し引いても感動する作品でした。

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    2023年07月03日
  • みっちんの声

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    発売と同時に買ったのに,ずっと積ん読。
    まる2年以上も!
    きのう、雨に降り込められ、何となく読み始めたら
    止まらなくなった。
    よくぞ、買っておいたものよ、でかした2年前の私!

    当時は石牟礼道子を、ちょこちょこと読んでいたので買ったものの
    池澤夏樹が、ちょっとなぁ、若い頃好きだっただけに、最近は・・・と
    読むのをためらっている間に、まる2年!

    けれど『また会う日まで』で池澤長編を読み、
    池澤の本へのためらいが解けたところ
    なのも良かったのか。

    前置きが長くなってしまった。

    本書で、わたしは、大きな間違いをしでかしていたことに気づく。
    「苦界浄土」はルポルタージュだと思っていた。
    あれは紛れもなく創作。
    たくさんたくさん聞き書きをし、それを1度咀嚼した上で
    構築したものだったのだ、と知った。

    池澤夏樹も長く気づかなかったというのだから、
    私如きが気づかなくて当然かw

    それにしても、何と石牟礼さんの言葉が豊かなこと!
    池澤氏が対談嫌いのくせに、足繁く石牟礼さんの元へと通ったのもわかる。
    弱っていく命の灯火・・・少しでも触れておきたい、そばにいたい、
    そんな気持ちだったのだろう。

    こんな部分、普通はカットではと思うような点まで
    再現されている対談集。
    池澤氏の想いは深い。

    またしても付箋でいっぱいになってしまった。
    大事なことが一杯詰まった、折に触れて読み返したい本。

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    2023年06月03日
  • 科学する心

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    文系頭にやさしい科学エッセイ。
    世界は乗法的、冪的。加法で済むのは局地的な問題だけ、というのは分かりやすい。大気は無限というかつての信仰。福島から大気中にあふれた放射性物質を例にとり、「希釈は消滅ではない」という説明が池澤夏樹らしい。
    種は絶滅する。弱肉強食ではなく、適者生存。肉食獣は草食獣に生命を負っており、草食獣は植物に生命を負っている、というベクトルの向きもなるほど、だ。AIとロボットで人が単純労働から解放されても、余暇は平等には分配されない。失業者と過労者が増えるだけ。雇用する側にのみ恩恵をもたらす、というのは、農業と定住が結果的にヒトを忙しくしてしまったことと似ていないだろうか?
    現代のテクノロジーは、人の生活の便利を求めて生活の喜びを失う詐術だ、というのも一面において激しく同意。だからといってこの流れを止めることはできない、という諦観にも首肯。

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    2023年01月08日