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Posted by ブクログ
池澤夏樹3作目。
火山という自然現象を軸に、過去と未来を行き来し、科学の力とそれを超える超自然現象と交感し、物語と神話について考察しながら作品が進んでいく。
どうしたらここまで人間総体を遠くから眺めるような視点を持つことができるに至ったのか分からないのだけれど、本当にすごい作家だなと思った。
科学的な素養を持ちながら超自然的(精霊とか)な視点を取り入れて、鳥瞰図的な世界を描写する能力。そして、それでいて、あくまでストーリードリブンであり続ける。そしてなによりも説教臭くない。ジブリがそれに近いものがあると思うのだけれど、ジブリって高度な技術とストーリーテリングは上手いけれど、いつも説教を聞かされているみたいな気になって鼻白んでしまうのだけれど、彼の作品にはそれが無い。
Posted by ブクログ
長い手紙。長いだけで直接的なメッセージがない、そんな手紙が読まれるシーンはなんだか村上春樹の「ねじまき鳥」が思い出されました。(いきなり関係ない作者出してすみません)
この作品では前述した手紙をはじめ江戸時代の女性の物語や「シェヘラザード」用のエピソードなど物語の中で物語が突然、そして何度も語られます。なんだこれ、ごっちゃごちゃの短編集みたいだな、と思いながら読んでいたのですが、主人公が意識を変化させていく中でそれらの物語の効果が理解できて、わぁすごいと感動しました。
なるほど池澤さんのテーマは一貫していたんですね。言葉からなる物語や神話からでしか物事を見ようとしないことへの反発とその「言葉」を超えた先にある物事の本質の追求。これです。それがわかったらすべてが納得でした。
作品の構成の意図もわかったし、テーマは意義深いものだし、自分の考え方と近いものを綺麗な文章で表現してくれたし、読中も読後もずっとすっきりしっぱなしの作品でした。
そして題名。真昼のプリニウス。この作品にこれ以上の相応しい名前はないですね。
Posted by ブクログ
世界を理解するためにはどのような態度をとるべきかのヒントになる。自らに都合のよい部分を切り取ってつくりあげた物語や神話に(宗教もそうかも)、居心地の良さを求めるか、あるは己の好奇心を原動力とする自然科学的探究の行動を実践するのか。後者を選ぶときにはプリニウスや野ウサギの運命のような過酷さを受け入れる覚悟が必要だということ。その覚悟をきめ、行動することを選ぶ火山地質研究者・頼子の逞しさ。
頼子の意識が、ハツの手記、壮伍の手紙、戸井田教授、神崎、門田との交流を通して研ぎ澄まされていくのが、この小説の醍醐味だろう。浅間山が舞台となる印象的な終幕。読後の余韻が深い。
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