【感想・ネタバレ】すばらしい新世界のレビュー

あらすじ

ヒマラヤの奥地へ技術協力に赴いた主人公は、
現地の暮らしに触れ、深く人々に惹かれてゆく――

人と環境との関わりの先に
新しい世界への光を予感させる長編小説

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Posted by ブクログ

池澤夏樹の作品の中で一番好きかもしれない。解説にもあったが全てが美しかった。個人的には工藤先生にもっと登場して欲しかった

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2019年12月10日

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ネタバレ

ビジネスのためにネパールに行ったけれど、いざ行ってみると宗教やら生活スタイルにまではまってしまうというその過程が面白いです。冒険小説のようなわくわく感もある。次作『光の指で触れよ』に繋がる心の変化が描かれています。
日本は不幸の理由を探して、それを退治することで幸福を実現しようとする。というのはなるほどな、と思いました。ナムリンでは素直にそこにあるものに感動し、幸福を感じているみたい。
プロセスの違い、と言えるのかもしれないけれど後者の方が豊かな感じがするのは何故だろう。

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2012年12月21日

Posted by ブクログ

世界のある部分を切り取って、手のひらにのせて見せてくれる小説。
(バルザックか!)
読むのに時間がかかったけど、飽きることはなかった。
現実に対する問題提起と小説というものがきちんと融合していて、すごく良かった。

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2012年06月28日

Posted by ブクログ

今、地球が抱えているさまざまな問題をいろいろな角度から天野家の物語に盛り込んであり、とても読み応えがあった。集中ではなく、分散。大規模ではなく、小規模。視点を変えて考えてみると、今とは違う道が見えてくる。こんな時だからこそ、読んで考えてみるといいのだと思う。それから、「現場の知」ということと、アユミさんがしきりに言っていたナショナリズムとの距離の置き方。もう少し、自分でもよく考えてみようと思う。それと、森介の新しい学校の担任の先生が言った「変わったところのある、おもしろいお子さんですね」というひとことが印象に残る。そんな感覚を私も忘れずにいたいと思う。

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2011年03月20日

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政治も宗教も哲学も科学も、極めてフラットな視点で語られる。

ちょっと変わった、でも絵に描いたような仲良し家族。
一枚板ではないNGO。
利益を追求する企業の論理/ステレオタイプな会社員。
魅力的なナムリンの人々。

世界そのものを変えるのではなく、「自分」と「世界」の関係性を変えること。
個人の視座次第で、ガラリと世界は表情を変える。
新しい世界とは、そういうこと。

常識とは、極めて狭い世界での通奏低音なんだと気付かされる。
本当は世界はとてもシンプルで、複雑にしているのは自分や社会の固定観念なのかもしれない。
(ルールを作ったのは人間だ)

良い風が吹いたら、流れに乗ればよいのだ。

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2010年06月08日

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<poka>
読んだあと、なんとも言えないさわやかな、すっきりした気持ちになります。
分厚い文庫ですが一気に読めました。

<だいこんまる>
風車に向かうドンキ?

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2009年10月25日

Posted by ブクログ

 700Pに及ぶ長編小説というだけあって、本当に多くの事柄を含んだ小説。それでいて、読み辛いとかくどいとかいうことは一切ない。むしろ、1章1章に読ませる部分があって、うんうん唸ったり、クスリとほくそ笑んだり、グサっと心に刺さったりする。「やがてヒトに与えられた時は満ちて…」を読んだ時の衝撃も、それはそれで大きなものがあったのだが、この小説もまた違った意味で自分の中に大きく残る小説だった。

 この小説は本当に色んなメッセージを含んでいて、「これはこういう小説だ」と一言で表せるようなものではない。むしろ表そうとすること自体がナンセンスであるほどだ。でも、これほどある意味で欲張りに、詰め込みに詰め込んで書いた小説がこれほどサッパリと読める、心に入ってくるというのは本当にスゴイことだ。自分のような凡人が、これほどのメッセージを一つの物語に詰め込もうとしたら、冗長になりすぎてくどいと言われるに違いない。確かに職業としての小説家なのだから、それが出来て当然なのだと言われれば確かにそうなのかもしれない。しかし、ただ一つのテーマを書くにも冗長にならざるを得ないのだ、と開き直っているような小説家がこの世の中にはいないだろうか?

 池澤夏樹の文章の魅力はそこにある。小説の中に、「形容詞が多すぎる文章は疑った方がいい。そのような文章には、必ず裏に知られたくない真実がある」というようなことが書いてあった。これは全く疑う余地がないほど正しい。本当に文章が上手い人、或いは話が上手い人というのは、少ない言葉、簡潔な言葉で伝えたいことを伝える。ムダに話が長い人、文章が長い人(自分も含めて)は言いたいことは少ないのに、それを伝える文章、言葉が冗長なのだ。「完璧とは、何かを足せない状態になることではない。 何も削るものがなくなった状態のことだ」。つまり、そういうことだ。

 その池澤夏樹が、700Pに及ぶ長編小説を書いているのだ。そこに含まれるメッセージが多岐に及ぶのは当然だ。そして、それが決して冗長にならず、すっきりした言葉で読者の胸に迫ってくる。そんな小説が良い小説でないはずがない。今まで、池澤夏樹を知らない人に何か一冊薦めるのならば、取っ付きやすさなどをふまえて「南の島のティオ」あたりを薦めるのが妥当だと思っていた。しかし、これから「池澤夏樹がどんな作家か知りたい」と言われたら、迷うことなくこの作品を薦めるだろう。それほど、この作品は池澤夏樹という作家の成分を多く含んだ良作だ。

 続編である「光の指で触れよ」が今年発売されている。是非、そちらも読んでみたい。

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2009年10月04日

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鬼ほどよかった。
多分今っていうタイミングもよかったんだろうが、私の人生に影響を与える予感がする。
あーチベットいきてえな。
次はチベット仏教の本を読もうかな。

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2009年10月04日

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この作品は約20年前に読んだ本。

内容はほとんど覚えていないが
この本をきっかけに環境問題に対して
考えるようになったことと
爽やかな読み心地が心に残っている。

それ以降、池澤さんの作品は
ずっと好き。

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2023年01月22日

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2000年9月に出版された本で、2000年といえば9.11もまだだし、東日本大震災も、福島の原発事故も当然起こっていない。今とはまったく違う世界である。
その当時から、環境問題や原発の危険性についてこれだけのトーンで語っているのに、20年経った今はどうだろう。原発事故は起こってしまったし、環境問題もよくなっているとは思えない。この20年は一体なんだったのかと愕然としてしまう。
ともあれ、全体的にとても美しい物語と語り口で、文庫で700ページにも及ぶ長編ながら、夢中で読み切ってしまった。
特に中盤の娼婦の夢の描き方が最高だった。
やたらと文章の上手い妻子や、なんでもあけっぴろげに語り合う夫婦関係にちょっと白けた部分もあったのでマイナス1。

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2019年10月10日

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作者の言いたいことを物語の主人公を通して言っているだけと感じなくもないが、物語としてもおもしろい。
ネパールの自然の描写や、魅力的な登場人物、とくに頭の良い主人公には好感がもてる。
エネルギーの問題や宗教に作家ならではのアプローチで触れており、読み手側にも何かを考えさせられる。
旅行の時に読むのがおすすめかも。

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2013年01月27日

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私たちは日本に生まれ育った。ただ他国に憧れ、そのまま真似をしてもうまくはいかないだろう。私たちは、私たちなりに、変わる必要がある。

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2013年01月21日

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分厚いけれど、清涼感いっぱいの本。国際協力関係の授業で使うといいかも、と思えるほどNGO、ODA関連のことが出てくる。ネパールへ行きたくなる本。

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2012年09月06日

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「光の指で触れよ」を先に読んでしまったので、林太郎や森介、アユミの5年前、ネパールの風車、森介の大冒険とは、「光の・・・」で出てきた話はこういうことだったのね。と納得しながら読みました。美しいといえば美しい、でも普通の風車とはにても似つかないダリウス型の風車ってどんな形なんだろうと思ってネットで確認しました。そしたら、「家庭と職場」の章のタイトルの下にダリウス型の模型の写真があったのですね。読み終わってから気づきました。エネルギー問題、環境問題、途上国の問題、登場人物と一緒にちょっと真剣に考えてしまいました。

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2012年04月19日

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『光の指で触れよ』の前のストーリー。
日本の技術系サラリーマンが、ネパールに風車を建てにいく話。
主人公とともにネパールの空気を感じることができるし、先進国が開発途上国を助ける際の問題点も考えられる。
『光の〜』同様、宗教やスピリチュアルも大いに関係していて興味深い。四つ星なのは『光の〜』よりも読むのに時間がかかってしまったこと。おもしろかったけど、中盤ちょっと退屈した。まぁ、でもそのスローペースがいいのかもしれないけど。

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2011年10月09日

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電力の話とか今の日本を予言しているような。とはいえ難しい感じはまったくなくて、押しつけがましくもなく、悲観的でもなく、するするとおもしろく読めた。淡々とした感じがいいなあと。でも、もっとダライ・ラマの話が出てくるのかな、登場するのかもとすら期待していたんだけどそれは期待はずれだった。まあいいけど。映画「クンドゥン」を見たくなった。

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2011年09月18日

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風車製作会社の一技術者サラリーマンが、妻の提案でネパールの小さな村に小さな風車を作る話。戸惑いながらもその計画に魅せられていき、ついに現地を訪れる。えっ?本当に実行するんだ!まさに男のロマンか!!語りかけるように綴られる家族(妻、息子)とのe-mail。そこには作者のエネルギー、資源に対する思いやメッセージがそっと込められ、まさにタイムリーな話題で唸る。そして後半に向かって繰り広げられる大冒険!爽やかな風が吹き抜けた。

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2011年07月04日

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現代社会への様々な問題提起がされており、たくさんのテーマが詰められているお話だとおもう。
今まで読んだ事のない感じ。
長かったけど、おもしろかった。

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2011年02月16日

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再読。初読2003
環境問題に対する取組が、日常生活の物語として描かれていて、当時とても新鮮。
今読み返して、その取組も、考えの厚みがあるように思える。
あるいは家族について。

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2010年11月24日

Posted by ブクログ

途上国で風車の設計にかかわる技術者の話なんだけれど、自然体な主人公のキャラクターがとても良い。説教くさくなく、本当に必要な「環境の保護」「技術援助」ということについて考えられます。読み終わった後に静かに満足できる本でした。

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2009年10月04日

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前半は読むのがつらかった
なぜか?
なんだか海外事業部の方の専門的な
説明とそれに伴う現地視察
の報告書のような話しが続く
そして、環境問題やボランティアに
詳しい妻との
たいへん真面目なメールでのやり取り
そんな中で、チラッと覗く
夫婦としてのよろめき的な会話が
なんだか違和感を覚えてしまう
このまま読んでいていいのだろうか
はたして最後までついていけないのでは
ないかと思ったが‥

なんと後半は面白かった
森介の冒険的な話しになってからは
引き込まれた
チベットの宗教や、中国との関係
なんだか本当にチベットの
何かただならぬものが
周りを漂っているかのような
神秘的な雰囲気

発展途上国への援助や、抱える宗教の問題
日本にいてはわからない
さまざまなものが
降りかかってくるような小説
さすがにすごいと
読み終わって思った
最後まで読んで本当によかった!


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2025年09月15日

Posted by ブクログ

日本からネパールへの森介の冒険以外は、理屈っぽくて小説としてはつまらない本でした。特に宗教関連の部分と妻からのメールは退屈でしつこく最低でした。いつ読むのをやめようかと思いながら2ヶ月近くだらだらと読んでようやく終わりました。ですがこれは最後まで読まなければならない本でした。この本が出たのは20年以上前のこと。東京電力が犯した原発の大爆発による世界的放射能汚染のはるか前。温暖化などまだ話題にもならない頃。真山仁さんのベイジンもそうですが、原発や金儲け第一主義の危険性は知識のある方々にはかなり前から周知のことだったのでしょう。それ以外にも沖縄問題の本質や政治家と資本家の悪の連携ぶり、腑抜けのマスコミ、子どもの問題、自民党がぶっ壊した倫理や道徳など、著者の見解に多く同意しました。そして20年過ぎた今、すばらしい新世界はますます遠くに離れてしまいました。もはや新世界実現のためには人類の滅亡しかないのかも知れません。それにしてもやっぱりつまらない小説でした。

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2024年07月24日

Posted by ブクログ

風力発電の開発に従事している天野林太郎が、小型の風力発電装置を開発し途上国で売り込むために、ネパールのナムリンという村を訪れます。彼は、現地で献身的に支援をおこなってきた工藤隆や、チベットの行く末を案じるブチュンといった人びとに出会い、さらに彼の帰りを待つ妻のアユミと小学生の息子の森介、会社の上司であり林太郎をサポートしてくれる浜崎課長らに支えられながら、文明と環境、あるいは宗教と国家などの問題について考えさせられることになります。

著者自身の思想的な関心が前面に押し出されており、物語そのもののおもしろさにどっぷり身を浸すといったたのしみかたのできる作品とは、すこしちがった印象です。魅力的な登場人物たちが、仕事や生活のなかで巨大な問題の一端に触れ、みずからの足もとを見なおしつつ、問題の本質にせまっていく過程がていねいにえがかれているという意味では、優れた作品だと感じましたが、物語そのものがもっている力と著者の思想がうまく接合できているかというと、やや疑問に思えます。

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2020年05月11日

Posted by ブクログ

環境問題、宗教など結構重い問いを主人公の林太郎とその家族がチベット文化のある小国に風車を立てに行くことで、進めていくのだけど…全体的に言うこと分かる、反対ではない、でもなぜかその家族のキャラクターに最後まで親近感湧かず残念な気持ち。

2019.3.24

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2019年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

きれいなお話

物質文明よりも精神的な豊かさへの憧れ、でもそれは物質的に豊かな生活をしているからこそ思えること? 本当にそれを捨てられるのか? 林太郎はそれはできないだろうと考えた。

大きな風車ではなく小さな風車 シンクグローバル、アクトローカル
援助することの本当の意味、本当の役割

林太郎とアユミの幸せで信頼のあるラブラブ関係(笑)。


ネパールか、一度行ってみたい

森介の冒険はまあいいとして、そのあとの埋蔵経を運ぶ旅はちょっと蛇足? それほどのエピソードもなく、ダライ・ラマに会ったことでなにかが起きたわけでもなく。

プロジェクトは順調にスタートを切り、帰国した父子を待ち構えたアユミは、ラストで神々、仏たち、めに見えない存在にたいして感謝を告げる。

なんともきれいなお話

だけど、なんだか物足りなさを感じるのは先に「光の指で触れよ」を読んでいるから?

「光の」のほうがインパクトがかなり大きかったのは先に読んだからだけではないと思う。
本作でも顕著だが物質文明にたいして慎重であり続けるアユミが、続編では主人公になっていることが「光の」をより強い方向性に導いている。

一番気になるのは「すばらしい」を書いた時点で「光の」を構想していたかどうか。もしそうなら「すばらしい」は序章にすぎない。逆に構想していないのなら、書き終わってからこのままで終わってしまってはきれいにすぎるという思いが生まれたのかも? このあたり作者インタビューなどあればぜひ読んでみたい。

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先に「光の指で触れよ」読んでるので、そこからさかのぼってことの発端を紐解いていくようなかんじ。山の中で自給自足とか、後々で繋がってくるが、この時点ですでに作者の頭の中にあったのかどうか。

いろいろと感ずるところ、気づかされるところある。これまで、そういうことに関心がなかった、もしくは避けてきたということだろうか?

カトマンズを画像検索。街中はイスタンブールの裏通りのような感じ。なるほど、こうして確かめながら読むのもおもしろいな。

ストーリー読むだけでなくいろいろと考えさせられる。人によってはそういうのが鼻についたり、そうじゃないだろと思ったりするんだろうけど、今の俺には合っている。

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2018年12月03日

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大手メーカーの風車の技術者林太郎は、妻アユミにかかわる縁から、ネパールで風車を建てることになった。その地で林太郎が見、感じたモノとは。21世紀の生活スタイルを問うた作品。原発事故前ではあったが、原発には批判的な内容でもある。

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2013年09月05日

Posted by ブクログ

ヒマラヤの奥地へ風力発電を設置することになった主人公。
そのきっかけから設置の完了まで、そして秘密の特務について描かれた作品。
家族関係や、発展途上国に文明をもたらすことの問題点について・・・
など色々テーマが多い作品なのですが、重苦しくなくとても読みやすいです。
また、全体に漂う神秘的な雰囲気がとても引き込まれる作品でした。

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2010年05月05日

Posted by ブクログ

架空の発展途上国ナムリンに風力発電のための風車を設置する日本人技術系サラリーマンの話。小説なんだけど、文明と環境についての作者の思索でもある。チベット仏教に守られた秘境に立つ風車のイメージは夢のように美しく詩的。…なのに、主人公の奥さんのメールやセリフが説教くさくて全体的に飛距離不足か。この奥さんのメールっていうのがだいたい各章の終わりにいつも出てきて、主人公の今日の行動を批評するみたいな感じで、きみらは吉野源三郎「君たちはどう生きるか」のコペル君とおじさんかいっと突っ込みたくなる。これ実は啓蒙書なのかも。終盤の意外なスリルとサスペンスがめちゃくちゃ面白かったのでまあなんでもいいや。【2005.11.4】

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

何処かで書かれていたけれど、悪意というものが存在しない。
でも、それはマイナス材料にはならずに、すばらしい新世界を僕に提示してくれた。
今、生きているこの世界とは違った形の世界があるということに気づいた。

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2009年10月04日

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