池澤夏樹のレビュー一覧

  • すばらしい新世界

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    再読。初読2003
    環境問題に対する取組が、日常生活の物語として描かれていて、当時とても新鮮。
    今読み返して、その取組も、考えの厚みがあるように思える。
    あるいは家族について。

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    2010年11月24日
  • カイマナヒラの家

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     池澤さんにはこのタイプの本がけっこう多いように思うのですが、写真+小説というスタイルです。
     サーフィンの魅力に取り付かれた主人公は、ふだんは日本で仕事をしているけれど、まとまった時間がとれると、休暇をとってハワイに波乗りに行く。
     あるときふとした縁で、有名な建築家が建てたという家を訪ねるようになる主人公。そこには出身も年齢もさまざまな、ハワイの魅力に取り付かれた人々が入り浸っていて……

     男運がわるくて日本で苦労してきた老婦人が、ハワイに移住してがらっと生き方が変わった……というエピソードがありまして、本筋にはそれほどかかわってこないんですけども、そこがすごく印象に残りました。
     池澤夏樹さんって、北海道生まれの方なのですが、沖縄やギリシャやフランスと、これまでいろんなところに移住していらっしゃって、旅にもたくさん出ておられるんだそうです。だから小説にも、色んな土地の魅力があふれていて、読んでいると旅をしたくなります。二泊三日の観光旅行じゃなくて、一ヶ月とか二ヶ月とか、腰をすえてそこの暮らしを体感するような……。
     もちろん実際にはしがない小市民である自分には、そこまでやれる思い切りはありませんが……

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    2010年03月28日
  • カイマナヒラの家

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    まず冒頭に、「この物語の登場人物はすべて架空であり作者の想像の産物であるが、家は実在した。」と。ダイアモンド・ヘッドではなくて、カイマナヒラ。カイマナヒラの家を軸にした物語。カヴァーの著者紹介が、いい。「1945年、北海道生まれ。87年、「スティル・ライフ」で中央公論新人賞、翌88年、同作品で芥川賞受賞。海を愛し、世界中の浜辺で昼寝をする作家。」芝田満之(こちらの紹介は「……。海を愛し、世界中の波に乗り続けるカメラマン。」)による何枚ものカラー写真が、とても美しい。解説・沢野ひとし。単行本は2001年、文庫版は2004年刊行。

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    2011年07月19日
  • 異国の客

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    気になっていた人、池澤夏樹さん。
    知らなかった世界、出来事、考え方。
    新しい世界への見聞を広めたいと心から思いました。

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    2010年01月06日
  • 真昼のプリニウス

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     火山活動についての研究者である主人公の頼子は、日々忙しく研究にいそしむ一方で、仕事と日常の間の折り合いのつけ方に、心の底のほうで疑問を抱いている。
     ある日、弟の友人である広告マンが、頼子のもとに、変わった話をもってくる。電話を利用したサービスを企画しているのだという。
     その企画の名称は『シェヘラザード』。色々な分野に関する短いエピソードを大量に集めて、利用者がその番号にダイヤルすると、その中からランダムにひとつのストーリーが選ばれて、読み上げられる。
     その話のひとつひとつには、意味はありそうであまりない。何が出てくるか分からないことが、価値なのだという。ふとした日常の隙間にダイヤルしてみて、飛び出してきた話が好みに合うかどうかは分からない。人は意味や意義や目的や効率に飽きていると、広告マンは言う……

     うーん、一応書いてはみたけれど、この小説に関しては、あらすじを書いてもあまり意味がないのかな、という気もしています。
     ストーリーがどうというよりも、そこに載せられたテーマ、思想、生き方や概念、そういうものへの共感や驚きが、この小説のポイントなのかなと思います。

     池澤さんの本の魅力のひとつに、その豊富な幅ひろい知識と、独特の澄んだ視点があります。ものごとの見方というか……
     ……ああ、なんと言ったら伝わるのかな。たとえば鳥や虫や草木、夜空に瞬くはるか遠くの星、火星の赤い砂漠、上空を循環する大気の流れ、火山の内部で起きていることや、熱帯の森に埋もれた古文明の遺跡、木々の闇にひそむもの。
     その語られる分野は広く、たとえば自然科学、地球の歴史や天文、気候や風土、文化や芸術、民俗や信仰、戦争や歴史――この世界のありよう、そこに生きるものたちについて、ひどく広いさまざまな視点から、それも抽象的な概念ではなく、肌で感じるものとして、語られている。世界に向き合う姿勢というのか……

     うう、書けば書くほど、何か書きたいこととずれていくような気がする。
     変な書評になってしまいました。
     読む人によって好みは分かれるかもしれないのですが、すごく好きな一冊です。

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    2009年10月29日
  • 夏の朝の成層圏

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    南の島に漂流したお話。
    この設定は、何個か読んだことがあるけれど、
    このお話の彼、ヤシはとても冷静で前向きで暢気。
    文章も不快(な状態の)描写が殆ど無く、
    南の島に対する筆者の愛情が溢れ出ていて、美しい。
    上質のファンタジーを読むみたいに、すんなりと世界に浸ることができた。
    生きていくということ、社会と世界、人と人の繋がり、仕事、生活について
    とても真摯に向き合った作品。
    とっても面白かった!気持ちいい読書、大好きです。

    マイロンとヤシの関係が可愛いくて、ちょっとにこにこしてしまった。

    池澤夏樹さんの本をもっと読んでみたい。

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    2009年10月04日
  • 夏の朝の成層圏

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    個人的に、そしてきっと多くの人が惹かれてしまうだろう南の島のロビンソン・クルーソー生活。憧れゴコロを満たす南の島の風物を十分に描きつつ、一人の男性の成長、友情などをさらりと織り込み、さらにこのベタなネタたちを冷静に(しかし冷徹ではなく)見つめる視線が心地よい。

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    2009年10月07日
  • 真昼のプリニウス

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    今年になって池澤夏樹とは出会った。畳み掛けるように彼の作品を読み漁る。彼の世界と言うべきか、作風が体に染み渡ってくる。全く不快感はなく一種の高揚感を感じる文章。この作品も何となく消化できた。でももう少し時間が欲しい。自分の中の別のものとの反発が何か消化しきれないところがあるみたいだ。

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    2009年10月04日
  • 夏の朝の成層圏

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    もし漂流してしまったら……?
    そんなことを考えさせてくれます。
    無人島の描写などがすごく細かくていいと思います。

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    2009年10月04日
  • カイマナヒラの家

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    ハワイが好き海が好きな人ならきっと共感できる部分が多い作品。
    ただ純粋に主人公や周りの人間の生き方が羨ましい。ハワイだからできる考え方。穏やかに流れる時間を、物語を読みながらも一緒に共有できる。

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    2009年10月04日
  • 真昼のプリニウス

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     火山学者の女性が、「電話をかけると物語をひとつ聞かせてくれる」というベンチャー事業に関わりながら、言葉やものがたりへの見方を変えてゆく話。
     主題は多分言葉や物語と現実との溝だと思います。
     一言でまとめてしまえば、言葉や物語は、重ねれば重ねられるほど、どんどん現実から乖離してゆく。それならば自分の五感を信じよう、という話でした。

     言葉にはいつも誤差があって、物語にはいつも脚色がある。
     それは確かにそうだろうな、と思います。
     けれど結局それは、物語の場合は聞き手側が面白いことを望んでいるからそうなるのであって、物語自体の性質ではないのではないかな、と。そして言葉の含む誤差もまた、オブラートとしての役割を果たしているのだと思います。
     なんというか、私たちは同じものを見ていると言う認識をさせること自体がオブラートなのではないかと。実際は私たちは自分の解釈した世界にたった一人で立ち尽くしているけれど、言葉によって共通項を見出していく作業によって、その孤独を埋めているのではないかな、と思います。理論的にではなくて。
     だから、きっと、自分のその情景に対する思いが強ければ強いほど、世界と言葉は乖離していくのではないかと。

     読みながらそんなことを考えました。

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    2009年10月04日
  • 夏の朝の成層圏

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    中学生のときにジャケ買いをしたら当たった。村上春樹の感じに似ていますが、もう少し硬質で透明な感じがしました。

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    2009年10月04日
  • 憲法なんて知らないよ

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     英語で書かれた、原著の日本国憲法の新訳。というか大分砕いて池澤夏樹の言葉で書いた本。読み易いので暇つぶしにでも一読の価値アリ。

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    2009年10月04日
  • カイマナヒラの家

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     カイマナヒラとは、ダイアモンド・ヘッド(ダイアモンド・ヒル)をハワイイ語で発音したものらしい。タイトルからも分かるように、ハワイイの、それも「カイマナヒラの家」を中心としたショートストーリィ。1つ1つが短編のようになっているが、基本はカイマナヒラの家を中心として起こる人間模様を描いている。全体としてのまとまり方と、話ごとのシメ方が妙技ですぐ読めてしまった。

     とりあえずこういう雰囲気のある小説を読むと、自分はかなり影響される。ハワイをハワイイと書きたくなるし、サーフィンもやってみたくなるし、浜辺で水平線をいつまでも眺めていたり、水平線に沈む夕日を見たりしたいと思う。馬鹿みたいに単純である。しかしながら、節操がないわけではない、と一応断っておきたい。読んだ小説全てに何かの記述が書いてあったからと言って、必ずしもそれに影響されるわけではなく、むしろ、小説全体を通して感化された時に、それに書いてあるものに呼応するのだ。自分の中に何かを残す、もしくは読んでいる間に心の中に染みいってきて引いていく、そういう小説にこそ、呼応する価値がある。読む小説全てがそういう魅力をもって自分に迫ってくるわけではない。そういう小説に出逢えることは、ささやかな幸せだ。

     この小説はまさに、ささやかな幸せを届けてくれる小説だった。一つ一つの話が、穏やかな波のように寄せては引いていく。決して、大きな激しい波ではない。あくまで、穏やかな波だ。そして、寄せるだけではなく、必ず引いていく。ただ、その波は確実に何かを残してくれる。それが、憧れという単純な形として表出したのだ。

     読めば、その穏やかな雰囲気と、そこはかとない寂しさが染みいってきて、心の中に静寂が広がる。写真がその効果を増幅していることも疑いない。疲れた時に、ふと静かに読みたい本だ。

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    2009年10月04日
  • すばらしい新世界

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    途上国で風車の設計にかかわる技術者の話なんだけれど、自然体な主人公のキャラクターがとても良い。説教くさくなく、本当に必要な「環境の保護」「技術援助」ということについて考えられます。読み終わった後に静かに満足できる本でした。

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    2009年10月04日
  • ぜんぶ本の話【毎日文庫】

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    春菜さん1人でも凄まじい熱量と読書量なのは知っていたけれど親子でこの熱量は他にいないなぁと思う。ジャンルがかなり限定はされていたけれどそれでも深さを感じられて読みたくなる本は多かった。

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    2026年09月30日
  • ワカタケル

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    ネタバレ

    ワカタケル

    日経新聞に連載されていたのは知っていたのですが、単行本になったので一読。
    古事記の世界観が入った古代日本の王「ワカタケル」の生涯。
    男は剣と弓で世を統べるが、女は予知と呪術でそれを助ける。
    そんな中でワカタケルが如何にして王位を継承し、国を統べたのかの物語。
    生者の生々しい陰謀・謀殺の背景に巫女や死者である先祖の助言があり、王位についたらついたで豪族の統制、朝鮮半島や中国との関係に心を砕く必要があり、なかなか大変な大王職の様子を知ることができます。
    ただ、冒険譚としてはちょっと臨場感が少なく、あまりわくわくはしませんでした。
    池澤氏も年を取ったのかな?という印象でした。

    竹蔵

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    2026年09月13日
  • 星の王子さま

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    地球にやってきた王さまの話
    小説というよりは童話や詩に近いと思った
    何回も繰り返される言葉とか王さまの冒険の話は物語としてよりも哲学や思想に問いかける部分が大きいように感じた
    子供の純粋さを尊ぶところがある
    それは大人には見えなくなってしまった視点を描いているということなのかなと思った
    結末はどちらかといえば寂しいけど、そこが良かったようにも思う
    主人公と王さまの関係がすごくあたたかいものだと感じた

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    2026年08月15日
  • 近現代詩

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    詩人があまた紹介されている。どうしたって一人一人の紹介が短くなるのでさわりだけだけれど、興味がわく人を見つけられたので良し。

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    2026年07月08日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    森見登美彦さんが竹取物語、宇治拾遺物語を町田康さんが担当しているのがキャラクターを表していて面白い。そして作家さんが各々「俺が書きそう」「編集部から割り当てられただけだけどお笑い担当なんだな」と言っているのが笑えた。

    今の若い人の言葉と昔のかしこまった言葉の混ざり具合がおもしろかったです。
    →言葉は純粋にやっていくと滅びるんですよね。やっぱり混ぜていかんとね。ただ、混ぜるのもコツがありますね。バンドをやってるとき、よくあったんですよ。各パートでレコーディングした音を最終的にミックスダウンで一つに混ぜるわけですけど、みんな目立ちたいから自分の音量を上げたがる。それでムチャクチャになって全体のバランスを見始めるんです。
    ええバランスじゃないとね、なんぼ音上げても聞こえへん。よっしゃあ関西弁でいったろかいと思っても、全部が全部、関西弁やったらうるさくて聞こえへんかもしれん。ミックスするときはバランスをとらなあかんということです。何でも一緒ですよね。
    町田さんは『宇治拾遺物語』という原曲を忠実に再現するんじゃなくて、カバー曲を新しくつくって聞かせているんだなって。
    → 仰るとおり、カバーですね。でもメロディーは絶対に変えてません。メロディーとは話の筋です。展開や結末を変えるようなことはしてないです。ムードも変えてません。暗い曲を明るい調子でやったりはしてなくて、もとのムードがより活きるようにやってます。弾き語りの曲にいろんなオケをつけたみたいな感じですね。原文にないことは書かない。原文から聞こえてくる音以外はつけない。だから原文を潰してやろうとか、原文と闘ってやろうとか、そういう意識はまったくなかったです。

    このやりとりが心に響いた

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    2026年06月22日