池澤夏樹のレビュー一覧
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憲法は国の暴走から私たちを守ってくれる大切な理念です。
米国から押し付けられたものだから改正すべし、と声高に言う人々もいるけれど、この世界的にも先進的な憲法の案は、当時の日本人に喝采をもって支持され、合法的な手続きを経て旧「大日本帝国憲法」から現憲法に切り替えられたのでした。つまり、案を提示したのはGHQでしたが、これを選んで施行したのは日本人です。
国の権力から私たちを守るという立憲主義を180度引っくり返して、国民の権利よりも国の都合を優先させるような改憲案を自民党が提示し、参院選の争点にするなどといっている現在、現憲法を読み直して、その素晴らしさを再確認し、自民改憲案がどれほど危険なも -
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火山学者である頼子は、広告の仕事をしている門田と出会い、彼にある嫌悪感を抱く。門田はあまりにも軽率に言葉を濫用している。彼の仕事は頼子に言わせれば「贋の物語、贋の神話を作って、それを新製品にもったいぶってくっつけること」であり、彼自信が言葉や妄想で真実や本当の気持ちを覆ってしまい、ずいぶんと不誠実な人間だと頼子には思えた。しかし、彼に対するこの嫌悪感はすぐに頼子自信に返ってくる。彼女もまた科学という権威ある神話の中で安穏と生活をしている。火山が噴火するメカニズムは解けても、真に迫りくる脅威としての火山は知らない。頼子もまた閉じられた神話の中で生きていたことに気づく。そして、世界の真実に迫るため
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ネタバレ池澤夏樹さんのデビュー作。
無人島に漂流した主人公と自然との関わりを描いたもの。
最初は苦労しながらも何とか生き抜いていた。
そんな矢先、他の人が訪れたことで元の世界に戻れる機会を得る。
しかし、彼は帰還することなくあえて自給自足を続けた。それは何故か。
そうさせる力や欲求というのは簡単に説明することのできないものだ。しかし、最後には主人公はその生活で学んだことを表現しようと決意する。それは可能なのかどうか。
池澤さんは感覚と思考、この二つを両立させようと試みているように感じる。また、目に見えないもの、形を成さないものに対しても敬意を払っている。その大切さを感じているからだと思う。 -
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本を読むときに、作家がどのレベルで人間を見ているかということを感じるのはとても重要で、そのレベルがわたしと一致しているかわたしの求めるものでない限り、読書というのは多かれ少なかれ空虚なものになりがちだとおもう。池澤夏樹の人間に対する向き合い方はすごく好き。好感が持てる。それに加えて、この本では自然の描き方もとても素敵だった。自然に向き合ってきた人の書き方だと、体感ゆえの書き方だと、だからこんなに迫ってくるものがあるのだとおもう。理系の煌めきをぎゅっと文学に凝縮するものの、物語としての魅力を失わせないストーリーテラーとしての才能。好きすぎる。真昼のプリニウスだと、読み終わったあとに思わず呟いてし