池澤夏樹のレビュー一覧

  • 南の島のティオ

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    再読。
    現代文明から離れた南の島の出来事を綴ったエピソード連作。文明とは何か、自然の魅力とは何かなど、しみじみと胸に沁みてくる。便利であるということは、何かをなくすことであるかもしれない。

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    2013年06月10日
  • 憲法なんて知らないよ

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    憲法は国の暴走から私たちを守ってくれる大切な理念です。
    米国から押し付けられたものだから改正すべし、と声高に言う人々もいるけれど、この世界的にも先進的な憲法の案は、当時の日本人に喝采をもって支持され、合法的な手続きを経て旧「大日本帝国憲法」から現憲法に切り替えられたのでした。つまり、案を提示したのはGHQでしたが、これを選んで施行したのは日本人です。

    国の権力から私たちを守るという立憲主義を180度引っくり返して、国民の権利よりも国の都合を優先させるような改憲案を自民党が提示し、参院選の争点にするなどといっている現在、現憲法を読み直して、その素晴らしさを再確認し、自民改憲案がどれほど危険なも

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    2013年05月19日
  • すばらしい新世界

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    作者の言いたいことを物語の主人公を通して言っているだけと感じなくもないが、物語としてもおもしろい。
    ネパールの自然の描写や、魅力的な登場人物、とくに頭の良い主人公には好感がもてる。
    エネルギーの問題や宗教に作家ならではのアプローチで触れており、読み手側にも何かを考えさせられる。
    旅行の時に読むのがおすすめかも。

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    2013年01月27日
  • すばらしい新世界

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    私たちは日本に生まれ育った。ただ他国に憧れ、そのまま真似をしてもうまくはいかないだろう。私たちは、私たちなりに、変わる必要がある。

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    2013年01月21日
  • 叡智の断片

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    ネタバレ

    引用とは、自分の意見を飾るために“叡智の断片”を借りること。

    アメリカの作家 ラッセル・ラインズ
    『悪口を最も優雅に受け止めるには、無視すればいい。
    それができなければ凌駕する。 それが無理なら笑いとばす。
    もしも笑えないとなったら、その悪口は真実だと思った方がいい。』

    ユーモアとウイットさを、タイムリーに捻り出せる事が、
    本当の教養と叡智の力であり、それを感じさせる言葉が溢れている。

    悪口をユーモアで凌駕するボキャブラリーの数々。面白かった。

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    2012年12月05日
  • カイマナヒラの家

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    ハワイイの話。
    自由で開放的な感じが良い。
    ちょっと不思議なお話があっても、ああ、そんなこともあるんだろうな、
    と納得してしまう場所なんだね。

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    2012年10月27日
  • 夏の朝の成層圏

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    素晴らしい。哲学的であり、詩のようにも美しい小説。特にヤシが島で暮らし続けてマイロンと対話しながら深い自問自答を繰り返し、最後には「書く」ことに辿り着く過程は感銘を受けた。海外にいるときに読んだので色々と自らの体験に重ね合わせられることも多かった。

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    2012年09月25日
  • すばらしい新世界

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    分厚いけれど、清涼感いっぱいの本。国際協力関係の授業で使うといいかも、と思えるほどNGO、ODA関連のことが出てくる。ネパールへ行きたくなる本。

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    2012年09月06日
  • 真昼のプリニウス

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    火山学者である頼子は、広告の仕事をしている門田と出会い、彼にある嫌悪感を抱く。門田はあまりにも軽率に言葉を濫用している。彼の仕事は頼子に言わせれば「贋の物語、贋の神話を作って、それを新製品にもったいぶってくっつけること」であり、彼自信が言葉や妄想で真実や本当の気持ちを覆ってしまい、ずいぶんと不誠実な人間だと頼子には思えた。しかし、彼に対するこの嫌悪感はすぐに頼子自信に返ってくる。彼女もまた科学という権威ある神話の中で安穏と生活をしている。火山が噴火するメカニズムは解けても、真に迫りくる脅威としての火山は知らない。頼子もまた閉じられた神話の中で生きていたことに気づく。そして、世界の真実に迫るため

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    2012年08月26日
  • 夏の朝の成層圏

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    ネタバレ

    池澤夏樹さんのデビュー作。
    無人島に漂流した主人公と自然との関わりを描いたもの。
    最初は苦労しながらも何とか生き抜いていた。
    そんな矢先、他の人が訪れたことで元の世界に戻れる機会を得る。
    しかし、彼は帰還することなくあえて自給自足を続けた。それは何故か。

    そうさせる力や欲求というのは簡単に説明することのできないものだ。しかし、最後には主人公はその生活で学んだことを表現しようと決意する。それは可能なのかどうか。
    池澤さんは感覚と思考、この二つを両立させようと試みているように感じる。また、目に見えないもの、形を成さないものに対しても敬意を払っている。その大切さを感じているからだと思う。

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    2012年12月21日
  • 夏の朝の成層圏

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    独特な空気感と理屈が南の島という舞台に融合していて気持ち良く読めた気がした。
    どっちが本当の世界なのか、どこからが日常なのか、境界線がないようであるものの、それも曖昧。
    そんな感じが心地良い。

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    2012年08月01日
  • 真昼のプリニウス

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    本を読むときに、作家がどのレベルで人間を見ているかということを感じるのはとても重要で、そのレベルがわたしと一致しているかわたしの求めるものでない限り、読書というのは多かれ少なかれ空虚なものになりがちだとおもう。池澤夏樹の人間に対する向き合い方はすごく好き。好感が持てる。それに加えて、この本では自然の描き方もとても素敵だった。自然に向き合ってきた人の書き方だと、体感ゆえの書き方だと、だからこんなに迫ってくるものがあるのだとおもう。理系の煌めきをぎゅっと文学に凝縮するものの、物語としての魅力を失わせないストーリーテラーとしての才能。好きすぎる。真昼のプリニウスだと、読み終わったあとに思わず呟いてし

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    2012年06月12日
  • 静かな大地

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    北海道開拓とアイヌの話。当時、蔑まれていたアイヌと共に土地を拓き、事業を興したものの、妬みや策謀によって離散という結末を辿るという、なんともやるせない。しかも実話に基づいている。
    人間は自分至上主義というものから逃れられないものなのか、さらにそのおかしな考え方が強ければ強いほど力を持ってしまう、追従してしまうのはどうしたらこの世から消滅させられるのか、考えさせられる。
    物語という形式ではなく、父親の問わず語りを後に娘が回想しながら文字化するという形式なので、途中の娘たちの会話に著者の考えが書かれているのが気に障ると感じる人もいるかも。

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    2012年06月10日
  • 南の島のティオ

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    ほっこりした不思議な10個のお話が詰まっている。「絵はがき屋さん」がいちばん好き。すごく幸せな気持ちになれる。

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    2012年06月06日
  • 真昼のプリニウス

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    ネタバレ

    女性火山学者が主人公のお話。
    学問でも生き方でも、この頃、私たちは情報や理屈などに頼りすぎている。
    言葉や考えはそれほど頼りになるものではないよ。
    と池澤さんが考えておられるのを文中から感じました。
    作家だからよりそう感じるのかもしれません。

    あっちに世界があって、こっちに人がいて…ではなく、人があってこそ世界があるのではないか。だから人の数だけ、異なる世界があってもよいし、もっと感覚的に自分が真実だと思う世界を探そうとする心がけが必要なんじゃないか。そんなことを考えました。

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    2012年05月23日
  • 真昼のプリニウス

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    先日、心躍る素敵な本屋さんを見つけ、山登りに関わるコーナーに置かれていたので、手に取る。
    ここで終わりなの?!というところで終わるこの物語。
    読み手に委ねられたのね、頼子さんの未来は。

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    2012年05月20日
  • すばらしい新世界

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    「光の指で触れよ」を先に読んでしまったので、林太郎や森介、アユミの5年前、ネパールの風車、森介の大冒険とは、「光の・・・」で出てきた話はこういうことだったのね。と納得しながら読みました。美しいといえば美しい、でも普通の風車とはにても似つかないダリウス型の風車ってどんな形なんだろうと思ってネットで確認しました。そしたら、「家庭と職場」の章のタイトルの下にダリウス型の模型の写真があったのですね。読み終わってから気づきました。エネルギー問題、環境問題、途上国の問題、登場人物と一緒にちょっと真剣に考えてしまいました。

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    2012年04月19日
  • 夏の朝の成層圏

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    抑制されたリズムの中に一言一言が重みを持っています。空気の薄いところで自分の現実に出会ったらこんなように際立って感じるのかな。無人島漂着した主人公、と設定やストーリーは物語世界のものですが、表現された肌感覚や主人公の思考には諸手を上げて共感。それが美しい言葉で。うーん、折々で読み返したい本になりました。

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    2012年02月23日
  • 夏の朝の成層圏

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    ぼくが彼になって、またぼくに戻ってくる話。
    振り返ってみて後から「あれは幸せなことだったんだ」と気付くこと。生きることに一生懸命で居られることは幸せなんだと彼が気付くくだりに、自分を重ね合わせて少し泣いた。

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    2012年01月18日
  • 真昼のプリニウス

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    情報の提供サービスを夢想しつつも、自身は物語も神話にも信じられなくなっている男。心にかかったフィルターが強過ぎて自分の直感さえも本物か贋か分からなくなっている。

    一方は科学者の女性。自分は正しく世界を観測し分析していると思っているが…。
    うさぎの例え話のように、その先に危険が待っていたとしても何があるか知りたいという本能に従い火口へと赴く。

    ストーリーと言えるほどのものはないけど、人物や事象の一つ一つが象徴として機能しているあたりが池澤夏樹さんの凄いところです。とても心に響く一冊だった。

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    2011年12月07日