あらすじ
〈あの時に感じたこと〉が本物なのだ。記憶を、感覚を、薄れさせてはいけない。
東日本大震災発生後間もなく、自ら車を駆って被災した各地をめぐり、見て、語らい、思考した、唯一無二のリポート。
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Posted by ブクログ
あの日から忘れられない記憶…
東日本大震災の被災地を巡り、被災者に触れ、著者が想うこと、考えたことを綴った作品。鷲尾和彦による写真も収録。震災から半年後に出発された単行本の文庫化。文庫化にあたり、『東北再訪』を収録。
あの日からの記憶が蘇り、あらためて、あの日のことについて考えるきっかけになった。
Posted by ブクログ
3月に読み始めたのに、だいぶ時間がかかってしまった
震災直後の世の中の空気感を思い出した
圧倒的無力感
東北という土地を見つめ直す本だった
遠野にはいつか行きたい
文庫版のあとがきは痛烈
再生エネルギーに一気に舵を切ることは難しいという立場からしても、だからって原発再稼働が加速しすぎでは無いかと訝しむ情勢が続く
あれほど強烈なスクラップアンドビルドがあっても、資本主義の構造はあまり変化しなかった
今より少しでもより良い世界へ、進むことの難しさを感じる
Posted by ブクログ
本書は、池澤夏樹さんが東日本大震災に寄せたエッセイ、コラムを再構成したものです。
表題は、ポーランドの作家ヴィスワヴァ・シンボルスカの詩集からの引用とのこと。
本書では、被災者や困難と闘った人に光を当てたり、ジャーナリズム向けに書いたりするのではなく、単に震災の全体像を描こうとしたようです。
動揺、哀しみ、怒り、希望などが綴られ、思考を重ね練り上げた良質な言葉が並びます。池澤さんの様々な想いが行間から立ち上がるようです。
印象的だったのが、池澤さんの日本人観と震災後の日本の歩みの記述でした。先日読んだ、外国人ジャーナリストのルポの視点と同様だったためです。
良くも悪くも「諦めのよさ、無関心等の姿勢」の指摘、そして、被災地の復興の具体の希薄さ、日本の電力事業の再編の遅さ・逆行など、改めて自分自身への戒めを含めて、考えさせられました。
被災直後の中学校の卒業生答辞に「天を恨まず」という言葉がありました。「天が与えた試練というにはむご過ぎる」けれども、「運命に耐え、助け合って生きていくことが私たちの使命」だと。
単なる美辞麗句との捉え方もあるでしょうが、本書のタイトルに通じ、個人的に絶賛肯定します。
喪失を受け入れ、傷を癒すための時間(言い換えれば記憶の忘却)は必要で、しかしこれは記憶の風化との戦いでもありますね。