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〈あの時に感じたこと〉が本物なのだ。記憶を、感覚を、薄れさせてはいけない。 東日本大震災発生後間もなく、自ら車を駆って被災した各地をめぐり、見て、語らい、思考した、唯一無二のリポート。
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Posted by ブクログ
あの日から忘れられない記憶… 東日本大震災の被災地を巡り、被災者に触れ、著者が想うこと、考えたことを綴った作品。鷲尾和彦による写真も収録。震災から半年後に出発された単行本の文庫化。文庫化にあたり、『東北再訪』を収録。 あの日からの記憶が蘇り、あらためて、あの日のことについて考えるきっかけになった...続きを読む。
本書は、池澤夏樹さんが東日本大震災に寄せたエッセイ、コラムを再構成したものです。 表題は、ポーランドの作家ヴィスワヴァ・シンボルスカの詩集からの引用とのこと。 本書では、被災者や困難と闘った人に光を当てたり、ジャーナリズム向けに書いたりするのではなく、単に震災の全体像を描こうとしたようです。...続きを読む 動揺、哀しみ、怒り、希望などが綴られ、思考を重ね練り上げた良質な言葉が並びます。池澤さんの様々な想いが行間から立ち上がるようです。 印象的だったのが、池澤さんの日本人観と震災後の日本の歩みの記述でした。先日読んだ、外国人ジャーナリストのルポの視点と同様だったためです。 良くも悪くも「諦めのよさ、無関心等の姿勢」の指摘、そして、被災地の復興の具体の希薄さ、日本の電力事業の再編の遅さ・逆行など、改めて自分自身への戒めを含めて、考えさせられました。 被災直後の中学校の卒業生答辞に「天を恨まず」という言葉がありました。「天が与えた試練というにはむご過ぎる」けれども、「運命に耐え、助け合って生きていくことが私たちの使命」だと。 単なる美辞麗句との捉え方もあるでしょうが、本書のタイトルに通じ、個人的に絶賛肯定します。 喪失を受け入れ、傷を癒すための時間(言い換えれば記憶の忘却)は必要で、しかしこれは記憶の風化との戦いでもありますね。
東日本大震災直後から半年くらいにかけて書かれた本。あの当時、日本はジワジワとながらも変わっていくのだろうと思っていた。みんなが「誰もが幸せになれば良いのに」と考えていたはずだ。いつしかその思いも薄れて、復興五輪の名が躍る。原発についても同じだ。あの時、あんなに大騒ぎをし、怖いと思ったはずの原発は今、...続きを読むまた再稼働しようとしている。本当にこれで良いのだろうか。 あの頃を思い出す必要はないか。封印してはいないか。よく考えて政治を見ていかなくてはならない。
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