穂村弘のレビュー一覧
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私の若い頃には世界が滅びるとか日本がダメになるとか、そういう感覚はありませんでした。当時は、世界はとても広く、ポテンシャルがまだまだあると思っていました。そうした条件下においては、他人と傷つけあっても互いに別の場所で生きていけばいいだけで、無数の選択肢があると考えることができました。
でも、時代の流れの中で近年感じるのは、全員が方舟に乗って危うい運命を共有しているような感覚です。そんな状況だと、方舟の上で喧嘩するとか焚き火をしちゃうとかいったことは、非常にリスクが高くなってしまいます。加害性について全員が敏感になる必要がある。かつてのようにそこにポテンシャルがあれば互いに傷つけあってもいいだろう、といった考え方は今は成立困難に思えます。
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ここ10年で、どんどん世界のほうがぼくらに向かって迫ってくるような感覚がある。だからぼくらは、そのことが恐ろしくなって似たような仲間と必死にコミニュティを築いているんだと思う。方舟の中で、グループごとにフェンスやバリケードが作られ、それぞれの生活圏が生まれていくように。
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ダ・ヴィンチのご長寿連載『短歌ください』第三弾の単行本の文庫化。
単行本が2016年刊行、今回の文庫化が2025年と、9年も間が空いてるのは、『短歌ください』が輩出した綺羅星のようなプロ歌人たちの短歌の著作権とか版権とかがいろいろややこしくて大変だったのだろう、と邪推しているが、真相はわからない。
この『君の抜け殻編』は、単行本のほうを何年か前に読んでいるので、うっすら覚えのある短歌もあったが、好きな短歌は、何度読んでも新鮮な驚きをもたらしてくれる。
今回、思ったのは、『短歌ください』の短歌って、何も思わず通り過ぎた「一瞬」を、他者の目になって、またその「一瞬」を生き直してるような気分になる、ということ。
だから、あるある感と、驚きが同時にある。
あと、最近のプロ歌人の歌集より、難解ではない表現の短歌が並んでいるので、短歌興味あるなー、でも、ハードル高いなーと思ってる方にもオススメ。
文庫ではこの第三弾まで、単行本では第五弾まで出ている。
解説は、『短歌ください』で、はじめて短歌を作って初投稿で採用され、その後常連となり、のちにプロ歌人、『NHK短歌』第四週選者と、きらびやかな経歴を重ねている木下龍也さん。
解説ではなんと、ご自身の考える、『短歌ください』攻略法を緻密に分析されている。
その中で、木下さんは、『短歌ください』に採用されることを、「穂村さん(選者の歌人・穂村弘さん)を口説く」
と表現されていて、くらくらした。
大抵は、「選ばれる」って書くだろう。
「選ぶ」選者の穂村さんじゃなくて、本を読み、挑戦する読者が主体となる瞬間の逆転が、歌人・木下龍也だと思った。(たしか、木下さんの短歌指南書でも「口説く」と、表現してた気もする。)
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ここで個人的なお知らせです。(いきなり)
短歌のサイト『月間うたらば』2025年5月号で拙作を掲載していただきました。
〈ブログ消えアカウント消えあのひとの顔も名前も知らぬまま 春〉テーマ「失」
noteというプラットホームで発表した短歌を再投稿したものです。
選者の、田中ましろさん、ありがとうございました!
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歌人・穂村弘さんのエッセイ
タイトルは蛸の足のようにあちこちに言葉が伸びてゆくイメージだそうです
すぐに読めちゃう短いエピソードはどれも絶妙に面白く、思わずクスッと笑ってしまう。
奥様がよく登場するのだけど、とてもユニークな方ですね。
すっかりファンになってしまいました。
きっとご本人は面白いとは思っておられないでしょうが、それがまた良いのです。
きっと可愛らしい方と想像します。
繰り返される日常も、こうしてスポットライトを当てれば意外と彩り豊かなんだと気付かされました。
ちょっとヘコむ出来事も、言葉にしてみたら笑いに変わったり出来そうだなと。
なんだか一日一日が愛おしく感じますね。
最後に好きなエピソードをひとつ紹介
【凄い遊び】
「歩行者天国なのに車道の真ん中を歩かないなんで、私も大人になったもんだね」と妻。
それから色々と自分が大人になったって思ったのはどんな時?と話し、私は妻の手を取って、歩行者天国の真ん中にふらふらと歩み出していた。
なんて素敵なご夫婦!
ほっこりしました(*´ェ`*)
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ネタバレこれを借りたつもりが、埼玉福祉会が出してるこれのでかい版だった。予約棚から取った時、でか!とびっくりしたけど、これでよかった。めがねなくても読みやすかった!
かわいいほむほむ(平野紗希子から借りちゃう呼び方)対恋愛がメインのエッセイ集
「冷蔵庫が息づく夜にお互いの本のページがめくられる音」(穂村弘)
が とーーーってもすき。
インスタのリールをスクロールする人の膝の上にごろんとして、「寝ながら学べる構造主義」をめくるわたしと、その時間をやけに愛おしく思っていたわたしを思い出した。
自分の経験とリンクする文章や作品にはとくに弱い。
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ネタバレ気分で、いや確実に平野紗希子のポッドキャストのおかげで、穂村弘の歌集を朝の電車内で予約し、帰りの電車で読むという一連をしてほんとによかった。なぜかやけに疲れた気がした今日だったけど、オフィス出たときより目が開いてるし気持ちも明るい。
穂村弘さんの目線が好き。一緒にいた女の人ん(リスペクトして女とよぶ)もすき。なんで歌人はえっち?
あと、葡萄の肉の色の空(形容してるもの違ったかも…)と言われたとき、やられた〜というかかっこよすぎ〜というか、参ったわ〜と思った。いろんな物事のビジュアルも手触りもそれによって引き起こされる感情もていねいに心にとっておいて、バチっとはまるときに出せる人になりたい。 -
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ネタバレ短歌の入門書としてももちろん、読み物として面白くて入り込んでしまった。久しぶりに「これは隙間時間ではなくちゃんと環境が整った時に読もう」と思えた本。とてもよかった。
「生きのびる」と「生きる」の違いについて、1冊かけて丁寧に解説されていて、自分の中に入ってきた感覚がある。
選ばれた短歌から改悪例を出してくれていることで、一般的な添削よりも分かりやすい。
自分は余白を持たせるためと思って単語を標準化してしまっていたけれど、これはまさに改悪例として載っているもので、唯一無二でなくなってしまっていたということだ。
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「この本はただの短歌入門書ではない。短歌入門書の仮面をかぶったビジネス書である。」(p165解説)
本書は慶應義塾の社会人教育機関で開講された、バリバリのビジネスマン向けのワークショップの講義部分を再構成したものとのこと。ターゲットが意外。
現代短歌にあらわれるような詩的感覚の表現を、「文学の形式」ではなく「頭を切り替えるための発想法」として伝えたとのことで、自分も学びがあった。
私は「生きのび」たいのではなく「生き」たいという欲求が強くなる時があって、もやもやしたりじたばたしているのかもしれないな、と思った。これは今の自分にとって大きな気付きな気がする。
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ひとつ不思議なのは、語り口調の本は苦手な傾向にあり、よっぽど読みたいテーマか知っている著者でなければ挫折してきたのだけど、本書は何も違和感がなく読めた。まだ著者の詩集も手に取っていなければ本書が講義がベースということも知らないという不勉強な状態だったにもかかわらず、何か文章から滲み出る魅力があったのだろうか?
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Posted by ブクログ
著者の穂村弘が「ふと思い出して嬉しくなったり、たまたま目に飛びこんできて「いいな」と思った歌」を集めた本。
右のページに短歌が1首掲載されていて、左のページに著者の解説などが、書かれている。
通常のアンソロジーと違う点は、プロの歌人だけでなく一般の人が新聞の短歌投稿欄に送った短歌なども紹介されている点だ。
本書で掲載されている短歌をいくつか紹介したい。
結婚はタイミングだと言われた日 独りの部屋でおなら出し切る カン・ハンナ『まだまだです』
この短歌の解説には、「表現への踏み込みに作者の気迫を感じる」とあり。
前科八犯この赤い血が人助けするのだらうか輸血針刺す 金子大二郎「日経歌壇」
この短歌の解説には、「専門歌人の歌集を何冊読んでも決して出会えないような一首」と書かれていた。
(7×7+4÷2)÷3=17 杉田抱僕『短歌ください 君の抜け殻篇』
「かっこなな/かけるななたす/よんわるに/かっことじわる/さんはじゅうなな」と読むらしい。数式が短歌になったなんて驚いた。
本当はメロンが何かわからないけどパンなりにやったんだよね 砂崎柊「短歌ください」
メロンパンを見る眼差しが優しい。
あの羽は飾りなんだよ重力は天使に関与できないからね 木下龍也『つむじ風、ここにあります』
たしか、この短歌は木下龍也がまだ投稿歌人だったころに、日経歌壇の穂村弘欄で第一席になった短歌だと思う。
この本は、短歌の解説もわかりやすくて短歌の初心者の人にもおすすめである。