穂村弘のレビュー一覧
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穂村弘さんの『短歌の友人』。
ずっと積んであったのですが、やっと全部通して拝読しました。
でも、はっきりいって何が書いてあるのかよく理解できないところがほとんどでした。(多少はわかるところもありましたが)
内容を要約することはできないので、高橋源一郎さんの解説「友人の条件」より抜粋させていただきます。
P267より
『短歌の友人』という本は、「短歌」について書かれている。「短歌」の「なに」について書かれているのか。一つは「短歌とはなにか」であり、「短歌はどのように変化してきたのか」であり、さらにいうなら、「これから短歌はどうなっていくのか」について書かれた本である、といっていいだろう。もしかしたら、そういう本は、つまり、「短歌」の本質や歴史について書かれた本は、いままでもたくさんあったのかもしれない。そういえば、ぼくも、たくさん読んだ気がする。しかし、それらの本のことを、いまではほとんど覚えていないのに、穂村さんのこの本だけは忘れられないのはなぜだろう。
この本は、また折りをみて再読したいと思います。
明日は、無事に穂村さんの講座を聴きにいけるとよいのですが。 -
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歌人の穂村弘さんと俳人の堀本裕樹さんが、50人の出題者からお題を頂戴して、短歌と俳句の五十番勝負をします。
50人の出題者は著名人から一般の12歳の少女まで。
歌や句を説明する文章だけでも、ショートエッセイのようで面白かったです。
読みながら好きな短歌と俳句のセットになっているもののみに付箋を貼っていったら、あとがき対談という穂村さんと堀本さんの対談で、お二人がお互いにお好きだというお互いの短歌と俳句のセットには、私も付箋を貼っていたところが多く、嬉しく思いました。
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お題 カルピス
出題者 高橋久美子・作詞家・作家・32歳・女性
<虫籠にみっしりセミを詰めこんでカルピス凍らせた夏休み> 穂村弘
<カルピスの氷ぴしぴし鳴り夕立> 堀本裕樹
お題 黒
出題者 千田朝子・小学生・12歳・女性
<水泳の後の授業の光のなかに溶ける文字たち> 穂村弘
<点描の黒猫の眼の夜寒かな> 堀本裕樹
お題 ロール
出題者 寺島さやか・「本屋B&B」店長・30歳・女性
<青空にエンドロールが流れだす蝉が鳴いているだけだった夏> 穂村弘
<つやつやのバターロールや秋の湖> 堀本裕樹
お題 うらはら
出題者 五戸真理枝・「文学座」劇作・演出・36歳・女性
<カラスカラスその賢さとうらはらに愛されなくて目を光らせる> 穂村弘
<花桐や夕ごころとはうらはらの> 堀本裕樹
お題 共謀者
出題者 藤田直哉・文芸評論家・34歳・男性
<友だちがひとりもいない僕の目の中に煌く共謀者よ>
穂村弘
<喰らい合ふ夜食共謀罪めけり> 堀本裕樹
※煌くは漢字変換が、私のPCではできず違う字を当てました。 -
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この歌たちが詠まれて時代を少し過ぎた今でもぶっとんでいると思えます。
連作で読むと凄い!と思うところもありました。
ので、順番通りに並べます。
「ドライ ドライ アイス」
<月の夜の暴走族は蜜蜂のダンスを真似て埋立地まで>
<チューニング混じるラジオが助手席で眠るおまえにみせる波の夢>
<風の交叉点すれ違うとき心臓に全治二秒の手傷を負えり>
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<スニーカーの踵つぶして履く技を創り給いしイエス・キリスト>
<星座さえ違う昔に馬小屋で生まれたこどもを信じるなんて>
<お遊戯がおぼえられない君のため瞬くだけでいい星の役>
<お遊戯がおぼえられない僕のため嘶くだけでいい馬の役>
「蛸足配線」
<レインコートをボートに敷けば降りそそぐ星座同士の戦のひかり>
<逢いたいのいますぐ来てという声をかこむ熱帯の果実を想う>
<描きかけのゼブラゾーンに立ち止り笑顔のような表情をする>
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<くだもの屋のあかりのなかに呆然と見開かれたる瞳を想う>
<眼鏡猿鼠猿蜘蛛猿手長猿月の設計図を盗み出せ>
<きがくるうまえにからだをつかってね かよっていたよあてねふらんせ>
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<約束はしたけれどたぶん守れない ジャングルジムに降る春の雪>
<うちの猫、ドックフードが好きなの。と春の鏡のなかの美容師>
<硝子の外ははるのかぜ 恋人が怒った顔でわたす知恵の輪>
「手紙魔まみ」
は新感覚のSF童話のような感じがしました。
短歌でこんなこともできるのですね。
連作ならではと思いました。
<金髪のおまえの辞書の「真実」と「チーズフォンデュ」のラインマーカー>
<世界一汚い爪の持ち主はそれはあたし、と林檎をさくり>
<人と馬のくっついたもの指(?)さしたストローの雫が散る、夜は>
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<エスカレーターの手摺りを雑巾で押さえ続ける瞳を閉じて>
<まみとゆゆはかつてUFOキャッチャーの景品だった 眩しかったの>
<「5種類のドレッシングから選べます」「選べないから混ぜてください」>
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<NASAはどっちですか、問えば警官のサングラスに映る俺の笑顔は>
<「みずたまりで蟻が溺れています」って高速道路の電光掲示>
<ハイウェイを歩む少女は出来立てのフルーツパフェをあたまに乗せて>
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<高速道路のみずたまりに口づけてきみの寝顔を想う八月>
<きらきらと海のひかりを夢見つつ高速道路に散らばった脳>
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<赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、きらきらとラインマーカーまみれの聖書>
瀬戸夏子さんの解説より引用します
(前略)どれだけきらびやかな歌を作ろうとも、塚本の歌には戦争を経験した苦しみが転写されているが、穂村のピストルはおもちゃのピストルである。けれど穂村は嘘をつけなかった。本物のピストルを持ったことがない人間は本物のピストルを持ったことがあるような歌をつくれない、いや、つくってはならないという倫理がそこにあったのではないだろうか。苺味の血糊できれいな白いシャツを汚しながら笑うような歌こそ戦後世代の穂村がつくらなければならなかった歌なのではないだろうか。その遊戯が拡大し、明るい「シンジケート」のメンバーおもちゃのピストルを持った子どもたちが増えつづけ、いつか同士打ちに手を染めなければならなくなるとしても。生殖を選ばなかったイエスさえ、書を通じて「子ども」を「間違って作ってしまった」のだ。
<イエスは三十四にて果てにき乾葡萄噛みつつ苦くおもふとその年歯> 塚本邦雄
<スニーカーの踵つぶして履く我を創り給ひしイエス・キリスト> 穂村弘
塚本は嫉妬と呪怨をこめて、イエス・キリストの歌をたくさん詠んだ。比較すれば、穂村の歌の軽やかさはあきらかだろう。けれどまた、穂村は塚本の「子ども」だったのだと思う。
そして、塚本はみずからの歌もいつか「間違つ」た「子ども」をつくることを知っていた。だから手を挙げて命乞いをする「子供」を、「君の」「子ども」だとは言わなかった。「君の私の」「子供」だと言ったのだ。むしろ塚本こそ、戦後社会を撃とうとした自分のピストルの先に、穂村の顔を見て、愕然、愕然としたのではないか。
(中略)
ほみほむとまみは穂村がつくりだしたもっとも熱烈で甘いシンジケートであった。たくさんの人々が次々に入会した。イエス。イエスとマリア。ほむほむとまみ。完璧なシンジケートであった。
(後略) -
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ひとつひとつはすごく短いのだけれどその全てのオチのつけかたが天才すぎる。気にしすぎだよ、と思う部分も多いけどそれがこの作者の感性なんだろうな、本当に繊細だよ、、それでいてだいたい全て、読み終わった後に心が温かくなるというか、軽くなるのですごい。折に触れて読み返したい掌集。
「パッチワーク博士」「永久保存用」「心と爪先」「東大でいちばん馬鹿な人」「スピーチ」とか好きだった。
⚫︎あらすじ
永久保存用 いちばんヨクキク随筆集
人気歌人にして、エッセイの名手・穂村弘の、もっともセンシティブな部分を収録したエッセイ集。自称“ふわふわ人間”穂村弘のあたふたっぷりに共感しつつ、その鋭い自分観察と分析は、まさに“永久保存用”の納得感。
(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用) -
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「短歌ください」の第二弾です。
穂村さんの選ぶ歌はちょっと一癖ある歌が多い気がしました。
私の平々凡々な頭ではとても思いつかない歌ばかりだと思います。
現在、歌人としてご活躍中の木下龍也さん岡野大嗣さん、鈴木晴香さんらのご活躍もあります。
17歳の少年歌人として投稿されていた寺井龍哉さんが文庫の解説を書かれています。
とにかく、歌を載せますのでお時間のある方は読まれてみてください。
<革靴を買うと偽り二時間のロマンポルノを観た十五の夏> (寺井龍哉・男・17歳)
<ともだちの家に今夜は泊まるけど何もいらないぜーんぶ借りる> (平岡あみ・女・16歳)
<午前2時裸で便座を感じてる 明日でイエスは2010才> (直・女・17歳)
<夏の日に山の手にある病院でたしかに野犬を見たのだけれど> (小川あい子・女・30歳)
<あなたのそのキュピュンと光るつむじの中に吸い込まれそう雨上がったね> (深田海子・女・24歳)
<俺なんかどこが良いのと聞く君はあたしのどこが駄目なんだろう> (泡凪伊良佳・女・16歳)
<来年もよろしくと言ったあの人は知らないうちにオムレツの彼方> (エイシャ・女・22歳)
<針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う> (木下龍也・男・23歳)
<おかあさん死なないでと掛け布団につかみかかる86歳のわたし> (滝谷脩紀奈・女・24歳)
<幻か。愛していると思ってた。見たこともないこどものあなたも。> (ジュン・女・52歳)
<パステルの黄色がみつからないのです、ちょうちょが白くて困っています> (いさご・女・22歳)
<ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる> (岡野大嗣・男・31歳)
<「そのコート素敵な闇の色ですね」君に心を持って行かれる> (えむ・女・21歳)
<蛇口から銀河流れるシンクへと溜めた銀河でラディッシュ洗う> (九螺ささら・女・43歳)
<答え合わせしてよ初めて愛すんだ空欄だけは無くしとくから> (ナルヒト・女・17歳)
<あいつらが結婚したということでますます町は小さく見える> (ななはる・男・30歳)
<死ぬときにこの手握ってくれる人募集中 すこし急いでいます> (つきの・女)
<隣人にはじめて声をかけられる「おはよう」でなく「たすけてくれ」と> (木下龍也・男・24歳) -
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ネタバレ先輩に薦められた一冊。
私が手に取ることはなかったであろう一冊。
こういう本を読む自分なんか、これっぽっちも想像できなかったけど、人に薦められたからにはと、重い腰を上げてみた。
上がる重さで本当に良かった。
ありきたりな表現だけれども、いつか「人生に影響を与えた本は何ですか?」と訊かれたら、この本の名前を呼んでいる自分が想像できる。
第1講第1節からグッと引き込まれた。
そして、「「生きのびる」ための言語体系から「生きる」ための言語体系にシフトする」ことと、私たちの二重性について書かれた第1講第5節。
そんな二面の違いとは、「忘れられないかどうか」という尺度と、そっちにシフト出来ない自分との綱引きについてが書かれた第3講第6節。
この三つの節は本質的でとても好きだった。
そして、二面とも大事だけど、蔑ろにされている「生きる」方を知ることこそが、「自分とは違う生き方を送る人々の考え方を感知できる」ことだと力説する、山田航さんによる解説。
この本にも歌が出てくる又吉直樹さんの小説(と映像作品)に私はとても惹かれるんだけど、その理由がこれまで上手く説明できなかった。特に、『劇場』。大好きなんだけどね。何故か上手く理由を語れない。
でも、この本を読んでから、少し言語化ができるようになったかも。
それは、「社会化された価値観の思考パターン」に抗って、「「生きる」に純化した魂の輝き」が眩しいからなのではないか。
私もたまには、スイッチを意識的に切り替えてみよう。
この本を薦めてくれた先輩に感謝を込めて。 -
Posted by ブクログ
レビューを見て読んでみました。とても面白いエッセイです。うんうん、分かる、分かりますっ、という笑える話ばかり。
私が特に面白いと思ったのは、四つの話。
『辞書にない文字』
この話が私が一番面白いと思った。どうしても覚えられない名前がある、間違えて覚えてしまって正しい名前とゴチャゴチャになって造語を作ったりなど、「まさに私だよ。」と思った。奥さんのチーズの話も一緒。近いところまでいくのに、どうしても正しい名前が出てこない。いつもちょっと違う。
『正直な人』
私はどうも似合わない気がするけど、本人はとても気に入ってて自慢気に見せてくる時がある。私はそういう時正直に言えなくて困ってしまう。違う事を言って話をそらしてよく誤魔化してしまう。
『酸っぱい部屋』
私はPCR検査を受けた事がないので分からないけど、知人が検査を受けた時、唾液が出なくて困ったと聞いた事がある。この話を読んでなるほど、と思った。梅干し、レモンこの二つのポスターが部屋にいっぱい貼ってあれば、出ないものも出るかな。
『校長先生を追い越した日』
これもすごく分かると思った。私の場合、学校の先生とお医者さん。ずっと頼れる年上の人だったのが、いつの間にか私より年下の先生ばかり。申し訳ないけど、たまにこの先生で大丈夫?と思う事がある。
穂村弘さんと奥さんのやり取りもほのぼのしてて好き。奥さんの発言が、なんというか芸術家っぽいので、その発想力に感心してしまう。だから、ご結婚されたのかな?なんて思った?
短歌も出てるんだけど、全く短歌の事が分からない私でも、「あぁ、これ面白い。」と分かるのもあり楽しめた。分からない短歌もあり「?」はあった。
新聞では連載中との事。猫を飼い出したところで終わったので、その続きも読みたいです。きっと"ひるね"がいっぱい登場するんだろうな。