穂村弘のレビュー一覧
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本の情報誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画「短歌ください」に寄せられた短歌を穂村弘が選び、解説をくわえている。
発想が素晴らしい短歌ばかりで面白く、著者の解説で短歌の魅力がいっそう際立つ。短歌を詠む時にも生かせそうだ。いくつか紹介したい。
コンビニで聞こえた遅刻の言い訳が「尾崎にバイクを盗まれました」
バイキング誰も並ばぬ一品を浮かび上がらすトングの光り
電子レンジは腹に銀河を棲まわせて静かな夜に息をころせり
↑の短歌への著者の解説は“最も日常的なもののなかに宇宙を見出だす鋭さ”
じいちゃんは、白目と黒目の境目が曖昧になった目で座ってる
↑の短歌への著者の解説は“「じいちゃん」の「 -
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本書のテーマは「偶然性による結果的ポエム」についての考察だそうです。
特に気に入ったエッセイを二つ引用します。
P36より
本当の名前
以前枡野浩一さんが、ものを書き始めたばかりの人が自分でつけたペンネームにはしばしば「月」という文字が入る、という意味の指摘をされていたが、そう思ってみると、確かにインターネット上のペンネームなどは「月」だらけだ。この「月」は言霊的に効きにくいだろう。
偶然性のある「月」ならいい。
だが「月」を入れた名前の多くは、その他の部分も素敵な文字で固められている。本人の思い入れの強さによって、偶然性の要素、つまり「思いがけなさ」が奪われているのだ。
自分で自分 -
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ふとした時に見かけた看板の文言や、街中での他人の会話を聞いて感じたことを主にまとめたエッセイ集。
相変わらずのほむほむ節が炸裂していて、面白い。氏のゆったりのんびりとした文体が好き。「なにそれ、どういうこと?」って前のめりになったり、「わかるわかるw」と共感したりしながら読んだ。
若者たちに写真を頼まれて「はいチーズ」と言って伝わったか不安になっちゃう話とか、友人の奥さんが夫婦喧嘩した時にマジックで床に×印を書いて「ここで首を吊るから」と言い放った話とか、美華さんが自分の名前の漢字を伝える時に「美しいに華やか」ではなく「美術の美に中華の華」と遠回しの言い方を使った話とか…
こういう些細な -
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近くのショッピングモールの本屋さんでなんと、この本が三冊並んでました。短歌コーナーが前よりも大きく設けられているような気がします。この本の表紙は今までの穂村本と趣が違って、ジェットストリームのようなシックな色合い。装丁葛西薫さん。
内容はいつもの昭和感満載で安心します。街角でふと耳にしたことから膨らむ、ほむほむ妄想世界へ!本書のテーマは「偶然性による結果的ポエム」ですって。穂村さん短歌はなくエッセイのみです。
『前にも云ったかもしれないけど』、同じこと言っちゃってます。わかります。
『昭和?』「私も何かを云った後で、今のは昭和だったかなあ、とよく不安になるのだ。」、同感。
『名前の教え方』、自 -
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暴力的で荒々しい言葉遣いだけど美しい言葉の印象を受けました。
暴力的だと感じるのは、恋人(たぶん)をおまえと呼ぶせいかもしれません。
それと、女性を女と呼ぶせいもあるでしょう。
文学で言えばエンタメ系ではなく純文学系の感じがしました。
もう一人の現代の代表的歌人である俵万智さんはエンタメ系というイメージです。
考えたのですが、穂村さんが恋人をおまえと呼び女性を女と呼ぶのは穂村さんは平成、令和の歌人ですが、穂村さんが昭和生まれだからで、そんなに暴力的という訳ではないのかもしれません。でも、あなたという呼称もありますが。
今だったらぼくらとか君とかが多いような気がします。
拙い的を得ない感想だ -
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昨年の年末に、111108のレビューを読んで購入した。読みごたえがあって何度も読んだ。
一番印象に残ったのは、5552もレビューで書いていた「オートマティック」な感じになるのはだめというものだ。慣用句的な表現といっていいかもしれない。慣用句的な、みんなが使いそうな表現を使うと、オリジナリティが希薄になる、そんな内容を書いていて勉強になった。
2章の設置法では、歌集の作り方などを著者自身の経験をもとに書いている。歌集のタイトルは自分の名前とのバランスが大事など、他の短歌入門書ではあまり書いていないことも丁寧に書かれている。
3章の構造図は、いろんな短歌を分析している論文のようで少し難しいが -
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「何かをみつけるの何かって、いったいなんだ。これだというものって、いったいどれだ。今すぐにそれをやり始めて、世界と自分を決定的に変えられるような何かはどこに隠れているんだろう。
経験的に私が示せる答えがひとつある。それは短歌を作ってみることだ。案外そんなところに、「何か」は隠れているものではないか。
(中略)
その時々の景色や感情を封じこめるという点で、短歌は写真みたいなものであり、生き生きと想いを伝えられるという点で、手紙みたいなものでもありますね。
そしてぼくたちが大昔の歌に感動できたり、逆に未来の読者を夢見たりできるという点で一種のタイムマシンでもある。あと言っておきたいのは、今しか作れ -
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穂村さんが「いいな」と思った歌を集めた100首。
なかなか解説付きの短歌を読むことがないので、これも楽しみが倍増できて良かった。
奥深いなぁ。
素のままの我が身を晒して歌にする。
こんなふうに表現できれば気持ちいいだろうなぁ。
憧れの目で読んでいた。
このなかから特に好きな8首を厳選。
①はじめからゆうがたみたいな日のおわり近づきたくてココアをいれる 〈本田瑞穂〉
②水無月の崎のみなとの午前九時赤き切手を買ふよ旅びと 〈若山牧水〉
③今日君が持ってる本を買いました。もう本当のさよならなんだ 〈福島遥〉
④僕らは未だ見えざる五つ目の季節が窓の向こうに揺れる 〈山田航〉