【感想・ネタバレ】短歌ください 明日でイエスは2010才篇のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月14日

「短歌ください」の第二弾です。
穂村さんの選ぶ歌はちょっと一癖ある歌が多い気がしました。
私の平々凡々な頭ではとても思いつかない歌ばかりだと思います。

現在、歌人としてご活躍中の木下龍也さん岡野大嗣さん、鈴木晴香さんらのご活躍もあります。
17歳の少年歌人として投稿されていた寺井龍哉さんが文庫の解...続きを読む説を書かれています。




とにかく、歌を載せますのでお時間のある方は読まれてみてください。


<革靴を買うと偽り二時間のロマンポルノを観た十五の夏> (寺井龍哉・男・17歳)

<ともだちの家に今夜は泊まるけど何もいらないぜーんぶ借りる> (平岡あみ・女・16歳)

<午前2時裸で便座を感じてる 明日でイエスは2010才> (直・女・17歳)

<夏の日に山の手にある病院でたしかに野犬を見たのだけれど> (小川あい子・女・30歳)

<あなたのそのキュピュンと光るつむじの中に吸い込まれそう雨上がったね> (深田海子・女・24歳)

<俺なんかどこが良いのと聞く君はあたしのどこが駄目なんだろう> (泡凪伊良佳・女・16歳)

<来年もよろしくと言ったあの人は知らないうちにオムレツの彼方> (エイシャ・女・22歳)

<針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う> (木下龍也・男・23歳)

<おかあさん死なないでと掛け布団につかみかかる86歳のわたし> (滝谷脩紀奈・女・24歳)

<幻か。愛していると思ってた。見たこともないこどものあなたも。> (ジュン・女・52歳)

<パステルの黄色がみつからないのです、ちょうちょが白くて困っています> (いさご・女・22歳)

<ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる> (岡野大嗣・男・31歳)

<「そのコート素敵な闇の色ですね」君に心を持って行かれる> (えむ・女・21歳)

<蛇口から銀河流れるシンクへと溜めた銀河でラディッシュ洗う> (九螺ささら・女・43歳)

<答え合わせしてよ初めて愛すんだ空欄だけは無くしとくから> (ナルヒト・女・17歳)

<あいつらが結婚したということでますます町は小さく見える> (ななはる・男・30歳)

<死ぬときにこの手握ってくれる人募集中 すこし急いでいます> (つきの・女)

<隣人にはじめて声をかけられる「おはよう」でなく「たすけてくれ」と> (木下龍也・男・24歳)

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Posted by ブクログ 2022年12月03日

一般の方から募集した短歌と、穂村さんによる選評。
日常生活のささやかなことやディテールを通して普遍的なことが浮かび上がっていたりと、面白い作品が多くて、どんどん読んだ。選評があることで、その作品の面白さが引き立ったり、短歌の味わい方が掴めてきたりするのもいい。

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Posted by ブクログ 2022年10月16日

掲載されている短歌自体も素晴らしいが、穂村弘の解説も凄い。一つ、紹介したい。

“君を待つ3分間、化学調味料と旅をする。2分、耐え切れずと目を覆い、蓋はついに暴かれた。”

せつこという、当時15歳の女性が書いた短歌だ。定型から完全にはみ出したこの短歌に著者はこう書いている。

“カップラーメンの出...続きを読む来上がりが待てなくて2分で開けて食べちゃった。たったそれだけのことを、ここまでハイテンションに詠い切ったのは凄い。今度は五七五七七の短歌定型でつくってみてください。”

化学調味料と旅をする、っていう表現も斬新だが、蓋はついに暴かれた、っていう表現はもっと凄い。
先祖代々絶対開けてはいけません、と言われている開かずの扉が、ついに今開かれる、みたいな異様なテンションだ。表現力が素晴らしい。

あと、次の募集テーマが「バス」ということで、ブク友の5552が書いていたバス旅を俺もやってみたいと思い、昨日やってみた。

ユニクロへ行くだけの短時間の旅だったが楽しかったなぁ。「降りますボタン」も久々に押したし、懐かしい気持ちになれて良かった。たまには、馬ではなくバスにも乗ろうと思う。

バスの短歌のイメージもいろいろ湧いてきたからじっくり作っていきたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年09月13日

穂村さんのダ・ヴィンチ投稿のため、傾向と対策を知る参考書と思って取り寄せた 2010-2013年(第31-60回)連載分をまとめた単行本の加筆修正した文庫版 表紙は陣崎草子さん
ブク友の5552さんも張飛さんもライバルですからねっ

題詠はほんと苦手、今度のお題は切手だけど思いつかない
テーマは多彩...続きを読むで罪、同性、数字、自然、体、味、エロ、距離、声などなど
自由詠も募集していて、『どちらのテーマも上限はございません。どんどん送ってください』ですって
皆さんの「穂村さんに読んでほしいんですけど!!!」と渾身の最高傑作を差し出し、素晴らしい作品が目白押し、才能のぶつかりあいですっ こりゃあ穂村さんに選んでもらって掲載まで遠い道のりだ
同一作者で他の投稿作品も良かったら一緒に載せちゃうという贅沢さ
解説は、投稿少年高校生だったのに今ではNHK短歌の先生という寺井龍哉氏にお願いだなんて、素敵すぎます☆彡
「短歌を作るということは、多かれ少なかれ、うそをつくことでもある。」
「穂村弘は、こんなにも気軽な調子で、こんなにも罪深い営為に、読者たちを誘うのだ。その罪深さが、本書の愉悦の豊かさである。」
5552さん情報にもあった、木下龍也さんも常連でよく載ってました

どれも良すぎて選びきれないので、穂村さんの講評を抜粋します 褒め言葉も素敵
限りなく幻に近い愛の真実
自分自身の内側に充ちている命の反映
無軌道な情熱を込めた歌は多いけど、その逆の静かな現実的対応を詠った秀作は珍しい
ユーモアの反射神経に惹かれました
意外性、ドライブ感、パラレルワールドなどが多用されてました

ご自身のことを開示しているのも楽しみ
募集テーマは料理 僕は林檎を剝くことと素麺を茹でることしかできないんですけど。
募集テーマは幸福 私は散歩や買い物やお茶をしていると幸福なんだけど、人によって感じ方が違いますよね。
募集テーマは地元 僕の地元は作務衣を着たおじいさんが無農薬野菜を抱えてスケートボードに載っているようなイメージのところ

女子便所からもおんなじ空が見えおなじ身体の向きになるはず
月光の降る大通り警官と婦警が手と手つないで渡る(寺井龍哉、18歳)
動物は何も言わずに死んでゆく人間だけがとてもうるさい
だしぬけに葡萄の種を吐き出せば葡萄の種の影が遅れる(木下龍也、24歳)
お二人ともたつやさんです?!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年06月05日

「どこにでも行ける気がした真夜中のサービスエリアの空気を吸えば」サービスエリアって特別な感覚になる。嗅覚も聴覚もとても澄んでほんとうにどこまでもどこまでも行けるよう。人工物の匂いから自然が救い出してくれるような、どこか懐かしい香り。不可思議で少し足がすくむ感覚。思い出してアンニュイな気分になった

...続きを読む「煮え切らぬきみに別れを告げている細胞たちの多数決として」こうでも結論づけなくちゃ前に進めないよなぁ。とも詠めたし、全力で拒絶しているとも仮定できた面白い歌。人間関係の断ち切りの難しさを感じる

「筆圧の強いあの子が今日は来たイヤホン外して「かりかり」を聴く」今日は、はいつも心待ちにしている人なのかな。前のめりで相手に関心のある様子は捉え方によっては怖く感じてしまうんだけど、気になる人を少しでも感じたい欲が露骨に出ていて愛おしい歌。イヤホンっていうフレーズを見ると、私はどこか閉ざされたイメージを持つのだけれど全力で開いている歌の空気感がすき。かわいい

「冬の朝窓開け放ちてあおむけば五体にひろがりやまぬ風紋」風紋‥風によってできる模様。なるほど。知らない言葉だった。言葉を知るとまた深くこの歌が身近に感じる。風は目には見えないはずだけど、確かにそこにいるな。様々な形で存在することを教えてくれるみたい。目には見えないけど確かに存在する。癒される。力がみなぎる。風って、自然って神様みたい

「俺なんかどこが良いのと聞く君はあたしのどこが駄目なんだろう」ストレートな言葉がしっかりささる。彼は質問しているだけなんだけどしっかり拒絶しているように感じるから凄い。わたし、ではなくあたし、としている女の子に純粋さを感じるから切ない。「あたし」はまだ世の中を知らない。恋愛を知らない。男性を知らない。なんだか懐かしくてやっぱりせつない

「行ったのか待てば来るのかバス停で本当のことはわからずにいる」バスの話だったのか!私は想いを寄せる人に対しての歌だと思っていた‥なるほど。でもその後の、本当のことはわからずにいる。という文は人生そのものを俯瞰して見ているように感じた。わからないんだろうな。だれにも本当のことは

「まだそんな幼いことをやってるの」言いつつ涙溢れるばかり」21歳の女性の歌なんだなぁと思うとより一層胸が締め付けられる。この成人した少女は大人にならなくてはやっていけない現実についていけてないのだろうなぁ

「針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う」東京を縫うってすごい。針に糸、という細かいフレーズからいきなり東京って飛躍するから面白い。細かいことは苦手だよって聴こえてきそう。大都会で働くお父さん。偉大だな。世の中のお父さんが力強く感じた。

「お願いです。駅構内で不審物を発見しないでください。(駅長)」当事者の切実な思いが伝わる。わかるー!責任重いよなあ。緊張感あるよなあ。当番の日には当たらないでくれー!って誰もが願うもの

「さよならが弾けるときは音の粒まで深呼吸してやりたい」すごく覚悟のいることをサラッと受け止めてしまうこの人が素敵。痛みまで、悲しみまできちんと全て吸収しようとするところ、中々真似できない。全部全部大事にしていたいっていじらしさも感じてすきだなあこの歌

「この赤い手すりの下に動脈が埋まっているはずエスカレータの」機械に熱を感じることってあるな。まるで生き物みたいに温もりを感じるとき。もしかしたら命は吹き込まれているのかも知れない。廃墟とかもそうだもんな。それ自体が大きないきものみたいだもん

「享年は書かれてないのね牛肉の細切れ肉のパックの表示に」命日と表記が変わるだけで私たちの生活の何かは変わるんだろうな。加工、消費、と表記されるだけで生き物がモノに変わる物騒さが刺さる。生き物だって頭ではわかっているけれどそれを再度認識して有り難く命をいただいている人間はどれほどいるのだろう。惰性でお肉を選ぶ日もあるもんなあ。なんだか残酷で傲慢で横暴で‥人が人であることを反省する感覚になる

「部長室で頭下げても目の端に窓の緑をいつも入れとく」したたかで素敵な歌。一瞬ですきになった歌。自然っていつも寄り添ってくれる。みなぎる活力を与えてくれる。心身共に平穏無事を恵んでくれる友だと年々感じる。人からパワーをもらったりあげたりするのって時々とてもしんどいから。落ち込んだら自然に頼ってみるのがいい

「地球上の総人口が偶数であれとひとりの朝に願った」ひとりではやっぱり生きていけない。現実社会で手を取り合って生きていくパートナーは必ずいてほしいと切な願いが伝わる。自分の未来に対しての希望なのだろうけど、みんながそんな想いを持てたら日々はもっと穏やかになりそう

「こおろぎは鳴いているけど冷やし中華やめましたとは誰も言わない」はじまりは宣言するのにやめるときは何も言わない。確かに。そもそもなぜ冷やし中華だけはじまるのだろう。かき氷でも肉まんでもおでんでもなく冷やし中華

「君よりも少しだけ長いお祈りで、君はわたしよりしあわせになる」こんなふうに想えるわたしは誰よりしあわせになるんだろうな。いや、既にわたしはしあわせなんだ

「もう少し早く出会っているような世界はどこにもない世界より」もう少し早く出会っていれば‥違う場所で出会っていた‥出会い方のせいにすることってあるけれど、そんな世界ないですよって今の世界が世界なのだからって身も蓋もない歌で素敵

「しあわせな人ぶる君にみあうためコントレックスが不味くてもわらう」しあわせな人ぶるかあ。私たちは常に裏腹を含んで生活してるんだろうな。明け透けで生きても生きづらいリアル。愛嬌をもって建前をもってしたたかに生きるリアル

「くちびるの皮をひとかけ食べました。明日つぶやく予定の言葉」その皮の上で言葉は通り過ぎるはずだったのに早めにその皮を食べてしまったって想像したのだけれど、解説を見たら違ったみたい。SNSにつぶやくってことか!「つぶやく」=SNSやTwitterを想像するのってほんとデジタル社会だなあ

「一人旅装うブログ打つ君の携帯カメラに映らぬわたし」かなしい。さみしい。とてもストレートでリアル。一緒に過ごしているのにいないことになっていて、それをわざわざ証明してるようにも見えてつらい。わたし、いるよってきこえる

「背中をさする手の美しさを咳き込むわたくしは見ることができない」想像しただけで切なくなったり美しく感じたり。人の心は豊かだ

「鮭の死を米で包んでまたさらに海苔で包んだあれが食べたい」ごまかさないで言葉にされるとささる。生き物の死を美味しい美味しい食べている人間って‥

「改札の数が少ないあふれてる人が落ち着くまで並ばない」こういう手法のうたいかたもあるんだな。二句切れと言うのか‥

「「好きにしろ」父の口癖聞くたびに好きにできない呪縛にかかる」わかるなあ。好きにしろって自由とは真逆の意味に聞こえてしまう。だから言っただろうと未来からの声まで聞こえてくるよう

「明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット」力強い意志の集まる場所。ただの人じゃない。ただのスーパーじゃない。感度を持ってアンテナを張り巡らせているとこんな風に詩にできるんだなあ。日常に豊かさをくれる短歌の世界。日常であればあるほどその力に魅せられる

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Posted by ブクログ 2021年05月03日

短歌はほんとうにたのしい!
小説も好きですが、好きなページから好きな分量だけ読んだり、何年も経ってから読替えして新鮮な感じ方をしたり、身に覚えのある感情を見事に57577にしている歌に胸を打たれて自分やそのときの感情についてやっと理解できたり。
言語化したり名前をつけたりするのは、良くも悪くもとても...続きを読む強い行為なのだと気付かされる。
言葉はとても強いものだから、だいじに扱っていこう。

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Posted by ブクログ 2023年05月09日

本の情報誌、『ダ・ヴィンチ』の読者投稿企画の連載「短歌ください」の文庫化第二弾。


今回も面白い。掲載されている短歌の作者さんは比較的若い方が多く、自由で寂しくとても軽やか。短歌に添えられた穂村さんの一言が、また優しくて、歌がより味わい深くなります。
私はテーマ「性格」の回が好きです。31文字で、...続きを読む人の性格という繊細で複雑なものを表現できるのが素敵で惹かれました。

私は短歌を詠んだりする経験はあまりないですが、日常をこういった新鮮な観点で切りとり、言語化するという感性は磨いていきたいなと思います。

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Posted by ブクログ 2022年05月01日

新鮮ではっとさせられる作品がたくさんありました。
読んでいて、そういうものの捉え方あるんだと知り、楽しくなる。

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Posted by ブクログ 2022年03月17日

穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に連作「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸等とともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。エッセイスト、絵本の翻訳家等としても...続きを読む活動している。
本書は、月刊誌「ダ・ヴィンチ」に連載されている短歌投稿コーナー「短歌ください」の2010年11月号~2013年4月号をまとめた単行本を加筆・修正の上、2020年に文庫化したものである。尚、2008年5月号~2010年10月号をまとめたものも、2014年に文庫出版されている
私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持ち始め、これまで俵万智、穂村弘、東直子、枡野浩一、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら等の歌集や短歌入門書、いくつかの現代短歌のアンソロジーを読み、半年ほど前から新聞短歌に投稿している(最近ぽつぽつ採用されるようにもなった)。
また、穂村氏の作品では、歌集『ラインマーカーズ』、入門書の『はじめての短歌』、『短歌という爆弾』、エッセイ集の『鳥肌が』(講談社エッセイ賞受賞)、『蚊がいる』、対談集の『あの人と短歌』等をこれまで読んできた。
本書については、以前より目にしつつも、せっかく読むならプロの歌集の方がいいだろうと思い、敬遠していたのだが、本屋でパラパラとめくってみると、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら、木下侑介など、後に歌集を出す人々の作品も多数含まれており、上記の2008~2010年のものと一緒に購入して丁寧に読んでみた。
読み終えてみて、若く、感性の鋭い人たちの歌には感心しきりなのだが、一方で、私が現在モチベーションとする新聞歌壇にはこうした歌はほとんど選ばれておらず、日常に起こったことを日記のように詠んだ歌が大半である。その背景としては、投稿者の母集団の年齢層が異なること(「ダ・ヴィンチ」は主に10~30代、新聞歌壇は主に50代以上、だろうか)が大きいと思われるが、また、選者も、媒体の性格や投稿者の母集団の指向を意識した上で、選んでいるのかも知れない。
そうした意味では、短歌とは様々な作風があり得る、実に幅の広いものだと改めて感じると同時に、若い人たちの感覚も取り込みつつ、色々な作風の歌を作れるようになりたいと思う次第である。
また、この「短歌ください」や、かつて枡野浩一が少女向け月刊漫画誌「キューティ・コミック」に連載していた短歌投稿コーナー(ここから加藤千恵や佐藤真由美が出た)が、こうした機会がなければ短歌に興味を持つことすらなかったかも知れない若手歌人の発掘に貢献しているというのは、実に素晴らしいことだと思う。
(2022年3月了)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年09月13日

前作と同様に気に入った作品に付箋をつけて自分がどういうものに惹かれるのか考えてみた。
少し寂しさを感じるものが好きな傾向かな?
好きな作品を3首

どこにでも行ける気がした真夜中のサービスエリアの空気を吸えば

正しさが欲しかったから25時赤信号にひとり従う

長距離ランナー型・短距離ランナー型・六...続きを読む畳間這いまわり型

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Posted by ブクログ 2021年02月20日

極個人的な感覚だと思っていたものが、他の人によって鮮やかに言語化され、共有される驚きだったり、思いもよらない角度からのものの見方におお!となったり、かつて感じたことのある心の揺れがアルバムのように並んでいたり、31文字、季語がなくてOKな現代短歌の世界はとてもユニークで豊かでした。
このシリーズの他...続きを読むの本も、読んでみようと思います。

気になった短歌をいくつか

さかあがり靴を飛ばして落下するもう懐かしい地上ただいま

明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット

戦争はもうなかったよ 飴を噛む六歳にとって私はおとな

煮え切らぬきみに別れを告げている細胞たちの多数決として

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Posted by ブクログ 2021年01月02日

2021年の初読み本。
「短歌をください」はダ・ヴィンチの中で一番好きな連載ですが、2010年頃はまだダ・ヴィンチを読んでいなかったので、この本に掲載している短歌をよむのは初めて。
短歌は読んでいると、世界を他人の目線で見ている感覚になります。
夜に読んでいたからか、明るい短歌よりも薄暗い短歌の方が...続きを読む目に止まりました。
特に心に残ったのは
「ドトールなう」つぶやく君のドトールはここじゃないのかいまじゃないのか
(p200)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年11月07日

「あるある」や「新発見」を通り越してギョッとさせられるような短歌の群れを楽しんだ。というかおののいた。

60のママ、これ以上生きないで 死に近づいていくのがこわい

その傷がまぶたとなってひらいたらおそろしいからガーゼを当てる

声優を声優さんと呼んでいるあの子に呼び捨てされていた日々

聞いたこ...続きを読むとない花の名をあたしの名よりもはっきり言い切った母

「かぎかっこ、僕がつかうからとっといて」(だったら私はかっこでいいや)

愛ん家で見たエロ本と脱衣所のない風呂たぶん愛は美しい

だしぬけに葡萄の種を吐き出せば葡萄の種の影が遅れる

柔らかい笑顔するのね下半身は暴力的に動いているのに

飲みながらおしっこしたらそれはもう管よ私は一本の管

死ぬときにこの手握ってくれる人募集中 すこし急いでいます

明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット

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Posted by ブクログ 2020年09月27日

わ、穂村さんの文庫新刊。笑わせてもらう気満々で手に取りましたが、私はこれまで彼のエッセイばかり読んでいて、短歌そのものが載っている本は初めて読むことに気づく。穂村さんは歌人なのに(^^。;

泣ける映画が必ずしもいい映画ではなかったりするけれど、怖い映画も必ずいい映画というわけではない。でも怖い歌は...続きを読む必ずいい歌なのだそうです。他の感情よりも人間の深いところに根ざしているからかもしれないという推察になるほど。

それにしても選出された歌の作者は皆若い。ジジババおらんし。経験値高い爺婆が恐怖について詠んだらさらに怖い気がする。

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