穂村弘のレビュー一覧
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ダ・ヴィンチのご長寿連載『短歌ください』第三弾の単行本の文庫化。
単行本が2016年刊行、今回の文庫化が2025年と、9年も間が空いてるのは、『短歌ください』が輩出した綺羅星のようなプロ歌人たちの短歌の著作権とか版権とかがいろいろややこしくて大変だったのだろう、と邪推しているが、真相はわからない。
この『君の抜け殻編』は、単行本のほうを何年か前に読んでいるので、うっすら覚えのある短歌もあったが、好きな短歌は、何度読んでも新鮮な驚きをもたらしてくれる。
今回、思ったのは、『短歌ください』の短歌って、何も思わず通り過ぎた「一瞬」を、他者の目になって、またその「一瞬」を生き直してるような気分にな -
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歌人・穂村弘さんのエッセイ
タイトルは蛸の足のようにあちこちに言葉が伸びてゆくイメージだそうです
すぐに読めちゃう短いエピソードはどれも絶妙に面白く、思わずクスッと笑ってしまう。
奥様がよく登場するのだけど、とてもユニークな方ですね。
すっかりファンになってしまいました。
きっとご本人は面白いとは思っておられないでしょうが、それがまた良いのです。
きっと可愛らしい方と想像します。
繰り返される日常も、こうしてスポットライトを当てれば意外と彩り豊かなんだと気付かされました。
ちょっとヘコむ出来事も、言葉にしてみたら笑いに変わったり出来そうだなと。
なんだか一日一日が愛おしく感じます -
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ネタバレこれを借りたつもりが、埼玉福祉会が出してるこれのでかい版だった。予約棚から取った時、でか!とびっくりしたけど、これでよかった。めがねなくても読みやすかった!
かわいいほむほむ(平野紗希子から借りちゃう呼び方)対恋愛がメインのエッセイ集
「冷蔵庫が息づく夜にお互いの本のページがめくられる音」(穂村弘)
が とーーーってもすき。
インスタのリールをスクロールする人の膝の上にごろんとして、「寝ながら学べる構造主義」をめくるわたしと、その時間をやけに愛おしく思っていたわたしを思い出した。
自分の経験とリンクする文章や作品にはとくに弱い。
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ネタバレ気分で、いや確実に平野紗希子のポッドキャストのおかげで、穂村弘の歌集を朝の電車内で予約し、帰りの電車で読むという一連をしてほんとによかった。なぜかやけに疲れた気がした今日だったけど、オフィス出たときより目が開いてるし気持ちも明るい。
穂村弘さんの目線が好き。一緒にいた女の人ん(リスペクトして女とよぶ)もすき。なんで歌人はえっち?
あと、葡萄の肉の色の空(形容してるもの違ったかも…)と言われたとき、やられた〜というかかっこよすぎ〜というか、参ったわ〜と思った。いろんな物事のビジュアルも手触りもそれによって引き起こされる感情もていねいに心にとっておいて、バチっとはまるときに出せる人になりたい。 -
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ネタバレ短歌の入門書としてももちろん、読み物として面白くて入り込んでしまった。久しぶりに「これは隙間時間ではなくちゃんと環境が整った時に読もう」と思えた本。とてもよかった。
「生きのびる」と「生きる」の違いについて、1冊かけて丁寧に解説されていて、自分の中に入ってきた感覚がある。
選ばれた短歌から改悪例を出してくれていることで、一般的な添削よりも分かりやすい。
自分は余白を持たせるためと思って単語を標準化してしまっていたけれど、これはまさに改悪例として載っているもので、唯一無二でなくなってしまっていたということだ。
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「この本はただの短歌入門書ではない。短歌入門書の仮面 -
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著者の穂村弘が「ふと思い出して嬉しくなったり、たまたま目に飛びこんできて「いいな」と思った歌」を集めた本。
右のページに短歌が1首掲載されていて、左のページに著者の解説などが、書かれている。
通常のアンソロジーと違う点は、プロの歌人だけでなく一般の人が新聞の短歌投稿欄に送った短歌なども紹介されている点だ。
本書で掲載されている短歌をいくつか紹介したい。
結婚はタイミングだと言われた日 独りの部屋でおなら出し切る カン・ハンナ『まだまだです』
この短歌の解説には、「表現への踏み込みに作者の気迫を感じる」とあり。
前科八犯この赤い血が人助けするのだらうか輸血針刺す 金子大二郎「日経歌 -
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2007年の本なのに、とても今っぽいなー。
“ときめきがやすらぎに変わるなら”っていうフレーズ、すごくグッときたなー。
“職業選択の自由が自己実現へのプレッシャーを逆に高めたように”っていう言い当てドキッとしたなー。
“目の前の出来事を主体的に引き受けてひとつひとつ片づけてゆく人間と、そこから逃げ続ける人間の能力差は歳を経るごとに大きくなってゆく”って文章に早く出会えてたらなー。
ひらがなで綴るフレーズの小気味よさ、多様性を叫ぶようなったその弊害、ゆとりとさとりの価値観を串刺しにするような戒め、ソフトに笑える“ふてほど”感(時代錯誤感)もあったりするけど、とにかく今を表現してるのではと思わせる