「天国に行くよ」と兄が猫に言う 無職は本当に黙ってて 山川藍
ふと本屋さんで手に取り立ち読んだ一冊
単行本冒頭に掲出されたこの句にやられてしまいました
その日は買わずに帰ったのですが、数日たっても忘れられず結局購入
バラエティに富んだ短歌100首、とても面白い一冊でした
……というか、100首ど
...続きを読むころじゃありません
穂村先生の解説欄に頻繁に引用句が登場するものだから、最終的には200首くらい載っているのでは?ってな印象
句を読んだ感想も、穂村先生の解説とは全然違う事を感じたり、なんなら一日置いて読み返しただけで初読時の自分と全然違う事を感じたりと、ずっと手元に置いて読み返したい作品集でした
他ジャンルで活躍中の人の句も掲載されていてビックリ
ハルカトミユキのハルカは作詞もしているしわかるけど、まさか女子プロレスラー・ハイパーミサヲの名前をここで目にするとは……
いくつか気に入った句を紹介してみる
おふとんでママとしていたしりとりに夜が入ってきてねむくなる 松田わこ
ー作者は当時7歳の少女だそうで。ひえー、すごいー
ラジオ体操の帰りにけんかしてけんかし終えてまだ8時半 伊舎堂仁
ー少年の日のキラキラした一日を思い出す、好き
くちづけをしてくるる者あらば待つ二宮冬鳥七十七歳
ー最初は読み方がわからなかったのだけど、二宮冬鳥(にのみやとうちょう)が作者名だと知れた瞬間に笑ってしまった、かっこいい老人だ
朝を知る野鳥の声を聞きながらまだ夜のまま君を思へり 高山邦男
ーこれは掲載100首ではなくて解説欄に引用された一句
私が大好きなバンドの曲に「ねぇ新聞屋さん 僕の今日は 君にとって昨日のこと?」という歌詞があるのですが、こういった夜更かしした人の今日と早起きした人の昨日が混ざる、みたいなちょっとクラクラするような感覚が好きなんです
花の下を歩いたときのなぞなぞの答えを君は今も言わない 竹内亮
ーもちろんこのままズバリな経験があるわけじゃないんですけど、恋人同士の間だけで通じるお約束のやり取り、みたいなあの雰囲気・空気感がしてすごく好き
ってキリがないよ!
だって素敵な句ばかりだもの、しょうがないよね