穂村弘のレビュー一覧
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ぐっときた歌
お一人様三点限りと言われても私は二点でピタリと止めた
「生きる」「生きのびる」のあいだを行き来しながら人はある
社会で在るためには「生きのびる」
個人で在るには「生きる」
のような?
どうしたって生物としてのヒトだから、身体の調子があって、揺らぐし矛盾するし、機械ではなくて、完全効率的には動けない。
でも社会のしくみを作ってる。
しくみから逃れたかったり、逃れざるを得ないときに歌がうまれるのかな?
p81~
生きのびるの粋を集めた(社会の効率化の洗練に洗練を重ねてる)のがコンビニ、その効率のかたまりに圧迫される⇒上から目線になっちゃうという視点が面白かった
上から目線「コンビニ で いいや」に現れてるというとこ。 -
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雑誌『ダ・ヴィンチ』で読者から寄せられた短歌を、人気歌人の穂村弘さんが選び評する投稿コーナー「短歌ください」。その第3弾の文庫版。
この本には、投稿歌人だった頃の木下龍也さんや、岡野大嗣さんの短歌も掲載されている。
解説は、木下龍也さん。その解説もすごくためになる。採用歌の傾向について、①ニッチ②とても個人的な体験③論理の飛躍④納得⑤唐突⑥生々しさ、という6つの観点から分析している。
これは、「短歌ください」に投稿するときのみならず、普段短歌を作るときにも大事なことだと感じた。
この本に掲載されている短歌から、十首短歌を紹介したい。
2歳2ヶ月の娘に命じられ快晴の日に長靴を履く
(トヨタエリ・女・33歳)
誘わなきゃ二万八千五百円出して浴衣を買ったんだから(トヨタエリ・女・33歳)
念のため林檎も鞄に入れている果物ナイフ持ち歩くとき(岡野大嗣・男・33歳)
オレンジが転がってきたら拾ってね偶然君に向かってゆくから(ぼんぼり・女・31歳)
いらっしゃいません0円になりますありがとうございません来て(入退院千・男・25歳)
風の午後『完全自殺マニュアル』の延滞者ふと返却に来る(木下龍也・男・27歳)
ルーシーに「忍者って、いるの?」と聞かれ「少なくなった」と答えるわたし(九螺ささら・女・45歳)
「拙者は」と主語が変わった渡辺がくさりがまを手にコンビニにいる(柳本々々・男・32歳)
なぜ置かぬ置けば買うのに マヨネーズと辛いなにかを和えた具のパン(和田浩史・男・27歳)
ポケットの白いさんごにそっと言うはじめてだよね山の黄や赤(丸模様・女・47歳) -
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『短歌のガチャポン』このタイトルにひかれました。子どもの時も今も、私にとってはガチャポンではなく、ガチャガチャです。でも、このタイトルは、ガチャガチャでもカプセルトイでもダメで、ガチャポン!言葉そのものがかわいいし、音の響きもいい。何が出てくる分からないワクワク感、本書でも堪能できました。
穂村弘さんが選んだ、明治から現在までの短歌100首。どの歌も、心に刺さるもの多しです。
それぞれの歌は日常から生まれているのに、31文字という制約の中で、常識を超えていることの不思議を感じます。
冒頭の数ページは、素敵なイラストつきの短歌が載せられていて、「ガチャポン短歌の世界にようこそ!」という感じでお出迎えしてくれています。
短歌それぞれに、穂村弘さんの解説文が載せられており、これがまた読んでいて楽しいのです。“こんな読み取り方があるのかー”という感じで新しい発見がありました。読んでいるだけで頭のコリがほぐれるようです。
以下、私の好きな歌 ネタバレになります。
イヴ・モンタンの枯葉愛して三十年妻を愛して三十五年 (岩田正)
※オシャレな感じで、素敵なご夫婦!
おふとんでママとしていたしりとりに夜が入ってきてねむくなる(松田わこ)
※かわいすぎるー
ティ・カップに内接円をなすレモン占星術をかつて信じず(杉崎恒夫)
※内接円、レモン、占星術、言葉がすべてカッコいい!
水無月の崎のみなとの午前9時赤き切手を買ふよ旅びと(若山牧水)
※旅で出す手紙っていいな。しかも、切手もその場所でお買い求め。赤い切手、見たことないなあ。歴史的仮名遣い、好きです。
あはれしづかな東洋の春ガリレオの望遠鏡に
はなびらながれ(永井陽子)
※春に、思い出したい。
腹ばひになりて朱の墨すりしころ七面鳥に淡雪はふりし(斎藤茂吉)
※朱の墨、淡雪の取り合わせ、忘れられない。
明日より春休み無人の教室に青き白墨干菓子のごとし(塚本邦雄)→あとがきに掲載
※子どもらにとっては、羽が生えたように嬉しい春休み、教員にとっては無人の教室に色々な思いがよぎる春休み。白墨が青、めったに使わない色ってところが物悲しい。青の感じ、旧字体になっています。スマホで出てきませんでした。月ではなく、円です。
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この本は学術書なのかと思っていたのですが、歌人の穂村弘さんの硬めのエッセイのような内容でした。
穂村さんは42歳の時に緑内障の診断を受けたそうですが、そこを中心に書かれています。
穂村さんは大学は北大で山岳部より安全だという理由でワンダーフォーゲル部に入ったそうですが、北大はすぐ退学されて上智大学の英文科に入りなおしたそうです。
そのころからベンチプレスで筋肉貯金を始め、就職はSE(システムエンジニア)に。
そして緑内障の診断を受けられるのですが、緑内障は完治する見込みがない病気で、「ついに私は不治の病になってしまったんだな」と思ったそうです。
緑内障に自分でできることは目薬のみ。
あとはお医者さんに言われて本気のラジオ体操を一日四回されているそうです。
目がみえなくなると思ったら物欲がなくなったそうです。
あとは眼科医の後藤克博先生との対談。
精神科医の春日先生との対談もあります。
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私もコロナ前ですが市の健康診断で眼圧検査か何かで引っ掛かり「緑内障の疑いがあります」と言われ再検査に行きました。
再検査では特に異常はなかったのですが「二年に一度は検査を受けてください」と言われましたが、その後行っていません。
私は子供のころから就職の時の健康診断まで、眼だけは丈夫で視力は両眼とも1.5だったのでまさかの緑内障疑惑でした。失明してしまったらという恐怖は、私も再検査前に味わい穂村さんの恐怖はわかるような気がしました。 -
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角田さんも穂村さんも大好きで興味を持った本。
角田さんは女性として、穂村さんは男性としての意見を交互にやりとりして進んでいく。
こういう女性が多いかもしれないけど自分は違うとか、もてる男性はこうだが自分にはできないとかいう話題も出てきて、男女の違いを紐解くという面白さももちろんあるけど、ただ角田さんと穂村さんが恋愛観について意見を交わし合うという意味でもすごく興味深かった。
特に印象に残ったのは次の二つ。
一つ目は、「もてる」というのは対人的な「スペース」、つまり「隙」が関係しているのでは?という考察。
隙、確かに大事だよなぁ、わかるわかる。
学生の頃からもてるのは、狙った獲物は逃さないようなギラついている子より、「なぜか可愛く生まれちゃったの」と言わんばかりに無垢を武器にしている子だった。
男子の場合は、「もてたい」を全面に出してもてる子もいたけど、それは自分の欲を露わにして腹を見せることで生まれるオモシロ系の隙によってもてていたんだと思う。
以前穂村さんの作品を読んで、「穂村さんって年を重ねるごとにもてる気がする」みたいな感想を書いたのだけど、それも完全に「隙」だ。
もてたい!という必死感が年を重ねるごとに薄れていって、いざ好かれると、こんな自分の何が良いの?って不安に感じてしまいそうな穂村さんってめちゃくちゃ隙がある。好き。笑
二つ目は角田さんの「自分をふった恋人が別れた後、幸せになって欲しいか、不幸になって欲しいか」という話。
角田さんは不幸になって欲しいと思ってしまうという話から、以下の文章が続く。
『私にとって、小説を書かせている部分と、その、ふった恋人の不幸を願う部分は、かかわり合っているというだけのことだ。自分でもうまく説明できないのだが、私が小説を書こうと思い、書き続け、なお書きたいと願う、その核の部分は、きらきらしたまぶしい正のものではなくて、黒くてゆがんで湿った負のもの、という気が、どうしてもしてしまうのである。』(p129)
ここを読んで私はため息をついた。
私が角田さんの小説を好きな理由がここに全部つまっている気がする。
角田さんの胸の内に渦巻いている負の部分が原動力になって生み出された小説、そして今後生まれる小説。
まだ読んでいない作品も含めて、これからたくさん読むことができるって幸せだなぁ。