穂村弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人気歌人であり、エッセイストである穂村弘のエッセイ集。ときに笑わせてくれ、ときに驚き、そしてときにしんみりできるエッセイの数々。俺は以前、著者の『世界音痴』を読んだことがあるが、さらにパワーアップしていると感じた。
ブク友のまことが、このエッセイに頻繁に登場する著者の奥様のキャラクターがかわいらしいと言ってたと思うが、俺もその意見に激しく同意する。行動が純粋無垢な感じで面白い。
夏に参加した山形文学講座で著者は「短歌とエッセイは出口が違います」という内容のことを言っていた。出口というのは起承転結の「結」かなあと思う。エッセイには必ずこの「結」がある。著者のエッセイは、この「結」にいたるまで -
Posted by ブクログ
死に関する小説や著名人の死の間際の発言、詠んだ歌などを挙げながら、自分なりの「幸福」を想定できれば、「幸福な死」への第一歩になり得るのではないか、という展開が広がる本
印象的なフレーズ
「気がついたら、今週は 1回も信号で引っかかっていない」みたいな短歌を見たことがあってさ 。(中略)「この都合がいいことはありえない 実はもう死んでるんじゃ?」的な想像が働いてしまう。天国には青信号しかないみたいなイメージというか。
この本を読んで、死について詳しくなったということはないが、親の死に目に遭いたくないと思ってましたが、遭うのもありなのかもしれないと考えるきっかけになりました、 -
Posted by ブクログ
穂村さんって色んな本を読んでるんだなあ。
この本を読んで連想した次の本…というふうに流れていくので、穂村さんの頭の中を覗いているみたいで面白かった。
なるほど、と思ったのが、詩とミステリーの関連性。
「どちらも謎でできている」、という穂村さんの解釈。
なるほど、詩、短歌、俳句ではありのままの表現をしない、というのは、最近穂村さんの本を読んでいて繰り返し感じたことだが、ミステリーのように謎解きの感覚で作られているとは。そしてその謎解きは、それぞれの頭の中にある解釈で良い。
1字の言葉選びにこだわる世界。
穂村弘さんのファンになって、韻文の面白さをどんどん知れて嬉しい。 -
Posted by ブクログ
私は今まで短歌を読んでも、分かったふりをしていた。
この本で、歌人たちが表現をどれだけ工夫して読者に伝えようとしているかが少し分かった。
・助詞にこだわる も、だけ、さえ…など強い助詞には要注意。読み手がそうですか、と引いてしまう。
・短歌は具体的に(心情的)、俳句は抽象的、感情表現を差し込む余地が少ない。だから短歌は癒される?自分のことを歌うことができる。
・同じ音数でも、ひらがな、カタカナ、漢字、どれを使うか吟味する。一度両方で書いてみるとよい。
・短歌の表現の軸には「共感」と「驚異」がある。しかし、本当に共感性の高い歌は背後に「驚異」をもっている。わざと特殊な表現…「しぼりこみ」をする