穂村弘のレビュー一覧
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『目先の欲望や安楽に負けるから、そのつけを後で支払うことになるのだ。
「今」をきっちり生きることができないために、そこから先の未来が次々ち腐ってゆく。』
『日常的に私がしていることで、女性たちが未体験とか、踏み込めないとか、想像できない習慣や文化って何かあるだろうか。
ズボンは殆どの女性が穿いたことがあるだろう。
化粧をしていない感覚も知っている。
髭剃りはどうか。
産毛は普通に剃っているだろう。
ネクタイと云いたいが、会社員をやめてからは私もしていない。
褌も締めたことがない。
なのに最近では女性用もあるらしい。
うーん、私が知っていて彼女たちが知らないことは、ひとつもないじゃないか。
こちらは知らないことだらけなのに、何だか、申し訳ないような、悔しいような気持ちになる。
そのような体験のアンバランスを一発でチャラにしてしまうようなら男らしくて凄いものってないだろうか。
そうだ。
刀を持ち歩こうかな。』
『女性たちは特別な事情や理由などとは関係なく、自然にどんどんオーガニックになっていくようだ。いや、女であること自体が特別な事情なのかもしれない。
彼女たちは、食だけではなくて、漢方とか鍼とか骨盤体操とかピラティスとかアロマテラピーとかヘッドスパとかゲルマニウム温浴とか町内洗浄とか、凄まじい切実さかつ貪欲さで、生活の改善と洗練に向かって突き進んでいるようだ。』
「男の側からすると、つるつるすべすべでいい匂いの相手と抱き合えるわけだから、それは嬉しいけど、女性からみると、いつも自分よりごつごつざらざらしたものと抱き合うことになって、それは『損』なんじゃないの?」
「それがいいのよ ー ああ、私って女だ、って実感できるから」
『男女の違いの中心にあるのは、自らの身体というものへの想いの差ではないか。』
『こんなめにきみを会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ』
『「雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さずに裸足で来やがって」
「あのこ紙パックジュースをストローよ穴からストローなしで飲み干す」
どこか共通性が感じられませんか。日常のしょうもないほど些細な行為のなかに、やはり圧倒的な自由の煌めきなあると思います。』 -
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ほむほむの文庫化したものはかなり読んでいるが、今回にしてようやく中島らもを思い出した。
ポップでメロウで唾棄すべき人間への愛と金言に満ちている言葉たち。
・好きという気持ちを確認できればセックスなど必要ない。でも確認するにはそれしかない。
・逸脱するものこそ本当に生きようとしているのではないか。
・フィリップ・マーロウのピンクの虫のエピソード。
★「共感(シンパシー)」と「驚異(ワンダー)」。
・言葉(以前のエネルギー)が勝手に跳ねまわる度合い。詩歌>純文学>エンターテインメント小説。
・我々の生に「変」の可能性が含まれていることが文学を生みだしたのでは。
・次の一瞬にまったく無根拠に生を奪われる可能性を、経験した人のすごさ。
・「生きる」ための言葉(詩)を包み込むようにして「生き延びる」言葉たち(新聞のように実用的)がある。
・まずは「生き延びる」ことだ。「生きる」のは明日でいい。こうして、「生きる」は一日ずつ後ろにずれていく。 -
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う~ん、やっぱり面白いっ!
私はこのシリーズ(『短歌はじめました。』『短歌があるじゃないか。』。執筆者はこの本と同じ)で短歌を読み始めた人間なので、その続編にあたる本作が出たときは「また『短歌~』シリーズが出たんだ! やったーーー!」と心の中で一人歓声を上げたくらいなのである。
(この本に収録されているものと『短歌があるじゃないか。』で収録されている内容が、半分ほど被っていると知ったのは、もう少し後のこと)
短歌同人・「猫又」メンバーの提出作品を、主催の沢田さんを進行役に、穂村・東の両氏が批評するという体制のこの本。
相変わらず、よく言えば肩の力が抜けた、悪く言えば脇が空きすぎな短歌たちが、にぎやかにそして時に真剣に評されていく様子がたいへん面白かった。
たとえばこんな歌。
君と乗る深夜のタクシー窒息しそう閉じ込められた好き好き好き好き 本下いづみ
いいでしょう? どれもこれもそれらもね ほんのわたしの あれ なんですわ 平田ぽん
君の字がやけに綺麗で風鈴の音も忘るる残暑のころに 清野ゆかり
全体的に、プロの歌のような「完成度」はそこにないものの、伸び伸びとした印象を受け、読んでいるうちに同人それぞれの性格も見えてきて、大変親しみやすい。
穂村・東両氏の的をついた批評も、歌の「読み」にぐいぐい分け入ってくれて、歌を読む可能性の大きさを感じる。穂村さんがドライ、東さんがウエット、と作風が正反対なことも、批評に良く作用していると思う。進行役の沢田さんのツッコミの上手さも○、です。 -
Posted by ブクログ
有名無名年齢性別既婚未婚等一切不問のファックス&メール短歌の会「猫又」。穂村&東の人気歌人ペアと「猫又」主催者が、短歌について語ります。
このシリーズ(もう一冊は『短歌があるじゃないか。』)のおかげで、私は短歌に目覚めまることができました!
というわけで、まずはお礼を言いたい。どうもありがとうございます。
いやー、短歌がこれほど面白いものだとは知らなかった。
というか、この本を読むまでは、一体何が短歌の良し悪しなのか、そもそも自分が短歌を良い・悪いで判断できるのかすらわからなかった。
でも、このシリーズを読み進めていくうちに、自分が短歌を読める(詠めるではなく)ことがこんなに面白いものなのか、と気づくことができた。
この本では、「猫又」のメンバーが作った歌を、人気歌人の穂村さんと東さんが愛ある(?)評でコメントをつけ、主催の沢田さんが進行係みたいな形の対談集形式になっている。
「猫又」のメンバーはほとんど素人で、どうやら澤田さんもそこまで短歌に詳しくない人のようなので(本歌取りを知らないくらいだから・・・)、初心者でも気軽に読める。
対談形式なのでかなり読みやすく、肩肘張らずに読める短歌の本。また、評者が複数なので、ひとつの歌でも人によって解釈が違うのだ、ということが自然にわかっていいと思う。
本はずっと好きで、人生の友だった。
けれど、短歌のことはこの本ではじめてきちんと向き合った気がする。
新しい世界を開拓できたことがうれしい一冊だった。 -
Posted by ブクログ
「短歌のガチャポン」再び。
穂村弘さんが厳選された明治から令和までのときめきの短歌たち100首。
前作同様、最初数十ページは短歌と共に素敵なイラストが描かれていて、その後は見開きで右ページに短歌、左ページに穂村弘さんによる解説が描かれています。
本作は前作と比べて、アマチュアの作品が多かったように感じました。
それでも穂村さんは、投稿者の別の作品も解説の中で紹介されていて、たとえ投稿歌・掲載歌であっても、作者や作品を覚えていてもらえるというのは、幸せなことだなぁと思いました✧*。
プロ、アマ関係なく、日常のふとした瞬間に蘇る。
それこそが、短歌の良さなのかもしれない(՞ ᴗ ̫ ᴗ՞)
そして、投稿者のペンネームにも遊び心を感じて印象に残りました✧*。
ペンネームといえば、歌人・俳人・作家・エッセイストとして名を知られているくどうれいんさん。
私はまだ著作を読んだことがないのですが(読みたいとは思っている)、ペンネームだと思っていたら、まさかの本名なんですね…!
短歌から知る驚きエピソードでしたΣ(°д°ノ)ノ
実は先日、文学フリマに行って来たのですが(どこかで詳しく書けたらいいなと思っているエピソード)その時にお会いした歌人さんの短歌も掲載されていて、しかもそれがお子さんに関する短歌で個人的にとても嬉しかったです(*ˊᵕˋ* )♡
(読んでからお会いしたかった気もするが)
結句に「まだ生きている」と置くことで、生を実感する歌も数首掲載されていて、結句は全く同じなのに、作者によってその瞬間が全然違っていて。
結果として全く違う味わいになっていて、その違いがとても面白く感じられた。
そして、前作で驚いた数式の歌!
なんと本作にもありました!
私もこういうことを考えられる人間になりたいなぁ( ˊ꒳ˋ ) ᐝ