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Posted by ブクログ
穂村弘さんってやわらかい哲学者だ。
地面に這いつくばっていると、お巡りさんがやってきて「どうしたんですか」と聞かれ「コンタクト落としたんです」と答えると、一緒に探してくれる。
ところが「アリの行列見てます」と答えるとNGで、見ている理由を尋ねられても答えることが出来ないかも知れない。
前者が「生き延びる」に値し、後者が「生きる」に相当する。人生の最終目的は「生きる」ことであるはず。生き延びるために生きるのではなく、生きるために生きていきたい。
穂村弘さんご自身の緑内障の話を基軸に弱さをさらけ出し、やさしく展開していく哲学書みたいな本だった。
Posted by ブクログ
この本は学術書なのかと思っていたのですが、歌人の穂村弘さんの硬めのエッセイのような内容でした。
穂村さんは42歳の時に緑内障の診断を受けたそうですが、そこを中心に書かれています。
穂村さんは大学は北大で山岳部より安全だという理由でワンダーフォーゲル部に入ったそうですが、北大はすぐ退学されて上智大学の英文科に入りなおしたそうです。
そのころからベンチプレスで筋肉貯金を始め、就職はSE(システムエンジニア)に。
そして緑内障の診断を受けられるのですが、緑内障は完治する見込みがない病気で、「ついに私は不治の病になってしまったんだな」と思ったそうです。
緑内障に自分でできることは目薬のみ。
あとはお医者さんに言われて本気のラジオ体操を一日四回されているそうです。
目がみえなくなると思ったら物欲がなくなったそうです。
あとは眼科医の後藤克博先生との対談。
精神科医の春日先生との対談もあります。
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私もコロナ前ですが市の健康診断で眼圧検査か何かで引っ掛かり「緑内障の疑いがあります」と言われ再検査に行きました。
再検査では特に異常はなかったのですが「二年に一度は検査を受けてください」と言われましたが、その後行っていません。
私は子供のころから就職の時の健康診断まで、眼だけは丈夫で視力は両眼とも1.5だったのでまさかの緑内障疑惑でした。失明してしまったらという恐怖は、私も再検査前に味わい穂村さんの恐怖はわかるような気がしました。
Posted by ブクログ
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私の若い頃には世界が滅びるとか日本がダメになるとか、そういう感覚はありませんでした。当時は、世界はとても広く、ポテンシャルがまだまだあると思っていました。そうした条件下においては、他人と傷つけあっても互いに別の場所で生きていけばいいだけで、無数の選択肢があると考えることができました。
でも、時代の流れの中で近年感じるのは、全員が方舟に乗って危うい運命を共有しているような感覚です。そんな状況だと、方舟の上で喧嘩するとか焚き火をしちゃうとかいったことは、非常にリスクが高くなってしまいます。加害性について全員が敏感になる必要がある。かつてのようにそこにポテンシャルがあれば互いに傷つけあってもいいだろう、といった考え方は今は成立困難に思えます。
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ここ10年で、どんどん世界のほうがぼくらに向かって迫ってくるような感覚がある。だからぼくらは、そのことが恐ろしくなって似たような仲間と必死にコミニュティを築いているんだと思う。方舟の中で、グループごとにフェンスやバリケードが作られ、それぞれの生活圏が生まれていくように。
Posted by ブクログ
短歌自体はあまり読まないし詠まないのですが、穂村弘さんの短歌に対する優しいコメントが好きです。
はじめて穂村さんのエッセイを読んだけど、面白かった。
穂村さんはけっこうダメ人間な感じで四十代まで来て、「社会の片隅で、役に立たない自分が役に立たないことばかりを考え続けた結果が、現在のものを書く職業につながっているのかもしれません」と書いてある。
「けれども人間の最終的な目標は生きるのほうのはずです。多くの人が死ぬときに後悔するのは生き延びることに資源を割き過ぎたということなんですね。「もっと純粋に生きることに熱中すれば良かった」と思う。」
ゆっくりと考えさせられました。
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