あらすじ
歌人・穂村弘が読者の短歌を選び、講評する人気シリーズ「短歌ください」の第3弾が満を持して文庫化!解説に本シリーズ常連であり今や人気歌人の木下龍也氏を迎える。言葉の力に改めて驚かされる一冊。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
雑誌『ダ・ヴィンチ』で読者から寄せられた短歌を、人気歌人の穂村弘さんが選び評する投稿コーナー「短歌ください」。その第3弾の文庫版。
この本には、投稿歌人だった頃の木下龍也さんや、岡野大嗣さんの短歌も掲載されている。
解説は、木下龍也さん。その解説もすごくためになる。採用歌の傾向について、①ニッチ②とても個人的な体験③論理の飛躍④納得⑤唐突⑥生々しさ、という6つの観点から分析している。
これは、「短歌ください」に投稿するときのみならず、普段短歌を作るときにも大事なことだと感じた。
この本に掲載されている短歌から、十首短歌を紹介したい。
2歳2ヶ月の娘に命じられ快晴の日に長靴を履く
(トヨタエリ・女・33歳)
誘わなきゃ二万八千五百円出して浴衣を買ったんだから(トヨタエリ・女・33歳)
念のため林檎も鞄に入れている果物ナイフ持ち歩くとき(岡野大嗣・男・33歳)
オレンジが転がってきたら拾ってね偶然君に向かってゆくから(ぼんぼり・女・31歳)
いらっしゃいません0円になりますありがとうございません来て(入退院千・男・25歳)
風の午後『完全自殺マニュアル』の延滞者ふと返却に来る(木下龍也・男・27歳)
ルーシーに「忍者って、いるの?」と聞かれ「少なくなった」と答えるわたし(九螺ささら・女・45歳)
「拙者は」と主語が変わった渡辺がくさりがまを手にコンビニにいる(柳本々々・男・32歳)
なぜ置かぬ置けば買うのに マヨネーズと辛いなにかを和えた具のパン(和田浩史・男・27歳)
ポケットの白いさんごにそっと言うはじめてだよね山の黄や赤(丸模様・女・47歳)
Posted by ブクログ
白眉は、この「短歌ください」から生まれたといっても過言ではない木下龍也による解説。「短歌ください」に採用されるための必勝法!一度、挑戦してみるか!?
Posted by ブクログ
ダ・ヴィンチのご長寿連載『短歌ください』第三弾の単行本の文庫化。
単行本が2016年刊行、今回の文庫化が2025年と、9年も間が空いてるのは、『短歌ください』が輩出した綺羅星のようなプロ歌人たちの短歌の著作権とか版権とかがいろいろややこしくて大変だったのだろう、と邪推しているが、真相はわからない。
この『君の抜け殻編』は、単行本のほうを何年か前に読んでいるので、うっすら覚えのある短歌もあったが、好きな短歌は、何度読んでも新鮮な驚きをもたらしてくれる。
今回、思ったのは、『短歌ください』の短歌って、何も思わず通り過ぎた「一瞬」を、他者の目になって、またその「一瞬」を生き直してるような気分になる、ということ。
だから、あるある感と、驚きが同時にある。
あと、最近のプロ歌人の歌集より、難解ではない表現の短歌が並んでいるので、短歌興味あるなー、でも、ハードル高いなーと思ってる方にもオススメ。
文庫ではこの第三弾まで、単行本では第五弾まで出ている。
解説は、『短歌ください』で、はじめて短歌を作って初投稿で採用され、その後常連となり、のちにプロ歌人、『NHK短歌』第四週選者と、きらびやかな経歴を重ねている木下龍也さん。
解説ではなんと、ご自身の考える、『短歌ください』攻略法を緻密に分析されている。
その中で、木下さんは、『短歌ください』に採用されることを、「穂村さん(選者の歌人・穂村弘さん)を口説く」
と表現されていて、くらくらした。
大抵は、「選ばれる」って書くだろう。
「選ぶ」選者の穂村さんじゃなくて、本を読み、挑戦する読者が主体となる瞬間の逆転が、歌人・木下龍也だと思った。(たしか、木下さんの短歌指南書でも「口説く」と、表現してた気もする。)
***
ここで個人的なお知らせです。(いきなり)
短歌のサイト『月間うたらば』2025年5月号で拙作を掲載していただきました。
〈ブログ消えアカウント消えあのひとの顔も名前も知らぬまま 春〉テーマ「失」
noteというプラットホームで発表した短歌を再投稿したものです。
選者の、田中ましろさん、ありがとうございました!
Posted by ブクログ
『ダ・ヴィンチ』誌上で今も連載されている、穂村弘さんが読者から募集した短歌を選び、評する「短歌ください」。人気シリーズ第三弾の文庫化。
歌人の穂村さんが、読者から寄せられた短歌を評する「短歌ください」の文庫化第三弾です。今回も面白い。
それぞれの短歌の短い文中にぎゅぎゅっと詰められた、作者さんごとに違う言い回しや世界観。日本語って本当に色々な表現方法があって、軽やかだったり重厚だったり自由で大好き。
個人的に気に入った歌をいくつか。
「半ドンの日は掃除機をかけながらママとチャーハンが待っている家」(こずえさん、テーマ「昭和」)
チャーハンのリアリティ。初夏の日差しの香りもしそう。
「余るものはいらないものだ ひとりだと全ての時計が壊れて見える」(三日月さん。自由題)
余るものはいらないもの。なくすものも、壊れたものもいらないもの。脆くて寂しげな自己否定感が美しく表現されてる気がします。
「あの人のつまさきとっても好きだから私を履いて「トントン」てして。」(ヨシムラさん。テーマ「靴」)
透きとおった純粋な恋の歌なのに、なんだかとっても色気を感じる。何でだろう。
Posted by ブクログ
ダヴィンチで連載?してるシリーズ。
昔一度だけ応募したなあ。また応募したい。
ぱっと見の好きな短歌
誘わなきゃ二万八千五百円出して浴衣を買ったんだから