穂村弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『テレビで海の番組を観る。
画面一杯に現れた大きな烏賊が真っ黒な墨を大量に吐いている。
ぶわぶわぶわぶわぶわぶわぶわ。
凄いなあ、と思う。
あれでお習字をしてみたい。
なんて書こう。
「いか」かな。
それから、蛸が出てきた。
やっぱり墨を吐いている。
ぶわぶわぶわぶわぶわぶわぶわ。
これも凄いなあ。
なんて書こう。
「たこ」。
と、みせかけて「いか」。』
『「うちがわからうちがわから」という呪文を習う。
そう云いながら、ヨーグルトを嘗めると美人になるらしい。』
「声をあげて、泣け。昔、私も数多くの失恋をした。片思いをした。破れるたびに、私はダルマのように、強くなった」
『快適さを追求して -
Posted by ブクログ
『目先の欲望や安楽に負けるから、そのつけを後で支払うことになるのだ。
「今」をきっちり生きることができないために、そこから先の未来が次々ち腐ってゆく。』
『日常的に私がしていることで、女性たちが未体験とか、踏み込めないとか、想像できない習慣や文化って何かあるだろうか。
ズボンは殆どの女性が穿いたことがあるだろう。
化粧をしていない感覚も知っている。
髭剃りはどうか。
産毛は普通に剃っているだろう。
ネクタイと云いたいが、会社員をやめてからは私もしていない。
褌も締めたことがない。
なのに最近では女性用もあるらしい。
うーん、私が知っていて彼女たちが知らないことは、ひとつもないじゃないか。
こ -
Posted by ブクログ
ほむほむの文庫化したものはかなり読んでいるが、今回にしてようやく中島らもを思い出した。
ポップでメロウで唾棄すべき人間への愛と金言に満ちている言葉たち。
・好きという気持ちを確認できればセックスなど必要ない。でも確認するにはそれしかない。
・逸脱するものこそ本当に生きようとしているのではないか。
・フィリップ・マーロウのピンクの虫のエピソード。
★「共感(シンパシー)」と「驚異(ワンダー)」。
・言葉(以前のエネルギー)が勝手に跳ねまわる度合い。詩歌>純文学>エンターテインメント小説。
・我々の生に「変」の可能性が含まれていることが文学を生みだしたのでは。
・次の一瞬にまったく無根拠に生を奪 -
Posted by ブクログ
う~ん、やっぱり面白いっ!
私はこのシリーズ(『短歌はじめました。』『短歌があるじゃないか。』。執筆者はこの本と同じ)で短歌を読み始めた人間なので、その続編にあたる本作が出たときは「また『短歌~』シリーズが出たんだ! やったーーー!」と心の中で一人歓声を上げたくらいなのである。
(この本に収録されているものと『短歌があるじゃないか。』で収録されている内容が、半分ほど被っていると知ったのは、もう少し後のこと)
短歌同人・「猫又」メンバーの提出作品を、主催の沢田さんを進行役に、穂村・東の両氏が批評するという体制のこの本。
相変わらず、よく言えば肩の力が抜けた、悪く言えば脇が空きすぎな短歌たちが、