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Posted by ブクログ 2023年07月30日
本の情報誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画「短歌ください」に寄せられた短歌を穂村弘が選び、解説をくわえている。
発想が素晴らしい短歌ばかりで面白く、著者の解説で短歌の魅力がいっそう際立つ。短歌を詠む時にも生かせそうだ。いくつか紹介したい。
コンビニで聞こえた遅刻の言い訳が「尾崎にバイクを盗まれまし...続きを読むた」
バイキング誰も並ばぬ一品を浮かび上がらすトングの光り
電子レンジは腹に銀河を棲まわせて静かな夜に息をころせり
↑の短歌への著者の解説は“最も日常的なもののなかに宇宙を見出だす鋭さ”
じいちゃんは、白目と黒目の境目が曖昧になった目で座ってる
↑の短歌への著者の解説は“「じいちゃん」の「目」をそこまで精密に見ていることが凄い。一般に云われるような愛よりも、或る意味でもっと深い愛だと思います”
午後28時の人と隣り合い電車に揺られている午前4時
こんなにもしあわせすぎる一日は早く終わって思い出になれ
四年間使い続けたケータイの機種変更はすぐに終わった
Posted by ブクログ 2023年07月05日
『恋愛』『色』『数』『音』…などテーマに沿って投稿された短歌。
テーマはシンプルに設定してあるけれど、それをどう料理するかは読み手次第。
『癖』というテーマに恋愛絡みの歌が集まったり、『異性』というテーマはあまり恋愛絡みではなかったとか、の意外性も楽しい。
毎回出てくる次回の作品募集の定型句「意外な...続きを読む作品に出会えることを期待しています」を見事に体現した一冊。
Posted by ブクログ 2022年10月05日
読者投稿の短歌を、温かい眼差しで掬い上げる著者の眼差しがとても魅力的。よい投稿作品が送られてこなければ成立しないものはずなのに、著者の添える一言ですべての作品が輝いて見える。この歌人さんは、ご自分もすごい歌を作られるけれども、他の人の歌を見る目もとてもすごいと教えられた。
Posted by ブクログ 2022年06月17日
言葉なんて絵画や彫刻といった芸術には敵わないとどこかで私は思っていた。そうじゃなかった。短歌という31文字の世界は無限大の可能性を持っていた。投稿作品の底知れない凄さを見事に抱きしめて打ち返す穂村弘という人の懐の深さに脱帽した。日本語がまた好きになった。
Posted by ブクログ 2021年05月03日
元気なときはもっと元気になる。
疲弊しているときは染み入るように、こころをすこし修復してくれる。
一番読み返しているし、ずっと持ち続けていたい本。
読者投稿モノなので、投稿者のみなさんにとてもお礼が言いたくなります。
Posted by ブクログ 2018年08月25日
歌人の穂村弘さんが読者に募集した短歌を紹介する本。
短歌は面白いものもあれば、たまにう~んと思うものもありますが、穂村さんの解説がつくと全てが面白くなります。
自ら短歌をつくってみたくなります。
あっという間に読めてしまうので、おかわりが欲しくなります(笑)続編が出てるのも読もうと思います。
Posted by ブクログ 2016年04月19日
『ダ・ヴィンチ』の人気コーナーの作品集です。
どの歌も心惹かれて、ドキドキしながら読みました。
5・7・5・7・7だけど読み方は自由なのもよかったです。
短歌を習いたくなります。
Posted by ブクログ 2016年03月01日
知らない人のセンスにやられ続ける255ページ 穂村さんの優しいコメントがまたいい、わたしのゼミの教授みたい
死にました。当分君に会えません そう思いこむ生きてゆくため(p180)
あなたの目をずっと見ながら話すのは、瞳孔の大きさを測るため(p108)
Posted by ブクログ 2015年12月23日
ごめんなさい。絶対告白しないから、どうか近くに置いて下さい
君というあなたが呼んだ何者か わたしはそれになりたかった
死にました。当分君に会えません そう思いこむ生きていくため
「乳首」の意味が激変
幸せが凶器になるのここにあった白目の白さ黒目の黒さ
Posted by ブクログ 2015年02月18日
2015.02.18
おいおいとても面白いじゃないか
素人?すごい、すごいよ。
自分よりも年下の人がいると、ちょっと嫉妬する。
どんなに可愛い人よりもどんなにお金持ちの人よりも、こういう感性を持っている人にわたしは嫉妬する!!!
Posted by ブクログ 2023年11月01日
短歌には疎いものの、穂村さんのコメントがわかりやすく面白い。
以前、世田谷文学館で講義を聴いて著者のファンになった(もちろん今までに何冊か読んでいたから講義に参加したのだけれども)。
その講義で本書に登場するユニコーンの短歌を詠んだ「冬野きりん」と最近対談したそうだ(彼女は現在、女子プロレスラー)。...続きを読む
最初、あまりにも字余りな句が多く気持ち悪さを覚えていたら、穂村さんが「もうちょっと(定型を)意識しようね」みたいな指摘をされていて、にんまりした。
Posted by ブクログ 2023年01月03日
本の情報誌、『ダ・ヴィンチ』の読者投稿企画の連載「短歌ください」を文庫化した一冊。読者から寄せられた短歌の中から、歌人の穂村弘さんが選出し、講評が添えられています。
読者からの投稿とはいえ、どれも日常を鮮やかに切りとった傑作ぞろい。思いもよらない視点、考えたことのない世界を見せてくれます。
穂村さ...続きを読むんの講評がまた良くて、短いながらも歌の本質に触れるような優しい誉め方が印象的です。こんな講評を頂けるなら、短歌を投稿してみたい! という気持ちになりそう。
読み進めるにつれ、「常連さん」の名前を憶えてきて、推し歌人みたいなのが出来てくるのも楽しいです。
私は現代歌人に詳しくないのでわからなかったのですが、解説の俵万智さんによると「投稿者のなかには、その後、歌集を出版したり、歌壇で活躍している人の名前が散見する」らしく、そういった意味でも楽しい一冊なのではないかと思います。
Posted by ブクログ 2022年11月27日
『例えば、「君から電話がこなくてさみしい」という言葉は、次の瞬間に電話がきたら「君から電話がきてうれしい」に簡単にひっくり返ってしまいます。現実の出来事的には勿論それでいいんだけど、歌としてはちょっと困る。
(中略)
「さみしい」や「うれしい」や「こわい」や「むなしい」や「おもしろい」を、五七五七七...続きを読むという定型のなかで宝石のように結晶化させたい。
そうすれば時が流れて現実の状況がどうても、恋が消えても、つくったひとが死んでしまっても、歌の煌めきだけるからです。』
という筆者が選んだ、様々な年代の読者が送った単価を集めた本です。
短歌は教科書で触れて以来でしたが、ほんとうに面白かったです。
⚪︎選ばれた短歌に対する筆者の捉え方やこんな良さ
がある という〝見方〟挟んでくれる
⚪︎定型もありつつ自由型も多く、初心者が入りやすい
⚪︎作者が様々だからどのページを開いても新鮮に面白
い
Twitterとも紙一重の一瞬の感性が、定型や短歌を作るという意識の縛りによって作品になっている感じがしました。
余白があるから何度も読んで、じわじわとたのしかったです。私も短歌をしてみようと思いました!
Posted by ブクログ 2022年05月07日
短歌をはじめて少したち、
日記のつもりと独りよがりな歌をつくっていましたが、
人の歌も知りたくなって本を手にしました。
予想を超えた変人の歌がいっぱいで、おもしろかったです。
日常の狂気を歌にし、人の心の奥の
ドロドロしたところに触れるのは、現代短歌の醍醐味。
Posted by ブクログ 2022年03月16日
穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に連作「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸等とともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。エッセイスト、絵本の翻訳家等としても...続きを読む活動している。
本書は、月刊誌「ダ・ヴィンチ」に連載されている短歌投稿コーナー「短歌ください」の2008年5月号~2010年10月号をまとめた単行本を加筆・修正の上、2014年に文庫化したものである。
私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持ち始め、これまで俵万智、穂村弘、東直子、枡野浩一、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら等の歌集や短歌入門書、いくつかの現代短歌のアンソロジーを読み、半年ほど前から新聞短歌に投稿している(最近ぽつぽつ採用されるようにもなった)。
また、穂村氏の作品では、歌集『ラインマーカーズ』、入門書の『はじめての短歌』、『短歌という爆弾』、エッセイ集の『鳥肌が』(講談社エッセイ賞受賞)、『蚊がいる』、対談集の『あの人と短歌』等をこれまで読んできた。
本書については、以前より目にしつつも、せっかく読むならプロの歌集の方がいいだろうと思い、敬遠していたのだが、本屋でパラパラとめくってみると、九螺ささら、木下侑介、虫武一俊など、後に歌集を出す人々の作品も多数含まれており、購入して丁寧に読んでみた。(本書の続篇『短歌ください 明日でイエスは2010才篇』には、木下龍也、岡野大嗣らも登場する)
読み終えてみて、若く、感性の鋭い人たちの歌には感心しきりなのだが、一方で、私が現在モチベーションとする新聞歌壇にはこうした歌はほとんど選ばれておらず、日常に起こったことを日記のように詠んだ歌が大半である。その背景としては、投稿者の母集団の年齢層が異なること(「ダ・ヴィンチ」は主に10~30代、新聞歌壇は主に50代以上、だろうか)が大きいと思われるが、また、選者も、媒体の性格や投稿者の母集団の指向を意識した上で、選んでいるのかも知れない。
そうした意味では、短歌とは様々な作風があり得る、実に幅の広いものだと改めて感じると同時に、若い人たちの感覚も取り込みつつ、色々な作風の歌を作れるようになりたいと思う次第である。
(2022年3月了)
Posted by ブクログ 2022年01月27日
この間の"家ついて行っていいですか"に出てた東大生が短歌勉強し始めようとしてて、読み返そ〜ってなった作品。(去年、昼休みに何度か読んでた^_^)
怖い歌はいい歌、なんですよね本当に!
私が好きな短歌を少しだけ↓
(といいつつたくさんありすぎて絞りきれず)
“カーナビが「目的地...続きを読むです」というたびに僕らは笑った涙が出るほど”
“台所座り込んでは頬寄せた泣いてくれるの冷たい器械”
“蝉が死んでもあなたを待っていますバニラアイスの木べらを嚙んで”
“名も持たぬ流星すべり落ちてゆく 海よかれらの自慰をみていて”
“こんにちは私の名前は嚙ませ犬 愛読書の名は「空気」です”
“君が今二酸化炭素吐き出した だから私は胸が苦しい”
“薬より効くのを私知っている コップ一杯あなたの唾液”
“脱がしかた不明な服を着るなってよく言われるよ 私はパズル”
短歌もめっちゃ良い上に、穂村さんの講評がほんとにグッとくる。私は語彙力がないから勉強にもなる。家ついて行っていいですかに出てた東大生にぜひとも読んでもらいたい!!笑
Posted by ブクログ 2021年03月19日
怖い歌はいい歌です。
それから世界を見る目が変わった
一気には読みきれないけど、ふらふら電車の間とか歯磨き中とかちょっとした時に読んでずしんとくる
Posted by ブクログ 2023年02月14日
皆さんご存知の雑誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画「短歌ください」。穂村弘さんが選んで講評するこの企画は、2008年から始まり現在も続いており、書籍化も第5弾になっているとのこと。本書は、その記念すべき第1弾です。
私は、これから本格的に短歌を‥などと、入門書的に高尚な発想をしたのではなく、一般...続きを読むの方々の感性に触れ、選者であるプロがそれにどうコメントするか、に興味がありました。
意外にも(?)、20代・30代の方の投稿が多い印象ですね。うんうん、おぉ、へーっ、そーきたか、いいねぇ、私の琴線に触れるもの、ちょっと意味不明でも講評(穂村さんは常に温かい!)の妙に感心するもの等々、興味深く読み進められました。
自分の歌を採り上げてほしい、穂村さんに講評してほしいなど、15年も続いている関心の高さが伝わってきます。
じゃあ私も! と触発されたかというと、一歩を踏み出せないんですよ。面倒くさがりやなのと、やっぱり言葉を扱うプロのいいものを鑑賞する側でありたい‥、と立派な言い訳で「忍法お茶濁し」。
例えば、解説の俵万智さん。昔からのファンですが、最も好きな歌の一つ(穂村さんには失礼)
「散るという 飛翔のかたち
花びらは ふと微笑んで 枝を離れる」
こんな美しい短歌を詠まれると、「参りました!」としか言えないんです‥。
終わりではなく再生の歌、花弁を擬人化し、自ら旅立つイメージは、3月の卒業シーズンにぴったりで、中高生への贐として最高級の言葉の贈り物と思いますが、どうでしょう?
Posted by ブクログ 2022年05月17日
歌に対する、ほむらさんの解説がよかった。「怖い歌はすべていい歌」というのが刷り込まれた。ほむらさん考え方や表現の仕方が好き。これまで学校の授業以外で短歌に触れたことがなかったので、時間をかけて読んだ。俵万智さんの解説も良くて、私がふわーと感じていたことを的確に表現していた。ほむらさんは、「褒めのプロ...続きを読む」なんだ!これからもほむらさんの本をたくさん読みたいし、短歌集も読んでみたい。
Posted by ブクログ 2020年02月26日
「ほお」となる句もあれば「???」というものもあって、やはり現代短歌は難しい。ルールがはっきりしているという意味では古典和歌のほうがわかりやすいかも。気に入った句は「せんべいの欠片ちらばる卓袱台に二人がつくった真昼の宇宙」かな。