あらすじ
カーテンの向こうは、激しい雨と風と稲妻。
でも、平気。
だって、私はここにいる。
――穂村弘の心を捉えて離さない本たち。
「週刊文春」の好評連載「私の読書日記」3年間分を書籍化。
エッセイや評論、絵本や翻訳など幅広く活躍している、歌人・穂村弘が、
絵本、歌集や句集、名作文学に、ミステリ、SF、漫画……
幅広いジャンルから選ばれた本を丁寧に読み解きます。
【本書で紹介される本たち】
登場人物が三人のミステリー、『ポーの一族』の四十年ぶりの新作、原民喜の童話、ひと夏の物語、ブローティガンが東京を描いた詩集、『おなみだぽいぽい』という絵本、ひめゆり学徒たちの声、「クラムボン」の仲間たち、『交通事故で頭を強打したらどうなるか?』、異形のライフハック、百年前のディストピアSF、大島弓子の単行本未収録作品……
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
短歌は得意ではありませんが、穂村弘の文章は大好物です。今回は、たくさんの素敵な短歌や俳句、ミステリーとの出会いを与えてくれました。
読みたいものがたくさんあって困る!
Posted by ブクログ
穂村さんって色んな本を読んでるんだなあ。
この本を読んで連想した次の本…というふうに流れていくので、穂村さんの頭の中を覗いているみたいで面白かった。
なるほど、と思ったのが、詩とミステリーの関連性。
「どちらも謎でできている」、という穂村さんの解釈。
なるほど、詩、短歌、俳句ではありのままの表現をしない、というのは、最近穂村さんの本を読んでいて繰り返し感じたことだが、ミステリーのように謎解きの感覚で作られているとは。そしてその謎解きは、それぞれの頭の中にある解釈で良い。
1字の言葉選びにこだわる世界。
穂村弘さんのファンになって、韻文の面白さをどんどん知れて嬉しい。
Posted by ブクログ
面白い。漫画は手に取ってこなかったジャンルばかりで、自分は明るく楽しい方ばかりに気を取られていた。 青春の真ん中の重たいところは、心の中だけでじゅうぶん!と思っていた。
今だって結構リアルに思い出せる感覚と共に読み進めることが出来て面白い。
紹介された本を求めて出掛けたくなる。
Posted by ブクログ
このタイトルからして、やられてしまう。嵐の音とも風雨とも隔絶され、本に囲まれている。あたたかいのみもののカップを持って、穂村さんのおだやかな声で、本の話を訥々語ってもらっている、そういう一冊。読書好きだったら、こういう、繭のように守られた状況での読書、最高ではないか。少なくとも私はそうだ。今しも、ベッドでココアを飲みながら、これを書いている。熱すぎたココアが’、書いてるうちにちょうどよくなるのを期待して、だ。
穂村さんの読書日記の空気は、ふたとおりある気がしていて、曇りの日に、居心地のいい部屋でほんの話を聞いてるような、繭の状況での感じ。もうひとつは、中央線界隈や早稲田の古書店を、ふらりと訪ねて本を探すのに一緒についていっちゃったような感じ。この本読んでると、古書店で本を買う様子が多いのだけれど、どうも、一緒に買いに行って、書棚に釘付けでこっちを見ない穂村さんの横顔を見ながら、本の話を聞いてるような。
サッシの引き戸開けた時の、ぷうんと来る本の匂いや、茶色っぽいけど丁寧に扱われた本が、ぎっしり入った書棚まで、生理的に思い出してしまう。本屋さんの薄いようなしっかりしたような袋までも。
扱われている本は歌集にマンガ、児童文学に海外小説、話題のミステリ。あれこれ、私に刺さる本も刺さらぬ本もあっていい感じ。刺さらない本の話もいいのかって?読まないと思う本の話なのに、このひとの語ってくれる話なら、聞こうかなあということ、ないです?つい、ふらっと喫茶店の隅の席で、つい二人分のコーヒー頼んで、いつまででも聴いてるようなこと。まさに、そんな感じ。
気になった本は、『読みたい』に登録したが、視野がディープに狭いジャンルと、話題のものにも目配りが利いてて、さすが本好きと思うのと、するどく世の中を見てる…中心をいろいろ変えて世の中を見てる、その窓として読む本の選び方と、十代のように透明で儚い叙情性を感じる嗜好とに、大別される気がしている。
それでも、私の言葉なんて。知れていて。次に何の本を
「あのう、これね…。」
って差し出されるか、予想もつかないのだもの。掴みどころのなさと意外さに、ついもう1ページと、読んでしまうだろう。同じ本読んでたと快哉を叫ぶもよし。うわあ全然知らないよと、検索するもよし。そういうのはおいといて、嵐の気配を気にしながら、この空気に浸るもよし。
くせになりそな読書日記です。ココアが飲み頃なので、今日はここまで。
Posted by ブクログ
「週間文春」に2017年7月から三年間にわたって連載された日記体の書評集です。
主な書評はやっぱり、句集や歌集が多かったです。
SF小説が多かったのは意外でした。
そして、少し古い時代のミステリー作家の初期作品。
中井英夫、泡坂妻夫、連城三紀彦、竹本健治など。
連城作品は初期のものは一時はまってほとんど読みましたが、『連城三紀彦レジェンド』『連城三紀彦レジェンド2』は知らなかったので読んでみたいです。
綾辻行人、伊坂幸太郎、小野不由美、米澤穂信の四人が編者として熱いコメントをよせているそうです。
漫画も多かったです。萩尾望都、大島弓子、内田善美、つげ義春などの漫画がお好きな方には懐かしい本でもあると思います。
やはり穂村さんは歌人なので、半分近くが句集、歌集の各句、各歌の説明で占められていました。
清張が二十代の頃から俳人の手ほどきを受けていたなんて初めて知りました。
いろいろなうんちくも知れて、書評集ではありますが、短歌や俳句の好きな方にもお薦めの本です。
Posted by ブクログ
穂村弘さんの本を読むと、ほんの少しずれた異世界に足を踏み入れた感覚がある。情緒と論理がグルグルしたその先に、これまでみたことのない何かが浮かぶよう。
Posted by ブクログ
著者の読書エッセイ。
ホンワカしてるのがなんか良い感じ。
他のエッセイと違うのは短歌や俳句が入っている事。
そういうのに詳しく無いけれど、
なんだか短歌や俳句も好きになりそうです。
著者のへだたりのない自由な本の選び方に憧れます。
Posted by ブクログ
登場人物が3人のミステリー、「おなみだぽいぽい」という絵本、百年前のディストピアSF…。穂村弘が、自身の心をとらえて離さない幅広いジャンルの本を丁寧に読み解く。『週刊文春』連載をまとめて単行本化。
いろいろ読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
穂村弘さん、2017年7月〜2020年7月、3年間の読書日記。やはり面白かった!
「すごく面白い作品に出会うと、その本の世界からいったん顔を上げてきょろきょろする癖があるんだけど」には、私もです〜と心の中で呟きました。
あと、すごいな、とおもったのは"ぎっくり背中"という自身の状態から、シリアの小説の作家の書きたい内容をそのまま表現できない環境に共通点を見つけた「不可思議の理由」。
身(?)をもって説明されたのでなんだかものすごい説得力。こんなレビュー書けるのは穂村さんだけだと思う。
ミステリ、少女マンガ、句・歌集。
穂村さんの書評は、様々なジャンルから新しい気づきをもたらしてくれて楽しいです。
Posted by ブクログ
困るんだってー。穂村さんがお勧めする本、みんな読みたくなっちゃうから困るんだってー。その上、題名も装丁までも美しいんですよ。また積読が増えちゃうから☆マイナス1です(ひどい)
Posted by ブクログ
本が素敵。
もちろん装丁や紙質、そして著者の空気感。
大事に少しずつ読もうと思ったのに、なんだか楽しくて止まらなくなってあっという間に読んでしまった。
さて、ここに紹介されていた本、なにから読もうかな。
今から楽しみ。
Posted by ブクログ
タイトル通り、書評ではなく感想が綴られていて、すいすいと読んでいける。それでも穂村さんなので、ところどころで、お、と思う。
・松浦理恵子「最愛の子ども」について、「社会的にはほとんど価値を持たない小さな感情の襞が丁寧に描かれていて、少女たちの心をこの上なく大切に扱おうとする書き手の意識を感じる。」とあるが、これに続く一文に、はっとした。「我々の未来を変える価値観は現在の他愛なさの中にあると思う。」きっとそうなんだろう。それが何かは今見えないけれど。
・つげ義春について色々述べられている。
「この『旅年譜』には『秘境』という言葉が何度も出てくるのだが、旅情を求めるという次元を突き抜けて、もはや異界への没入願望という印象である。考えてみれば、私がつげ作品に惹かれるのも同じ理由だ。いわゆるファンタジーとは異なる、現実の直下にあるマグマのような異界への憧れ。」つげ作品に感じるものをぴったり言い表していて唸った。
また、つげ作品独特の印象的な言葉遣いに触れて、「作品自体が素晴らしくて、その中のいわゆる名台詞とか決め台詞が記憶に残るのは勿論わかるんだけど、つげ義春の場合は、それだけではないのが不思議だ。」とあるのも、まったくそうだと思う。「サンビスしますから」(リアリズムの宿)「テッテ的」(ねじ式)「キクチサヨコ」(紅い花)などなど、妙に忘れられない言葉が次々浮かんでくる。
作品からうかがえるつげ義春の生き方を「ラディカルな自己放下」と穂村さんは言う。これもすごく腑に落ちた。
「このとき(『旅年譜』を読んだ時)以来ボロ宿に惹かれるようになったが、それが自己否定に通底し、自己からの解放を意味するものであることはずっと後年まで理解が及ばなかった。」なるほど、「自己放下」「自己からの解放」というとらえ方は実にぴったりくる。
・鳥飼茜の「前略、前進の君」では、非常に繊細な心理描写がされているとした後、こう書かれている。
「自分にもかつてそんなひりひりした思いがあった。というのは錯覚だ。どこまで時を遡っても、私はこんな気持ちを抱いたことは一度もなかった。ただどんよりしていただけだ。それなのに、いや、だからこそなのか、鮮烈な描写に惹きつけられる。」
そう、10代の心情を描いたものを読んで、自分もこんな風に感じていたと思うことがあるけれど、よくよく考えてみると「ただどんよりしていた」り、むやみに焦っていただけというほうが正しいのだなあ。
・あまり知られていない歌人らしいが、鈴鹿俊子の「蟲」という歌集が取り上げられている。「日常を詠いながら独特の危うさがある」と穂村さんが評する短歌と、実人生に強い印象をうけた。
Posted by ブクログ
穂村弘の作品は結構追いかけいる。
読書日記も何冊か読んだ。
この手の本は、読むと読みたい本が増えるに決まっているので、読んでは危険だと分かっているのだ。脳内アラートが鳴っていることも分かったうえで、読む。
読書日記を読む。
読みたい本が増える。
家に本が増える。
嫁に小言を言われる。
読書日記を読む。
のスパイラル。
しかし、穂村弘は読む本が難しいなぁ。
アホの私にはついていけないよ。
とりあえず、「猫は踏まずに」が気になる。
星は3つ。3.5とか。
穂村弘のエッセイが読みたい。
Posted by ブクログ
読んだ本についてぽつぽつ書かれた日記みたいな。読者が読みたくなるようにもってく紹介じゃなくて、短編集の収録作について『「美少年の死」と「まずいトンカツ」が一冊の本に収録されているなんて面白い。』とか、穂村さんの感覚で書かれてて楽しかった。
Posted by ブクログ
大いなる聴衆
ブローディガンの東京日記
この2冊は読みたい。
「打たれ強い性格になれるボタン」があったらどうする?
押さないでほしいと思ってしまう
ちょっとひ弱な雰囲気の作家さんはどこか魅力的だ。