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日常のなかでふと覚える違和感。恐怖と笑いが紙一重で同居するエッセイ集。小さな子供と大きな犬が遊んでいるのを見るのがこわい。自分以外の全員は実は……という状況がこわい。「よそんち」の不思議なルールがこわい。赤ちゃんを手渡されると、何をするかわからない自分がこわい……。ユーモア満載で可笑しいのに、笑った後でその可笑しさの意味に気がついたとき、ふと背筋が寒くなる。そんな42の瞬間を集めた、エッセイ集。第33回講談社エッセイ賞受賞作。解説:福澤徹三
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Posted by ブクログ
穂村さんのエッセイ初めて読んだけどかなり文章の感じがすき、くどうれいんさんとなんとなく似通ったやさしさとユーモアがあってとっても好きかも 短歌書く方の文章の作り方がすきなのかもしれない。 ぞわっとしたりこれは恐ろしい回避しておこうの感覚がわかるもの多くて面白かった。 「あなた」がこわい、と、しまっ...続きを読むたしまったしまった、の回、ケジャンにやられるところがおきにいり 穂村さんのユーモアでおもしろく読めてるけど、冗談と思っていた話がそうではなくなる話とか本当に寒気する なんも決めないで本屋に行った時に好きな本選べる第六感みたいのはやたらと良いぞわたし、神楽坂かもめブックスでたまたま手に取った良い1冊でした。 表紙の鳥肌ぷつぷつの装丁もすごくいい
読む前はこわいと感じていないようなことでも、読んだ後は確かにその状況はこわいよなと思わせる説得力がある本。
ふとした日常で思うこと。穂村さんの考えと重なる部分も多々あり、自分を理解してくれているのでは?と錯覚に陥ってしまった。 「出会いたかった本がここにある」と帯に書かれていましたが、まさに!平積みしていた書店に感謝です。出逢えて良かった!これから何度も読み返します。
穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に連作「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸とともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。エッセイも多数執筆している。 本書は、...続きを読む2016年に出版され、2017年の講談社エッセイ賞を受賞、2019年に文庫化された。 私はこれまで、著者の『はじめての短歌』、歌集『ラインマーカーズ』、エッセイ集『蚊がいる』を読んできたが、その歌もエッセイも、著者の鋭敏かつ独特の感性と、それを文字にする表現力があっての作品であるが、本書も、それらが遺憾なく発揮されたエッセイ44篇が収められている。 解説で、作家の福澤徹三は次のように書いている。「怖さとは想像力である。まだ起きていいないなにかに思いをめぐらせることで怖さは生じる。すでに恐怖の渦中にいてもそれはおなじで、これからを想像するから怖さは増す。つまり想像力が豊かであるほど、恐怖に対する感覚は鋭敏になる。そういう意味でいえば、名だたる歌人でありエッセイストでもある穂村弘さんに怖いものが多いのは当然だろう。本書『鳥肌が』は、穂村さんが怖いと感じる-すなわち鳥肌が立つ事柄について記したエッセイ集である。」 著者が「鳥肌が立つ」事柄とはどんなことか。。。それは、「娘が死ぬのを見届けてからじゃないと死ねない」という母親、夫が無呼吸症候群であることを教えずに毎晩隣で眠る妻、哺乳瓶からミルクを飲むヤギの赤ちゃんの目、外国で起きた連続殺人事件の被害者が皆青目金髪ロングヘア―真ん中分けだったこと、自分が連載していた日記でわずか1ヶ月の間に無意識に同じエピソードを2度書いていたこと、几帳面で仕事もできる男性が自分の年齢を妻に指摘されるまで間違っていたこと、まだ元気だと思っていた自分の母親に「今は昼かい?夜かい?」と聞かれたこと、また、自分と他人の感覚のズレから生じる様々な事柄、未知の自分や将来に対する様々な事柄、等々である。多くは、我々が見聞きしたとしても、一瞬「?。。。」と思いつつ、次の瞬間には流してしまいそうな事柄なのだが、著者はそれを一々留保し、他の類似した事柄や一般的な法則のようなものに敷衍していく。 そして、それらを読んでいると、我々も、日常に埋もれがちなそうした事項が、実は怖いことなのだと改めて気付かされるのだ。 我々の日常に埋没した怖さを軽妙な筆致で描いた、著者の代表的エッセイ集である。 (2021年3月了)
怖いもの見たさで、手にした本。大正解!、すごく怖かった 笑。特に怖かったのは「ヤゴと電卓」、怖過ぎて、大きな声を出して笑ってしまった!って、どうして笑ってしまったのかというと、著者の穂村さんの心の葛藤が余りにも臨場感にあふれていたので。 ・・・・・・・ 「彼女は真顔である。突っ込みを入れたくなった...続きを読む。」 「真顔。その時、私の心の中でアラームが鳴った。もう、よせ。この話は打ち切るんだ。でもとまらない。こわいくせに、いや、こわいからこそ、口から言葉が零れてしまう。」 「ぱあっと鳥肌が立つ。二人のやり取りのはいごにそれまであることになっていた「冗談」という文脈が、消えたのだ。」 その他、怖い話がいっぱい。読書で「刺激」を求めたい人には、特におススメです。
始めのうちは「考えすぎだよ、穂村さん。」と思っていた。読み進めていると、こわさが増幅されてきた。自分の中に穂村さんがいる?こわい、こわい、こわい。文だけでなく、挿絵もこわい。こわすぎる!「原材料という不安」「鹿の上半分」にゾワゾワ。が、なぜかほっこり!
面白かった。 鳥肌が立つのって確かに、自分の目の前に溶け込んでいる風景が、実はかなり異質なものだったことに気づいてしまった時のような、実は○○な事実に静かに気づくような時かも。 可愛くまとめてる回と真面目なことを言ってる回とのバランスがとても上手だった。世の中の真髄みたいな部分があることで、不器用エ...続きを読むピソードが有意味に見えてくる。 世界音痴なはずである憎めないような著者が、めちゃくちゃ世間との距離をわかっていてバランス感覚抜群なの、後で気づくと鳥肌が。
穂村さんのエッセイを4冊ほど読んで改めて思ったのだが、穂村さんの文章は、小さな日常の出来事をきっかけに、俯瞰した自己分析をする、視野の狭さと広さの行き来が面白い。 例えば『次の瞬間』という章では、小さな子供と大きな犬が遊んでいる日常の一コマへの恐怖が綴られている。次の瞬間犬が噛み付く妄想(=視野の...続きを読む狭さ)をする一方、視野を広げ、そんな妄想をする自己とそんな事を考えもしない他社の差異を考える。そして「想像力には個人差があり、それは単に度合いの問題ではなく、気になるポイントが違うから」と結論付ける。 穂村さんのエッセイはカメラで例えるなら、単焦点レンズと広角レンズを行き来するような感覚だ。 単焦点レンズは背景が大きくボケるため、主体へのピントの合い方がどのレンズよりも綺麗で立体的だ。 一方広角レンズは、写せる範囲が一気に広がり全てにピントが合うため、さっきまで見つめていたものが世界の一部分と成り下がる。 カメラはいちいちレンズを取り替えるストレスがあるが、穂村さんのピントの合わせ方と広角範囲の分析は実にスムーズ。 そしてミクロな日常的な感情の機微から、言ってしまえば少々飛躍してるようにも思えるほどのマクロな結論を突如導き出す流れは、もはやコミカルだ。 アンパンマンの『アンパーンチ!』くらい、定型となる文章が多いが、それがつまらないどころか、もっともっと…と欲してしまうのは穂村さんの着眼点の面白さにあると思う。 恐らく、穂村さんのエッセイはほとんどの人が何かしら共感できる内容だ。それくらい、一般的な感性なはずだ。(少々行き過ぎた所もあるが) 一般的な感性を書き連ねていても面白みがない。それでも多くの人に賞賛される理由は、その一般的な感性を、絶対に逃さないという意地と、自分の感性は面白いと信じきっているところにあると思う。 穂村さんはこの本で「自分は小心者で、怖がりで、変化が苦手だ…」と、様々な日常のきっかけを頼りにあけすけに綴っているが つまり穂村さんにとって、ただの日常は、ジェットコースターばりのスリリングな人生なのでないだろうか。 一般人はそのジェットコースターに慣れきってしまい、まるで通勤電車に乗るかのように見過ごしている。穂村さんは絶対に慣れない。 「この世界に慣れないんです」というかのような純粋な眼差しを、穂村さんはひたすらに面白がっている。 「貴方が普通と思うこの出来事は私には怖いのです」と一見卑下するように語るその口調は、 宇宙人のようにまっさらな目線で世界を見る自分が大好きなんだと自己愛にも感じる。 怖がりでこの世界に馴染みにくいとこぼして、自分と対局の(飲み会で途中参加しても騒げるような)人に憧れを持ちつつ、そうは言っても、内心これが自分の個性だとほくそ笑むような、そういう人間くさい穂村弘が、私は大好きだ。
好きなタイプ なんかずっと背中さわさわされてる感覚。 こえー 赤ちゃん抱っこするの怖いのと駅のホームで一番前に並ぶの怖いのめっちゃわかる。
穂村弘は、雑誌ダ・ヴィンチの「短歌ください」コーナーに応募をしていた時期もあり知っていた。数年前に「短歌の友人」を読み、短歌だけでなく文才があることも知っていた。 今回「鳥肌が」を読んで、さらに彼の性格を知ることができた。小心者で、いつも何かにビクビクして怖がっている、そのくせ長生きしたい、美しいも...続きを読むのに出会いたいという好奇心も持ち合わせている。面白い人だなぁ。
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