佐藤優のレビュー一覧

  • 野中広務 差別と権力

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    野中広務氏の政治家引退までを描いたノンフィクション。
    この本を読んで、野中広務氏の見方が180°変わりました。
    究極の叩き上げ人生ですね。
    逆に究極の実践力がないと、ここまでのし上がることは出来ない。
    鈴木宗男氏が、頭に浮かびました。
    もちろん、全く出自が正反対の麻生太郎氏とは所詮水と油。
    著者の綿密な取材力には舌を巻きましたが、巻末の佐高信氏の解説を読んで、ジャーナリズムの道徳観というものについて、考えられさせられました。
    本人や血縁者の意向に関わらず、結果として暴かれてしまうということの意味を。
    そういう意味で、今回は野中広務氏の肩を持ちたいと思います。
    でも著者をけして全否定している訳ではないです。
    そして、我々読者にも、一定の品位や謙虚な心が必要だという事も改めて感じました。
    いろいろな意味で、得ることが大きかった読書でした。

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    2017年05月07日
  • 組織の掟

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    非常に興味深い内容でした。
    著者の実経験を通じて、組織で生き抜くために、必要なエッセンスが濃縮されており、参考になる内容でした。
    「組織は自分を引き上げてくれる」「上司にはけして逆らわない」「部下を能力とやる気の二元マトリックスで考え、それぞれの優先順位を考える」などなど。
    組織と自分自身の関係性の要諦を学ぶことができました。

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    2017年05月07日
  • 新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス

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    ■新自由主義によって広がった子供の貧困と経済格差と教育格差の連鎖こそ,我々社会を驚かす最大の危機。子供の貧困と教育格差の悪循環は深刻で,今すぐに取り組むべき問題。
    ・消費税を1%上げると二兆円の増収になるが,これで0歳から22歳までの教育を無償化できる
    ・給食費や私立大学の学費など数千億円を入れても6兆円もあれば十分
    ■コンソル公債(consolidated annuities)
    ・1751年にイギリスが出した償還されない代わりに固定の利子が永久に支払われる債権
    ・日本の財政構造にはコンソル公債が効く

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    2017年05月04日
  • いま生きる「資本論」(新潮文庫)

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    マルクスの「資本論」から現代を読み解くというテーマ本。資本論は日本の幕末時代に書かれたものだが、佐藤氏の出色の解説でこの時代でも全く色あせていないのを実感できた。古典とはこのように読むものだということを学ばせてもらった。と同時になかなか素人が簡単に読み解けるものでもないなとも…。
    資本論を通して、今我々が置かれている資本主義上の危機的な状況とそれに対する考え方も解説されていて、今後生きて行く上での処方箋となっている。個人的にはちょっと悲壮感を持ちつつも、対応する覚悟をもらった。

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    2017年04月04日
  • とりあたまGO―モンスター襲来!編―

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    ネタバレ

    最新刊なのに「あー、こんなこともあったなー(もう何も音沙汰なしだけど)」ということも多くて、時流の速さみたいなものに少しクラクラきました。
    「ゆう活」なんてホントにどこ行ったんだろ?
    そのうち来週に第2回目がやってくるプレミアムフライデーもうやむやに葬りさられるんだろうなぁ。

    一番笑ったのは「戦艦武蔵発見」の項の西原さんの「じいさんが大きなカブを抜き始めたらおわりのはじまり」の一言。確かにあの人もあの人もそうだわ!と膝を打ちたくなるような着眼点。

    読んでいて一番驚いたのが「ドナルド・トランプ」の項の佐藤さんの考察。2015年秋の記事だから候補時代に書かれたものだけど、大統領に選ばれたと仮定したコメントも!
    記事掲載の頃はそもそも共和党内で2番手3番手と言われていたと思ったのに…。
    佐藤さん曰く「大放言がニュースになるのは最初の半年くらいのことと思う。そのうち世間は新大統領の大放言に慣れるので、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなる」。
    今がだいたい就任から2か月ほど。でもそれ以前からかなり言動に見慣れてるから確かに仰る通り。
    左ページの西原さんのマンガもぶっ飛んでて良い!

    勉強になったり懐かしがったりと終始楽しく読みましたし、佐藤さんが怪獣フィギュア集めてるっていうことにギャップ萌えしかかりました。

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    2017年03月22日
  • 聖書を語る

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    佐藤優と中村うさぎの対談集。キリスト教のプロテスタントであるが、カルヴァン派とバプテスト派であり、互いの考え方の違いを分析した上で、聖書について、エヴァンゲリオンについて、村上春樹について、震災について話し合う。うさぎさんが終末遅延問題を「出るはずのものが出ない、便秘」例えるのが笑えて、とても分かりやすかった。あとアダムとイブが食べた「智恵の実」は自己と他者の存在の認識なのではとか興味深い。後書きのうさぎさんのブログの引用文で泣けた^^; 続編もあるそうなので、読みたいな。

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    2017年03月20日
  • 性と国家

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    知の巨人・佐藤優とフェミニズムの開拓者・北原みのりの対談集。

    佐藤はこの対談を通して「自分自身の思考がいかに暴力性を帯びているかについて反省」したと語る。
    一方、北原は佐藤のことを「差別と暴力を、握り拳のなかで感じられる人」と。

    共鳴し合う二人の共通項は「獄中闘争」。

    凄まじい経験した二人が共通して語る。
    「拘束される恐怖と屈辱感」こそが差別の正体なのだと。執行猶予が終わった後、自由になった後こそが、恐怖で当時のことが書けないのだと。

    二人の対談を通して、気付かずに差別する側になってしまうことに愕然とする。
    でも、知ることが第一歩なのだ。

    自分自身の胸に刺さる、抜き難き一本の矢。差異への拘りに気が付かされる渾身の対談集。

    〈以下抜粋〉
    「反権力が好きな男性たちの興奮が気持ち悪かった」(北原)

    「逮捕されたときには、男は誰ひとりついてきてくれませんでしたよ。助けてくれたのは、三人の女性だけ」(佐藤)

    「実はある筋から、私が外務省の悪口を散々書いてるからって、それを原作にアダルトビデオ化しないかという話があって(笑)。ビデオ会社の担当レベルでは興味を示したんだけど、法務ではねられたそうです。中央省庁を揶揄したりしたら、どうなるかわからないからと」(佐藤)

    「外務省時代に付き合っていた情報関係のプロたちは、ロリコンとか女性への暴力とかをとても嫌っていました。逆説的になるんだけど、日常的に仕事で暴力を作り出す人間たちだから、私生活では魅力的な人が多かったですよね」(佐藤)

    「正義はあると考えるのと、正義を振りかざすのは大きく違うんです」(北原)

    「差別を本質的に捉えてない人が発言しても、沖縄人は冷たいですよ。琉球SEALDsに所属する大学生が『二番目の加害者は、安倍首相と日本人だ』と言いましたね。会場の一部は沸いているように見えたけど、私の周りは冷ややかだった」(佐藤)

    「夏目漱石の『坊ちゃん』の中に、『日本人はなぜすぐに謝るのか。それはほんとうは悪いと思っておらず、謝れば許してもらえると甘えているからだ』というくだりがあります」(佐藤)

    「忘れないけど許すというのが、本当の『和解』ですよね」(北原)

    「イエスが捕まったときに男たちは皆逃げちゃったんだけど、女性たちはそばから離れなかった」(佐藤)

    「日本の性売買は、どっぷり体制側。そういうシステムが当たり前のようにある世界で、男性たちもシステムの依存症になっているんじゃないでしょうか」(北原)

    「今、そういった現場の方々が力を入れているのは、1956年に制定された『売春防止法』の改正です。60年前のジェンダー観でつくられた法律は、性売買に関わる女性を保護・更正の対象としてしか捉えておらず、使われる言葉も差別的です」(北原)

    「『あなたの近い人が』じゃなくて『あなたが』『僕が』売春せざるをえないという状況になったときに『僕が』どういうふうに感じるか。そういう方向で立てないといけない」(佐藤)

    「女の運動の歴史は、無視と嘲笑との闘いの歴史だ。それが性にまつわることであればあるほど、その闘いは過酷だ。男たちは対等な議論の俎上に、女の声をのせなかった」(北原)

    「嘲笑される女から距離を保ち安全圏で正論を吐くフェミニズムでなく、嘲笑される女の横に立つフェミニストでありたいと願うようになった」(北原)

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    2017年03月10日
  • 嫉妬と自己愛 「負の感情」を制した者だけが生き残れる

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    自己愛が強い人は嫉妬はしないが。
    35歳以上の世代の自己愛は、俺の仕事がいかにすごいか
    それ以下の世代は、いかにスマートか
    そして、スマートさは求め下には行きたくないが、トップに行けるとも思えていない。
    欲求段階 4承認欲求→5自己実現 だが、自己実現しまいと思わない、

    自己愛が強い人間は〜というが、誰しもあるのでは?そこを否定しないコミュニケーションがとれるよう気をつけたい。特に、自分の自己愛を傷つけられるようなことを言われると、その何倍も相手の自己愛を傷付ける反撃をしてしまう気がするから。

    今は、みんなの前で褒めるのにも注意。嫉妬を招くかも。

    自己愛が強いかは、自己でなく他者を通して確認する。他者に自己愛があることが分かって行動できるか。
    健全なる他者性を持つ人間には、心を開く友人ができる。いないなら注意。親や恋人はアガペーやエロースであり参考にならない。フィリア、友愛、友情が必要。
    キリストのいう「隣人を自分のように愛しなさい」

    斎藤環からも「よき他者との出会いの機会をできるだけたくさん作りましょう」

    自分が人と会うよりも本読んでる方がいいのは、著者はレベルが違いすぎて私の自己愛にダメージを受けないが、身近な人たちより劣ってると感じると、自己愛にダメージをうけるからではないか?

    自己愛も嫉妬もない新世代とは?それって仏教的にはいいことでは?まさに悟り世代

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    2017年02月18日
  • 自壊する帝国

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    なかなかに読み応えのある本でした。
    ソ連やロシアの実情というか深いところがわかります。
    実際自分が著者ならこの時どうしたやろかと思いながら読み進めました。
    かなり感情移入することができたと思います。

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    2017年02月07日
  • 僕らが毎日やっている最強の読み方 ―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意

    購入済み

    とても面白い

    情報を新聞や雑誌、書籍からどう得たらいいのか対談形式でまとめてあり読みやすい。

    2人が実践しているやり方を身につければ誰でもこの世の中で生き残っていけると思うが、全てをすぐには実践するのは難しいなあと思う。

    2人もいきなり全てを完璧に実践しようとすると挫折して嫌になってしまうので無理せず出来る所からやってみてくださいと言っている。今後は必要な際に読み返して自分のペースで実行出来たらと思う。

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    2017年01月25日
  • 大国の掟 「歴史×地理」で解きほぐす

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    英米・ドイツ・ロシア・中東・中国を動かす掟について、とても分かりやすく俯瞰的にまとめられている。特に中東については宗教的背景についても説明されており、全く理解していなかっただけにとても勉強になった。より深く理解するためのブックガイドも参考になる。
    やっぱりそんなに挙げられると山川シリーズは揃えたくなってしまうな。

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    2017年01月15日
  • 大国の掟 「歴史×地理」で解きほぐす

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    ネタバレ

    [変と不変の狭間で]目まぐるしく国際情勢が移り変わった2016年。変転する世界を前に,いかにしてそれを読み解くかを,歴史と地理という2大要素を用いて実演して見せた作品です。著者は,現代日本を代表する論客と言っても過言ではない佐藤優。


    地政学的な見方を提示しながらも,決定論的な話に持っていかないところが魅力の1つ。あまりに多くの変化が世界で起きている中で,本作は1つの重要な指針を読者に提供してくれているように感じます。変転の激しかった2016年を振り返る意味でもオススメの作品です。

    〜地政学を単純な地理的決定論で捉えるべきではありません。地政学では,地理的制約条件のうえに,宗教,文化,国家,民族などのさまざまな要因が変数となって,複雑な方程式を形成しているのです。そして現代は,この変数が指数関数的に増えている。その複雑な方程式を,素養のないまま解くことはできません。〜

    コンパクトながらも☆5つ

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    2016年12月26日
  • とりあたまJAPAN

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    大好きな両名の共著です。
    以前買って読み終わってたと思いますがレビュー書いてなかったので再読。

    時事ネタをコラム方式で書き続けるのは面白いと思います。
    次も買おうかなd(^_^o)

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    2016年12月21日
  • 私の「情報分析術」超入門 仕事に効く世界の捉え方

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    日露交渉前にだいぶ知識が入って来ましたd(^_^o)
    著者はロシアの分析についてはすごいものがあると思います。
    本当に尊敬します。
    ただ沖縄については感情移入が強いのか僕には客観性が薄く感じられました。
    この本で沖縄の血が半分入ってると書かれてましたがなるほどと思いました。
    僕も大阪人のアイデンティティがあるので軽く見られると激怒してしまいますからσ^_^;
    まだ読み終わってない著者の本がたくさんありますが少しずつ進めて行きます( ̄^ ̄)ゞ

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    2016年12月14日
  • 世界史の大転換 常識が通じない時代の読み方

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    ■中東にイスラム教以外の共通の価値観があるとすれば,それは「部族」。中東の人々は部族を基礎単位として暮らし部族の目で世界を見ている。したがって政治的だけでなく文化的,宗教的にも国境=境界線という発想は乏しい。
    ・国境を線で規定すること自体近代欧州で生まれたここ150年程度の思想
    ・ソ連が成立する1922年まで中央アジアに国家はなかった。当然,近代的な民族意識はなく遊牧民には血縁に基づく部族意識,農耕民には定住するオアシスを中心とする地理意識があり両者に共通するのはイスラム教スンニ派という宗教意識だった。

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    2016年12月10日
  • 「ズルさ」のすすめ

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    「直感力」つまり「違和感に気づく力」がないと理屈だけではズルく生きていくことはできません。
    「違和感に気づく力」は「観察力」が必要です。
    「観察力」は切羽詰まると身につくのかもしれません。
    著書ではロシアやイスラエルといった史上大きな危機を経験した国の人は「直感力」に優れているとのことです。

    この本では僕の好きな飲食店経営の方に批判的な書き方になってました。
    根性論というか努力すれば全て上手くいくという論調が著者は好きではないのかもしれません。
    僕はどちらの著者も好きでよく読みます。
    要は休みとかバッファを入れないと息がつまるということですよね。
    バランスです。

    「受けた恩は石に刻みかけた情けは水に流せ」
    僕は子供達にもこの言葉をよく言います。
    人から受けた恩は倍返しでちょうどいいのかもしれませんσ^_^;

    「スーツ姿に弱い日本人」
    僕が夏もスーツとネクタイなのはこれが理由でもあります。
    クールビズやなんやといってもやっぱり日本人はスーツを信用するしスーツに弱いんやと思います。
    自分がそうなだけに余計そう思います。

    この本も自分の生き方にとても参考になるものでした。
    前著「人に強くなる極意」と同じく良い本でした。

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    2016年11月09日
  • 世界史の極意

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    ■アナロジー(類比)とは似ている事物を結び付けて考えること。アナロジー的思考はなぜ重要なのか。道の出来事に遭遇した時でも,この思考法が身についていれば「この状況は過去に経験したあの状況とそっくりだ」と対象を冷静に分析できるから。
    ■アナロジー(類比)とメタファー(隠喩)の違い。(「キリスト教神学入門」アリスター・E・マクグラス)
    ①神には知恵がある。
    ・神の本性と人間の「知恵」の概念との間に類比の関係があることが主張されている。人間の知恵は神の知恵の類比として働く。
    ②神は獅子である。
    ・ある程度の驚きを引き起こし得る。
    ■アナロジーもメタファーも二つの事柄の間に類似性の要素と再生の要素がある。
    ・メタファーの方が再生の要素が強いので表現としての異化効果,ヒトをはっと驚かせたりする効果が強まる。
    ■慰安婦問題について欧米の人々は「自分の娘や妹が慰安所で性的奉仕に従事させられたとしたら…」という思いでこの問題を見ている。かつてはどんな国にも公娼制度があったと主張しても,それ自体が人権を踏みにじるものだと理解される。こうした類比的な思考を一切考慮せず「私達は間違えていない」と言い張ったところで国際社会からの理解を得ることはできない。
    ■なぜ1870年代から帝国主義の時代に突入したのか。このことを理解するためには重商主義以降の世界経済史を押さえておくことが必要。その理解があって初めて現在の国際環境を「新・帝国主義」と規定するアナロジーが分かるようになる。
    ■16世紀以降,資本主義は,重商主義→自由主義→帝国主義(独占資本主義)→国家独占資本主義→新自由主義という形で変遷してきた。
    ・重商主義とは16世紀に形成される絶対王政が実行した経済政策であり国家が商工業を育成し貿易を振興すること
    ・重商主義の代表はスペイン
    ・17世紀になると重商主義の中心は外国貿易になる
    ・国家が輸出入を規制し利益を吸い上げる(貿易差額主義)
    ・貿易が活発になると輸出産業を保護する必要が出るため国内産業を保護する産業保護主義が中心となる
    ・ポイントは国家が経済に強く介入して国富を蓄積していくこと
    ■レーニンはマルクス主義者であるがマルクスの「資本論」とレーニンの「帝国主義」には大きな違いがある。
    ・「資本論」で考察されるのは国家が市場に干渉しない純粋な資本主義の世界
    ・「帝国主義」では市場に介入する国家の機能が重視される
    ■レーニンは「帝国主義」の中で帝国主義を次のように五つの段階を挙げて定義している。
    ①経済生活の中で決定的役割を演じている独占を創りだしたほどに高度の発展段階に達した生産と資本の集積
    ②銀行資本と産業資本との融合と,この「金融資本」を土台とする金融寡頭制の成立
    ③商品輸出と区別される資本輸出が特に重要な意義を獲得すること
    ④国際的な資本家の独占団体が形成されて世界を分割していること
    ⑤最大の資本主義的諸強国による地球の領土的分割が完了していること
    ■覇権国家の弱体化が帝国主義を準備する。
    ・自由主義の背後には常に覇権国家の存在があり覇権国家が弱体化すると帝国主義の時代が訪れる
    ・イギリスの弱体化→ドイツやアメリカが台頭
    ・アメリカの弱体化→ロシアや中国が軍事力を背景に露骨に国益を主張
    ■維持コストの高い植民地を持たず全面戦争も避けようとするのが「新・帝国主義」の特徴であるが,外部からの搾取と収奪により生き残りを図るという帝国主義の本質や行動様式は変わらない。
    ■マルクスは資本主義社会の本質を「労働力の商品化」と考えた。
    ■「労働力の商品化」には二重の自由がなければならない。
    ・第一に身分的な制約や土地への拘束から離れて自由に移動できるということ(契約を拒否できる自由を持っている)
    ・第二に自分の土地と生産手段を持っていないこと(生産手段からの自由)
    ■賃金が決まる三要素の考え方はマルクスの最大の貢献であり未だに打ち破られていない重要な基礎理論。
    ①労働者が次の一か月働けるだけの体力を維持するに足ること
    ・食料費,住居費,被服費,レジャー代
    ②労働者階級を再生産すること
    ・家族を持ち子供を育てて労働者として働けるようにする
    ③自分を教育すること
    ・進歩し続ける資本主義社会の科学技術に合わせられるようにする
    ■日本の教科書が価値観をほとんど出さず必要な要素を漏らさないよう記述しているのに対しロシアの教科書はロシアの立場を正当化する価値観が強く出ている。
    ■金融資本主義に対する三つの処方箋
    ①外部から収奪する帝国主義
    ②共産主義
    ③ファシズム
    ■「ゲシヒテGeschichite」と「ヒストリーHistorie」
    ・ゲシヒテ:歴史上の出来事の連鎖には必ず意味があるというスタンスで記述
    ・ヒストリー:年代順に出来事を客観的に記述する編年体
    ■ナショナリズムの問題を考えるとき「原初主義」と「道具主義」という大きく異なる二つの考え方がある。
    ・「原初主義」とは,日本民族は2600年続いているとか中国民族は5000年続いているといったような民族には根拠となる源が具体的にあるという実態主義的な考え方(言語,血筋,地域,経済生活,宗教,物価的共通性など)
    ・「道具主義」とは,民族はエリートたちによってつくられるという考え方で国家のエリートの統治目的のために道具としてナショナリズムを利用するというもの
    ■標準語は自然に存在するものではない。アンダーソンによれば標準語は「出版資本主義」の力でつくられるとする。出版業が多くの読者市場をターゲットにして儲けるために「出版用の言語」がつくられ,それが標準語になっていったと考えた。
    ■「公定ナショナリズム」とは上から「国民」を創出しようとするもの。
    ■社会が流動化すると見知らぬ者同士でコミュニケーションをする必要が出てくる。そうすると普遍的な読み書き能力や計算能力といったスキルを身につけることが必須となる。そういった教育を誰が与えるかといえば,それは国家しかない。
    ■一定の教育を広範囲に実行するためには国家が必要。国家は社会の産業化とともに教育制度を整え領域内の言語も標準化する。こうした条件があって広範囲の人々が文化的な同質性を感じることができる。
    ■アンダーソンは,「民族」とは「想像された政治的共同体」と考えた。それに対しスミスは近代的なネイションを形成する「何か」があると考えた。この「何か」を表す概念がギリシャ語の「エトノス」,現代フランス語の「エトニ」である。
    ・エトニとは,共通の祖先・歴史・文化を持ちある特定の領域との結びつきを持ち,内部での連帯感を持つ名前を持った人間集団
    ・エトニという観念が歴史(※)と結びつくことにより政治的な力が生まれ,この力によりエトニは「民族」に転換する(※ここでいう「歴史」は実証性が担保されている必要はなく人々の感情に訴える詩的で道徳的で共同体の統合に役立つ物語としての歴史〔ゲシヒテ〕であり,これが民族形成に不可欠)
    ■中央アジアでは1920~1930年代に殆ど民族意識がないところで「上から」民族がつくられた「公定ナショナリズム」の典型である。その結果,ソ連崩壊後,中央アジア諸国では部族を中心とするエリート集団が権力を握り,他方で経済的困窮からイスラム原理主義が拡大していった。
    ■同質性が高いほど,その「差異」を巡ってナショナリズムは暴発しやすい。
    ・アイルランドとウクライナは同質性が高い地域で殺し合いが起きた
    ■「新・帝国主義」の時代は資本主義,ナショナリズム,宗教という三点の掛け算で動いている。
    ■植民地支配で少数派を優遇するのは常套手段。
    ・フランスは第一次大戦後のシリア委任統治において国民の少数派であるアラウィー派を重用した
    ・多数派の民族や宗教集団を優遇すれば独立運動につながってしまうので宗主国への依存を強化するため少数派を優遇する
    ■「イエス・キリスト」の「イエス」は当時のパレスチナにいたごく普通の男性の名前で,「キリスト」とは「油を注がれた者」という意味。
    ・ユダヤでは王様が戴冠するときに油を注ぐ習慣があり王様イコール救済主というのがユダヤ教の伝統的な考え方
    ・「イエス・キリスト」とは「イエスという男がキリストという救い主であると信じている」という信仰告白
    ■コーランに書かれるイスラムの「五行」
    ・信仰告白(アッラーのほかに神はいないと唱える)
    ・礼拝(一日五回メッカに向かって祈る)
    ・喜捨(収入の一部を困窮者に施す)
    ・断食(ラマダーン月の日の出から日没までは飲食を禁じる)
    ・巡礼(一生に一度メッカに巡礼する)
    ■「イスラム」とは「絶対帰依」という意味でありイスラムではあらゆる行為がアッラーへの絶対的服従として決められている。
    ■「コルプス・クリスティアヌム」とは①ユダヤ・キリスト教の一神教の伝統と②ギリシャ古典哲学,③ローマ法の三つの要素から構成された文化総合体のこと
    ・日本語に訳せば「キリスト教共同体」
    ・神学者エルンスト・トレルチの考え方で今なおヨーロッパ的な価値観の根底をなす
    ・EUもこの三つの価値観によって結び付けられている有機体
    ・EUがロシアやウクライナに伸びないのはコルプス・クリスティアヌムが正教文化圏を含みにくいから
    ・トルコがEU入りを希望しても入れないのはコルプス・クリスティアヌムの価値観を共有していないから
    ・宗教的価値観を中心とした結びつきには民族やナショナリズムを越えていくベクトルがある
    ■イスラム国の組織形態はネットワーク型
    ・アルカイダのようにウサマ・ビンラディンの命令で下部が動くという組織形態ではない
    ・小さなユニットが無数にありそれぞれに必ずメンター(宗教指導者)がつき,世界中のユニット同士がインターネットで結びついている
    ■イスラムにはムスリムが支配する「イスラムの館」と異教徒が支配している「戦争の館」という概念がある。イスラム原理主義の最終目標は世界中の「戦争の館」をジハードにより「イスラムの館」に転換していくこと。
    ■イスラム原理主義の五つの特徴
    ①儒教のように哲学的支弁を駆使せず簡単で宗教と道徳が一致しているため近代化の嵐の中でも生き残ることができた
    ②儒教より強いのは強力な超越的観念を持つから
    ③超越的な神とこの世の人間が直結する。信仰の仲介者がいないので政治的,道徳的言説の内容が曖昧で幅が広くなる。それゆえに広域で影響を発揮することができる
    ④超越的な唯一神を極端に強調すれば知的整合性を無視することができる
    ⑤近代的な学問手続や論理整合性を無視して「大きな物語」をつくることができる
    ■イスラム原理主義の特徴を熟知してその暴走を事前に食い止めようとしたのがレーニンとスターリン。
    ・イスラム原理主義が尊重する信仰対象,慣習などを尊重して摩擦を起こさないようにした
    ・イスラム系諸民族の中にあるエトニを刺激してイスラムへの帰属意識よりも民族意識を強化した
    ・現実には上からの強制的な民族アイデンティティを付与したため,ソ連崩壊後にナショナリズムの暴走が始まった
    ■戦争や紛争を解決する方法はたった一つ。「もうこれ以上殺し合いをしたくない」と双方が思うこと。そのための方法は二つ。
    ①もう一度,啓蒙に回帰すること。人権,生命の尊厳,愛,信頼といった手垢のついた概念に対し,不可能だと知りながらも語っていくこと
    ②プレモダンの精神,換言すれば「見えない世界」へのセンスを磨くこと

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    2016年10月28日
  • 人に強くなる極意

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    「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」この8つがこの本の要諦です。

    感情のコントロールが出来ていればわざと怒るのはテクニック。

    人間は限界のわからないものに対して恐れを抱く。
    だからビビらないために知ることから始める。

    お金に限界効用逓減の法則は通じない。
    お金は国の信用力なんで腐らない。
    持てば持つほど安心はできるけど必要以上に持つ必要は僕もないと思う。

    逆に返報性の原理があるので人に借りを作らない方が僕もイイと思います。
    少なくとも金で借りを作るのは面白くないと思います。

    諦めないことと諦めるべきことの選別が重要。
    固執は表裏一体。
    どこで見切るか
    能力を磨く必要があると思います。

    佐藤優さんの本はかなり読んでるのでもう少し詰めていこうと思います( ̄^ ̄)ゞ

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    2016年10月28日
  • 聖書を語る

    Posted by ブクログ

    佐藤優と中村うさぎの対談集。

    聖書そのものを語っているのは最初だけで、宗教や哲学を中心に話はあちこちに展開する。村上春樹をけなし、エヴァンゲリオンを考察する。最後は3.11の震災の問題から、人はどうつながるか、と展開。

    中村うさぎという人は初めて知ったが、両者とも知識量とその言語化能力がすごい。


    以下は読書メモ:
    プロテスタント
    カルヴァン派 自分は神に選ばれている
    バプテスト派 人間は努力すれば報われる(清教徒)

    終末遅延問題 すでに2000年遅れている。
    クロノス 座標軸を流れる時間
    カイロス 点 事件史
    終末はカイロスの感覚では歴史、決まっている未来、だから終末は来ないのではなく遅れていると考える。

    震災の既視感、エヴンゲリオンでの原体験
    全体主義と揺り戻し

    ライプニッツの単子論で言うモナドでつながる
    全体主義はオーケストラ、各パートは自由

    宗教=洗脳という刷り込み
    最大の洗脳は貨幣

    全体主義に対立する概念は普遍主義。ナチスは普遍主義。全体主義は多元的。

    メメントモリ 死を想え。

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    2018年02月05日
  • 獄中記

    Posted by ブクログ

    塀のなかにいることを
    ある種楽しんでるよーな?

    もしくは

    せっかくの機会だから活かそうとしているのか?

    どちらにせよ
    一般人からすると奇人変人の類い


    知の巨人という渾名も分からんでもないです。

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    2016年10月05日