佐藤優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「インテリジェンス」をテーマに、外交ジャーナリスト手嶋龍一氏と元外務省主任分析官の佐藤優氏が、対談形式で進めて行く著書。正直、この手の知識には疎い私にとっては、深すぎてついていけない部分もあったが、とにかく内容が知的で面白い。ソチ五輪について、北朝鮮への飯島氏の訪問について、東京五輪招致の裏側、TPPについてなど、ニュースで何となく聞いたことのあるニュースを、様々な情報を基に知的に読み解いていく作業はとても興味深いもので、我々素人に、ニュースに対する多角的な視点を与えてくれる。日本人はとかく、外交ニュースには疎い傾向があるが、こういった著書で知識を深めていきたいと思える本である。
-
Posted by ブクログ
心に残ったコメントをいくつか記載しておきたい。
・オフィスに社員が集まるというのは、競争心をあおるという点だけでも意味がある。本来善なる人間が社会や組織に属すると、競争心や功名心があおられ、他人より優越したいという欲望や支配欲・権力欲が生じる。
・若いうちは他人と比較してもっとがんばろう、ライバルに負けないように勉強しようなどと切磋琢磨することは必要。
・人間というのは、現実を目にしながら、どこか自分で自分なりのストーリーをつくるもの。そして、そのストーリーの方を現実だと認識する動物。
・小さな火花も荒野を焼き尽くす
・人間は大きな問題、重大な問題に直面するほど楽観主義に陥る。
・直観を頼るべし。ここでいう直観とは、たくさんの経験値と論理的な思考を経た上で、その蓄積によって途中の論理的な検証を飛び越え、一気に結論を導くことができる力。
・何もしない時間を大切にする。
・ロジックとレトリックを駆使する。敵を作らない。
・組織とは個人の価値観や正義感を超えた論理で動くもの。そこで働いている以上、その論理にある程度は巻かれる覚悟が必要。
・組織の中においては旗幟を鮮明にせず、両者を立てるということも必要なことがある。
・約束は二重構造になっている。小さな約束事があって、それらを包み込むように大きな約束事がある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ佐藤優と池上彰の「新・戦争論」の発売が2014.11で、その1ケ月後の2014.12にこの本が発売されている。
当然テーマとしては重複しているものが多いが、内容は前者もなかなか面白かったが、本書の方がさらに面白い。
これは池上彰と手嶋龍一という対談相手の違いから来るのは当然だが、佐藤優は相手の議論の深さに合わせて、発言内容の深さを変えている。
つまり池上彰よりは、手嶋龍一の方が掘り下げ方が深く、それに相応して佐藤優がより切り込んだ意見を出している。
幾つかのポイントを見ると、
【ウクライナ】
・G7がロシアとの着地点を見出すことは、安易な妥協だとして批判があるだろうが、モスクワを北京・テヘラン枢軸側へ追いやって良いのか。プーチンはウクライナをNATOに渡す事は容認しない。(佐藤)
・第2次大戦で、赤軍がドイツを占領するや、真っ先に探したのがロケットの開発技術者です。その研究・開発・生産の拠点となったのがウクライナ。しかもその拠点は、親ロシア派とウクライナ軍が戦闘を繰り広げている東部と南部に集中している。(手嶋)
・元外務官僚の宮家邦彦氏が「米国の知らないところで、将来独露間にクリミア併合を黙認しウクライナを緩衝国家とする密約が結ばれる可能性はないだろうか・・・戦前の独ソ不可侵条約と同じことが再び起こらないとも限らない」と産経新聞に書いているが、これはヨーロッパの然るべき筋が安倍氏に近い宮家氏に伝えた「内緒話」だったと思います。(佐藤)
・・・・この話を読んでアメリカのNSAがドイツのメルケル首相の電話盗聴をしていた事に合点がいきました。
【イスラム国】
・アメリカに限らず、政治指導者のもとには政治決断の選択肢が下から上がってきます。
この場合もきっと①空爆の敢行、②軍事顧問団の派遣、③一切の軍事的関与を見送る。凡庸な指導者ほど②を選ぶ。オバマは②を選択し、その後に①にシフト。オバマはぶれている。(佐藤)
・政治指導者が避けなければならない最たるもの、それが戦力の逐次投入です。ベトナム戦争の泥沼も、最初は軍事顧問団の逐次投入から始まった。(手嶋)
・そうして中途半端なオバマの関与が、反米的なテロ集団である「イスラム国」のイラク浸透を助ける結果になった。「イスラム国」を無力化するためには米軍が地上戦に踏み切る必要があります。しかしオバマにその腹はない。事態が悪化すれば、いよいよオバマは「毒饅頭」に手を伸ばさざるをえないんです。つまり仇敵イランとの連携。(佐藤)
・アメリカの「力の不行使」は「超大国の終わり」の始まりです。そしてアメリカが日本の同盟国である以上、中東情勢を混迷に陥れるだけでなく、東アジアの安全保障にも影を落すことになる。(手嶋)
・アメリカがイランに助けを求め、その結果イランの核開発禁止の手を緩めれば、サウジアラビアをアメリカから離反させる。イランが核を保有する事態になれば、インテリジェンス業界では誰もが存在を疑わない「(パキスタンの核をサウジに持ち込む)パキスタン・サウジアラビア秘密協定」がいよいよ発動される。(佐藤)
・イスラエルも黙っていない(手嶋)
【その他】
キシンジャーの著書「外交」の話が「尖閣を防衛したがらないオバマ」に繋がる事や、番外編で、「外務省から休職を命じられた時にロシア、イスラエル、韓国等の『その筋』」からうちで働かないか」と誘いを受けた事を手嶋が佐藤から聞き出す・・・等々次々と面白い話題が出て来ます。 -
Posted by ブクログ
読書術の本だと思っていたらナショナリズムと帝国主義の参考書だった。かなり的確な指摘がなされていて勉強になった。
新・帝国主義とは植民地と全面戦争を避けた帝国主義の続きであり近代現代と連綿と続いている。こういった世界の基本的な論理と構造を押さえておくことが読書(世界の認識)に必要なことだという。道理・条理・義理・合理というものを理解することが読書の基本であるということだと思う。
啓蒙主義が戦争を引き起こす。その論理が非常に明確に示されている。合理主義というものの暴走でもあると思う。暴走は反省に依らなければ止まらないものである。ホッブスのリヴァイアサンもそういったものである。万人の狼は国家としてリヴァイアサンになる。国家間は自然状態となる論理である。ただ狼は非常に哲学的だという本も読んだ。哲学とは反省と帰納により世界を認識し改善の配慮をするものである。狼には哲学がある。そして国家間の自然状態にも哲学が有り得る。それが国連の試みである。
安倍政権へ的確に異議を表明していてすっきりした。立憲主義を理解していないらしい。反知性主義というものらしいがそのメカニズムもわかりやすく書かれている。
安倍の権力維持の姿勢の中身は空っぽということらしい。こんなことになって残念だというしかない。
グローバル資本主義が支配的になることが逆に国家機能の強化へ向かう理由は税収と再分配の破たんを引き起こすことでありそれが新・帝国主義へ向かっている理由であるという。
私に言えることは教養を身に着けるには反省に依るということだ。 -
Posted by ブクログ
ここでは筆者が外交官になってすぐのころ。イギリスはベーコンズフィールドにある陸軍語学学校時代に触れた回想録です。キャリアの同僚と12歳の少年。彼らとの出会いと別れの物語であります。
帯に書かれているキャッチコピーが
「あの夏の約束を捨て、私は外交官になった―。」
という非常に印象的な佐藤優氏のイギリス時代を振り返った回顧録になっております。佐藤氏のイギリス時代はラジオ番組などで自身が語っている話から想像するに外交官として語学を身につけるためにイギリスの陸軍語学学校の日々は本当に過酷なものだったんだな、と思っておりました。
しかし、ここで描かれているものは語学学校の日々のほかにグレンという筆者のホームステイ先の家の12歳の少年との交流と、同期であり、キャリア外交官である武藤顕氏との交流と別れを中心に描かれておりまして、これがまたなんともいえない切ない展開になりましてね。
筆者はグレンとその家族を通して、イギリスに横たわる『見えない壁』具体的に言うところの『階級社会』の存在や、社会の姿を知り、武藤氏からはキャリアとノンキャリと立場は違えど、同じロシア・スクール(外務省の『派閥』)として語学で切磋琢磨する姿。さらにはグレンと映画『戦場のメリークリスマス』を見る場面があり、この映画を大学時代に見たことを思い出し、台詞やト書きが出てくるとその場面の映像を思い出しました。
ここで武藤氏は筆者に
『あまり政治に深くかかわるな。』
や
『君はいつか組織と対立するかもしれない』との警告があったり、グレンが両親と別な階級に行くために大学へ進学するべきか否かを筆者に問うている場面はすごく印象に残っております。
グレンとの結末は本書に譲るとして、筆者と武藤氏は同じモスクワ大使館に勤めながらもだんだんと疎遠になっていき、筆者が政争に巻き込まれたときは組織に『踏み絵』のために『佐藤優調査チーム』の指揮を執った事がここに記され、こういう結末になってしまったことにやるせなさを感じつつも筆者が
「私が武藤君と会話を交わすことは、生涯ないと思う。しかし、武藤君が研修生時代の私にとってかけがえのない友人であったという記憶は一生消えない」
とあとがきのほうに記してあったことがあのすさまじい修羅場を経験した筆者だからこそ書くことのできるメッセージだな、という読後感を持ちました。ほろ苦い後味を持つ一冊ですが、これは面白かったです。 -
Posted by ブクログ
本書はCIAの情報入手方法や危機管理について記されています。
しかし最大の特長は、日本の物書きでインテリジェンスに1番詳しいか1番有名な佐藤優氏が本書の解説などでベタ褒めしていることにあります。
氏曰く
「間違いなく日本語で読める最高の一冊だ。これ以上わかりやすく書かれた本を私は知らない。」
「本書に記されているノウハウは、いずれも実行可能である」
「インテリジェンスの世界に共通する普遍的な技法が、一般のビジネスパーソンが再現可能なレベルにまで落とし込んで書かれている」
金を貰って褒めるのは当たり前でしょうが、彼の得意分野で誤ったことを書くと、きっと次の仕事は無くなるでしょう。
著者は情報は人から得るものと書いています。
そしてCIAでは、「信じよ、ただし検証はせよ」と情報が正しいのか確認することの大切さを説いるようです。
私たちには諜報活動で何が正しいのかはわかりません。
そのため、信頼できそうな人が薦める本書は、同様な書籍が数あれど、読む価値が高いと思います。
また、訳がわかりやすく文そのものが整然としている点にも高い評価を与えたいと思います。 -
Posted by ブクログ
1941年12月の開戦直後、政府は戦争の目的と経緯を大川周明によるNHKラジオの12回の連続講演で説明した。それは速記によって記録され、『米英東亜侵略史』として上梓されベストセラーになった。その全文とテキストを他の思想家と比較検討しながら読解していく。様々な視点があるが、日本の外交の閉塞状態をいかに打破するかが本書の書かれた意図である。忘れ去られた大川周明という思想家の思想への最良の入門書であり、自虐史観という呪縛を解き放つものでもあるが決して右翼的内容ではない。良書。戦前の知的水準の高さに驚いた。
大川周明(1886-1957) 思想家。極東国際軍事裁判でA級戦犯として起訴されるが精神障害を疑われ不起訴となった。佐藤氏によると日本を「教育」する場で逆に英米の悪事を暴かれるのを怖れたためだという。「米国東亜侵略史」ではペリー来航から始め、日本がアメリカと戦争することになった経緯を語る。また「英国東亜侵略史」ではイギリスの植民地政策、インド植民地化と中国の半植民地化への過程を述べ、日本の戦争の大義名分は中国、インドの解放にあると訴える。世界史的読み物としても興味く読めた。
戦前の国民は軍部に騙されていたというのは戦後アメリカによって作られた神話だったらしい。戦争に至る経緯と目的を国民に向けてきちんと説明しているからである。また開戦当時の政府はなるべくアメリカとの戦争は回避しようとしたが追い詰められやむを得ず開戦になったというのが真実のようだ。実践はなかなか難しいが与えられた情報を鵜呑みにするのでなく自分でも広く情報を集めることの大切さを改めて知った。
現在は第二次大戦前の帝国主義時代へ逆行しているらしい。哲学的にはキリスト教型の普遍主義から脱却し、ライプニッツのモナド型の並列主義に移行しなければ様々な問題の根本的な解決は難しいということらしい。グローバリスム、イスラムのテロ、パレスチナ問題などもそうなのだろう。 -
Posted by ブクログ
乱れ飛ぶ放送禁止用語、サイバラファミリー勢揃い。漫画とインテリジェンスで世相を切る『週刊新潮の無法地帯』書籍化第二弾です。漫画で笑って文章にうなづく。一冊で二度おいしく味わえるものであります。
佐藤優、西原理恵子のユニット『大阪あたりのだれた夫婦』による週刊新潮の連載をまとめた第2巻になります。週刊新潮に掲載されていたときから読んでいて、改めてここに収録したものを再読させていただくと、このページにいたっては『タブー』というものはほぼないんだな、ということが改めて理解できました。
乱れ飛ぶ放送禁止用語、佐藤氏によるロシアを中心とした鋭い分析。それに負けず劣らず強烈なインパクトを突きつけるサイバラの漫画。これは編集者サイドから週に一回あるテーマを言い渡され、佐藤、西原の両陣営がお互いまったく打ち合わせをしないで出たとこ勝負で書いたものをあわせているのだと。だからこそこのケミストリーが生まれるのだなと改めて感じてしまいました。
ここでは主に2010年~2012年の最初までの世相が収録されておりまして、地震、原発、TPP…。2011年のニュースといえばやはり東日本大震災とその後の世相が記されている箇所を読んでいると、ありありと当時の様子が頭に浮かんできて、『日はいつか昇る』そう思わなければやっていられないだろう。そんな憂鬱さを笑い飛ばすためにもこういうものを読んでいただけたらな、と思っております。 -
Posted by ブクログ
ネタバレインテリジェンスとは本来「死んだ文章」を読み込み、行間を読む、というところに語源がある、と。多彩な人間関係を持つことも現代におけるインテリジェンスには必要ではあるけれど、本来は、膨大な資料を精読し、相手の意思、意向を間違いなく「読み取る」ことに本質がある。この本は著者が密接な関係を持った鈴木宗男氏なども登場するが、資料でしか確認できない人も多数登場する。(その最たるものがイエスキリスト…)膨大な労力と学習をの上に揺るがない視点を築き、その視点をもっていろいろな事象や人物の本質に迫っていく。今の日本の政界、外務省に佐藤氏のような器を持った人がいるのだろうか。北海道民としては北方領土返還交渉の経緯に触れられるのがうれしい。道民必読。
-
Posted by ブクログ
佐藤優さんのアナキズム的な思考がよく表れている。宗教という信仰としてあるはずのものと社会主義という利他的で相互扶助的な精神的な姿勢がよくかみあう主題だったのだろう。こういった信仰と精神的姿勢はフロイトに言わせれば高度なものであり信仰というものがけっして侮れないものであり救済と希望がそこにあるのだろうと僕も思う。
カール・ポランニーによればファシズムとは社会主義の否定としての社会であるという。佐藤優さんが懸念されているファシズムが絆というもの民主主義というものから出てくるというのは社会主義の否定から絆を形成しようとする国家民主主義又は国家社会主義というものを連想させる。震災後絆という言葉が多く聞かれるがそれがファシズムと繋がる危険はかなりあると思う。
社会主義の回復とは信仰である。 -
Posted by ブクログ
佐藤 優、なんでも知ってるなぁというのは、西原 理恵子との本でも感じていたのですが、それ以上に読んでいた思ったのは、中村 うさぎって、メチャクチャ賢いですねぇ。
この人の本は、今までよんだことがなかったのですが、これだけいろいろなことを考えている人の本ならば、楽しいかもしれません。
しかし、これだけ考えて、しかも、なんでも自分で体当たりで体験しなりつきつめないといけない人生というのは、メチャクチャしんどいのではないかとも思ったりします。
これだけ賢い人同士(しかね融通が全然きいてなさそうな人同士)の話は、そりゃ、面白いわ。
「エヴァ」の話が出たら、次の対談までにちゃんと見ている佐藤 優も、偉い。
中村 うさぎ、今は、なんか体を悪くされているようで心配です。