佐藤優のレビュー一覧
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米軍がアフガニスタンやイラクで運用している無人機「プレデター」がどのような経緯で開発されていったのかを辿るノンフィクションです。1980年代、敵情偵察は人工衛星と有人偵察機が主な手段でした。人工衛星は情報を得たい場所を連続して監視する事ができず、有人偵察機は常に撃墜されるリスクがありました。それを補う手段として無人偵察機が開発され、1990年代のボスニア紛争で大きな効果を挙げます。2000年代に入り、9.11テロを受けてアフガニスタンでの対テロ作戦でビンラディンを発見しながらも、攻撃する事ができなかった教訓から、無人機の武装化が進みます。テクノロジーの発達と国際情勢からの要請がタイミングよく合
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著者の母の故郷である沖縄の久米島の歴史を探求することが、本書の主題となっています。そしてそのことを通じて、琉球の人びとの精神に深く錨を下ろすとともに、日本国家の取るべき道についての構想へと思索をつないでいく試みをおこなっています。
国民国家が近代の発明品だということは、いまや左派論壇のみならず右派論壇においても常識とされています。しかしながら、藤岡信勝に代表される自由主義史観の論者たちは、国民の物語を構築することの必要性を叫ぶのみで、それがシニシズムに取り込まれてしまう危険性を持っていることに気づいていませんでした(この問題をいち早く見抜いていたのは福田和也でした)。それに比べると、本書で著 -
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[世を生きるには]外交から芸能に至るまで幅広く執筆活動を手がけている元外務省主任分析官の佐藤優が、一般の読者を想定して書き記した今日的日本論であり、今日的文明論。急速にその姿を変えつつある世界の中で国家や個人が生き残る術を説いた作品です。題名の厳かさにひるんでしまいそうですが、記述はわかりやすさに重きを置いているように感じられました。
新書とは思えない程の情報の濃密さ(量というのとはちょっと異なるものです)にまたまた驚かされました。近年の動きを基にしながら、その深部で進む世界規模での構造の転換を救いとっていくあたりは非常に読み応えがあります。その見解に賛否はあると思いますが、一流のインテリ -
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『国家は悪である。この国家を以って資本の悪を制すると。労働者は怠けることがあるので、雇用は確保するけれどもストライキは禁止する。国家が間に立つことによって全体の調整をして国を束ねる。
この束ねるというのがイタリア語の「ファシオ」なんです。ファシオは日本語に訳すと「きずな」という意味です。「きずな」というのはファシズムです。
「日本人のきずなをつくっていく」ということは、「日本人を束ねていく」ということで、それが知らず知らずのうちにファシズムの罠にはまっていくことになるのです。
国家の上からの「きずな」、ばらばらの人間をあるときにまとめるという「きずな」は、内側にいる人にとってはいいのです -
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再読。
グローバル化の果てに覇権国家の行き詰まりが起き、各国のナショナリズムが強化され帝国主義の時代がくる。著者はこの本でそう指摘している。現在のウクライナ戦争に突き進んだロシア、覇権をめぐる中国の動き、アメリカの自国第一主義はまさにそれではないか。
世界史を表面だけなぞるのではなく、その背後にある民族、宗教、経済の動きを理解し、アナロジーとして現代を読み解く。深く広い知識がなければできないことだが、この方が仰っていることが、ようやく少しだけ理解できた気がする。
(2015/03/11)
これまで読んだ著者の本の中では最も読みやすく、勉強になりました。
なぜ著者は何でもかんでも神学の話に -
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アメリカのテロとの戦いには無人機が多用されているのは皆様ご存知の通り。
本書はその無人機の開発史をテーマにしており、第四次中東戦争で苦戦したイスラエル空軍のニーズを満たす為、イスラエル人天才技術者エイブラハム・カレルが開発を始めたレーダー欺瞞用の囮が、やがて無人機プレデターの誕生とその実戦投入へ結び付いていった過程が解説されています。
色々と興味深い内容が多かったのですが、最も印象的だったのが、
・静止画像を高く評価していた軍偵察部門から受けた過小評価や空軍パイロットからの軽視、新技術の実用化に伴う法的課題の浮上等の文化的・法的な抵抗
・地球の裏側から人工衛星経由でコントロール可能になる -
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佐藤優さんと手嶋龍一さんの“世界を読み解く対談集”、第3弾。
相変わらずに2匹の獣がじゃれ合うかのような面白さです。
題材は、ウクライナ、イスラム国、東アジア、集団的自衛権、
そしてまっとうな意味での“愛国心”、な感じで。
興味深かったのは、いわゆる“公開情報”を分析するだけで、
国家が生き抜くための“インテリジェンス”を抽出できるとの点。
そして、右派にも左派にもそれぞれに批判を加えながら、
見失ってはいけないのは愛国心であろうとは、なるほどと。
いずれにせよ、ブレない“軸”を作っていかないとなぁ、と。
ん、「イスラム国」の傍若無人さから始まった今年、
この1年を生き抜くためのヒン -
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ネタバレ「インテリジェンス」をテーマに、外交ジャーナリスト手嶋龍一氏と元外務省主任分析官の佐藤優氏が、対談形式で進めて行く著書。正直、この手の知識には疎い私にとっては、深すぎてついていけない部分もあったが、とにかく内容が知的で面白い。ソチ五輪について、北朝鮮への飯島氏の訪問について、東京五輪招致の裏側、TPPについてなど、ニュースで何となく聞いたことのあるニュースを、様々な情報を基に知的に読み解いていく作業はとても興味深いもので、我々素人に、ニュースに対する多角的な視点を与えてくれる。日本人はとかく、外交ニュースには疎い傾向があるが、こういった著書で知識を深めていきたいと思える本である。
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心に残ったコメントをいくつか記載しておきたい。
・オフィスに社員が集まるというのは、競争心をあおるという点だけでも意味がある。本来善なる人間が社会や組織に属すると、競争心や功名心があおられ、他人より優越したいという欲望や支配欲・権力欲が生じる。
・若いうちは他人と比較してもっとがんばろう、ライバルに負けないように勉強しようなどと切磋琢磨することは必要。
・人間というのは、現実を目にしながら、どこか自分で自分なりのストーリーをつくるもの。そして、そのストーリーの方を現実だと認識する動物。
・小さな火花も荒野を焼き尽くす
・人間は大きな問題、重大な問題に直面するほど楽観主義に陥る。
・直観を頼るべ -
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ネタバレ佐藤優と池上彰の「新・戦争論」の発売が2014.11で、その1ケ月後の2014.12にこの本が発売されている。
当然テーマとしては重複しているものが多いが、内容は前者もなかなか面白かったが、本書の方がさらに面白い。
これは池上彰と手嶋龍一という対談相手の違いから来るのは当然だが、佐藤優は相手の議論の深さに合わせて、発言内容の深さを変えている。
つまり池上彰よりは、手嶋龍一の方が掘り下げ方が深く、それに相応して佐藤優がより切り込んだ意見を出している。
幾つかのポイントを見ると、
【ウクライナ】
・G7がロシアとの着地点を見出すことは、安易な妥協だとして批判があるだろうが、モスクワを北京・テヘラ -
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読書術の本だと思っていたらナショナリズムと帝国主義の参考書だった。かなり的確な指摘がなされていて勉強になった。
新・帝国主義とは植民地と全面戦争を避けた帝国主義の続きであり近代現代と連綿と続いている。こういった世界の基本的な論理と構造を押さえておくことが読書(世界の認識)に必要なことだという。道理・条理・義理・合理というものを理解することが読書の基本であるということだと思う。
啓蒙主義が戦争を引き起こす。その論理が非常に明確に示されている。合理主義というものの暴走でもあると思う。暴走は反省に依らなければ止まらないものである。ホッブスのリヴァイアサンもそういったものである。万人の狼は国家 -
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ここでは筆者が外交官になってすぐのころ。イギリスはベーコンズフィールドにある陸軍語学学校時代に触れた回想録です。キャリアの同僚と12歳の少年。彼らとの出会いと別れの物語であります。
帯に書かれているキャッチコピーが
「あの夏の約束を捨て、私は外交官になった―。」
という非常に印象的な佐藤優氏のイギリス時代を振り返った回顧録になっております。佐藤氏のイギリス時代はラジオ番組などで自身が語っている話から想像するに外交官として語学を身につけるためにイギリスの陸軍語学学校の日々は本当に過酷なものだったんだな、と思っておりました。
しかし、ここで描かれているものは語学学校の日々のほかにグレ -
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本書はCIAの情報入手方法や危機管理について記されています。
しかし最大の特長は、日本の物書きでインテリジェンスに1番詳しいか1番有名な佐藤優氏が本書の解説などでベタ褒めしていることにあります。
氏曰く
「間違いなく日本語で読める最高の一冊だ。これ以上わかりやすく書かれた本を私は知らない。」
「本書に記されているノウハウは、いずれも実行可能である」
「インテリジェンスの世界に共通する普遍的な技法が、一般のビジネスパーソンが再現可能なレベルにまで落とし込んで書かれている」
金を貰って褒めるのは当たり前でしょうが、彼の得意分野で誤ったことを書くと、きっと次の仕事は無くなるでしょう。
著者は