佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
☆☆☆2020年3月☆☆☆
「いま生きる資本論」に続いて、刺激的な作品だ。
「資本主義とは何か」を、階級論を使って解き明かしていく。ここでそれを僕が語れるわけではない。
もっとも大事なのは、「労働力の商品化」という概念だと思う。個人個人が切り離され、「自らの労働力」しか売るものを持たない大多数の人々。それが「格差」を生み出す根源。それを知るだけで生き方が違ってくる。
僕は「資本主義に依存しない」生き方ができるのではないかと思う。直接の人間関係を大切にし、お金に頼らずとも生きていける環境を少しでも手に入れること、少しでも実践したいものだ。
印象に残った内容の一つはピケティ批判。
格差が -
Posted by ブクログ
ファシズム=悪という、単純化した先入観を改めさせてくれる。先ず、我々がファシズムをナチズムと混同している事に気付かねばならない。その上で、本著はファシズムの開祖的な存在でもあるイタリア、ムッソリーニの思想を教示してくれる。ムッソリーニと言うと、世界史を学校でしか学んでいない人間からすれば、どうしてもヒトラーの二番煎じ的存在として、尚且つ、第二次世界大戦でも早々と降伏し、またはチャップリンに揶揄された、中途半端な存在として認識してしまっている。先ず、この見方が変わる。その視点の切り替えから広がり、合理的であるが故に、人間を機械の一部とした資本主義や共産主義の問題点を説き、ファシズムの危険な魅力に
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購入済み
人生の道標
キリスト教ではありませんが、共感できる本でした。
50過ぎたおばさんでも、仕事に真面目に取り組み過ぎていた毎日を見つめ直すきっかけを貰えました。
あっとゆう間に読み終えて、読み終わった後元気をもらいました。 -
Posted by ブクログ
「教養とは何か?」がよくわかる本である。たしかにネットで情報収集しようとしても、基礎的知識がなければ検索ワードさえ思い浮かばない。本書は「知の世界」に入るためにはどのようにすればよいのかのパスポートのように思えた。
小生は立花隆氏の「中核vs革マル」と「天皇と東大」を数十年の時をへだてて読んだが、読後ともに興奮した記憶がある。
立花隆氏はだいぶ前から「知の巨人」と言われていた。そして今、佐藤優氏も同じ評価を得ているが、新旧の「知の巨人」の対談は実に興味深かった。
本書の内容は、マルクスからナウシカまで多岐にわたっている。立花隆氏が「風の谷のナウシカ」を映画版ではなくコミック版を押しているのは面 -
Posted by ブクログ
井手先生の著作を何冊か読んでみたが、一般向けにはちょっと読みづらいと感じた。そもそも日本社会のネガティブな現状を直視した分析であるため、読んで楽しくなる本ではない。
その中では、本書は対談書であるせいか読みやすく、主張する内容が理解しやすい。日本社会の現状がリアルに実感できる本だと思った。
前原誠司氏は「不運な政治家」と思っていたが、本書を読みその感をさらに深めた。本書で語る前原誠司は光ってる政治家である。
そもそも民主党政権時代に世界経済が不振を極め、安倍政権になってから世界経済が回復するとは「運」としか言いようがない。
ともあれ、本書は井手英策氏の思想を理解するのに良い本であると思った。 -
Posted by ブクログ
考え方としてテーマごとにコンパクトに2ページ分でまとまっており、比較的短時間で読める。著者の著作としてはとっつきやすい方である。
所々ユーモアもあり、固くないので寝転がって読むのにちょうどよい。
また、いくつか刻んでおきたいフレーズもあり、短時間でもきっと良い洞察が得られるかと思う。
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・ある真実を教えることよりも、いつも真実を見出すにはどうしなければならないかを教えることが問題なのだ。
・迷うときには真実を話せ。
・自分の力ではどうにもならないことは心配するな。
・腹いっぱいメシを詰め込むのは、人間として一つの幸福である。
・やった後で -
Posted by ブクログ
面白い。
佐藤優氏の人生の岐路となった一冊。他の対談本などで語られているように、その後の人生を物書きとして生きる為に絶対にホームランを打たなければならなかった著者の渾身の一冊。ポイントは3点。
・ミクロとマクロの書き分けが絶妙。外交官の背景、ロシア外交の裏話などは詳細に、細かい罪状などはあっさりと読者を置いていかないようにペース配分が非常に練られており良い。
・小説的表現が秀逸。西村検事との掛け合いはドストエフスキーの罪と罰を彷彿とさせる会話劇で、非常に愉快。
・国策捜査は時代のけじめ、として本事件をまとめているが13年後の2019年を予言しているとしか思えない。この頃から新自由主義に舵を切っ