佐藤優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
佐藤氏は、言います。
「なぜ、読書術が知の技法のいちばん初めに位置づけられなくてはならないのだろうか。
それは、人間が死を運命づけられている存在だからだ」。
私は、この一文がどうも気になり、購入しました。
佐藤は、続けて言います。
「そのために、時間が人間にとって最大の制約条件になる。」
「正しい読書法を身につければ、人生を2倍、3倍豊かにすることができる。
読書によって数十人分の経験を身につけることができる。」
この読書の技法の目的が明確に書かれた一文です。読書で、人生を豊かにすることができる。
しかし、人生はいつか必ず終わる。
佐藤氏は、さらっと書いていますが、なんとも考えさせられる一文です。
読書を通じて、仕事でアウトプット力を身につけるとか、
論理的思考を身に付けるとか以前の原理原則から始まっている所が、
この本を価値あるもの、佐藤氏の哲学が反映させている書籍だと思います。
佐藤氏は、この書籍で、正しい読書術を身に付けるためには、
高校教科書レベルの基礎知識をつけておくことを強調しています。
奇をてらった方法ではなく、王道だなと感じました。
手に取ってみることを、強くすすめます。 -
Posted by ブクログ
危機を認識し、警鐘を鳴らす思想家は預言者に連なる
イスラエルとユダヤ人から学んだ事柄について書いた論文とエッセイをまとめたもの。
中東に浮かぶ、自由主義、民主主義、市場経済の国、イスラエルと日本の物語
著者は、こういう。「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回しても生き残る」という気概をもつイスラエル人の愛国心、さらにそれを支える神理解から、日本国家と日本人が生き残るための知恵を学ぶことが、私が本書を著した目的である。
イスラエルを地上から抹殺せんともくろむイランと、イランに核開発技術を供与する北朝鮮。それなのに、日本は親イランとしてイランを援助していた。
佐藤優を政治的に抹殺したのは、イギリスアメリカではなく、アラブイスラムなのかもしれない。
気になったことばは以下です。
・AIとバイオテクノロジー、生体認証などの融合により、独裁政府が国民すべてを常に追跡できるようになります。20世紀のスターリンや、ヒットラーなどの全体主義体制よりもずっとひどい独裁政府が誕生する恐れがあります。危険なのは、計画経済や、独裁的な政府が、民主主義国家に対して技術的優位に立ってしまうことです。
・巨大コンピューターにより、ビッグデータをアルゴリズムで処理する時代が到達しつつあるという予測をハラリ氏は改めて強調している。その時代が到来する結果、雇用環境は劇的に変化すると考えている。テクノロジーの発展によって仕事を失う人は多数出てくるが、転職するには高度の技能を身に着けなくてはならない。特にAI技術の発展によって雇用を失うのは、事務職のホワイトカラーと呼ばれる人々だ。この人たちが、荷馬車の馬と同じ運命をたどることになるかもしれない。
・イスラエルは、通常の国民国家ではない。全世界のユダヤ人を擁護するという特別の使命を持っている。それだから、イスラエル人はつまらない常識の枠組みにとらわれない自由な発想をすることができる。
・イスラエル人は、人間的関係を大切にする。一旦信頼関係を構築すると、どんな情報でも出し惜しみをせずに教えてくれる。
・イスラエルは、潜在敵国イランから、奇襲攻撃を受ける可能性を常に意識している。
・国交を断絶すると、利益代表国を指定する。ソ連におけるイスラエルの利益代表国はオランダになった。あるとき、モスクワのオランダ大使館領事部に勤務していたのが、オランダ人でなく、イスラエル人であったということを知るのである。
・ロシアの国境感、要するに国境線の外側にロシア領ではないが、ロシア軍が自由に移動できる領域、すなわち、緩衝地帯を求めるのである。状況が緊張すれば、そこに軍隊を常駐させる。ソ連体制が、1945年に第二次世界大戦が終結してから46年も存続したのは、東欧人民民主主義国という緩衝地帯があり、ソ連本土が直接戦争に巻き込まれた事例がないからである。
・ロシアがイランとシリアをたいせつにするのは、第一に経済利権で、第二に米国と対抗する上で、これら諸国と良好な関係をもっていることが外交カードとして有益だからである。裏返して言えば、極端なリスクをとってまでロシアは、イランヤシリアを守るつもりはない。
・イスラエルにとって米国は最大の軍事同盟国である。
・外国語には、突破しなくてはならないいくつかの層があり、ロシア語の場合、これ以上後退することはないという層を突き抜けたので、日常的にロシア語を用いる環境から離れても、いつでも、感覚を取り戻すことができる。だが、ドイツ語はそうはいかない。
・ロシア人は、国家のために命を捧げる気構えを持つ人ならば、外国人でも尊敬します。
・ロシアとユダヤ人、ロシア人の支配から脱してイスラエルに移住してきたユダヤ人は、政治的には、ロシアを好きになれないのだが、文化的には親しみを持ち続ける新移民が多い。そうした人脈がロシアとイスラエルとを緊密に結び付けている。
・北朝鮮がシリアやイランに核技術を援助している。イランがイスラエルを地上から消し去ろうとしている以上、日本がイランを支援してはいけない。
・ギリシア語でクロノスという流れる時間と、その時間を切断するカイロスという時間がある。アメリカにとってのカイロスは、2001.09.11、であり、日本にとってのカイロスは、2011.03.11 である。
・国際基準での無限責任とは、生命と職務遂行を天秤にかけるような状況が生じた場合、職務の方が重たくなるのが、無限責任である。
・日本版NSCの本質とは、「日本が戦争を行うか否かについての国家意思を決定する機関」である
・IT産業と軍事を切り離すことはできない。イスラエルと日本がIT産業で協力するということは、同時に防衛協力を進めるということです
・ヨハンセン工作:第二次世界大戦下、日本のスイス公使館では、イギリスのスパイである吉田茂元駐英大使に工作をおこなっていた。しかもその摘発をおこなったのは、陸軍中野学校出身者であった。
・中国とイランは同じ外交哲学をもっている。つまり、既存の国際秩序を一方的に変更しようとしている。
・日本の有識者には、親パレスチナが多い、ハマスや、イランの危険性を過小評価することにつながっている。
・米国のシリア攻撃について、日本では水面下で別の動きをしていた。それは、2020年の東京オリンピックを誘致するために、アラブ諸国、イスラム諸国に融和策を展開していた。
・1970.11.25 三島事件が起きる。左翼には、第二、第三の三島を左翼にいわせ、右翼は、本気だったのかと、三島が以来右翼の神となった。
目次は以下です。
新書版まえがき
まえがき
Ⅰ 私とイスラエルについての省察ノート
Ⅱ ロシアとイスラエルの考察ノート
Ⅲ 日本とイスラエルの考察ノート
Ⅳ イラン、シリア、北朝鮮の考察ノート
Ⅴ キリスト教神学生への手紙
あとがき -
Posted by ブクログ
読んでいて怖くなりました。
日露平和条約の締結と北方領土問題を阻んだものは何であったのか。
あゝ、今少しで失われし国土を取り戻すことができたかもしれず、非常に残念です。
巻末にひっそりと語られている鈴木宗男氏の杉原千畝の名誉回復に始まる国際協調
佐藤氏と築いた、唯一、プーチンにいつでも会える政治家としての、鈴木宗男氏。
チェルノブイリの支援を含めた、ロシア、中央アジア、アフリカ諸国、イスラエルとの関係を戦略的に強化しようとした鈴木宗男氏の構想。
それらが外務省のアメリカスクールで、いやアメリカそのものを刺激してしまったのでしょうか。
気になったものは以下です。
・「貴様嘘をつくな!」といえば、相手も「なに!」といってけんかになる。ところが、「お互い正直にやりましょう」といえば、誰も嫌な思いをしない。日本人にはこの使い分けがわかっていない。
・交渉術は、善でも悪でもない、価値中立的な技法である。したがって、交渉術においては、物事の本質を見極める洞察力よりも、道具的知性の方が必要とされる。
・インテリジェンスと交渉術は、不即不離の関係にある。
・ターゲットの論理を深く知ることは、交渉術の要諦の一つである。
・広義の交渉術には3つのカテゴリーがある。①交渉をしないための交渉術、②暴力で相手を押さえつける交渉術、③取引による交渉術
・交渉の世界に完全に対等な立場はない。お互いに少しでも有利な立場を獲得するために交渉で、虚々実々の駆け引きが行われる。
・だます者が悪いのではなく、だまされる者が間抜けなのである。
・インテリジェンス機関は、心理学、動物行動学を汚い交渉術を組み立てる上での基本として重視している。
・実際の工作においては、人間は保守的に行動することを前提とする。つまり、動物でありながら、愛や名誉を重んじ、対面を気にかけ、社会的慣習に縛られるという人間の矛盾が、こちらのつけ込むスキとなるのだ。
・人間が本気で怒るときは、全く事実無根の話で名誉を傷つけられたか、知られたくない事実を暴露されたときかのいずれかである。
・自分にとって都合の良くない秘密の話の9割は本人の口からもれる。
・直接カネを渡すより、相手が必要とするサービスに対して、費用を肩代わりするというのが案外効果がある。相手の配偶者や子供が病気になったときの医療支援は人間的信頼関係を強化する上で大きな効果をもつ。命を助けてくれるために協力してくれた人に対する恩義は、たとえ手術が失敗しても忘れない。したがって、熟練したヒューマン・インテリジェンスの専門家は、名医とのネットワークを必ずもっている。
・拷問のやり方でもっとも効果的な手法は、被尋問者には暴力を一切与えずに、目の前で被尋問者がもっとも愛する人、妻や子供に対して拷問を加え自白を迫る手法である。
・難しい仕事には2つの種類がある。一つ目は、仕事の内容自体が難しい話、二つ目は、仕事自体は、それほど、困難なことではなないが、政治的な事情で面倒な話だ。
・嘘が露見したときにとる方法は2つある。第一は、嘘をついたことを認め、相手に詫び、嘘をつかざるを得なかった事情について説明をすること。第二は、嘘はついていないと怒って見せることである。
・情報屋の修正は私自身が情報屋なので、だいたいわかる。会談相手に関する情報を徹底的に集める。特に相手以上に相手について知っているということが、交渉で有利な立場を確保するためには不可欠だ。
・トップは孤独に耐えなくてはならない。むしろこのことは裏返しで表現すべきだ。孤独に耐える資質がある者でないと、トップにはなれないのである。
・何も見返りを求めず、相手の懐に入ることによって、自己の利益を最大化するのが交渉の弁証法だ。
・ほんとうの取り引きとは、取り引きということを相手に悟られずに行うものだ。
・ゲンナ元ロシア国務長官に言われたことは2つだ。1つは、過去の歴史をよく勉強しろ。現在、起きていること、また、近未来に起きることは、必ず過去によく似た歴史のひな形がある。それをお押さえていれば、情勢分析を誤ることはない。2つ目は、人間研究を怠るな。その人間の心理をよく観察せよ。特に、嫉妬、私怨についての調査を怠るな。
最後に”大和魂”という言葉を核に という言葉がありました。
明治天皇の御製 「しきしまの やまと心の をゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」、意味は、日本人の勇気は日本国家に一大事が起きた時に発揮されるという意味
東日本大震災の折に、天皇のビデオメッセージは、終戦時に玉音放送に匹敵するとのコメントをしめしています。
目次は以下の通りです。
1 神をも論破する説得の技法
2 本当に怖いセックスの罠
3 私が体験したハニートラップ
4 酒は人間の本性を暴く
5 賢いワイロの渡し方
6 外務省・松尾事件の真相
7 私が誘われた国際経済犯罪
8 上司と部下の危険な関係
9 「恥を棄てる」サバイバルの極意
10 「加藤の乱」で知るトップの孤独
11 リーダの本質を見極める
12 小沢vsプーチンの真剣勝負
13 意地悪も人身掌握術
14 総理の女性スキャンダル
15 エリツィンの五段階解決論
16 米原万里さんの仕掛け
17 交渉の失敗から学ぶには
あとがき
東日本大震災と交渉術 -
Posted by ブクログ
冷戦というのが所与の枠組みだった時代の青春。現代なら東欧とロシアでこんなに苦労するはないのだろう。旅行のハードル的にはインドか南米くらいか?
佐藤優の十五の夏休みをに触れていろいろな思いが湧いてくるのだが、旅行自体は自分ごとではなく、5歳の息子を重ねてしまうのが、自分の歳を感じて辛い。あと10年で彼がこういう経験を望むようになるだろうか。もちろんその時代には、1975年当時ほどの異世界感はないかもしれないし、そもそもリアルに国境を越える必要すら怪しいものだが。
なるべくしてなったのだなと思う一方で、本当に好きなことで食べていけない人はいない、という言葉はとても、重い。 -
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ネタバレ2021年7月25日記述
人生の役に立つ聖書の名言
佐藤優氏による著作。
2020年2月1日発行。
本作品は2017年9月単行本として刊行。
2020年1月講談社文庫として刊行されたものを電子書籍化したものです。
聖書は最古の古典であるとしてビジネスでも応用できると野口悠紀雄氏は説いていた。
(だから古典はおもしろい、2020)
しかし多くの古典は一般人がいきなり読んでも分かりにくい。
(文化や背景が大きく異なるため)
その中で佐藤優氏の解説によりそれぞれの聖書の格言、名言をどのように捉え、どのように生活に活かしていくべきかが本書を読むことで見えてくる。
闇雲に聖書を開いた所で寝てしまうのがオチだ。
印象に残った所
パウロが理解するキリスト教信仰において、人間に完成は無く、到達することの出来ない目標に向かい、最後まで努力しなければならないのである。
パウロがいなかったならば、イエスの教えは、ユダヤ教の一分派にとどまり、世界的な広がりを持つキリスト教に発展することはなかったであろう。
高校入試や大学入試で「キリスト教の創設者は誰か」という設問がなされた場合
「イエス・キリスト」と解答すれば正解だ。
しかし、神学部の期末試験では、不正解になる。
イエスはあくまでも自分をユダヤ教徒と考えていたからだ。
イエス・キリストを救世主と考える教えをユダヤ教とは別のキリスト教という宗教にしたのは、生前のイエスと会ったことがないパウロだ。
人間は罪から免れない。罪がある場所では必ず悪が生まれる。
従って、人間が自分の力だけで地上に楽園を作り出そうとしても、それはグロテスクなディストピアになってしまう。
過激派組織「イスラム国」も地上に楽園を建設しようとしている。
北朝鮮にしても「イスラム国」にしても、指導部の人達には、原罪の自覚が無い。
そういう人々が独善的に理想的社会を建設しようとすると地上の地獄が生まれるのだ。
目に見えないが、確実に存在する事柄がある。
信仰、希望、愛がその例だ。このような目に見えない事柄を信仰の対象とする所にキリスト教の特徴がある。
我々の人生でも、小さな努力に過ぎないと思っていても、それを続けている内に大きな成果を生み出すことがある。どのような事柄でも変化する。
そのことを忘れてはいけないと、イエスはこのたとえを用いて強調しているのだ。
人間関係でも、弱い立場にいた者が、ある機会に突然、強大な力を身につける事がある。
どんな事柄でも変化するということを忘れてはならない。
人間は原罪を持っている。罪から悪が生まれるので、この世界には深い闇が存在している。それに対し、言葉には光の機能があるので、正しい言葉の使い方を
身につけることによって、人間は闇から抜け出すことができるようになる。
キリスト教は愛の宗教だ。自分自身を愛するのと同じように他人を愛することが基本にあって、初めて行為は意味を持つ。
愛は行動によって示される。頭や心の中で、どれだけ愛について考えていても、それが行動に結びつかないならば、何の意味も持たない。
信仰即行為なのである。
「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」
マタイによる福音書22章39節
ここで重要なのは、イエスが「無条件で隣人を愛せ」という類の博愛を説いてはいないことだ。イエスが具体的に「自分を愛するように」と説いている事がポイントだ。キリスト教は自己愛を重視するのである。
裏返して言うならば、自分を愛することができない人は、隣人を愛することもできないのである。
このような自己愛が崩壊している事例の一つにストーカーがある。
ストーカーは、相手を過剰に愛しているように見えるが、実際は相手を自分の思い通りに操縦することが出来ないと、自分が崩壊してしまうと焦っているのだ。
自分のために相手を徹底的に搾取、収奪することしか考えていない。
人間は愚かな存在だ。自分が行っていることがどういう意味を持っているかを理解できないことが頻繁にある。ただし、その後、どこかの時点で「しまった」と気づくことがある。そういうときは、妙なプライドにとらわれずに軌道修正することが重要だ。
私を含め、人間には自分を取り繕おうとする所がある。そうやって外面だけきれいに見せても、心の闇を克服することはできない。
そして、きれいな白く塗った墓のような外面を維持しながら、心の中では闇が広がり、腐敗していく。
イエスは、社会的評価の高い人々に自分の内面を見つめよと繰り返し説いている。
ちなみにヨーロッパでは世俗化が進む過程で、復讐する主体が神から成分法(刑法)に転換した。欧米や、それを範にとった日本の近代法が復讐を禁止している背後には「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」というイエスの言葉がある。
聖書の言葉はこのような形で現代文明に埋め込まれているのである。
現在、普遍的な価値観とみなされている国家主権、人権、法の支配などの発想の背後にはキリスト教があるのだ。
キリスト教的には、自分が罪人であるという現実を自覚せずに、他者を裁くような姿勢は悪行である。自分を棚に上げて他者を裁くような人は、主観的に正義の告発者であっても、神の視座からすれば、罪に深くとらわれた人なのである。
(中略)キリスト教徒は何でも食べる。イエス・キリストが、罪は食べ物によって生じるのではなく、「人の中から出てくるもの」すなわち、人が発する言葉によって
生じるという認識を示しているからだ。
自分の言葉を反省することによって、自分に内在する罪を自覚することがとても重要だ。罪の自覚なくして、悔い改めはないからだ。
人間には喜怒哀楽の感情がある。絶対に怒るなというような無理な要請をパウロはしていない。夜まで怒りを持ち越してはいけないと言っているのだ。
夜は悪魔が支配する時間だ。
感情的なメールは、大抵、夜中に書かれたものだ。
夜中に書いたメールは、そのまま送信せずに、朝になってから読み返してみることを勧める。おかしな内容があれば書き改める。
そうするだけで、対人トラブルをかなり避けることができる。
キリスト教から離れて、私達の生活を見ても、欲望にとらわれている人は決して満足することはない。なぜなら、人間の欲望は無限であり、その追及を価値として生きている人は、一生、欲望に振り回されるからだ。
欲望を越えた価値を持つことが、安定した人生を送る秘訣である。
打たれても屈せずに、復讐の権利を自発的に放棄することによって我々は悪を克服することができるのである。
人間は、言説によってではなく、体験によって感化されるのだ。
人の行為によって、神からの報酬が増幅するという発想が根本的に間違っている。
神は正しい者にも正しくない者にも等しく雨を降らせるのである。
誰かが救われるということは、人間の限られた能力では理解不能だ。
それだから、神からの恩恵で救われることを無条件に信じることが求められる。
人間は誰一人例外なく罪を負っているので、正しい人間は一人もいない。
この現実を見つめた上で、神の恩恵によってのみ人間が救われることをイエスは説いている。
信仰によってのみ、人間は救われるのである。
善行を含むあらゆる人間の行為は救済に関係しないのである。
右肩下がりの時代、サラリーパーソンは、いくら一生懸命に働いても昇給や昇進につながらない場合が多い。それであって勤勉さを失わなければ、いつか必ず報われるというのがキリスト教の教えである。
会社や役所や学校でも、自己愛が過剰で「自分は能力がある」と増長している人はちょっとしたきっかけで躓いてしまう。厳しい状況の中でも、きちんと仕事や勉強をこなしていくことができる人は増長しない。
自ら行うべき使命(それは、仕事で自己実現するというようなことだけでなく、家族の生活を保障するという身近な課題でもいい)をしっかりと持っている人は「倒れることがない」のである。
信頼関係が構築されている人との間では「ハトのように素直」という原理に基づいて行動する。これに対して、敵対的な人、こちらを騙そうとするような人に対しては「ヘビのように賢く」という原理で対応する。
そうすることによって人間関係のメリハリがつく。「ハトのように素直」に付き合えるような人間関係を拡大していくことが、ビジネスにおける成功の秘訣だ。
キリスト教の特徴は、聖書を読むことを通じて他者の気持ちになって考えることができる人間になることである。人間は一人で生きていくことはできない。
ある時は他者を助け、別の時には他者に助けられる。
あわれみ深い人はこのような相互扶助の関係を構築することができる。
人間の限界を知り、神を恐れる者が政治に従事すべきである。
人生において、私達も選択を余儀なくされることが何度もある。
その時の選択基準として、客観的に考えて、より難しいと思う選択をすることをイエスは勧めている。「広い門」よりも「狭い門」を選ぶ。
すなわち主体的に苦難を選んだ方が、人間は幸せになれるという逆説を説くのである。
私も特捜検察に逮捕された時に「狭い門」を選んだ。そうしなければ、私が職業作家になる選択肢は消えていたと思う。 -
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コロナ禍では弱者が大きな被害を受けています。
非正規労働者や、本来しっかりとした教育を受け
るべき学生たちがその最たるものです。
しかしコロナは単なるきっかけであって、以前
より社会の弱者との格差は問題とされていまし
た。
それでも関係のない人にとっては、その問題は
「見えない」のです。
その見えない問題に鋭くメスを入れる対談が本
書です。
特に「相模原事件」に関する下りは、新聞報道
とは違った切り口で論じられています。
雨宮処凛氏は裁判も傍聴していたので、彼女自
身の持論も交えた真実には引き込まれます。
「相模原事件」も、弱者が犠牲になっているの
です。
社会的弱者に目を向けるきっかけとなる一冊で
です。 -
Posted by ブクログ
■2014年2月当時、ウクライナで進行していた事態は「革命」にほかならない。この背景には歴史的、文化的に根深い対立構造がある。半政権側は西ウクライナ(ガリツィア地方)に基盤を置く民族主義勢力だ。帝政ロシア時代、ウクライナは「小ロシア」と呼ばれていた。現在も「自分は広義のロシア人だ」という自己意識を持っているウクライナ人は、ウクライナの東部や南部に少なからず存在する。 また東部には軍産複合体や宇宙関連企業があるので、軍事的にも経済的にもロシアと緊密な関係を維持している。
これに対してガリツィア地方と呼ばれる西部は歴史的にハプスブルク帝国の版図であり、同帝国解体後はポーランドに属していた。ガリツィア地方がソ連領ウクライナと統合されるのは第二次世界大戦後のことだ。
ガリツィア地方のウクライナ人は日常的にウクライナ語を話す。これに対して東部、南部のウクライナ人は日常的にロシア語を話す。ウクライナ人の大多数は正教徒だがガリツィア地方のウクライナ人はカトリック教徒他多数派だ。このガリツィア地方の人々はロシアを嫌いEUとの統合を強く望んでいる。軍産複合体、宇宙関連企業と結びついた東部のウクライナ人はロシアとの連携強化を望む。また、東部、南部では、ウクライナ人、ロシア人の意識が未分化な人も多い。
ウクライナは決して一枚岩ではない。国民のアインティティがまだら模様であることが革命とウクライナ危機をもたらした。 -
Posted by ブクログ
池上さんと佐藤さんの対談本は何冊も読んでいますが、毎回新しい知識を得られることができ、二人の引き出しの多さには尊敬するばかりです。
今回、とくに印象に残ったのは「社内で何かを提案するときは、社内で何かを提案するときは、結論をズバリと言うのではなく、相手に考える材料だけを提示して自主的に考えてもらうという手法」の有効です。こちらは過去に私自身何回か実践して至りするのですが、士気を上げるうえでも、ボスコントロールの上でも身に付けておかなければならないスキルであると感じています。
また、社内の悪い空気に流されないためにきちんと自分の信念を持ち、自分の頭で考えるようにする、というのはその通りかと思います。きちんと自分の意見を言えるようにする、というのはちきりんさんの本にもありましたが、自分の人生を楽しく、後悔しないようなものにするためには必要なマインドと言えるでしょう。
そのほか、リアリティのある組織論、社内政治などにも触れており、組織で働く人に対してお勧めできる一冊です。 -
Posted by ブクログ
「読解力」とは「相手を正しく理解し、適切に
対応する力」と定義しています。
要は社会で生きるための人間力なのです。
それは多くの文学作品から学ぶことができます。
優れた作品ほど、クドクドと状況や心情の描写
はされず、読者が行間を読み取る能力が要求さ
れます。
この本では三浦綾子氏の「塩狩峠」を教材に、
佐藤氏が中学生に対して3日間の授業を行った
内容をまとめたものです。
キリスト教系の学校だけあって、生徒たちは、
カトリック信者であった「塩狩峠」の主人公の
心情に、見事にすり寄っていくことが出来てい
ます。
また様々な視点での感想も自由な発想で、素晴
らしいです。
最近は教育に力を入れている佐藤氏の行動こそ、
未来への投資と言える一冊です。 -
Posted by ブクログ
読解力の強化ってどうやってやるんだろう?著者が安易なHowTo本を出すような人ではないことは当然承知の上で、何をどう書いているのかを知りたいということもあって読んでみた。
答えを言ってしまうと、最終的には行間を読めと。つまり、見えている氷山の一角から、はるかに大きな水面下がどうなってるのか推測しろと。そして目的はタイタニックの沈没回避。(←敷衍ってこういうことよね)
行間を読むなんて当たり前なんだけど、私自身が忘れかけているような危うい状況だと気づかされる。昨今のネット上の記事やコメントは、行間を読んでいないものが大量に溢れている。行間を読めていない(または悪意からあえて行間を読まない)揚げ足取り的なコメントは頻繁に見かけるし、いわゆる知識人と言われる人でも、表面だけの話に終始した残念なものが散見される。行間を読めとは違うが、一連の出来事から部分的な切り出しをしているものだと、もはや行間を読んだところでどこまで意味があるのか。ネットでの閲覧が多い私は、そういったものに慣れつつあるがしかし、それは慣れていいものではないと気づかされたのである。
後半は、三浦綾子『塩狩峠』を題材にして中学生に特別講義を行ったものが収録されている。そういえば佐藤氏は少々変わった経歴の人でしたね…と思い出しつつ、三浦綾子はキリスト教徒、しかも夫婦共々、だったとそれも思い出した。しかし『塩狩峠』の中で登場人物が唱える「ナムマイダ、ナムマイダ」にそういう意味があるとは。三浦綾子がキリスト教徒と知っている私は、少なくともそこに違和感を持たなければならなかったのだ…!私は『塩狩峠』を読んではいないが、たとえ読んでいたとしてもそこまで思い至らなかったであろう。知識として知っているだけでは足りないのだ。私の読解力はその程度、読解力とは何かを思い知った本でした。
行間を読まない、読めないことに慣れ切ってしまう前に、読解力を強化せねば。読解力強化には小説を読めということだが、読む小説も選ばなければならないだろう。あまりにも明白過ぎる伏線引きや、含みがあることが明白な言葉が多い小説では意味がない。ドロドロな暗い話も避けるようになった。さて何を読もうか。
私は宗教的思想の影響がある本が好きではないので星ひとつ減としたいところだが、個人的に重要な気付きを与えられたのは大きい。加点して星は5つ。