佐藤優のレビュー一覧
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「想像を絶するような事態を覚悟して備えておけ」
911同時テロや、福島原発事故を予測して対応する組織、それが、公安調査庁である。
公安調査庁は、国際的にも認知された第一級のインテリジェンス機関であること、公安調査庁でつよいのは、ヒューミント(人によるインテリジェンス)、とオシント(公開情報諜報)である。が結論です。
・インテリジェンスとは、国家が生き残るための選り抜かれた情報である。国家の舵取りを委ねられた政治リーダーは、彫琢し抜かれ、分析し抜かれたインテリジェンスを拠り所に、国家の針路を決める。
・米ソ両陣営は国際条約で生物化学兵器の製造使用が禁止されても、細菌・ウィルス兵器で襲われる -
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昔も今もセンスがないという一点において左派は一貫してるなーと思った。
政治的なものの見方で突拍子もないこといったり暴力を肯定して大衆に見放されたり。とにかく大衆意識との乖離を自覚しない点で常に地に足ついてない。
過去の左派では「エライ」の基準は獄中暦とか非転向とかだったそう。本書で描かれた時代にはこの基準が先鋭性に移り変わったと見える。現代では「正しさ」。より正しく誤謬のない理論や価値観を提示できた人がエライ。そうなってしまう理由が理論への過信にあるという佐藤の見方には同意する。
現代において見られるのは、理論に惹きつけられるのはエモーションの働きが弱い人、つまり性欲や金銭欲などの俗っぽい欲望 -
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被差別部落に関する人達への直当たり取材ができていることが素晴らしい。さぞ骨が折れた事と思う。野中氏本人はほとんど語っていないのは致し方ないのか。
解放運動、とざっくり認知していたが、その中にも解放運動と融和、共産党がらみなど、スタンスの違いがあることが知れた。
その中を巧みに泳ぐ政治家としての野中氏の、ゆらぐように見える政治理念の精神的背景が想像できて、とても興味深かった。
自分の信念を体現する手段として政治活動があり、政治理念が一貫することがないのは当然とも言える。それを本人も自覚している所が、彼の懐の深さだと思う。
これらのゆらぎを踏まえても、地力の強さは今の政治家の何人分以上であることは -
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佐藤優さんの本はとても面白く、いくつか読んでことがあったのに、佐藤優さんとは何者なのか全く知らなかった。元外務省職員だったということすら知らなかったことに気づいて、この本を読むことにした。
内容は想像もしていなかった世界について書かれていて、国策捜査という概念があることも知ったし、絶対に争うことのできない国家権力の強大さに関係ないはずの自分でも背筋が凍る思いをした。
とはいえ、怖いマイナス面だけでなく、国益のために頑張っている役人たちがいることに嬉しくなったし、何よりも佐藤優さんの信念の強さや人と人との関係を大切にする人柄を知って、より好きになった。
もっと他の本も読みたいと思った。 -
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「読解力」とは単にテキストを読み解く力ではなく、「相手を正しく理解し、適切に対応する力」のこと。一緒に仕事をしていて気持ち良いひとは、距離感や間合いが適切で、優れた「読解力」がある。だから、学生さんたちには、専門知識よりもまず教養の土台を作って人生の幅を広げるのが良い。それは読解力を高めてくれる。
具体的には、古典を読む。筆者のオススメは夏目漱石。他にも、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』、ジャン・ジュネ『泥棒日記』などたくさんのおすすめ本を挙げている。(私は夏目漱石のこころを久しぶりに読もうと思った)
そして、読解力を高める読み方を具体的に指南している。批判的に読むこと、論 -
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ソ連崩壊前後のロシア知識人層との対話談。前半はモスクワ大哲学部の学生との知的交流で、広範は民族学研究所でソ連と民族論について語る。最後のプーチン論は必読。当時はインフレで学生の生活が苦しく、著者は翻訳等の助手を頼んでいたそう。エリート層が外資の小間使いをしている様子が描かれていた。
ソ連崩壊については「最後の転落」と重なる部分が多い。遠隔地ナショナリズムは初出だったが、ソ連の周辺から崩壊していくというのは共通認識に思えた。トッドは衛星国だったが、本作は連邦内の共和国の民族問題だ。マルクスにはない(?)民族理論をスターリンが密かに導入し(回教)、普遍的な共産主義と調和するためインテルナツィオナリ -
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元外務省、佐藤勝の最も尊敬する外交官吉野文六。青年外交官の目に写ったナチス・ドイツの崩壊。貴重なオーラル・ストーリー。
歴史的な事件であったり平凡に思える日常。そんな中にも人々は暮らしていた忘れ去られた事実がある。オーラル・ヒストリーはそんな当時の空気を復元する作業。
本書は佐藤勝が最も尊敬する外交官だという吉野文六氏。外交の道を選んで派遣されたのが戦中のドイツはベルリン。語学研修のためであったが否応なくナチス・ドイツの崩壊に巻き込まれることとなる。
聞きに直面した際には人間の本性が表れる。戦犯となる三国同盟推進の立役者の一人、大島大使やリッベントロップ外相の行動は何とも。
吉野文六は -
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私にとって多くを学べる本でした。
対談形式ということもあってか、色んな話を知ることが出来て、勉強になりました。
「(外交などは)交渉の途中で物理的に遮断できてしまうリモートでは成立しない」(P81)と書いてあり、今の世界情勢を見ても考えることが多くありました。
また、リモートと対面の違いについて斉藤先生は「オーラ」を挙げてらっしゃいましたが、私は「空気(読む方ではなく、存在する方)」の有無もあるのではないかと思いました。例えば怒りながら「この書類は全然ダメじゃないか」と言われ、書類を机にバーンと打ち付けるように置かれたとき、そこから流れ出る、発生する空気の流れはその場にいないと感じない、という -
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ー 「もしこのクーデターが成功していたら、ソ連はKGBと軍の影響力が肥大しただろう。ソ連は再びとても息苦しい社会になった。しかし、経済的には市場経済、資本主義の方向へ向かっていったと私は見ている。一種の開発独裁国家にロシアはなったと思う」
「社会主義を維持することは不可能だったと考えているのですか」
「不可能だった。これは西側の陰謀が成功したからではない。ゴルバチョフ時代のグラースノスチ(公開制)でロシア人の欲望の体系が変容してしまったんだ。たとえば「31アイスクリーム」だ。ロシアのアイスクリームは『エスキモー』、『スタカンチク』で誰もが満足していた。しかし、ひとたび西側から三十一種類のア -
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「題名」が良い。キャッチ―に引き付ける。コロナ禍は、それが起こる前からあった問題を可視化した。良い意味でも悪い意味でも。この二人の対談というのは異色ではあるが、それぞれの個性が、対話によって、良い意味で咀嚼され、外側に開いている。著者の一人である斎藤氏の著作は以前から多少は読んでいるが、オープンダイアログ前と後でかなり異なる。多様な人たちに満遍なく目が届き、それを外の世界と結び付ける。「ひきこもり」についてはもとより、脳科学と優生思想の親和性は興味深い論考であったし、ミーハー的に面白かったのは「鬼滅の刃」の解釈であった。最後に著者たちも述べているが、今の状況を忘れずにハイブリッドにしていくこと