あらすじ
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仕事、人間関係、人生で「行間を読む力」がもっと必要になる!本を読み、人間を読む。読解力を磨くレッスン。本書の「はじめに」より一部抜粋。「読解力」とは一般的にはテキストを読み解く力と考えられていますが、私としてはもっと広い概念で考えています。その「読解力」の詳しい内容は、本書で明らかにするとして、とりあえずこの場で、ひと言で言うならば、「相手を正しく理解し、適切に対応する力」とでも言えるでしょうか。読解力の豊かな人と仕事をすると、一を聞いて十を知るまでいかずとも、こちらの意図を素早く察知して先回りしてくれます。読解力の乏しい人と仕事をすると、説明したはずのことが伝わっていなくてもう一度説明し直したり、誤解や曲解によってトラブルが起きるなど、一の仕事が二にも三にも増えてしまいます。一緒に仕事をするのに、「読解力」の高い人物、できるだけ楽しく軽やかに仕事ができる人を選ぶというのは、しごく当然のことではないでしょうか。厳しい時代を乗り切るために、さまざまな資格やスキルを身につけたり、能力を高めようと努力している人がたくさんいます。しかし、私から言わせれば、まず「読解力」を身につけることこそが大事だ、ということになります。【本書の構成】(一部抜粋)第1章人生は読解力で決まる第2章読解力とは行間を読む力第3章【特別講義】小説を通して読解力を身につける第4章違和感を大事にする第5章未来を読み解く力
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Posted by ブクログ
良いな、と思う。この本は優しい。
自らの病気ゆえ残りの人生が短いと、佐藤優。だからこそ仕事を選びたいが、自分との距離感や感情の理解が出来ていない仕事相手がたまにいて、そういう人は、言語、非言語の読解力が足りないのだという話からスタート。本の構成が青山学院横浜英和中学校の学生向けの講義だというのも、また優しい。三浦綾子の『塩狩峠』を題材に、読解力とは何かを教える。
読書はした方が良い。しかし、ただ単に読んだ数を増やしても読解力は強化されない。感想を持ち、想像し、行間を読む努力が必要だ。単に知識を習得するような読書や、〝文字通り“理解していくような読書ならば、強化に繋がり難い。
『塩狩峠』は、キリスト教徒が主役の実話を基にした小説。青山学院横浜英和中学校も、ミッション系の学校であり、自ず、聖書もテキストとして用いられる。自らの命を犠牲にして、故障して暴走する列車を止めたキリスト教徒。そこに至るまでの同僚との間に抱えた心の葛藤や弱さの自覚。
「受けるよりは、与える方が幸いである」使徒言行録の20章、35節。イエスの言葉をパウロが思い出させる。人に与えることができるということが、本当の幸せ。読解力以上に、大切な事を学び直す、真のリスキリングがこの本にあった。
Posted by ブクログ
「読解力」とは「相手を正しく理解し、適切に
対応する力」と定義しています。
要は社会で生きるための人間力なのです。
それは多くの文学作品から学ぶことができます。
優れた作品ほど、クドクドと状況や心情の描写
はされず、読者が行間を読み取る能力が要求さ
れます。
この本では三浦綾子氏の「塩狩峠」を教材に、
佐藤氏が中学生に対して3日間の授業を行った
内容をまとめたものです。
キリスト教系の学校だけあって、生徒たちは、
カトリック信者であった「塩狩峠」の主人公の
心情に、見事にすり寄っていくことが出来てい
ます。
また様々な視点での感想も自由な発想で、素晴
らしいです。
最近は教育に力を入れている佐藤氏の行動こそ、
未来への投資と言える一冊です。
Posted by ブクログ
読解力の強化ってどうやってやるんだろう?著者が安易なHowTo本を出すような人ではないことは当然承知の上で、何をどう書いているのかを知りたいということもあって読んでみた。
答えを言ってしまうと、最終的には行間を読めと。つまり、見えている氷山の一角から、はるかに大きな水面下がどうなってるのか推測しろと。そして目的はタイタニックの沈没回避。(←敷衍ってこういうことよね)
行間を読むなんて当たり前なんだけど、私自身が忘れかけているような危うい状況だと気づかされる。昨今のネット上の記事やコメントは、行間を読んでいないものが大量に溢れている。行間を読めていない(または悪意からあえて行間を読まない)揚げ足取り的なコメントは頻繁に見かけるし、いわゆる知識人と言われる人でも、表面だけの話に終始した残念なものが散見される。行間を読めとは違うが、一連の出来事から部分的な切り出しをしているものだと、もはや行間を読んだところでどこまで意味があるのか。ネットでの閲覧が多い私は、そういったものに慣れつつあるがしかし、それは慣れていいものではないと気づかされたのである。
後半は、三浦綾子『塩狩峠』を題材にして中学生に特別講義を行ったものが収録されている。そういえば佐藤氏は少々変わった経歴の人でしたね…と思い出しつつ、三浦綾子はキリスト教徒、しかも夫婦共々、だったとそれも思い出した。しかし『塩狩峠』の中で登場人物が唱える「ナムマイダ、ナムマイダ」にそういう意味があるとは。三浦綾子がキリスト教徒と知っている私は、少なくともそこに違和感を持たなければならなかったのだ…!私は『塩狩峠』を読んではいないが、たとえ読んでいたとしてもそこまで思い至らなかったであろう。知識として知っているだけでは足りないのだ。私の読解力はその程度、読解力とは何かを思い知った本でした。
行間を読まない、読めないことに慣れ切ってしまう前に、読解力を強化せねば。読解力強化には小説を読めということだが、読む小説も選ばなければならないだろう。あまりにも明白過ぎる伏線引きや、含みがあることが明白な言葉が多い小説では意味がない。ドロドロな暗い話も避けるようになった。さて何を読もうか。
私は宗教的思想の影響がある本が好きではないので星ひとつ減としたいところだが、個人的に重要な気付きを与えられたのは大きい。加点して星は5つ。
Posted by ブクログ
「読解力」とは単にテキストを読み解く力ではなく、「相手を正しく理解し、適切に対応する力」のこと。一緒に仕事をしていて気持ち良いひとは、距離感や間合いが適切で、優れた「読解力」がある。だから、学生さんたちには、専門知識よりもまず教養の土台を作って人生の幅を広げるのが良い。それは読解力を高めてくれる。
具体的には、古典を読む。筆者のオススメは夏目漱石。他にも、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』、ジャン・ジュネ『泥棒日記』などたくさんのおすすめ本を挙げている。(私は夏目漱石のこころを久しぶりに読もうと思った)
そして、読解力を高める読み方を具体的に指南している。批判的に読むこと、論理的に読むこと。実際、三浦綾子の『塩狩峠』を題材に、中学生と感想を意見交換する中で読解力を高める読み方について語られているので、とても分かりやすい。
中学校の国語の授業がこんな風だったら、読書好きがもっと増えるだろうし、読解力もったこどもたちも増えるだろうなと思う。
Posted by ブクログ
私は読解力が乏しいと思う。分かりやすく書かれた啓発本は読めても、抽象的な表現の多い小説が読めない理由が分かった気がする。
これからは、自分の中にない価値観の小説を、共感する点と違和感を持つ点を考えながら読み、自分の価値観を広げることで、読解力を鍛えたいと思う。
Posted by ブクログ
お写真や本を読む限り、佐藤さんの(ちょっと怖いなぁっ)て印象は変わらないんだけど、でも中学生への授業の様子はとても丁寧で、生徒のコメントにきちんと返していて、かつ+αの情報や意見を述べられてて、こんな先生ばかりならいいのにね(☆▽☆)
読解力では、「読む力」が最も重要と筆者は書いています。
もっともっと「読む力」を批判的に読む力を、鍛えたいなと思いました。
Posted by ブクログ
前半は佐藤優氏の著作の繰り返しのような箇所もあるが、後半の青山学院横浜英和中学校の生徒への講義録は佐藤氏の教えも良いのだろうが、生徒たちはとても優れていて、大人からみたらむしろ考え方など学ぶことが多い。
以下は後半部分の読書メモを抜粋。
・感覚的なものの説明について、特にアナロジーの力が必要。アナロジーも相手が既知である必要があるが。
・本を読みにも1人で読むより感化された人と接したり、その場所に行ったりする方が得られる効能がはるかに高い。
・共感も大事だが違和感が大事。違和感を深く掘り下げていく。
・西洋社会は大きな出来事、たとえばイエスの誕生や第二次世界大戦の終わりとかなどターニングポイントの前後でがらりと変わる(本書では直線的)、東洋は円環的と捉えていた。ただし個人的には前者は東洋でも同じで、後者の考え方が西洋よりも東洋のほうが強いだけなのではと思った。というのは、イエスも受難の後復活?しているという話があり円環的な考え方はあるはずと思ったので。
Posted by ブクログ
読解力の本質が相手の内在的論理を知り、行間を読むことで相手を理解して、自分の論理との異同をも踏まえてうまく対応することが可能になることにある。それを鍛えるために文章を音読して論理を理解しながら、要約と敷衍を行う。自分が共感できれば感化が起こる。文字にない深いところで思想考え方が分かれば面白いだろうと思う。文学作品は解釈も価値判断も個々の自由裁量。自分の感性を磨く大変高度な作業をしているんだなあ。
Posted by ブクログ
佐藤勝氏が、青山学院横浜英和中学3年生に行った読解力向上のための集中講義内容を中心に、読解力の強化策を述べたもの。集中講義では、三浦綾子の『塩狩峠』を題材にしているため佐藤氏特有の宗教色の濃い内容とはなっているが、読解力の重要性はよく説明されていると思う。「東ロボくん」で有名な新井紀子氏の主張を引用しており説得力があった。
「(仕事上の人間関係)お互い信頼し合い、しっかり仕事に向き合う。ただし、必要以上に親密になるわけではありません。依存するのではなく、お互いが自立した関係で仕事を分担し、完成させる。その絶妙な「距離感」をお互い暗黙のうちに設けることが、一緒に長く仕事をしたい人たちの共通項なのです。ある種の「間合い」のようなものと、言ってよいかもしれません」p3
「(現代人)異質なものに対する耐性が低いということでしょう。自分と異質なものに対する恐怖心が、かなり強くなっているのではないでしょうか」p44
「(演繹法)普遍的な法則や真理を積み重ねて結論を導く」p62
「(帰納法)さまざまな事実を積み上げ、その結果としてこういうことが言える、と導く」p63
「学術書や専門書は難しい専門用語が並んでいますから、一見レベルが高そうに見えます、しかし表現されていることは論理的で、その構成や構造もある程度形があり、決まっています。論理的思考力と語彙力さえあれば、だれでも文章を追っていけば理解可能です。ところが、文学作品はそうはいきません。行間を読まなければ、深い理解に達することができないのです」p86
「(夏目漱石)正岡子規がやろうとしたことをより大衆化し、一般化したものだと言ってよいでしょう。ですから、明治時代の文章ですが、漱石の文章は非常に平易で、いまでも大変読みやすい。その意味でも、読解力のテキストとしてふさわしいと思います」p95
「人間は本から学ぶ以上に、すでにその本やテキストに触れ、何かしら変容を遂げた生身の人間から影響を受けることの方が、はるかに大きいと思います」p111
「これからの人生で大事なことは、良い大人と出会うことです。本当に良い大人というのは、残念ながらそんなにたくさんいません。知識や教養はもちろん、知恵があり人格ができていて、生き方がきれいな人。そういう大人からどれだけ感化を受けることができるかが、人生を大きく変えることになるのです」p208
「一見遠回りのように思える読解力を鍛えることこそが、国語だけでなく、すべての教科の力をアップすることにつながると考えています」p214
「主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すように」p248
Posted by ブクログ
行間を読む力を鍛えなさいよ、そのためには小説を精読するのが良いよ、と教えてくれている。その後、要約と敷衍をしましょうと。
私を含むビジネス本を読んで飽きてしまっている人は、是非とも小説を読みましょう♪
それ以外は・・・キリスト教と仏教の違いを理解するのに良いかも。
Posted by ブクログ
自分が想像していた内容とズレがあった。読解力を高めるためには小説を読んで、登場人物の心情や行間を読む訓練をせよという内容。筆者がキリスト教徒ということもあり、キリスト教の考えについても描かれている。