あらすじ
ロシアの裏の顔から表の顔までとことん知り尽くす作家・佐藤優氏と、歴史・経済の観点からこの国を読み解くジャーナリストの池上彰氏。そんな二人がロシアをめぐり徹底的に語り尽くす。領土交渉のゆくえからソビエト連邦の功罪と崩壊の理由、プーチン人気の秘密、ロシア人の国民性とウオッカ、スパイ事件、日本にとってのロシアなど、このつかみどころのない大国を、ありとあらゆるユニークな切り口から描き出した書。池上彰氏が、ロシア通の佐藤氏から巧みに引き出すロシアの「知られざる一面」は、読み手をぐいぐい引き込む魅力を持ち一気に最後まで読ませる。今後の日露交渉のヒントも。さらにはロシアの分析を通して世界を知り、日本を知ることにもつながる本書は、学生からビジネスパーソン、国際問題に関心のある人まで幅広くお勧め。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
佐藤優は本当にすごい人だと思う。
ただ、2019年発行のこの本では
「ウクライナ侵攻はないだろう」としている。
確かに国境を「面」で考えるロシア人にとって、侵攻は「合理的」ではない。
ウクライナ反攻が功を奏しても、ウクライナとロシア双方の不幸はかなり続くだろうなあ。
それにしても、ロシアについて、我々は本当に何も知らないんだなあと痛感した。
Posted by ブクログ
この二人がタッグを組めば鬼に金棒。ロシアのことが表から裏からよく分かる。自分の判断基準で相手を非難することはたぶん簡単なことで、相手のことをよく知り、どういう考えでそういう行動を取るのかを理解するように努めることが、問題の解決の第一歩になるのではないかと思う。
Posted by ブクログ
ロシアとウクライナを見ていて、両方の立場を知りたいなと思っていたところ家の本棚で発見。
ロシアにとって干渉国がないということはやはりすごく恐怖なんだなと改めて感じた。出版から3年経っているけれど、すごく参考になる本だと思う。
3年前には西側諸国とロシアの関係は悪くなっていく事件はいろいろあって今に至ってるんだろうな。
ロシアという国が今やっていることは抜きにして考えて、ロシア人面白いなと思った。日本人と全然考え方違うんだね。ロシアいつか行ける日が来るといいな。
個人的に面白いと思ったのが、逃げ恥とタラレバは中産階級の下の方から転落したくない気持ちがあるから流行ったという佐藤さんの発言。何も考えずに楽しんでいたけど、流行りにも社会情勢表われているんだと実感した。
ソ連は規制があったがゆえに文化的で生活水準が高かったというのも面白かった。自由は自己責任が伴うとはこういうことだなと思った。バレエをそいう目で観てるのはちょっとショックだったけど。
自分の無知ゆえについていけない話が多くて、いかに歴史を学ぶことや政治に興味を持つことを避けてきたかを痛感させられた。
色んな種類の本をいっぱい読んでいこうと思った。
Posted by ブクログ
ロシア専門家の佐藤氏の独壇場。池上氏との対談形式なのでいつもより非常にわかりやく丁寧に書かれていて、あまりよくわからないロシアの新たな面をいくつも見せてくれます。日本のバブル以降が丁度ソ連からロシアへの過渡期で、今後の日本の将来を暗示する、または参考になるロシアの姿がわかりやすく解説してあり、とても面白かった。
Posted by ブクログ
ロシアは領土拡大ではなく「緩衝帯」が欲しい。ロシア人の行間を読む能力の高さ。社会主義→共産主義と今の資本主義、入り混じってる。ロシア革命の手本はフランス革命。ロシアの豊かさの源泉は石油。インテリジェンス組織のレベルの高さ。等々。ロシアはロシア。欧米でもなくアジアでもなく、ロシア、なんですね。対談形式なので聞いているように分かりやすかったです。
Posted by ブクログ
佐藤優と池上彰の対談。ロシア・ソ連について語りあう。
世界情勢については、両者ともに詳しいが、ロシア・ソ連については、専門家であり実務経験がある佐藤優の知識の深さが一段上の印象。博識の池上彰もここでは聞き役になっている。
ロシアは日本のお手本とすべき国であるが、物事の見方が日本人とは大きく違っていて、考え方が異質で理解しづらい面もある。佐藤優は外交官時代の経験やエピソードを通じてこの国の実態を紹介する。彼はそういう自身の体験を考察して、ソ連・ロシアの思想や教訓を引き出すのが上手いと思った。この本を読んで、ロシアについてもっと知りたくなった。
Posted by ブクログ
ロシアの情報に明るい佐藤氏と多方面の情報に明るい池上氏との対談本。やはりというか会話量としてはそれぞれ7対3くらいの割合になっています。相槌を入れながら会話する池上氏に対して、どんどん話を展開する佐藤氏とのコントラストもなんだかおもしろいです。
印象に残ったのは2か所。ソ連の功績(2章)と諜報関連(6章)の部分です。社会主義と言われると何だか怖く悪い物のように思いがちですが、2章ではその功の部分にも焦点を当てています。たとえば教育の無償化などはソ連があったからこそというような書き方をされています。最終的には崩壊してしまいましたが、国家での壮大な実験と考えれば、そこから現代の人間たちは学んでいかなければ同じ失敗を繰り返してしまいます。失敗したから社会主義は駄目だったんだ、だけではその反省を生かすことすらできません。そういう意味では、本章は悪い部分だけでなく良い部分も見ているので新鮮でした。それにしても、国家が独裁的になったことで、国民が猜疑的になり、メディアリテラシーが高まったのは何とも皮肉な話ですが。
Posted by ブクログ
ウクライナ侵攻で世界を震撼させているロシアの事が知りたくて手にした本書。
2019年に書かれたものだが、その時点ではウクライナ侵攻は無いだろうとされ、予想を外している。
池上彰(ジャーナリスト)と佐藤優(作家)在ロシア日本国大使館に勤務し、ロシア大学に在学したこともある、二人の対談を纏めたもの。
旧ソ連のシステムや一般市民の生活がどんなだったか、コーラの瓶の底にネズミの糞があったとか、北方領土問題はアメリカの基地を置かないか心配してとか、物理学が軍需産業と結びつけられ権威があって、医学や弁護士は不人気学問だったとか、中々刺激あり、でも大方ロシアを好意的に捉える内容だった。
Posted by ブクログ
佐藤優・池上彰の両氏は現代日本の知の巨人と同時に貴重な時代の批判者。特に後者について学ぶこと多い。
佐藤優氏の知識・知見は圧倒的。Globalの力を見せつける
1.ソ連は資本主義を善導していた→修正資本主義
社会福祉・教育・格差など アンチ新自由主義
ソ連崩壊の後、西側体制も放任・劣化した
2.需給調整 長期的に生産的なのは?
「価格」
「行列」=「時間」のコストor配給・割り当て
→必然的に国家独占体制へ
停滞・非効率温存・競争力低下
3.安倍政権の迷走 新自由主義と国家独占主義
アクセルとブレーキを同時に押す愚かな国家運営
安倍政権は積極的にウソをつく
縁故主義 近親者以外を排除
4.ソ連の短命 しかし大日本帝国も短命
「短命国家」の原因は何か?
5.政治への諦め・絶望
→専制君主を望む ⇒ファシズム体制へ・排外主義
Posted by ブクログ
”身になる読書術”から。ロシア絡みってことで、まさに今、読んだ方が良い本かな、ということで。本書の頃、コロナもウクライナ進行もなかったし、当然、書かれた内容とは全く違う”その後”を知っている訳だけど、かの国、ひいてはプーチンの何たるかは、垣間見えてくる気がする。日本とロシアは近い、っていう言及があるけど、なるほど、言い得て妙。流されるままだと辿る先はあそこ、ってのが可視化された以上、黙っているのは実に危うい。戦争反対、現政権にNO。
Posted by ブクログ
ロシアのイメージは、テレビを通して見えるプーチンだったり、読書をする人の多くは、この佐藤優が語るロシア観、あるいは米原万里、ドストエフスキーだろうか。中でも最近は佐藤優の、しかも外交官時代の昔話が印象作っている感じがあり、日本人のロシア観の主流がそれならば、まさにアネクドート的で大丈夫だろうかと思う事がある。
ウクライナ戦争よりも前に出版されたものであり、クリミア併合以上の干渉は無いだろうとしていながら、その言説とは異なる実態を私たちは見ている。予想が外れたではないか、と言いたい訳ではなく、そんな事は、土台難しいのは分かる。差し引いても、小噺として面白いのが本著だ。
Posted by ブクログ
ソ連・ロシア入門書として、楽しく読める好著。
対談としているが、95%が佐藤優によるソ連・ロシア解説だ。
あの池上をして、ほとんど「なるほどねえ」「そうなんですか」としか言わせない佐藤の圧倒的知識量に感服。ただ、論が高尚になりすぎないよう、話が専門分野に深入りしないよう、池上彰がほどよく、「というと?」と解説を求める合いの手を入れていて読みやすい。
佐藤優の過去の著作や、近年であれば『十五の夏』(幻冬舎)などでも触れられていることも散見されるが、改めてソ連・ロシアを俯瞰的に理解することが出来る。
「ロシア人は、線の国境を信用していない」「ロシア人は屁理屈上手」など、体感的にも理解している事柄に対しても、その理由、原因を分析し伝えてくれる明晰さが素晴らしい。
そんなソ連・ロシアに対する理解から入り、長期化・独裁下の進む国家主席の立ち位置をロシアを軸にした国際社会の視点で読み解き、日本の国体や現政権に対する批判を繰り広げ、世界的に拡がる格差社会や子供の貧困問題を、遠く「ソ連の崩壊」に因があったとする論の展開に舌を巻かずにいられない。
最終章の「6章 帝国の攻防 ―諜報と外交の舞台裏」。お得意の諜報の分野にまで手を広げるのは予想されたが、それは手嶋龍一あたりとまた、もっとガッツリやってくれたのでいいかな。本書では、やや蛇足感があったか。
いずれにせよ、ロシア理解に資する読みやすい入門書だ。