佐藤優のレビュー一覧

  • 仕事に悩む君へ はたらく哲学

    Posted by ブクログ

    何事も自分の受け取り方、解釈で変わることが多い。

    起こっている現状は変わらずとも、それをどう受け止めるのか、そのためにも、物事の本質を理解するということは大事。
    正解はなくとも多くの人が、似たようなことを考えた参考になるものは多くある。

    頑張りすぎてはいけないが、努力は必要だ。
    人生に運、不運があっても前向きに生きていれば道は必ず開ける

    0
    2021年12月26日
  • 新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス (文春新書) 2016/10/20

    トランプは、実はものすごい潔癖症です。自分専用のトイレしか使えない
    2016年12月31日記述

    池上彰氏と佐藤優氏による対談本の第三弾。
    2016年(平成28年)10月20日第一刷発行。
    この書籍発行の一ヶ月後にはアメリカ大統領選挙で
    ドナルド・トランプが勝利するという。
    ある種、既存エリートが力を失いつつあるという本書の指摘がいきなり当たってしまった感がある。

    印象に残った文章を引用してみたい。

    どの先進国でも、大衆迎合型のポピュリズムが勢いづいています。(池上)
    それぞれの時代、それぞれの地域、それぞれの環境によって、リーダーに求められる役割は違ってきます(池上)

    強いリーダーを育成しようとしても、これだけ個人がアトム化(原子のようにバラバラになること)
    している所では、リーダーはでてきようもありません。
    どの先進国もそういうジレンマに陥っています。(佐藤)

    エリートは自分自身に対する自信を喪失する一方で、社会に対する責任も放棄しています。
    日本の裁判員制度がその典型です。(佐藤)
    ⇒個人的には国民の感覚を司法判断に影響させることは良いと思う。
    ただ村瀬均などの死刑判決を覆すクソ裁判官が一番国民も裁判員制度も裏切る国賊だと思う。

    組織には個人を強制的に鍛え、能力を身に付けさせる仕組みがある。(池上)
    警視庁捜査一課担当の2年間は、事件現場での聞き込みや深夜早朝の捜査員への取材など
    休みが一切ない「この世の地獄」を体験しました。
    それ以降、世の中にはつらい仕事などなくなりました。
    「組織が人を育てる」という点は、若い人たちにも、ぜひ知ってほしいところです。(池上)

    どんな企業でも、どんな組織でも「現場に任せる、ただし何かあったら俺が責任を取る」
    というのが、理想のリーダーですね(池上)

    課長も経験していないような霞が関のキャリア官僚など、何の使い物にもなりません。
    少なくとも官僚としてのキャリアに何の意味もありません。
    組織を見渡すという修練を欠いているからです(佐藤)
    若手官僚の自己全能感には驚かされます(池上)

    アメリカに比べれば、現時点では日本の選挙の方が品性はまだ保たれているのかもしれません。
    少なくとも自民党総裁選で殴り合いにはならないし、総裁候補夫人のヌード写真が問題になることもない(佐藤)
    ネット動画でも酷いものが流れた。テッド・クルーズのマシンガンベーコンという政治性、思想性の欠片もない内容。
    YouTubeでmachine gun bacon と検索すれば視聴可能。
    予備選挙中、クルーズの政治集会で彼の演説を聞いたのですが、トランプの方がまだましだと思いました(池上)

    仮にプーチンがロシアの国情に合った強いリーダーだとしても、
    プーチンがいなくなった後のことが心配だ。(池上)
    北朝鮮の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」。
    国名に「人民」と「民主主義」という言葉が入っていますが、皮肉なのは
    コンゴ民主共和国やアルジェリア民主人民共和国と同様に、わざわざ国名にこの言葉を入れている国はたいていそうなってはいないことです(池上)

    トランプは「これは口には出さない方がいい」と皆が思うような問題に敢えて触れることで
    質の悪い連中を駆り立てて、結局、共和党を乗っ取ってしまった。(池上)

    トランプと橋本徹は、似ている部分がある。
    橋本は、大阪の子供たちの学力が低いのは学校の先生のせいだ、教育委員会のせいだと言ってバッシングする。
    そうやって、わかりやすい敵をつくる。実はその背後には貧困の問題があるのに、そこには目を向けず、「先生が悪いんだ」と非難する。(池上)

    トランプは「有能なビジネスマン」と言われていますが、かなり疑問です(池上)
    会社を4度も倒産させています。(佐藤)
    どうも経営者としてのマネジメント能力を持っているわけではない。
    「経営」というより「取引(ディール)」が好きなんですね(池上]

    またトランプは、実はものすごい潔癖症です。
    自分専用のトイレしか使えない。
    出張に出かけても、現地のホテルに泊まることはできるだけ避けて、
    ニューヨークへ専用機で戻ったりする。
    イベントをなるだけ自分が経営するホテルで
    行うのは、そのためなのです。(池上)

    民主党のヒラリー・クリントンやバーニー・サンダース上院議員の集会では
    支持者はたいていスマートな体形をしていましたが、共和党のドナルド・トランプの
    集会では、赤ら顔の肥満体の白人が多かった(池上)

    産業革命以来、格差を減らすことができる力というのは世界大戦だけだった(トマ・ピケティ)

    ハーバード大学に通った所、10ヶ月で7万ドルかかったそうです。
    ロースクールを出るまでに6年かかるとすると5000万円程度かかることになります。(佐藤)
    ヒラリーが出たウェルズリー大学(女子大)は全寮制で食事代込みで年間4万5千ドル(450万円)程度。
    州立大学では州出身者はかなり安くなる。
    それでも日本円で200万円くらい。
    それ以外は年間400万円くらいはかかるでしょう。(池上)

    日本学生支援機構は「闇金ウシジマくん」に限りなく近いことをやっている(佐藤)

    伊勢志摩サミットではメルケル首相など牧師の子に対して異教の神を拝ませるなど
    一神教の人間ならどう受け止めるかということが全く想像出来ていなかった。

    「ローマは一日にして成らず」と言われるように、理想的なリーダーも、突如、単独で
    現れることなどありません。
    促成栽培できるようなものではない。
    組織内で一つずつ経験を積んで、その組織にふさわしいリーダーが徐々に育っていく(池上)

    0
    2021年12月12日
  • 40代でシフトする働き方の極意

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    佐藤優氏による著作。
    2017年12月15日第1刷。
    青春新書のこのシリーズは著者の得意技(?)である
    引用が殆ど無く、著者自身の考えが述べられており
    好感が持てる。
    所謂、団塊ジュニア世代、ロストジェネレーションに
    向けた本となる。
    本書は、月刊BIGtomorrow誌の連載「佐藤優のサバイバル!40代」を基に加筆・再編成したものです。

    今回特に印象的だったのは
    以下に自分の所属するチームに危険人物を
    入れないか、いかに危険人物を見抜くかだ。
    今の時代の仕事は掛け算の仕事が増え、
    ×0をしてしまう人がいると全てが台無しになる危険性を語っていた。
    全くその通りである。
    ただ足し算の仕事であっても不要なストレス、
    トラブルを周囲で引き起こす可能性もあり、
    結局どの仕事であってもトータルで見るとプラスにならないと思う。

    あと著者は私大文系で大学受験した事にコンプレックスがあるのか数学の学び直しを勧めている。
    ただ論理性を鍛える意味では必ずしも数学が良いとは思えない。
    だいたい数学は数学ⅢC、数学ⅡBまでやっているから偉いとかすごいとか全く関係ない。
    数学の難しさはたとえ数学IA分野でも十二分に難しい難問をいくらでもつくることが出来る所だろうに。
    単に白チャートレベルの基本形問題を幅広く解けるようになってもそれは簡単なレベル問題をただ解けるだけに過ぎない。
    数学こそ適性が重要になってくる所もあり扱いが難しいと思う。
    人生は短い。独学できる時間も限りがある。
    ここはあまり参考にしない方がいいと思う。

    参考になった部分を列挙してみたい。

    工場労働者にしてもそうです。
    1990年頃までは安定しているように見えました。
    いまの70歳前後の親たちは、学歴が低くても正社員となって家も買えたのです。
    親の世代にも、もちろん格差はあったのだけれども、その格差が小さかった。
    しかし、親の代の小さな格差が子の代で「レバレッジ」がかかって大きくなってしまった。
    親の時代の見えなかった小さな格差、気にならなかった程度だったものが、子の代に見える大きな格差となって表面に現れてしまうということです。
    こうした状況は「階層の固定化」といえるものですが、
    この問題は20年ほど前からいわれています。

    (山田昌弘「底辺への競争――格差放置社会ニッポンの末路」朝日新書、2017年、84~86頁)
    私も山田氏と認識を共有している。
    底辺に転落し、社会の下層に入ってしまうリスクを
    大多数の人々が抱えているというのが日本社会の現状だ。
    われわれには、自分が下層に転落するリスクがある
    という現実をあえて見ない傾向がある。
    今までは、親に寄生する、借金するなどで、
    そのような現実を誤魔化すことができたかもしれない。
    しかし、そのツケが回り始めている。
    この状況を冷静に認識して、現実的な対策を立てなくてはならない。

    多くの人々が下層に転落しつつあることは、当事者の自己責任ではない。
    この点についても山田氏の以下の指摘が重要だ。
    「下降移動については「自己責任だ」ということがいわれがちです。
    けれども、100人いて1人や2人の問題なら自己責任ともいえるでしょうが、
    現在の100人いて何十人という社会になると自己責任論はナンセンスとしかいえません。
    個人の努力では解決不可能なほど、下降移動する人たちの数が増えているのです。

    ちなみに、「移民が悪い」「自由貿易が悪い」と主張する大統領を誕生させたアメリカの
    「トランプ現象」は、アメリカでも自己責任論がきかなくなってきたことを意味しています。
    狭量な時代になったともいえますが、アメリカはそもそも格差が大きく、文化的にも自己貴任だといって放置してきた問題について、それが通用しなくなっているのです。

    (掲書86頁)
    たしかに現在の社会構造には大きな問題がある。構造を変化させる努力は必要だ。
    しかし、世界的規模で起きているグローバリゼーションがこのような問題をもたらしているのだ。
    アメリカやヨーロッパと比べれば、日本の状況の方がまだましかもしれない。

    ご存じの通り、役員になれるのはほんのひと握り。
    仮に部長まで進んだとしても、57、58歳くらいのところで役職定年がある場合が多い。
    多くは子会社に出向することになるはずです。
    そう考えると、企業で最後まで勤め上げることができる人はごく少数で、多くは競争に敗れて会社を離れることになる。
    いま多くの大企業は、30代ですでに幹部候補を絞り込んでいるとか。
    そのほかの社員のモチベーションを下げさせない狙いがあるためか、基本的に会社はそのことを公にしません。
    表向きは40代なかばまで管理職ポストの競争が続いているように見せかけるのです。
    もはやレースは終わっているのに、昇進、出世の叶わぬ夢を描きながら、40歳を過ぎても競争に勝ち残ろうと必死で仕事を続ける――。
    そんな切ない現実があるわけです。
    そう考えると、このイスとりゲームに参加して、
    時間と労力を費やすリスクについても考えなければいけません。
    まずはそうした現実があることを直視したうえで、40代以降の仕事の方向性や取り組み方を考える必要があります。
    大企業などでは、50歳を過ぎたあたりでキャリアデザイン研修があるそうです。その研修は40代以降のベテランも参加するのですが、その研修の意味合いは、「40歳以降のキャリアには、会社に残る以外の選択肢もある」と意識させることにあるといいます。

    当たり前ですが、管理職になることが成功ではないし、管理職になれないことは失敗でも負けでもありません。
    たとえば、トップの成績を上げた営業マンが管理職になった途端に精彩を失ってしまうことはよくあります。現場で営業活動をする能力と、チームをまと
    め上げるマネジメント能力はまったく違うもの。

    幹部候補選抜を早々に受け、管理職のラインに乗った人とそうでない人の違いは、
    その人の能力ではなく年次などの運や適性の違いにすぎない。
    能力と適性を混同して、いたずらに自分を責めたり自信を失ったりする必要はないのです。
    - いま政府が掲げている「働き方改革」は、一億総活躍社会を目指して時間外労働の削減や労働生産性の向上、女性や高齢者の活用などを目標にしています。
    聞こえのいい言葉が並んでいますが、その本音には直面する少子高齢化と労働人口の減少に対応して、より合理的に労働力を確保、活用したいと言う意図があります。

    30代は会社組薇の一員としてひたすら成果を出すことに努める。しかし40代になったら、自分の能力と適性についていま一度振り返るべきでしょう。
    そして、これから自分が進む道をしっかり絞り込む必要があります。
    「そこであらためて軌道修正をするなり、そのまま今の働き方を続けるなり、一つの結論を導かなければなりません。その客観的な尺度となるのが、40歳の時点で会社の課長以上の管理職になっているかどうか。30代でクリアしている人は、少なくとも会社から管理職としてのキャリアを期待されていると考えていいでしょう。
    しかし40歳を過ぎてクリアしていない人は、自己評価はどうあれ会社としては管理職の適性を評価していないと考えられます。
    もちろん業種や職種によって差はありますが、
    少なくとも45歳で管理職になっていない人の挽回はまずないととらえておくべきです。
    基準が厳しいと感じるかもしれませんが、評価というのは他人がするものであり、自分の思いとは関係ありません。会社の評価が厳然としてある以上、それに対応して働き方を変えていく必要があるのです。「会社はわかってくれない」とか、「自分の力を評価しよう
    としない」と愚痴を言ったところで何も始まりません。

    住居と子どもの教育費の二者択一

    特に40歳以降、真剣に考えなければならないのはお金のことです。まず、自分の現在の仕事で、将来的にどれだけ収入が上げられるかを計算してみてください。現在の年収をもとにして、5年後、10年後にどれくらい稼いでいるか?それと併せて、自分や自分の家族にかかるお金がいくらなのか、必要になるお金をあらかじめ計算しておきます。
    ちなみに、労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2016」の試算によると、

    男性の生涯資金(退職金を含む)は大学・大学院卒が2億8510万円、高校卒が2億
    2900万円、中学卒が2億60万円となっています。
    「またリクナビNEXTが2016年に発表したデータによると、40歳ビジネスパーソンの平均年収は471.6万円。
    正規雇用と非正規雇用で分けると、
    正規雇用は535・2万円、
    非正規雇用はその約半分の246.7万円でした。
    さらに、平均年収の推移を別の統計で見ると、1997年の467万円をピークに減り続け、ここ数年は多少持ち直しているものの、2015年度は420万円と全体に右肩下がりが続いています。
    「年収が右肩上がりだった2000年以前までは、家を買って子どもを私立に行かせても何とかなりましたが、これからは難しい。特に都市部の場合、住宅を買って子どもの教育費を減らし、私立をあきらめて公立にするか、あるいは住宅をあきらめて子どもの教育費にまわすか、二者択一が迫られているような状況です。

    シングルを貫く人は相応の覚悟が必要

    「自分は独身だから気楽でいいよ」と考えている人も多いかもしれません。
    しかし私から言わせると、実は一番危険にさらされているのがシングルの方です。
    貴族などという言葉は以前の話。特に都心部に多いですが、一見自由をしているように見えても思ったほどお金に余裕がない。それどころか、実はほとんどがないというシングルも多いのです。
    先ほども触れたように、年収が昔のように伸びないということもあります。それから男性の場合はとかく支出が多くなりがち。飲み代だけでもバカになりません。誰もいないマンションやアパートに帰っても仕方がないと、行きつけの飲み屋やバーに寄る。

    シングルの自由さは同時にストッパー的な存在がいないということでもある注意したり
    アドバイスしたりしてくれるパートナーがいないのは大きなリスクだとも言えます
    怖いのはお酒にしてもギャンブルにしても風俗にしてもシングルの場合は依存症にまで行きついてしまうリスクが高いことです
    依存症的になると当然支出が増え毎月の収入だけでは足りなくなり借金に手を出してしまう借金が100万円を超えたら黄色信号です。そこからは200万円300万円
    あっという間に増えてしまう。収入の多くを返済にもっていかれてしまうようになると、もはや転落への一本道です

    今すぐ結婚に向けた具体的な行動を起こすべきです
    つき合っているパートナーがいないという人は相談所へ行く
    1年から2年以内に結婚すると決意し、
    真面目に結婚を考えている人たちと真剣にお見合いをするのです
    バツイチで、しかも子どもがいる女性を選ぶという手もあります
    躊躇する男性がいるかもしれませんが、
    そのような女性は人生の苦労も子どもを育てる大変さもよく知っていることが多いもの。
    それだけに自分たちの新しいパートナーを非常に大切にします
    30代後半の女性であれば、あなたとの間に子どもをつくることもまだ十分可能です
    「経済的に豊かでもないのに結婚なんてと考える人もいますが私から言わせればそれ
    自分の生活基盤、家庭を築くことは一番のリスク回避策なのです。
    一人だと何かと無駄な支出が多く収入も限られますが
    パートナーと頑張ることで新たな活路が開けます

    大きいのはパートナーの収入だけではなくその家族や人間関係も大きな力になってくれる可能性があること。
    配偶者の実家や兄弟の協力支援を何らの形で得られるかもしれません。
    今までの自分にはない新しい人間関係が広がることで、人生のさまざまな可能性と選択肢が増える。
    これは大きなことです。

    いずれにしても、そのような人格障害とはどういうものか、専門書や解説書などを読み、
    危険な人物を見極める目を持つことが大切です。
    「そういう人物は、最終的にはどうしても各部署から敬遠されてしまいます。
    下手に義侠心を出して、そういう人物を預かってしまうと大変なことになります。
    無責任で自己中心的な彼らの言動や仕事ぶりに振り回され、大変な労力を強いられたあげく、組織が崩壊し
    プロジェクトやミッションは不成功に終わってしまう。あなたがその責任をとらされてしまうことにもなりかねません。
    厳しいようですが、自己愛性パーソナリティ障害やサイコパスが疑われる人物はできる限り自分のチームから遠ざけることが鉄則です。

    「その東郷さんに対して、世間の毀誉褒貶はあると思いますが、直属の部下として思うのは、そのリーダーシップは非常に立派なものだったということです。
    当時は外務省の欧亜局長であり、在オランダ全権大使という立場でしたが、
    どんな若手の部下に対しても「さん」づけで呼んでいました。
    まして声を荒げたり怒鳴ったりすることなどありませんでした。
    仕事の仕方も命令口調ではなく、「佐藤さん、~のようにしたいのだけど、どう思いますか?」
    「どうするのがいいと考えますか?」と、あくまでも相談の形で投げかけるのです。
    東郷さんのような人に相談されたら、やはり部下としてもそれに応じたい、
    何とかしたいと思うでしょう。
    部下であろうと相手の人格を尊重し、ていねいに対応する。
    組織のヒエラルキーはあっても、それに甘えることなく自他の関係を構築する。
    そのような自律的な姿勢は、自分のなかに確固とした自信と自我がないとなかなかできることではありません。
    やはり尊敬できるし信頼できる上司であり人物であったと、今でも考えています。

    最も嫌われるのは「朝令暮改上司」

    もう一つ、避けるべきは朝令暮改です。コピーを大量にとらせてあとから不要だと処分させるなどはもってのほかですが、コロコロと言うことが変わる上司というのは、いつの時代も、どんな職場にもいます。そして、例外なく部下からはイヤがられる存在です。

    性格的、能力的に自分の考えや方針が定まらず、とりあえず部下に命令し、あとから修正していく人も少なくありません。
    そういう上司は早晩信頼を失っていきます。
    「本人の能力とも関係するのですが、仕事の仕方のタイプとして、
    その仕事の完成形をしっかりイメージしてから仕事を進めるタイプと、
    アウトプットがある程度出た段階で、
    次第に完成形をイメージしていくタイプの二つがあると思います。
    「アウトプットが揃わないと完成形がイメージできないタイプの上司だと、下が疲弊していきます。というのも、そういう上司は最初は間口が広いのです。
    「とりあえずやってみてくれるかな?」で仕事を振る。
    たとえば企画書をつくるという仕事があったとして、
    「とにかく思いついた企画なら、どんどん形にしてくれ」という頼み方をします。
    ある程度企画を出させておいて、やっぱりこれがいいとか、こんな企画書にしてくれとか、注文が出始める。
    部下は最初は注文も少なく、自由にやっていいというので喜ぶのですが、ところがどっこい、そのアウトプットを参考にして、ああでもない、こうでもないと細かい注文や修正が出始める。
    その修正を出すと、「うーん、やっぱりイメージが違うかな」などと、
    今度は別の企画案にシフトする。
    「そんなことなら、最初からその路線で、しかも必須要件や禁止事項などを示しながら
    できるだけ最短距離で仕事ができるよう指示してほしい。
    そう部下が考えるのは当然でしょう。
    でもこのタイプは意外に多いのです。
    あなたの周りにも何人かいるはずです
    朝令暮改にならないようにするためには、仕事の方向と完成形をしっかりイメージすること
    実は、これこそがリーダーにとって大切な能力であり要件だということもできます
    仕事の完成形をイメージできずアウトラインを描けない人物はリーダーとしての資格がないと言うことになります

    これから重要な予防医学の意識

    意外に大切になるのがの健康です。
    50歳をすぎると急速に歯が悪くなる。
    60歳になってから治療すると大変です。
    インプラントを入れると1本約100万円。 
    5本入れたら500万円。
    この金で高級車が1台買えます。
    40代、50代でしっかりケアしておけば6代でそれほどひどくはなりません。
    おすすめするのは、3カ月に一度くらいの間隔で医者に行って歯石をとってもらうこと。
    トータルな健康管理においても余計な治療費をとられないという意味でも歯を健康に保つということは非常に大切です
    これからは予防医学的な考え方が重要になってきます。
    病気になってから治療するのではなく
    病気になりにくい健康な体をつくるという考え方です。
    健康診断や人間ドック、歯石除去も予防医学の一つだと言えます

    0
    2021年12月12日
  • 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―(新潮文庫)2007/11/1

    国策捜査は「時代のけじめ」をつけるためにおこなわれる
    2019年6月22日記述

    佐藤優氏による著作。
    2007年11月1日発行。
    単行本としては2005年3月新潮社より刊行された。
    鈴木宗男氏にまつわる騒動で著者も逮捕された。
    もうかなり前のことではあるけれども、当時のニュース等を思い出す。
    当時何が起きたのか、著者の体験を元に書かれている。
    言わゆる経験者しか書き得ないものばかりで面白い。
    今でも中央官庁や政治家と絡む仕事をするなら読んでおくときっと役に立つを思う。
    一般人も東京拘置所とはどんな所か勉強になるだろう。

    また当時熱狂的に支持された小泉内閣、特に田中真紀子氏がいかに国益を毀損する存在であったか・・・
    反面教師にしなければいかない。
    また当時TVを通じて田中氏に好意的な印象を持っていた自分を恥ずかしく思った。

    印象に残った部分をあげていきたい。

    強い者の方から与えられる恩恵を受けることは構わない。
    しかし、自分より強い者に対してお願いをしてはダメだ。
    そんなことをすると内側から自分が崩れる。
    矯正収容所生活は結局のところ自分との闘いなんだよ。

    ロシア共産党守旧派の政治家たちは、日本の自民党の政治家に似ている。
    人間関係を大切にし、物事は何であれ事前に根回しする体質をもっていた。

    外務省では、語学別に「スクール」というグループがあり、「スクール」を異にすると親しくなる機会はなかなかない。
    親しくもない人間がなれなれしく話しかけてくるときには何か意図がある。

    人間には学校の成績とは別に、本質的な頭の良さ、私の造語では「地アタマ」があるということを私はソ連崩壊前後のモスクワで体験を通じ確信するようになった。

    鈴木宗男氏の魅力・・他人に対する恨みつらみの話をほとんどしないこと
    裏返して言えば、このことは他人がもつ嫉妬心に鈴木氏が鈍感であるということだ。

    公判の現状では黙秘は不利です。特に特捜事案では黙秘しない方がよいと思います。 
    事実関係をきちんと話し、否認することです。

    この事務官は経験不足なのか、自己陶酔癖があるのか、仕事に酔って興奮しているだけだ。こういう手合いはたいしたことはない。
    過去の経験則から、私は利害が激しく対立するときに相手とソフトに話ができる人物は手強いとの印象を持っている。
    その意味で、この検事の方は相当手強そうだ
    → 西村 尚芳 (にしむら ひさよし)

    指印は黒色の朱肉で押す

    日本という国の根本的な方針が、小泉政権の登場前と後では大きく変貌を遂げたというのが、私の分析である。
    歴史を振り返った時、あの時が、ターニングポイントとなったという瞬間がある。
    「小泉内閣の誕生」は日本にとってまさにそんな瞬間だったのではないだろうか。

    組織内部に異なる潮流が存在するのはよくある現象であり、これが組織を活性化する基盤となることも少なくない。
    そして同じ考えを持つ人同士がグループ、つまり派閥を作るというのもごく自然な現象である。
    派閥があれば必ず抗争が生じ、それはまた必然的に人事と結びつく。
    しかし、派閥の存在が肥大化すると、往々にして抗争自体が自己目的化しはじめることになる。
    そうした動きを組織が抑えきらず、組織の目的追求に支障を来すようになった時、組織自体の存亡にかかわる危機となるのである。

    能力がなくて、やる気があるのが、事態を紛糾させるのでいちばん悪い

    日本人の実質識字率は5%だから、新聞は影響力を持たない。
    ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で物事は動いていく。

    国際情報屋には、猟犬型と野良猫型がある。
    猟犬型の情報屋は、ヒエラルキーの中で与えられた場所をよく守り、上司の命令を忠実に遂行する。
    全体像がわからなくても危険な仕事に邁進する。
    野良猫型は、たとえ与えられた命令でも、自分が心底納得し、自分なりの全体像を掴まないと決してリスクを引き受けない。
    独立心が強く、癖がある。
    しかし、難しい情報源に食い込んだり
    通常の分析家に描けないような構図を見て取るのも野良猫型の情報屋である。

    野良猫型だけだと組織は機能しなくなる。
    猟犬型だけでは、組織が硬直と緊縮を起こし、応用問題に対応できなくなる。
    結局、両方が必要なのである。全体として見れば、
    国際情報屋は、猟犬型9割5分、野良猫型5分くらいに分かれる。

    冷戦後存在した3つの外交潮流は一つに、すなわち「親米主義」に整理された。

    日本人の排外主義的ナショナリズムが急速に強まった。
    私が見るところ、ナショナリズムには2つの特徴がある。
    第一は「より過激な主張が正しい」という特徴で、
    もう一つは「自国・自国民が他国・他民族から受けた痛みはいつまでも覚えているが、他国・他国民に対して与えた痛みは忘れてしまう」という非対称的な認識構造である。
    ナショナリズムが行き過ぎると国益を毀損することになる。
    私には、現在の日本が危険なナショナリズム・スパイラルに入りつつあるように思える。

    ロシア人は、信頼する人にしか「お願い」をしない。

    そもそも外交の世界に純粋な人道支援など存在しない。
    どの国も人道支援の名の下で自国の国益を推進しているのである。

    日本の裁判の現状では黙秘は不利です。
    黙秘をすると裁判官の心証は「やった」ということになります。

    Ⅰ種職員は能力や性格に相当の問題がない限り大使ポストを保証されているが、
    専門職員(ノンキャリア)で大使になる人は5%程度で、しかも中小国の大使だ。
    大学で机を同じにし、能力的には
    それ程違わなくても外務省内での出世街道は大きく異なる。
    もっとも小国語の専門家として結構楽しく仕事をしている東大卒の専門職員もいるので、要はその人の価値観である。
    私は1996年から2002年まで東京大学教養学部で「ユーラシア地域変動論」という科目を教えていたので、東大生気質はそれなりにわかっている
    つもりである。ときどき「あえて外務省の専門職員になり、佐藤先生のように外交官と学者を両立させたい」という相談を受けたが
    私は「東大生に関しては、ほとんどがⅠ種職員だからあえて違う道を選ぶことは勧めない。2つの世界に足をかえていても僕みたく両方とも中途半端になるから・・・・」と答えていた。

    これは国策捜査なんだから。
    あなたが捕まった理由は簡単。
    あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。
    国策捜査は「時代のけじめ」をつけるために必要なんです。
    時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです。

    評価の基準が変わるんだ。何かハードルが下がってくるんだ。

    僕たち(検察)は適用基準を決められない。時々の一般国民の基準で適用基準は決めなくてはならない。

    冤罪なんか作らない。
    だいたい国策捜査の対象になる人は、その道の第一人者なんだ。
    ちょっとした運命の歯車が違ったんで
    塀の中に落ちただけで、歯車がきちんと噛み合っていれば、社会的成功者として称賛されていたんだ。
    そういう人たちは、世間一般の基準からするとどこかで無理をしている。
    だから揺さぶれば必ず何かでてくる。
    そこに引っかけていくのが僕たちの仕事なんだ。
    だから捕まえれば、必ず事件を仕上げる自信はある。

    ナショナリズムには、いくつかの非合理的要因がある。
    例えば、「自国、自民族の受けた痛みは強く感じ、いつまでも忘れないが、他国・他民族に対して与えた痛みについてはあまり強く感じず、またすぐに忘れてしまう」という認識の非対称的構造だ。
    またもうひとつ特筆すべきは、
    「より過激な主張が正しい」という法則である。

    国際協調を考慮し、時には自国中心のナショナリズムを抑えることが日本の国益を増進することもある。
    真に国を愛する政治家、外交官はこのことをよくわかっている。

    31房の隣人=死刑囚坂口弘

    0
    2021年12月12日
  • 交渉術

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    交渉術 (文春文庫)2011/6/10

    橋本、小渕、森・・各時代の外交裏舞台が面白い
    2019年5月20日記述

    佐藤優氏による著作。
    2011年6月10日第1刷。
    単行本としては2009年1月文藝春秋刊
    初出「文藝春秋」2007年7月号~2008年12月号

    佐藤氏が現役外交官時代を振り返っている。
    特に橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、各氏が総理大臣時代の裏舞台が見えてくるようで面白い。

    またこれまで著者が他の本で紹介していたエピソードも具体的な上司名などがわかる。
    引用が多くなりがちな著者の他の本以上に個人的には
    面白く読むことが出来た。

    印象深い点を記載してみたい。

    「貴様、嘘をつくな!」といえば、相手も「なに!」といって喧嘩になる。
    ところが、「お互い正直にやりましょう」といえば、誰も嫌な思いをしない。

    東郷氏は、橋本行政改革のとき、日本の有力政治家を巧みに活用し、外務省を外政省に名称変更し、大使の3分の1を民間出身者にするという原案を一晩で覆した。
    もっともこのとき行革の嵐から免れたことが、外務官僚に
    「われわれは特別なのだ。官邸の意向でも覆すことができる」という特権意識をもたせ、その後の外務省不祥事への道備えをしたことも間違いない。

    インテリジェンスの専門家は、対象国や民族の神話、宗教経典、義務教育で使用される歴史、国語の教科書には必ず目を通す。
    交渉術においても、相手の内在的論理を捉える研究は不可欠である。

    広義の交渉術には3つのカテゴリーがある。

    交渉をしないための交渉術
    交渉を行ってもこちら側が損をすることが明白な場合はそもそも交渉の土台に上がってはならない。

    日常生活に引きつけてみても、ストーカー的に声をかけてくる者、悪質出会い系サイトによる架空請求などについては一切相手にしないという交渉術が有効である。
    もっともこの種の事例の場合、ストーカーとは思わずにちょっと付き合ってしまったとか、実は全くの架空請求ではなく、出会い系サイトを使ったことは事実なんだけれど、数十万円もの請求をされるとは思っていなかったという、こちら側にも若干の瑕疵があることが多い。
    その場合、「交渉をしないための交渉術」の応用問題になる。
    自らがこのような筋の悪い相手と直接交渉しないことは大前提だが事態を放置しておくと問題が面倒になる。
    このような場合は、迷わず弁護士を代理人に立てて、法的措置を臭わせつつ交渉することだ。

    暴力による交渉術は論理整合性や善/悪という基準よりも快/不快、楽/苦を基準にして動く人に対しては有効な手段である。
    「嫌がらせを加える」「評価されない仕事を増やす」というようなやり方で、人為的に障害を作り出し、それをやめることを取引材料にするのだ。

    第3カテゴリーの「取り引きによる交渉術」の場合、交渉に絶対勝利することができる確実な技法を身につけるということは、そもそも不可能なのである。
    交渉とは、関係者全員が俳優、演出家、シナリオライター、観客の役割を持ち、その役割が頻繁に移動するという不思議な劇場なのである。

    小さいことでは約束を守り、信用させて、最後に1回大きく騙すというのはインテリジェンス交渉術ではよく使われる技法だ。

    ロシア人に言わせれば、騙す方が悪いのではなく、
    騙される方が間抜けなのである。

    「交渉術は、善でも悪でもない、価値中立的な技法」

    現役外交官時代、私は、キャリア、ノンキャリアを問わず、ロシア人女性とトラブルを抱えた外交官の問題を処理したことが何度もある。
    この種の恋愛系問題の処方箋はたった一つ、当該外交官をできるだけ早く帰国させ、恋愛関係を潰すことだ。
    この種の話が聞こえてくると、私は、その時の特命全権大使、特命全権公使、政務担当行使のうち、私が人間としてもっとも信頼する
    幹部に相談し、できるだけ早く帰朝(外務省用語で帰国すること)させた方がよいと進言した。

    「ハニートラップ」でも、基本は、困った状況に陥った対象者を「助けてあげる」のだ。

    対象者は、脅してくる者には最低限の協力だけして逃げようとし(自殺も逃亡の一形態)、助けてくれる者には自発的に協力する。

    ハニートラップの要諦は、ほんものの恋愛に介入し、恩を売り、工作対象者が自らが所属する組織の誰にも相談できないような状況を作り出すことだ。
    逆に言えば、工作対象者が、不利益を覚悟してでも
    自分が所属する大使館、会社などに相談すれば、工作は終わりになる。
    自分の会社に相談するのはどうしても嫌だというサラリーパーソンの場合、匿名で国際電話を日本の警察にかければよい。
    この種の話に警察は親身になって相談に乗ってくれる。

    ちなみにインテリジェンスや外交に従事する者の裏切りを防ぐためには「飴と鞭」を使い分ける必要がある。
    秘密警察に協力したと裏切りを申告した者に不利益な取り扱いをしないというのは「飴」の部分である。
    それでは「鞭」とは何か。
    裏切りが内部からの調査で発覚した場合は、厳罰に処するということだ。

    インテリジェンスの世界は性悪説の原理で動いている。
    夫婦関係に介入し、協力者い仕立て上げることが国益と考えるならば、秘密警察は私生活にいくらでも踏み込んでいく。

    そもそも外交の世界に純粋な人道など存在しない。
    常に「人道」は名目で、自国の国益の保全、機会があれば増進を狙っているのだ。

    一方が他方に供与するカネや物が極端に大きくなると、
    相互扶助から贈与に範疇が変化する。
    相互扶助ならば、「お返し」しようという意思が相手に働くが、これが贈与になると相手は一方的に受け取るだけで、「お返し」の必要はないと考えるのである。
    過ぎたるは及ばざるが如しなのである。
    この点で失敗したのが鈴木宗男氏だ。

    インテリジェンス交渉術の観点から情報提供者や工作対象との関係において、理想的関係はどのようなものか。→友人

    なぜ友人であるという表象が重要かというと、
    相手がカネで雇われているという認識をもつと、
    「報酬の範囲内で協力すればよい」という態度になり、
    情報提供における積極性が失われるからだ。
    友人ということになれば、積極的にこちら側の意図を忖度して相手が情報収集に従事するというのが私の経験則だ。
    人間の認識は非対称的である。
    六対四の関係を維持するために、例えば、食事の際に
    総額が1万円で、こちら側が6千円、相手が4千円払っても相手は六対四の関係とは認識しない。
    八対二とか九対一くらいの比率になったところではじめて六対四くらいの関係であると認識するのである。

    どのような状況でカネを渡すかについても技法がある。
    直接、カネを渡すよりも、相手が必要とするサービスに対して費用を肩代わりするというのが、案外効果がある。
    特に医療支援である。

    通常ならば、500万円、1000万円などという巨額なカネを受け取らない相手でも、配偶者や子供が難病にかかり、手術を受けなくてはならないという状況ならば受け取る。
    命を助けてくれるために協力してくれた人に対する恩義はたとえ手術が失敗しても忘れない。
    従って、熟練したヒューマン・インテリジェンス
    (人間関係によってとる情報)の専門家は名医とのネットワークを必ずもっている。

    外務省を含む霞が関の若き官僚諸君!
    仕事をやり過ぎてはいけない。
    たとえ滅私奉公型で、自分の金を仕事につぎ込む形であっても、公私の線を越えてはならないのである。
    人間は弱い存在なので、よほどの信念をもっていないかぎり、仕事が評価され、将来多額の公金を任されるようになると、知らず知らずのうちに犯罪に手を染めていくことになる。
    あるいは強固な信念をもっていると、それを根拠に政治犯にされてしまう。

    もっともインテリジェンスの仕事を行うためには、
    通常の組織で必要とされる指導力(リーダーシップ)だけでは不十分で、状況によっては生死をともにしていいという感情を部下たちにもたせることが不可欠だ。
    だから、宗教指導者に近い資質をインテリジェンス機関の工作部局の指導者は求められる。

    西村六善欧亜局長が「この紙は橋本総理と鈴木大臣しかもっていません」と鈴木宗男氏に嘘をつき、事態が紛糾した話
    →じゅうたんの上で屈み込んだあと、身体を横にして、アルマジロのように丸くなってしまった

    このような恥知らずで「死んだふり」をするような、恐ろしい人物には重要な仕事を頼まない。
    重要な仕事を与えられないのだから、
    否定的な評価をされることもない。
    また、規格外の反応をする
    可能性があるので、譴責されることもない。
    組織文化が減点主義の場合、恥知らずで死んだふりをする人物は確実に出世する。

    永田町の言語は、一般社会の日本語と異なる。
    永田町特有の業界用語もあれば、有力政治家の個性と結びついた特殊用語もある。
    小渕氏の「西村、御苦労!」は、後者の特殊用語にあたる。

    小渕氏は、政治家や官僚をねぎらうときに「お疲れ」と言う。
    「御苦労」と言うのは強い不満の表れで、「西村、御苦労!」を日常用語に翻訳すると「西村さん、あんたはクビだ」ということだ。

    永田町言語を日常用語に訳すと次のようになる。

    「俺はきにしていないぞ」(永田町)
    →「俺は気にしていないということは、お前の方で反省して謝りに来いということだ」(日常)

    「行儀が悪い」(永田町)
    →「ゴリ押しをする。自分の管轄分野以外に手を突っ込む」(日常)

    「近く俺があいさつに行くから」(永田町)
    →「すぐに来い」(日常)

    「俺は聞いていない」(永田町)
    →「この件は俺に事前に相談していないので、絶対に認めない」(日常)

    「他の先生を大切にしてください」(永田町)
    →「他の国会議員と比較して、俺を軽く見ているな。
      今に思い知らせてやる」(日常)

    「忙しそうだな」(永田町)
    →「お前は何を画策しているんだ」(日常)

    外務省だけでなく、他の省庁、そして民間企業においても、あるポストよりも上に行くと適用される論理やルールが異なってくる。

    霞が関(中央官庁)の掟では、政治家に呼びかけるときは、その政治家が過去に占めた最高ポストの公職名を使う。
    従って、総理経験者は「総理」で、閣僚経験者は現役でなくても「大臣」となる。

    ノンペーパーとは、本来は口頭で伝える性質のものだが、正確を期すために渡すメモだ。

    政治家には「スイッチ」がある。同じ話をしても、スイッチが入っている時といない時では、政治家の反応は全く異なるのである。
    スチッチが入っていない政治家に、官僚がどんなに重要と思う事項を話しても、政治家は聞き流すか、「もういいよ」と言って
    最後まで話を聞かずにさえぎる。

    霞が関の若手官僚諸氏に、政治家のスイッチを見抜くためのよい訓練法を伝授したい。現役外交官時代、私が実践した方法であるが、動物園に行って、鷲、鷹、ハゲタカなどの猛禽類を観察することである。

    トップは、孤独に耐えなくてはならない。むしろこのことは裏返して表現すべきだ。
    孤独に耐える資質がある者でないと、トップには
    なれないのである。

    渡邉幸治特命全権大使、東郷和彦特命全権公使の時代は中露日本大使館の黄金時代だったということは、当時、モスクワに勤務していた新聞記者から、今でも言われる。

    トップとして重要なことは、「ここでの主人は自分だ」という認識を組織に所属する人々に徹底することだ。
    当然、このような行動を取れば、部下はトップの恣意を恐れる。裏返すと、部下から恐れられない
    ようではトップではない。

    語学力が貧弱なことが中途半端な専門家の特徴である。
    ちなみに外国の大学で博士論文を書いているから、語学力があると考えるのは早計だ。
    下手くそな英語やロシア語で、わけがわからない
    草稿を書いても、きちんとカネを払えば、博士号が取得できる論文に仕上げてくれる業者が外国の大学や研究所周辺にはいくらでもいるからだ。
    語学力を見極めるためには、当該専門家に翻訳書があるかどうかをチェックすればよい。
    そして、原文と照らし合わせてみれば、どの程度の語学力があるかよくわかる。
    裏返して言うならば、翻訳の業績が一つもないような地域研究家や外交評論家の語学力は相当怪しいと考えたほうがいい。

    語学力について、英語の場合、日本人のほとんどが基礎知識をもっているので、うまいか下手かはすぐにわかる。
    ドイツ語、フランス語、中国語ならば、大学の第二外国語で履修した経験を持つ人が多いので、これらの地域の専門家も語学能力については、一応、第三者から評価される。
    これがロシア語になると、理解できる人が極端に少ないので、外部の目にさらされないのである。

    外務官僚であると、語学力に長け、地域事情に通暁しているように思えるが、それは幻影だ。
    私が外務省に入省したのは1985年のことで
    具体的に7名の駐露大使を知っているが、そのうち、通訳を介さずにロシア語で仕事の話をすることができたのは都甲岳洋大使ただ一人だけである。
    現在、外務省全体でも本省局長年次以上の幹部や大使で、辞書を用いずにロシア語の新聞社説を読むことができる者は一人もいないと思う。
    現役外務省職員で、ロシア人と同じように流暢かつ正確なロシア語を話すのは、ノンキャリアから年次が落ちるキャリア扱いの「特別専門職」に登用された川端一郎サンクトペテルブルク総領事だけ
    であるという評価に異論を持つ外務省関係者はいないと思う。
    もっとも、外務省の通訳は、正確さを要求されるので、発音で日本訛りやイギリス訛りがあっても、意思疎通ができれば、特に問題はない。

    0
    2021年12月12日
  • ケンカの流儀 修羅場の達人に学べ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ケンカの流儀 修羅場の達人に学べ (中公新書ラクレ) 2015/6/10

    2019年3月19日記述
    佐藤優氏による著作。

    初出は月刊中央公論の連載「修羅場の作法」を再構成したものです。
    2014年4月号~2015年5月号

    修羅場を抜け出すためには、ときにはあえてケンカをしなくてはならない場合もある。
    その時、負けるケンカは、絶対にしてはならない。

    印象に残った部分を列挙してみると

    人間は基本的に大きな失敗をするまで、自らの行動を
    改めることはしない。

    外交官時代に学んだ教訓は「人間はできることと好きなことが異なる場合がある」という単純な真理だ。

    知らない情報については漏らすことができない
    というのは情報を保全する上での大原則だ。
    秘密情報を持っている人から「知りたいですか」と
    尋ねられても、自分の仕事と関係ないことならば
    「その件には関心がありません。知りたくありません」と答えられるようになれば、インテリジェンスの世界にかなり慣れてきた証拠だ。

    酒を飲んだ時に自分が相手に話したことを正確に覚える習慣をつけておくと、意見交換を終えた後に、こちらが相手に提供した情報と相手から自分が得た情報を比較することができる。
    それで「今日はだいぶこちらの持ち出しになった」
    「今回はだいぶ情報を搾り取ることができた」という評価ができるようになる。

    今後、特捜事件に巻き込まれる読者が出てくるかもしれない。
    そういうときには、一人で悩みを抱えずに、弁護士と相談することを勧める。
    その際、自分の意見を押し付けるのではなく、
    依頼者の話をよく聞いて、少し厳しめの助言をする弁護士を選んだ方がいい。

    法律はもともとある。その適用基準が変わってくるんだ
    (西村尚芳特捜検事)
    →法律は、安定的なシステムを維持するために存在する。
    今までの運用では、国家と社会の秩序が維持できないようになると法律適用のハードルが下がってくる。
    日本社会の空気を察知して、検察が法の適用基準を変えるのだ。

    サラリーパーソンの世界にも犬型と猫型がいる。
    派閥抗争に敗れて、尊敬する上司が異動になることがある。
    このときに犬型の部下は、涙を流し、苦しみを噛みしめながら現在の会社で嫌々仕事を続けるか、あるいは会社を辞める。
    猫型は、そのようなことはしない。
    不愉快な出来事があった場合は、気分を落ち着ける。
    (猫ならば、まず全身を丁寧に舐める)
    その上で、ケロッとして、新しい上司に仕える。
    猫にとってもっとも重要なのは、上司ではなく、自分に餌を与えてくれる会社だ。
    民間企業でも役所でも、派閥は必ずある。
    できる社員(官僚)は、いずれかの派閥に加わっている。
    社会人を10年経験して、どの派閥にも加わっていないという人は能力が低くて相手にされないか、性格に極端な偏りがあるのですべての派閥から敬遠されているという場合がほとんどだ。
    派閥に加われば、一定の確率で負けることが必ずある。
    そういうときは、猫型に徹して、とりあえず会社(役所)に居座って、虎視眈々と逆転の機会を狙うというのが正しいプローチと思う。

    猫でも人間でも、他者を自分の思い通りに動かすことは至難の業である。
    相手が従っていても、腹の中で恨みを蓄積していて、機会を見て反撃してくるかもしれない。
    部下の心情がデリケートであることを理解し強圧的姿勢を取らない人が最終的に出世し、世間からも尊敬される。

    普段は温和しくしていても「ここぞ」というときには、牙と爪をむき出して、上司や組織と闘わないと<死んで太平を得る>というシナリオに引き寄せられてしまう危険がある。

    きみはみずからをきたえ、そしてカモメの本来の姿、
    つまりそれぞれの中にある良いものを発見するようにつとめなくちゃならん。
    彼らが自分自身を見出す手助けをするのだ。
    わたしのいう愛とはそういうことなんだ。
    (かもめのジョナサン)

    能力のあるものは、その力を他者のために使うべきだ。
    具体的には、他者の中にある肯定的要素を引き出す手助けをしてやるべきだ。
    そうすれば、組織が強くなる。
    こういう役割を周囲から理解されるようになれば、
    誤解ややっかみをはね除け、能力を十分に発揮できる環境をつくることができる。

    国家は暴走することがある。
    それを防ぐことができるのは法律や制度や個人ではない。
    自発的意思によって結合した
    中間団体だけが、国家に対抗する力を持つことができる。

    時代を画する大きな仕事に取り組む人は、叩かれ、潰される。
    しかし、その人の仕事は少し形を変えて別の人に引き継がれるので失脚したからといって、絶望するには及ぼない。

    結婚は「信頼の原理」で動くから話はトントン拍子で進むけれど、離婚は「不信の原理」だからそうはいきません。
    しかも相手は、こちらの手の内を十分すぎるほど知り尽くしている。

    0
    2021年12月12日
  • メンタルの強化書

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2021年7月18日記述

    メンタルの強化書
    佐藤優氏による著作。
    2020年1月1日初版発行。

    題名にあるように思うようにはならない世の中を生き抜く上で大切なマインドセットは何かを佐藤優の視点から解説している本。
    もちろん何か特別なウルトラCが書かれているわけではない。
    (むしろそんなものは怪しいだろう)
    良い本というものはある程度、類似性があるものだということを痛感する。

    印象に残った部分

    とくに現在のような二極化が進む世の中では、期待を裏切られることの方が増えるでしょう。
    一歩引いた目線で冷静に世の中と向き合う。
    最低限の努力はしながらも、過大な期待をしないくらいの距離感が心の安定には良いと思います。

    「諦め」とは様々な苦い体験を経て、「人間にはどうすることもできないものがある」ということを知ることです。
    自らの限界を知らない存在は傲慢になります。
    それは時として人を傷つけ、暴力を振るうことにつながっていきます。

    「意気地」=譲れない一線をしっかり持っているからこそ、それ以外の部分では妥協することもできる。
    柔らかくしたたかに生きることができるとも言えます。

    現代社会でたくましく強く生きるためには、1つはできるだけ信頼でき社会的価値が高いと評価されているアソシエーションに属することです。
    そしてもう1つが、現代社会の中で解体され失われつつあるコミュニティを復活させ、そこに属することです。

    自分の置かれている状況を分析し、相手が何を求め、何を避けようとしているかがわかれば、心乱すことなく対応ができます。

    怒りだけではなく、人間は行動によって感情を作り出すという事実を示しています。
    つまり悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しくなる。
    面白いから笑うのではなく、笑うから面白くなる。

    睡眠時間が6時間未満の人は7~8時間の人に比べて死亡率が2倍以上になるという調査結果もあります。
    何よりもまず、質の良い睡眠を取ることから始めましょう。

    そのようなメンタルの病気に罹ったことを、あえて自分で公表する必要はありません。
    というのも、世の中にはまだまだ偏見も多く、メンタルを病んだ過去があることで様々な色眼鏡で見られる可能性があります。
    自分の過去を全て話す必要は無い、というのが私の考えです。
    聞かれたら答えるという姿勢でいればよく、聞かれない事を話す必要はありません。
    外交の世界でよくやることですが、自分に都合の悪い情報はあえて相手に伝えないというのがあります。
    もちろん聞かれれば答えますが、聞かれなければ答えない。
    多少のズルさも、生き抜く上では必要だと思います。

    どんなに意識が高まり、制度が整ったとしてもパワハラやセクハラは無くならない、というのが私の結論です。
    なぜなら人間自体が悪を内在させているからです。


    悲観的楽観論・・最悪の事態を想定し、そのシュミレーションをしておけば
    どんな事態が起きたとしても慌てず、パニックになることなく対処することができます。

    組織というのは基本的に上司の味方だと考えましょう。
    組織のバックがある人物には到底かないません。

    組織の中で生き残るには「味方を増やし、敵を減らすこと」が重要です。

    直訴するタイプの人間、上に歯向かう人間を、組織は基本的に歓迎しません。

    仕事ができない人は、単純な仕事を複雑にする。
    仕事ができる人は複雑な仕事を単純にする。

    パソコンの中のデータ整理も、むやみにフォルダ分けをしません。
    すべて1つのフォルダにしまい込む。
    書類が必要な場合はキーワード検索すれば出てきます。
    フォルダ分けすると見た目はいいのですが、フォルダ自体がどこへ行ったかわからなくなり、間違えて違うフォルダに放り込んでしまうと、
    探すのにひと苦労することになります。
    書類や資料を探す時間を極力減らすことが、日常の仕事の効率アップにつながります。
    (この辺は野口悠紀雄氏の超整理法に通じるものを感じる)

    経験則から下手にテーマなどで分類するより、時系列で並べた方が探しやすいと自分でわかっています。

    むしろサラリーパーソンの方が顧客や得意先など、仕事上の付き合いを絞り込むことができます。
    フリーランスはそうは行きません。
    それこそ幅広く人脈を広げていかねばなりません。
    ストレス度はどちらが高いか一概には言えませんが、少なくともフリーランスだから自由だという安直な考えは事実とは大きく違っているということです。

    国家も大企業も、そしてお役所も、国民1人ひとりの健康や幸せを願うというよりも、国家や企業としての活力をどう維持していくか?
    それが最大の関心事なのです。それゆえ彼らは常に現実を、労働力や経済力というマクロな数字=抽象的な概念に置き換えて考える。
    そういう体質と癖を持っています。
    ですから国民1人ひとりのミクロな利害と
    国家としてのマクロな利害がぶつかった時は、国家は迷わずマクロな視点、マクロな利害を優先します。
    働き方改革で働く国民を幸福にするというのは、
    あくまでも建前であることを肝に銘じておきましょう。

    その本音と目的は超高齢化社会、少子化社会がさらに加速する中で、いかに健全な労働力を継続的に確保するかということに尽きます。
    ただでさえ労働力が減っていく中で、途中で燃え尽きてしまわないように細く長く働いてもらう。
    それが労働力確保の意味でも、医療費や社会保障費などの削減の意味でも必要不可欠な命題なのです。

    人よりも半歩遅れて進むという考え方をお勧めします。
    世の中の流れと一緒になって、前のめりに進むのではなく、あえて「半歩遅れて」物事をみるのです。

    私は、非正規雇用者に向けられた「自己責任論」は本来取るべき責任を、自由度の少ない弱者に転嫁する「責任転嫁論」に他ならないと考えます。
    むしろ「自己責任」を追及されるべきは雇用者側ではないでしょうか?

    努力は本人が自主的、主体的にするものであって、第三者が努力しろと強制する権利は本来どこにもありませんし、努力しなければいけないという義務など存在しないのです。
    当然そこに責任など生じるものではありません。

    雇われた人達が労働力という商品であるとしたら、そもそもそこに「自由」があるでしょうか?
    労働力を商品化し、搾取が行われている構造の中で、
    労働者は自由意志を持った存在とは到底言えません。
    「自由なき所に責任無し」です。

    「前のめり」に情報に飛びつくと、ミスリードされてしまいます。
    そこで立ち止まって、
    「そもそもなぜこんな情報が出てくるのか?」
    「どこから流れた情報なのか?」
    「その目的はどういうものか?」
    と考えることが大事です。

    私は「立ち止まることができる力こそが教養である」と考えます。
    前のめりに突き進むのではなく、周囲の人達が、社会が前のめりになって同じ方向に突き進んでいる時、「ちょっと待てよ」とか「あれ、おかしいぞ」と立ち止まることができるか?

    個人的には消費税を20~25%に上げるなど税金を増やして社会保障を充実させ、生活の不安をなくす北欧型経済こそ、日本人の体質に合っていると考えます。

    むしろ増税によるメリットを明確に示し、将来この国をどうしていくのか、そのビジョンを明らかにすることが必要です。

    私なら消費税を20%あるいは25%に上げて、大学までの教育費を全て無料にします。
    私立はもちろんですが国公立の大学の授業料は軒並み上がっています。
    2016年の文部科学省の調査では、大学の年間授業料は国立大学で53万5800円、
    私立大学の平均が87万7735円となっています。
    1985年の授業料と比べると、私立大学、国立大学ともに約2倍になっています。

    子供を私立一貫校で教育を受けさせることなど、一般家庭ではとても難しい。
    いまや子供の教育にお金を掛けるか、それともマイホーム購入かどちらか一つを選択しなければならない時代になっています。
    親が受けた教育よりも子供が低い教育しか受けられない社会は明らかに衰退していきます。
    消費税を上げることで国民が教育費から解放されれば
    家計も救われ、教育レベルの下方スパイラルも避けられるのです。

    環境と因子の関係で誰もがうつ病になる可能性がある。発病の閾値がそれぞれにあり自分の耐性を意識しながら、その閾値の範囲内にいるように気をつけることがメンタルを保つ上で大切です。
    心を病んだからと言って一概に自分を責めるのも間違っているし、逆に環境のせいだけにすることもおかしいのです。
    しなやかで折れない「強い心」を作るためには、自分自身の考え方や心の構え方を変えると同時に折れにくい環境を整えるよう心掛けることが肝要です。

    労働者に賃金を支払いますが、その賃金の本質は利益の分配ではありません。
    それは資本家が労働者を労働力という「商品」として購入する「代金」に過ぎないのです。

    ですからどんなに利益が上がった所で、それを労働者に分配することはありません。
    どんな状況であれ、とにかく安く労働力を購入した方が利益が上がります。
    資本家は常に利益の最大化を図り、他社との競争を勝ち抜くために拡大再生産を行おうとするのです。
    利益の分配は誰とやるのか?
    それは役員や株主との間で行います。
    労働者は人格を持たない商品ですから分配する対象ではないのです。

    資本主義のこの構図を知れば、お金持ちになるには搾取する側、すなわち資本家にならなければ駄目だということがわかるでしょう。

    私に言わせれば現代の競争社会の中で勝ち残っている人は、特異な能力があるかあるいは親の遺産を引き継ぎ、最初からスタートラインが違っているか、
    さもなければよほど図太く、図々しい人物であるかのいずれかだと思います。

    0
    2021年12月12日
  • 50代からの人生戦略

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2021年6月23日記述

    50代からの人生戦略 いまある武器をどう生かすか
    佐藤優氏による著作。
    2020年1月15日初刷
    1960年(昭和35年)生まれの佐藤優氏の同世代は60歳、還暦、つまり定年を迎える時期に入ったとのことだ。(2019年度)
    そしてもし外務省で勤務し続けていたらどのような行動を取ったかを想像しながら本書は書かれた。
    30代40代とは異なる時間の使い方、定年後を見据えた行動が必要になってくる。
    まえがきにちょっとした紹介として国家公務員法によると禁錮刑以上の刑(執行猶予も含む)が確定したものは自動的に国家公務員の身分を失うという規定があるそうだ。(ただし退職金は出ない)

    時間を作っていくという所が大きいポイントだと思う。
    ただ50代に限らず仕事を振る、IT化、パート化など仕事を下に振っていくことは若くてもどんどんするべきだ(正社員でしか出来ない仕事に時間を使うが大事)

    印象に残った部分を紹介していくと

    50代になると、(中略)自分の能力や適性、組織や会社の限界がわかってきます。
    すると、むやみにがんばる必要もなくなってくる。
    仕事に投入していたエネルギーや時間を、家族や友人などとのプライベートな人間関係、個人的に妙味のある分野へと次第にシフトしていく

    いくつになっても学び続けようとする姿勢は大切です。
    ただし、50歳を過ぎたら学ぶことも絞り込まなければなりません。

    ついやってしまいがちな「時間の無駄遣い」が、明確な目的もなく始める語学学習です。

    50代から学ぶといいのは自分の地元の歴史や文化です。

    面白いと思うのは最近各地で活躍している地域観光ガイドなどの仕事。
    地元の歴史や文化、地理などを勉強し、今度はその知識で観光客の人達をガイドする。
    それがいくばくかの収入にでもなれば、
    趣味と実益ということで一挙両得です。

    50代をすぎてからの時間の使い方には、第二の人生の収入源を確保するための時間という視点も必要になります。
    これからの時代、退職金や年金だけで悠々自適という生活は望めませんから多くの人は、体が元気なうちは何らかの仕事をして稼ぎ続けなければなりません。

    定年を迎えてから新たな収入源確保を考えるのでは遅すぎます。
    できれば退職する10年前の50代から準備しておくべきです。
    そのための時間を確保しましょう。
    新たな収入源はそれまでやってきた仕事の延長線上で考えること。

    50代からの時間の使い方として意外に大事になってくるのが、将来自分が厄介になるであろう有料老人ホームやデイサービスについて調べる時間。

    無駄な時間を省いて効率化するのと同時に、何もしないで過ごす時間を大切にするというのも同じくらい重要なことです。
    矛盾しているようですが、余裕の時間、つまりバッファ時間がある程度ないといざという時に集中することができません。

    時間を管理するのと同時に「時間は完全にはコントロールできない」と認識しておくことも大切です。
    どんなに繊密に将来のプランを立てても、計画通りに進むことはまずありません。
    不測の事態で予定の変更を迫られる、想定外の時間をとられるのが常です。

    クロノス・・流れる時間のこと
    カイロス・・意味のある時間、ある出来事によって時代認識や人々の価値観が
    大きく変わる。そんな裂け目のような時間がカイロスというわけです。

    一般的に「未来は変えられるが過去は変えられない」と考えています。
    これはクロノス的な解釈ですが、カイロス的な解釈なら
    「過去は変えられる」ということになります。

    人生の選択は人それぞれなので一概にはいえませんが、今のような時代、50代のビジネスパーソンであれば、早期退職ではなく定年まで会社に居続けることを優先すべきだと考えます。
    50歳なら定年まであと10年。55歳ならあと5年。
    ここを辞めずに我慢することのメリットはとても大きいはずです。

    嫌な上司がいるとか、仕事がつまらないとか、会社から評価されていないとか、そのくらいの理由なら決して自分から辞めないこと。まして、退職金の割増金額に誘惑されて衝動的に辞めるのは非常に危険です。

    転職に関しても、特殊な技能でもない限り、50代を雇ってくれる会社はほとんどないと考えて下さい。
    もしあるとしたら、それは残念ながら、
    劣悪な労働環境と安い賃金で働かされる企業である確率がかなり高い。
    雇用保険にも年金などの社会保障にも入っていない会社であることもザラです

    では50代では、どのように人間関係を絞り込んでいけばよいのでしょうか?
    身も蓋もない答えかもしれませんが、「仕事に有益な人」に絞り込んでいくということでいいと思います。
    シビアではありますが、仕事で役に立つ、立たないかで割り切る。
    これは、私生活の人間関係とはまた別の話です。
    (中略)
    ただし、いきなりバッサリ切るのは避けます。
    次第にフェードアウト

    同窓会で人脈を再構築すること。
    新たに人脈をつくることは難しくても、かつて一緒に学んだ人達との付き合いを復活させることは比較的容易です。

    出世ラインから外れてしまった後
    やるべきことだけはそつなくこなし、下手に目立って叩かれるような余計な動きはしません。
    要領はいいので、与えられた仕事は完璧にこなし
    それ以上はできる限りやらない。

    ラインから外れた人は、余計なことをして目立つことなく、与えられた仕事をこなし、あとは定時になったらそそくさと帰る。

    2:6:2の法則(働きアリの法則)
    組織にも遊びが必要です。全員がやる気満々でギラギラしていると、組織はギスギスしてしまいかえってうまく回らなくなる。
    また、全員が100%の力を出し切って余力がない状態だと、いざ緊急事態があったときに対応できません。
    (中略)
    ただし、そうやって会社に居続けるにはいくつかの絶対条件があります。
    まず、セクハラ、パワハラは絶対しない。
    そして、やる気のある社員の邪魔をしない。

    職場のムードを明るくして「なんだか、会社にあの人がいるだけで安心できる」と思われるのが理想的です。
    一番やってはいけないのは、プライドが捨てきれずにやたら虚勢を張ったり自分の力を誇示しようと偉そうにしたりすること。

    今の管理職はチームをぐいぐい引っ張っていくワンマン型ではなく、一緒になって問題解決に取り組む「仲間型のリーダー」がもてはやされます。
    成熟した大人の組織の場合、下手に引っ張るよりメンバーの自主性と個性を尊重し、ある程度それぞれの裁量に任せるほうがうまくいくことが多いのです。
    ですから、自分には貫禄がないからとリーダーやトップになることを敬遠する必要はありません。
    むしろ、ソフトで話しやすい雰囲気をもっているほうが、上司として必要な資質を備えているともいえるのです。

    若い社員に対しては、とにかく「ほめる」。
    ほめて動かすの一点のみです。
    その上で「普通にほめる」「すごくほめる」「極端にほめる」と
    ほめる度合いに差をつける。

    「褒める」を段階的に使い分けることで、部下のモチベーションを高めていくようにしましょう。

    上司はつい仕事の成果にばかり目を向けがちですが、まずは部下達が
    ”快”の状態で働けているかどうかをケアすること。
    遠回りのようですが、最終的にはこれが職場全体のパワーアップにつながるのです。

    強者の立場に立つと、人はえてして相手を思うように動かせると錯覚してしまう。
    全てのセクハラ、パワハラはそこに源がある。
    強者の、弱者に対する一種の「甘え」の構図があるのです。
    自分は強い立場だからこれくらいは許される。
    追求されることはない。そんな甘さが相手に対する暴言や暴挙となって表れる。
    そのような思い上がりや上から目線は、下の人間や弱者を傷つけます。

    弱者の目線、少数者の目線を自分の中に持ち続ける。
    その公平さ、公正さは必ず相手にも伝わります。

    いくら時代が進歩しても、セクハラやパワハラといった組織内の「悪」は完全にはなくなりません。
    表立って見えなくなるだけです。
    (これは学校のいじめが無くならないのと似ている)

    こうした人間の悪を根絶しようとしても無理なのです。
    人間は悪であるということを前提に、それが起きにくいような仕組みづくりをしていくしかありません。

    組織の矛盾や悪と正面から戦うことはおすすめしません。
    個人は組織の力には絶対にかなわない。
    それが、これまでの人生から得られた結論です。

    組織で生き延びるにはある種の諦念が必要であり、物事を常に一歩引いて見ることが不可欠です。

    組織がある程度の規模になれば、そこには必ず派閥が生まれます。

    50代のビジネスパーソンで、どの派閥や集団にも属さず、「オレは一匹狼だ」とうそぶいている人がいたら、その人こそ少し怪しい。
    おそらくその人物は偏屈な嫌われ者か、誰からも相手にされないくらい能力のない人間のどちからでしょう。

    社内で応援団になってくれるのは別の部署に異動した昔の上司という場合がほとんどです。
    ですから、同僚と酒の席で上司の悪口やグチばかりいっている人はまず斜め上の応援団を作れません。
    上司も自分に批判的だった昔の部下を
    応援しようと思うでしょうか。
    また、新しくやってきた上司に取り入ろうと
    以前の上司のグチや悪口を言うような人もいますが、これは全くの逆効果。
    新しい上司は「部署が変わったら、オレの悪口もいいふらすような人間だ」と考えます。

    聖書から読み解くいいリーダー像と条件として、「自分を愛することができる人」ということが挙げられます。(中略)
    これはいわゆる「自己愛」とは少し違います。
    どちらかというと「自己肯定感」「自己重要感」に近いかもしれません。
    自己愛型人間は他人からの評価を気にし、他者からの賞賛や評価を強く求めます。
    しかし「自己肯定感」や「自己重要感」の強い人は、むしろ他者の評価や他者との比較を必要としません。深い所で自己に対する信頼や自信があるため
    欠点や弱点を含めたありのままの自分を受け入れられるので、自分に対しても他者に対しても自然体で向き合うことができる。

    周囲にいるのは決して善人や味方ばかりではありません。
    中にはあなたを陥れ、傷つけようとしている人がいる。
    それはイエスの時代も現代も変わりません。
    相手をよく見て、それぞれにふさわしく柔軟に対応する。
    蛇のように賢く、同時に鳩のように素直であるという2つの相反する力が世間を渡っていくには必要だということです。

    人間は誘惑に弱く、条件と環境さえそろえばつい不正を犯してしまうもの。
    基本的には部下を信用しながら、一方で性悪説にもとづいて不正が出ない
    ようにしっかり予防もしておく。
    性善説と性悪説、2つのバランスを取りながら対応するのが賢いリーダーです。

    50代で貯蓄ゼロという世帯は31.8%(2017年)に上ります。

    マルクスは「労働によってお金を得ることが、資本主義の本来の姿」だと考えました。

    郵便局で日本国債を購入した理由↓
    わざとそういう「引き出すのも面倒な場所」にお金を押し込めてあえて使いにくくしているのです。
    流動性を低くすることで、つい手をつけてしまうことを避けられます。
    50代の人が資産を増やす一番簡単な方法は「使わないこと」。
    増やすためではなく、使わないために投資するのです。

    投資先としては国債がもっとも堅実ですが、多少のリスクを許容できるのであれば「つみたてNISA」のような非課税になる制度を利用するのがいいでしょう。

    ときには家族や夫婦で外食をしたり、旅行やレジャーに出かけたりする。
    これらは決して無駄使いではありません。
    家族の絆を強め、将来お互いに助け合う関係を作るための立派な投資なのです。

    下手に中学受験なんかして中学、高校、大学と私立に入れることになったら自分たちの老後資金をつくる余裕が無くなってしまいます。

    文部科学省の調査によれば、大学の年間授業料は国立大学で53万5800円。
    私立大学の平均で87万7735円となっています(2016年)
    1975年の授業料に比べると私立大学は5倍近く、国立大学は何と約15倍にもなっているのです。
    この現実に加えて、サラリーマンの給与は上がらない、終身雇用制度は崩れている、退職金も年金も心もとない。

    全て私立という負担に耐えられる親は、今の日本ではなかなかいないでしょう。
    ですから私立に進むのであれば大学から、それまでは公立でがんばるという
    選択が、家計の無駄を省く一番賢い方法です。

    学習の仕方を工夫すれば、公立からでも有名私立大学に進む学力をつけることは可能です。

    そもそも財布にお金が入っていなければ衝動買いもできません。
    結局は、この衝動買いをいかにコントロールするかが重要なのです。
    ネットショッピングでの衝動買いをどうするか?
    ↓
    欲しい物があってもすぐには買わないで、その欲しいものの名前を紙に書いて見える所に貼っておく
    不思議なことに3ヶ月も経つと別にいらないなと思えるものが殆どです。

    便利な時代だからこそ衝動買いを抑える仕組みづくりがより重要になります。

    親が元気な内にどれくらいの資産があるのか確認しておくこと。
    その上で遺産をどのように分配するか、親が生きている間にきょうだい同士で
    しっかり話し合いをしておくこと。
    口約束では意味がないので、遺言書を
    親につくっておいてもらうのがいいでしょう。
    その際、公正証書遺言をつくっておくことがトラブル回避のポイントです。

    家族とは、とにかく一緒に過ごす時間を長くすること。
    一緒にテレビを見る、犬や猫がいるなら一緒に遊ぶ、園芸などに一緒に没頭する、極端な話、何もしないでボーっとしているだけでも一緒に時間をすごせていればそれでいいのです。

    妻への家事負担軽減のために
    家事のアウトソーシングの利用、食洗機や乾燥機つき洗濯機、ルンバのような自動掃除機など、使えるテクノロジーは最大限に利用すべきです。
    夕飯は妻の家事の負担が減るようにときどき外食に行くようにする。
    これも広い意味でのアウトソーシングといえるでしょう。

    共働きが前提の時代に、家事を奥さんだけに任せるのはあまりにも不平等。
    共働きで一生懸命稼いだ分、家事をアウトソーシングして時間的、精神的な余裕を作る。
    50代男性が持つ家事の能力を考えたら、家事のアウトソーシングは現実的だと思います。
    女性の負担も減り、時間的なゆとり、精神的なゆとりができれば、妻からの苦情は少なくなるはず。
    そう考えれば、多少お金がかかっても安いものだと思いませんか?
    今は時代の分岐点。
    古い夫婦の形、家庭の形にとらわれるのではなく、
    時代の流れに応じて一番いいやり方を模索すべきです。

    不倫に対する風当たりが強くなってきた原因の一つは、昔の日本に比べて経済的な余裕が無くなってきた事も大きいと思います。

    学生達には「社会に出たら、仕事を教えてくれる人物はつい全能に見えてしまうから気をつけたほうがいい。10年も仕事をすれば、そういう先輩もたいしたことは無かったと分かる」とアドバイスしています

    人から祝福されない恋愛はしない
    不倫に対する認識は時代によって変わっても基本はそこにあると私は考えます。

    男女間でいい関係を続けるための大切なルールとしては、お互いの知り得た情報を他人には漏らさないということがあります。
    お互いの会話の中でやり取りされた情報を他者に話したい時は相手の了承を得てから話すというサードパーティルールに則りましょう。

    これは男女間に限らず同性間でもいえること。
    親密な関係の中で話したことはみだりに他言しない。他の人に話す時は必ず相手の確認を取るようにしましょう。

    子供の頃に無理やり英才教育を押し付けられると、この非認知能力を育む時間が無くなってしまうのです。
    非認知能力・・共感やコミュニケーションに関する能力
    ペーパーテストで測ることはできません。

    親が子を愛するのは無償のものでなければなりません。
    具体的には子供には介護を頼まない。
    老後は夫婦が自分達の力で介護サービスを受けられるよう金銭的な余裕を作り、計画を立てる。
    そのために子供の教育費に全てをかけるのではなく、大学は何とか国立に入れて、子供にアルバイトなどで学費や生活費を稼いでもらう。
    そうすれば子供に金銭的な自立心がつきます。
    子供を親の私物化しない。親も子供も自立した人生を生きるための教育育て方をすることが大事だと思います。

    親の面倒(介護)は、決して1人で抱え込まないことが鉄則。
    きょうだいや近隣の知り合いなどの助けが無ければ、すぐにでも行政サービスを頼るべきです。

    親の介護のためとはいえ、安易に仕事を辞めてしまうと取り返しがつきません。
    公的扶助、公的サービスを活用するなど、1人で抱え込まずに介護をアウトソーシングして、仕事は何としてでも続けるべきです。

    養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターなど

    どこの老人ホームがベストなのか、できるだけ口コミ情報を集めることが重要
    施設の近くに住んでいる同級生、地域の事をよく知っている市区町村議会の議員

    親にインタビュー(若かった頃の話を聞いてみる)
    親の自分史をかいてもらう、プロのライターにお願いする

    一番の親孝行は自分の生活がきちんと出来ていて、健康で幸せな日々を送っていること。
    その様子を、まめに親に伝えること。

    ソクラテスは「無知の知」ということを言いましたが、教養のある人物ほど自分の知識の足り無さを知っている。
    「自分はまだまだ何も知らない」と
    常に謙虚さを持ち、周囲の話を聞くことがコレクティブ・インテリジェンス(集合知)の基本です。

    自分は善である、自分こそ正しいなどと思った瞬間、人間は傲慢の罪に陥る。

    自己に内在する悪や罪を認識している人は、他者にも寛容になれるはずです。

    日本のWikipediaや5ちゃんねる掲示板、You Tubeのコメント欄など
    誹謗中傷が多い理由・・
    日本の場合、欧米のように日頃からディベート(議論)をする習慣が無いというのが大きいのかもしれません。
    本来のディベートは相手を侮辱するための
    ものではなく、批判し合う中でお互いの「論理的な弱点」を見つけ出し、物事への理解をより深めていくための手法。
    建設的な意味でのやり合い
    ところが日本では少し批判的なことを書くとすぐ感情的になり、侮辱の応酬が始まる。
    健全な批判精神が未熟なのです。

    私達人間の罪は、事実を捻じ曲げ、責任を逃れようとするという所にあるのです。

    人間は善を志向しながらも悪を行ってしまう、弱く悲しい存在なのです。

    まず自分の罪を自覚する所から始めなければなりません。
    罪を自覚することで人は傲慢にならず、頭を垂れることができるようになります。
    そして他人の悪に対しても寛容になれるのです。

    自ら罪深き存在である自覚を持ちつつ、自分の利益ばかり求めることなく、
    人に与える、譲る。
    ささやかな利他の行為を、少しずつ積み上げていく。
    それがその人の人柄に、一種の美しさと厚みをもたせることになるのです。

    振り返ってみれば、納得できないことや理不尽なことは、現代の私達の日常生活、仕事のなかでも広く見られます。そのとき、人生や社会自体がそもそも理不尽で説明不可能なものだという諦観があれば、困難に耐えることが可能になるかもしれません。

    人生の逆境はいつ何時、私達を襲うか分かりません。ただし、どのような苦難であっても時の流れを見定めることが出来れば必ず状況は変わり、乗り越えていける。

    0
    2021年12月12日
  • 「ズルさ」のすすめ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)2014
    佐藤優氏の著作。
    2014年12月15日第1刷。
    月刊BIGtomorrowの連載「佐藤優の人生修業」と基に 加筆・再構成したものです。
    生き方上手になるため、ストレスをより少なく生きる為に
    どうするべきなのか著者が組織にどう対峙するべきかを述べている。
    綺麗事だけでは生きていけない。
    本書ではズルさと表現しているが、より良く生きる為の知恵と言っていい。
    印象に残った点をあげていく 「お前、ウソをつくな」と言えば喧嘩になる。
    それを「お互いに正直にやりましょう」と言えば特に角は立たず、 相手も不快な思いをしない。
    表現を少し変化させるだけで、同じ事柄をうまく伝えることが出来る。
    一番よくないのは、出世競争に敗れたからと自暴自棄になって 会社を辞めること。
    特にあなたが正社員なら、今の労働環境では それだけでとても有利です。
    いい意味の「ズルさ」が必要になってきます。
    たとえ出世のラインから外れても、そこそこの立場で仕事ができるなら60歳までは居続けましょう。
    そして同時に、会社の価値観とは別の ライフプランを明確に築く。
    違うコミュニティーの活動をしたり、 趣味を生かしてそれを副業にしたりする。
    その際に大事なのは、最低限の人間的な尊厳を保てる範囲でということ。
    会社に居続けるといっても、自分よりずっと年下の社員に
    「○○さん、コピーとって」なんてぞんざいに扱われ、 それでも歯を食いしばって我慢するなどというのは精神衛生上よくありません。
    インから外れたとはいっても、その道で何十年も仕事をしてきた経験と スキルで、やっぱり周囲から一目置かれるような存在でありたい。
    仕事もできて人間的にも信頼されている。
    主流から外れていても魅力的な人物として人望も厚い。
    そんなトップを目指さない働き方こそが、
    大多数の僕らが目指す 理想像なのかもしれません。
    ただし、最初から競争を拒否していては、向上心も何も生まれません。
    ある時点までは競争の中でがんばり、そこからふっと抜け出した 人物だからこそ競争の虚しさ、自分を取り戻すことの大切さを実感できる。
    毛沢東の言葉に「小さな火花も荒野を焼き尽くす」というものがあります。
    小さな火花が大火災につながる。火が小さいうちなら消し止められても ある程度広がってしまったらどうすることもできません。
    パワハラやセクハラのように、本人は問題と意識していないのに 実は時代や社会は問題だと捉えていることがある。
    それに対応するには、常に意識の中で自分の感覚と社会の常識がズレていないか確認する必要があります。
    イヤな問題こそ直視する 人は見たいものしか見ない
    第三者から見たら明らかにまずいという状況でも、
    当事者の本人は意外に平気な顔をしていることがあります。
    これは本人が鈍感だったり厚顔無恥だったりするからではなく、
    危機的状況に対して防衛心理が強く働いている可能性が大きい。
    人間はイヤなシナリオは知りたくないし、最悪の場面を描くことを 避けたいと思うもの。第二次大戦中の日本の軍部なども、 まさに根拠のない楽観論にとらわれていました。
    敵の実力を見ないようにして、自分たちの力を過大評価したわけです。
    最悪のシナリオを紙に書き出してみる 可視化するだけで、ずいぶん問題に対する気持ちや向き合い方が 変わるはずです。
    考えうる最悪の事態を想定し、それに対するイメージを 膨らませて対応策を考える。
    危機管理の本質というのは、 問題から目をそらさず、
    それを問題として認識することにあります。

    知恵ある者の最高の喜びは、知り得ることを知ろうと努力し尽くし、 知り得ないことを静かに敬うことである(ゲーテ)
    人間関係だけでなく、仕事ができる人は総じて理屈や論理で ガチガチの人ではありません。ある部分では直感力で瞬時に 判断し即行動に移すことができる、やわらかい思考の持ち主です。
    直感・・全く根拠のない想像力とは違います。
    たくさんの経験値と論理的な思考を経たうえで、
    その蓄積によって 途中の論理的な検証を飛び越え、
    一気に結論を導くことができる力です。

    厳しい言い方ですが、異業種交流会に顔を出しているのは本業で イマイチの人物が多い。本業で成果を上げている人は、 そのようなところに顔を出す暇もなければ必要もありません。 仕事の中で異業種の人と強固な人脈をつくっているのです。

    まじめな話は酒の入らない席でやり、酒が入ったらバカ話に 徹するくらいがいいでしょう。 翌日は飲んだ時の話を蒸し返さない 何事も無かったかのように粛々と仕事をするのが正解です。
    男性の場合、絶対に欲しいのが一緒に飲める女友達。
    気心知れた感じで飲めて、セックスがからまない女性の方がいいです。
    異性とこのような関係になるのは難しいですが、
    複数でもいいので 一緒に飲める女友達を見つけましょう。
    →女性は男性とは違った価値観や環境で生きている  
    男性は政治経済、仕事の話ばかりではなく、映画や音楽、旅行や趣味や食事など遊び心のある話題を提供できるようにしなければなりません。
    職場でも失言は避けなくてはならない
    会社では上司にゴマをするくらいの感覚でちょうどいいと思います。
    日々の仕事では上司にはむやみに自己主張をしたりせず、
    上手に上司を立てていました。
    独りよがりの正義感で上司に正面からぶつかるなどというのは、 一番愚かな人間のやることなのです。
    組織とは個人の価値観や正義感を超えた論理で動くもの。
    そこで働いている以上、その論理にある程度は巻かれる覚悟が 必要です。
    そして基本的に部下は上司を選べません。
    合わない上司の下についたら、なんとかうまくやっていけるように 最大限の知恵を絞るしかないのです。
    そのうち異動があり、上司も別な人物に代わるときがきます。
    ですから、不用意な直言や失言などはもってのほか。
    ときには相手の気持ちをよくするようなゴマすりをする。
    サービス、ホスピタリティの一種だと考えるのです。
    それでお互い仕事がしやすくなれば言うことはありません。
    物事には何をするにも時があり、その時を間違えてはいけない。
    様々なトラブルや厄災は時を間違え、失するから起きるのだ
    教養がある人かどうかを見抜くのは難しいことではありません。
    偏見と差別意識が少ないことをポイントに判断すればまず間違いない。
    上司に頼まれた雑用をイヤな顔ひとつせずにこなす。
    それが評価になって、今度は大きな仕事を任される。
    小さな頼み事や約束をおろそかにしているうちは 大きな仕事を振られることはまずありません。
    相手の時間を奪っていないか
    意外に大事なのがお尻の時間を守ること。
    約束の時間に遅れそうな時、連絡をいれること 受けた恩は石に刻み、かけた情けは水に流せ 上司に対しては過剰な期待をしないようにしましょう。
    8割はおかしな人だと割り切るくらいでちょうどいいですし、 その方が気が楽になって、何かあっても仕方がないとあきらめやすいのです。
    優秀な上司やリーダーの数は組織の中でせいぜい2割程度。

    0
    2021年12月11日
  • 佐藤優 選 ― 自分を動かす名言

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    佐藤優 選 ― 自分を動かす名言
    佐藤優氏による著作。
    2016年5月1日第1刷。

    佐藤優氏による人生における色々なテーマに
    関して過去の偉人達の名言を紹介すると共に
    佐藤氏の解説2頁という構成で作られている。
    気に入った所から読み進めていけば良い。

    印象に残った部分を紹介していくと・・・

    困難な情勢になってはじめて誰が敵か、
    誰が味方顔をしていたか、そして誰が本当の
    味方だったか、わかるものだ。
    (小林多喜二 1903~1933)

    社会人になれば、スクールカーストからは
    開放されるが、職場にも陰湿ないじめがある。

    私は、初対面の人に会ったとき、
    「この人と付き合うと面倒な人間関係に巻き込まれそうだ」
    ということを直観的に感じる。
    そういうときには、相手に近寄るスキを与えない。

    誰でも心の中にもっとも深く根ざしている願望は、
    自分の本当の価値を認めてもらいたいということです。
    他人の価値を認めなさい。
    そうすればあなたの価値も認めてもらえます。
    (ジョセフ・マーフィー)

    人間は一人で生まれ一人で死んでいく。
    同時に、人間は群れをつくる社会的動物だ。
    社会にはいろいろな掟があるし、国家には法律、
    会社や学校には規則という面倒なものがある。
    生きていく上では、個人と社会の間で適宜バランスを
    とることが不可欠だ。

    最高のものを求める人は、つねに我が道を行く。
    人間は最高のものを決して共存しない。
    幸福になろうとする人はまず孤独であれ。
    (ハーマーリング)

    真実を探している者を信じよ。
    真実を見つけた者は疑え。
    (アンドレ・ジッド 1869~1951)

    政治家は、まず「どの官僚や学者が信頼できるか」を
    慎重に吟味する。そして、いったん「こいつは信頼できる」と考えると、その後はそういう官僚や学者の言うことを疑わなくなる。
    信頼は無償で他者に何かを与えることによって構築されるものなので、狡猾な官僚は最初の数カ月間、政治家に誠実に奉仕し、信頼関係が確立した後に情報操作を始めて、自ら所属する官庁に有利な状況をつくり出していこうとする。
    政治家は官僚や学者を、国民はワイドショーのコメンテイターや新聞に出てくる有識者を一度信頼すると、その後、多少裏切られるような事態が生じても信頼し続ける。信頼が裏切られたことを認めると
    「こんな人を信じてしまった自分が情けない」と
    惨めな思いをするからだ。
    安倍政権の経済政策は富裕層の所得を増やしているが、
    圧倒的多数の国民の生活は向上していない。
    外交政策は場当たり的で、日本の国際的地位は日に日に低下している。
    国民もそのことに薄々気づいてはいるが、認めると惨めになるのでとりあえず安倍政権を消極的に支持している。
    しかし、安倍政権の失政がある閾値を超えて国民の信頼を失うと、自民党は国民から忌避されるようになる。

    人間は本当に落ちるところまで落ちると、もはや、他人の不幸を喜ぶ以外の楽しみはなくなってしまう(ゲーテ)

    男は自分の知っているたった一人の女、つまり自分の妻をとおして、女の世界全体をいい加減に判断している。
    (パール・バック)

    結婚の形態は重要ではない。夫婦とは、関係を構築することである。
    寝食を同じくし、セックスをするだけでは夫婦とは言えない。
    お互いを愛し合い、相手の気持ちになって考えて行動することが夫婦にとって何より大切なのだと思う。

    離婚は極力経験しない方がいい。結婚が相互信頼に基づいてとんとん拍子に進んでいくのに対して、離婚は相互不信の原理に立つ。
    それに、一定期間一緒に暮らしてきたわけだから、相手の手口はだいたいわかる。お互いの言っていること、やっていることの裏を読みながら、陰険な神経戦が続く。
    離婚は、結婚の3倍くらいのエネルギーがかかると覚悟しておいた方がいい。

    それでは、どうすれば離婚しないでよい相手を見つけることができるか。
    気が合ったら、まず3ヶ月とか6ヶ月とか期間を決めて同棲することだ。一緒に生活していると、恋人時代には気づかなかった相手の癖や性格、趣味がわかる。その上で、「この人と一緒にやっていくことができる」と思ったら結婚すればいい。

    結婚したあとで「実はこの人と一緒になった方がよかったのでは」と
    思うような人が現れても、「結婚は先着順だ」と考えて、現在の生活を崩すようなことをしてはならない。

    浮気は、はじめは恋人感覚で楽しいと思うかもしれないが、それは幻想だ。
    しばらくすると必ず浮気は重荷になる。さらに、浮気はいつかばれる。
    特に職場での不倫が露見すると、人事異動の対象になる可能性が高い。
    あるいは職場での浮気が泥沼になると、セクハラやパワハラで訴えられ、職を失う可能性もある。

    夫が浮気していると思った妻の80%は、結局、それが事実だと知らされます(ウィリアム・カッツ)

    動物はほんとうに気持ちのいい友達である。
    彼らはいかなる質問もしないし、いかなる批評もしない。
    (ジョージ・エリオット)

    誰の友にもなろうとする人間は、誰の友達でもない
    (ヴィルヘルム・ペッファー 1845~1920)

    最近は、Facebookで1000人以上の「友達」を持っている人も少なくない。
    しかし本当の友人は、直接会うことができるリアルな関係がなければできないと私は信じている。
    だから、学生時代の友人との関係が一生続くことが多いのだ。

    ロシア人やイスラエル人の世界では、友人という言葉の意味は重い。
    「私には友人が100人います」というような人は信用されない。
    友人の基準が甘すぎるからだ。
    友人とは、自分に不利益がもたらされても、状況によっては命の危険を覚えるようなことがあっても、自分を守ってくれる人のことだ。
    これが10人を超えることはない。

    25歳を過ぎた成人の性格を変えるのは、猫にダンスを教えるより難しい。
    (ことわざ)

    人に魚を与えれば、一日で食べてしまうが、
    人に釣りを教えれば一生食べていける。(老子)

    労働には大きく分けて2種類あることを覚えておいた方がいい。
    一つは、誰でも代替することができるコモディティ(商品)としての労働だ。
    (中略)コモディティから抜け出す努力をしなくてはならない。
    もっとも、普通の人が余人を持って代え難い特殊技能を身につけることは至難の業だ。
    それより、現在の職場で与えられた仕事をきちんとこなし、
    「あの人に任せておけば大丈夫」という信頼を周囲から確保することが重要だ。

    普通の職場では、勤続年数とともに少しずつ難しい仕事を任せられていく。
    組織には、そのようにして人間を鍛える力がある。
    特定の分野で10年間、一生懸命仕事をすれば、他の人と比較して秀でた、
    あなたの能力を十分にいかさる仕事が必ず見つかる。
    そして、その分野で第1人者となることが、あなたが組織で気持ちよく生きるための条件となる。

    仕事が楽しみなら人生は楽園だ。
    仕事が義務ならば人生は地獄だ。(マクシム・ゴーリキー)

    会社があなたを1ヶ月30万円で雇っているとするならば、あなたは
    40万円から50万円の利益を会社にもたらさなければならない。
    株式会社の目的は営利の追求だ。
    それに役立たない社員に価値は無いのである。
    裏返して言うと、会社に価値をもたらす優れた労働力をあなたが提供することができるならば、会社はあなたを大切にする。

    仕事ができるようになるためには、いくつかの鉄則がある。
    まず、自分の能力を客観的に見極めることだ。
    自己の能力を過大評価しても過小評価してもいけない。
    過大評価の場合、必ず失敗するので問題は自ずと顕在化する。
    厄介なのは過小評価の方だ。
    優等生型の人は自己の能力を過小評価する傾向がある。
    しかし、いつも易しい問題だけ解いて100点をとっても学力が向上しないのと同じように、易しい仕事を失敗することなくやり遂げても仕事の技法は向上しない。
    人間の能力は取り組む仕事の量と質で変化していくため、自分の実力から2割増しくらいの負荷をかけて仕事をするのがいい。
    難しく、複雑な仕事については、それをいくつかに分割することが重要だ。
    分割したあとで、まずいちばん難しい部分に取り組んでみよう。
    そして、なぜ難しいかについて、理由をノートに書き出してみる。
    外国語能力が足りない、数学的知識が不十分である。
    高度な専門的知識が必要になるなど、原因がわかれば、その解決法も見えてくる。通訳や専門家の助けを借りることで、問題を解決することが可能になる。気をつけなければならないのは、疑似命題だ。
    疑似命題とは、前提に難があるので、そもそも意味がない命題のことである。

    悪い話は単刀直入に言うのがよい(オスカー・ワイルド)

    ビジネスパーソンも同じだ。押し出しが強く、「俺が先だ」という調子で他人を蹴落とし、嘘までついて業績をあげようとする人を考えてみよう。とりあえず数字をあげるので上司はこういう部下を重宝するが、やりすぎるので人間的には決して尊敬されず、出世もしない。

    人間は自己中心的な存在だ。こちらの主観的には51%しか要求していないと思っていても、相手国は70%くらい要求されていると感じる。
    だから強硬な反撃をする。これに対して、こちらが51%譲るという姿勢で物事を考えることで、交渉者の自己中心的な世界観を脱構築することができる。

    大切な交渉は、知恵ある者より誠実な者にあたらせろ(勝海舟)

    人間の性悪な本質は、嫉妬という形でも表れる。
    他人の成功を素直に喜ぶことができない人が少なからずいる。
    私自身を含め、誰にも嫉妬心はある。
    そのことを冷静に認識することが重要だ。
    特に自分のライバル、自分が嫌いな人間の業績については過小評価しがちだ。
    嫉妬心のプリズムを通して物事を見るので歪んでしまうのだ。
    ライバルや嫌いな人の仕事には2割増しくらいで評価するようにすると、ちょうどバランスのとれた認識になる。

    もし自分が失敗をしたときは、それを素直に認めることだ。
    ただし、上司に「失敗しました」とすぐに報告することは避けた方がいい。
    失敗によって生じるダメージに対して何らかの対策を立ててから上司に報告すべきだ。
    ダメージコントロールができないような失敗をしたときは、報告と同時に進退伺いを提出する。それくらいの覚悟を持たないと危機を切り抜けることはできない。

    調子がいいときにいい噺(はなし)ができるのはプロもアマも一緒。
    調子が悪くてもお客様に次もまた来よう、と思わせて
    帰って頂くのがプロ。(立川志の輔)

    悪い知らせは、早く知らされなければならない(ビル・ゲイツ)

    組織はリーダーの力量以上には伸びない(野村克也 1935~)

    リーダーシップと強引さ、全く異なる概念だ。
    部下の気持ちをつかみ、引っ張っていくことができなくては
    リーダーにはなれない。重要なのは部下の意見をきちんと聞くことだが、「言いたい放題」にさせてはいけない。
    上司が尋ねた質問についてだけ、尋ねられた範囲で部下に意見を言わせるようにすることだ。
    上司に突っかかってくるような部下とは、理詰めで議論をする必要がある。
    その場では部下の主張が正しいと思っていても、上司は決して
    「俺が間違えていた」などと言ってはならない。
    「君の言うことについてはきちんと受け止めた。こちらでもよく考えてみる」と答えて、2、3日経ってから、部下の意見を踏まえた内容を自分の意見として指示すればよい。
    部下の意見はあくまで参考として聴取するだけで、その判断については自分で行うという態度を貫くことが重要なのだ。
    部下に事実上の判断を委ねているという印象が広まると、部下はそういう上司を軽く見るようになる。
    部下から軽く見られるよりは、恐れられている方がいい。

    組織に貢献してくれるのは「優秀な者」よりも
    「能力は並の上だが、忠実な者」のほうだ(織田信長)

    やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、
    ほめてやらねば人は動かじ。
    話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
    やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
    (山本五十六)

    資本主義社会で大金持ちになりたければ、大会社での競争に勝ち抜いて役員になり、年5000万円を超える役員報酬を得るか、起業して儲けるしかない。

    富者にならなくてもいいから、貧者になることだけは避けるというのが現実的な処方箋ではないだろうか。
    その場合に重要なのは、簡単には取り替えられない熟練労働者になることだ。
    技術と経験を身につけた熟練労働者ならば、名誉と尊厳を維持しながら、日本社会でそこそこの生活を楽しむことができる。

    本当に大切な自由は唯一つ「経済的な自由」がそうだ(モーム)

    早稲田大学、慶應義塾大学、同志社大学などの私大文科系学部の初年度納付金は約150万円。
    その後、授業料で毎年約120万円もかかる。
    私が1979年に同志社大学神学部に入学したときは、授業料が年34万円、入学金が12万円だった。
    当時と比べた大学の授業料は4倍以上だが、この間に平均賃金は2倍にもなっていない。
    そのため、保護者からの仕送りも減少傾向だ。

    日本でもこのまま教育の新自由主義化が進むと、数年後に私立大学の授業料が年間300万円、国立大学が200万円程度になる可能性が十分にある。
    このような状況では、経済的理由から限られた人しか高等教育を受けることができなくなり、教育の右肩下がりが起きる。
    親の経済力によって、子供が受けられる教育水準に大きな差が生じるような社会は衰退していく。
    教育の右肩下がりに歯止めをかける国家戦略の構築が必要だ。

    「新しい貧困」とは、いかなるネットワークにも属さないことである。
    かつて貧しいとは所有しないことであったが、将来は
    「何かに属さない」ということになろう。(ジャック・アタリ)

    人間は、一匹の虫も作れないが、1ダース以上の神々を作った。
    (ミシェル・ド・モンテーニュ)

    好戦的な国民など存在しない。
    好戦的なリーダー達がいるだけだ。
    (ラルフ・パンチ 1904~1971)

    宣戦を布告するのは老人だが、戦死しなければならぬのは青年だ。
    (ハーバード・フーバー)

    ナショナリストは、味方の残虐行為となると非難しないだけではなく、耳にも入らないという、すばらしい才能を持っている。
    (ジョージ・オーウェル)

    私が職業作家になれたのも「黙する時、語る時」を間違えなかったからだと思う。

    出世病というのも、誰もが取り憑かれている思想だ。
    企業に入ってからも、出世だけを人生の価値観にしている人は、出世が難しくなった途端にやる気を無くしてしまう。
    やる気がないと、能力も衰える。

    人間の社会には様々な矛盾がある。人間の能力や適性には差があり、要領のいい人もいればそうでない人もいる。
    世の中の問題を一挙に解決することなどできるはずがない。
    かつての共産主義者やイスラム原理主義過激派は、革命によって、理想的な世の中ができると信じているが、それは幻想だ。
    現実をしっかり見据えて生きていくには、労働が社会の基本になるという思想を身につけることが重要だと思う。

    人生とは不思議なもので、ある段階までの地位や業績は努力によって獲得できるが、その上は運の要素が大きくなってくる。

    最初に人が習慣をつくり、それから習慣が人をつくる。
    (ジョン・ドライデン)

    読書の習慣がある人とそうでない人では、人生の充実度にだいぶ差がついてくる。
    それにはふたつ理由がある。
    第一は、読書は情報を得るのに最も安価で確実な技法だということだ。
    (中略)
    インターネットの情報は無料だが、信頼度が低い。
    そして信頼できるネット情報のほとんどは、書籍か学術論文がオリジナルだ。学術論文は素人には理解できない場合が多いので、現実的には書籍から情報を得るのが最も堅実な方法なのである。

    第二は、読書によって人生を代理経験することができることだ。他人の成功だけでなく、失敗から学ぶことも重要になる。
    本というものは、わずか数行でも役に立てば、
    それだけで十分値打ちのあるものだ。(津田左右吉)

    愛は家庭から始まります。まず、家庭から始めてください。
    やがて外へと愛の輪が広がっていくでしょう。
    (マザー・テレサ)

    恋愛感情は必ず冷める。結婚を続けるには、熱い恋愛とは異なる、もっと落ち着いた愛情が必要だ。裏返して言うと、お互いに相手の気持ちになって考えることをすれば、幸せな家庭を築くことはそれほど難しくない。
    父親が子供たちのために出来る最も大事なことは、
    彼らの母親を愛することである。
    (セオドア・ヘスバーグ)

    世界を一つにまとめ上げているものは、私の苦い経験から言えることには、性交である。(ヘンリー・ミラー)

    へそから下の領分には、宗教も真実もない
    (ニコラス・シャンフォール)

    この世に客に来たと思えば、何の苦もなし、
    朝夕の食事はうまからずともほめて食うべし。
    元来客の身なれば、好き嫌いは申されまじ。(伊達政宗)

    信じるなよ、男でも、女でも、思想でも。
    ほんとうによくわかるまで。
    わかりが遅いってことは恥じゃない。
    後悔しないためのたった一つの方法だ。
    (五味川純平『戦争と人間』)

    50歳になると、誰でもその人のその人格にふさわしい顔になる。
    (ジョージ・オーウェル)

    死者に対する最高の手向けは、悲しみではなく感謝だ。
    (ワイルダー)

    宴会と同じように、人生からも飲みすぎもせず、
    のどが渇きもしないうちに立去ることが一番よい。
    (アリストテレス)

    墓地を買うなど断じて無用たるべきこと。
    勿論、葬式、告別式など一切不要のこと。
    英子や楊子、並びに真に私を知ってくれる友人たちの
    記憶の中に生を得れば、それで満足。(尾崎秀実)

    0
    2021年12月11日
  • 危機の正体 コロナ時代を生き抜く技法

    Posted by ブクログ

    コロナ禍を中心とした日常の危機をテーマ
    としていますが、感じたのは池上彰氏のよ
    うな、「今、世界はこうなっていますよ。
    これを知らずにノホホンと暮らしていては
    ダメなんだよ」と、より感度が高い人に向
    けた解説本になっています。

    池上氏の「知らないと恥をかく大問題」の
    ようにシリーズ化されていくのでは?と思
    いました。

    ただ佐藤氏の視点は鋭く、新しい気づきを
    与えてくれるのは間違いないです。

    先の見えない時代に、これから進むべき方
    向へヒントを与えてくれる一冊です。

    0
    2021年12月10日
  • 仕事に悩む君へ はたらく哲学

    Posted by ブクログ

    若い方に読んでもらいたい。嫉妬、孤独、友人。色々な悩みがあるが、解決できなくても前向きに考えることができるようになる本。
    マガジンハウスがこういった本を出してくれるのが嬉しい。

    0
    2021年12月06日
  • 仕事に悩む君へ はたらく哲学

    Posted by ブクログ

    非常に秀逸な本だ。筆者が如何に人を救おうか、考え抜いた本だと思う。膨大な知識の裏づけがある中で、読書に馴染みのない人さえも救おうと考えて、限りなく簡単に、分かりやすく書いてある。本書はこれまでの先人達の知恵のエッセンスが非常に濃く描かれている。
    悩める社会人を救う為には「小手先のビジネススキルや自己啓発ではなく物事の「本質」を知ることだった」と、本書を読んだ読者が思えるならば良いと思う。近年の本屋ではビジネス本が溢れているがそれで救われる人がどれだけいるだろうか。
    本を読まない人も、読書家を自認する方も本書は有用と思う。

    0
    2021年12月05日
  • 地政学入門

    Posted by ブクログ

    はっきり言って、内容が難しい1冊です。他の地政学の書籍に比べ、ロシアと中東情勢の記載が多く、普段なじみのない知識に触れることができ「そんなんもあるんや」と思わせてくれます。2016年に出版されたものに加筆したものなので、少し古いと感じる部分はありますが、「地政学」を知るためには十分すぎると感じました。

    0
    2021年11月29日
  • 仕事に悩む君へ はたらく哲学

    Posted by ブクログ

    哲学者たちの言葉や考え方をうまく組み合わせながら、「不安」の要素や原因についてわかりやすく解説してくれる。とても読みやすく、本質的で、実践的でもあった。
    その時々の状態で受け止め方も変わると思うので、またモヤモヤし始めた時に再読したいと思った一冊。

    0
    2021年11月27日
  • 読解力の強化書

    Posted by ブクログ

    中学生には刺激的な授業だったに違いないですね。
    大人でもこの本を読めば、批判的読書、要約、敷衍など本を読むことの楽しさを知ることができます。

    0
    2021年11月18日
  • 資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ

    Posted by ブクログ

    マルクス経済学をもとに、資本主義経済の行き着く先を解説してくれています。貧富の差がますます大きくなり、賃金は安くなる一方ということで、暗澹たる思いになるのです。AIやバイオテクノロジーなどの技術革新が格差を是正してくれるのか、むしろ拡大させるのか興味深いとも思いました。

    0
    2021年11月18日
  • 真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960

    Posted by ブクログ

    共産党、社会党、新左翼の歴史がよくわかった。
    自民党に対峙できる政党がなくなった中で、共産党の役割の需要性が増しているが、本質を理解して支持すべきかどうかを考えていきたい。

    0
    2021年11月14日
  • 大世界史 現代を生きぬく最強の教科書

    Posted by ブクログ

    博覧強記の二人による世界史論。現在の地政学的リスクが順に挙げられ、その状況に至った理由の部分を、各歴史に絡めて語られる。これは分かりやすくて良い。

    0
    2021年11月08日
  • 仕事に悩む君へ はたらく哲学

    Posted by ブクログ

    自分が生きている時代を第三者の視点で分析するのは難しい。何となく違和感は感じていたけど、これまで至極当然と思っていたことが悉く覆され、将来を見る目が変わった

    0
    2021年10月21日