あらすじ
■受験に特化した高校は本当に「良い学校」か■グローバル時代を生き抜くために必要な3つの教養■受験失敗は「能力」よりも「適性」の欠如■高校生の子を持つ親の本当の役割■「後伸びする力」を育む伝統校の底力■文系・理系の区分けはナンセンス■大学受験は一浪まで■海外留学の高額化と裏技ほか。高校時代の学習法、大学受験の奥義から社会人のサバイバル術まで、OB佐藤優氏が浦和高校長と「教育の真髄」について徹底解説。
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Posted by ブクログ
著者が、母校である浦和高校で行った講演記録と、校長先生との対談録。
浦和高校といえば、埼玉県下では最もレベルの高い県立の男子校で、公立高校トップクラスの東大合格者数を誇る進学校だが、本書で言う「受験刑務所」というわけではない。周囲の浦高出身者を見ても、学校行事や級友との交友を全力で楽しみ、場合によっては1浪してきっちり有力校に進学するという感じだし、向上心をちゃんと持った人が多い。
受験だけ考えれば特定科目だけ一生懸命やるのが「効率的」なんだろうけど、教養の幅が広い人ほど大学以降の伸びしろがあるように思う。高校生やその保護者向けという感じもあるが、自分がどうやって教養を深めるか、という視点では、ビジネスパーソンにも参考になる内容だと思う。
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佐藤優さん。存じ上げてはいましたが、あまり経歴や人となりも知らなくて、著書も読んだことがなかったのですが、何だか面白い方だな、と思いました。他の著書も読んでみようかな。
この本は、別に浦和高校に興味はない、と言う方も読んでみる価値はあるなと思いました。特に、これから高校受験するお子さんのいる親御さんや、(多少理解しにくいかもしれないが)中学生が読むと、色々と勉強になると思いました。
印象に残ったところをいくつか。
・『総合知』
・受験勉強は無駄じゃない
・受験に適正がなくても『良い大学』はある/知名度は低くても学内の教育体制が充実している(上越教育大学・名古屋工業大学・名桜大学など)
・与件もしくは制約の中で最大限の力を発揮する『総合マネジメント能力』、『見えない学力』
・数学は数Ⅲまで履修すべし/『大学基礎数学 キャンパス・ゼミ』『東京大学 教養英語本Ⅰ』
・非合理なものは不条理を防ぐ、無駄や無理というものが長い人生で生きてくる
・教育は手段ではなく目的
さらに、本筋とはズレるが印象に残ったこと
・外務省の盗聴防止部屋(今はどうなっているの!?)
・2018年度センター試験のムーミンの出題(これ当初批判されたけど後々、批判には当たらない、むしろ良問って声あった)
・浦高の生徒の4%は非課税世帯。そういった子供の受け皿になっている。教育の達成というのは、その経済背景に影響されるのは事実だが、それぞれの親御さんも生徒自身もよく浦高入学まで頑張ってきたなと心を揺さぶられる(入学金の減免処置があるとのこと)浦高にたどり着いた子どもたちを伸ばし、次のステージに送り出すための仕組みは揃えてある:校長談
・韓国籍の生徒へのアドバイス(表面的な理想論やきれいごとではなく、親や民族は選べないから背負っていくしかない、日本にある無意識の差別についても触れつつ、具体的なアドバイスをしていることが印象的で感動。姜尚中さんを紹介してくれると!)
・物理のレポート年間20本(自分だったら嫌すぎる)
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一見非合理と思えるような学びが、総合知を築く。その通り!今は、いかに効率的に学ばせられるかを考えてばかりいる学校が多すぎますね。むしろそれこそが諸悪の根源なのに。
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全編非常に納得できる教育論でした。県立浦和の足元にも及びませんが、文武両道をモットーとする地方の(一応)進学校出身である身としては共感も持ちつつ拝読しました。お父さん・お母さんは読んで損はないと思います。
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文系にこそ数学の教養が必要。同時に理系にこそ社会系科目(哲学、日本史、世界史)が必要。との佐藤氏の意見には私は頭が下がる思いである。
他には本著で述べている事として「高校のイベント(体育祭等)も頑張ってやっておくと、10年~20年後に自分の役に立っている事に気付く」「大学受験産業はビジネス、踊らされてはならない、だが受験勉強自体は役に立つからやれ」他にもいっぱい良い事を述べているのだが、私に特に強く記憶に残っているのはこの2つである。
Posted by ブクログ
タイトルは佐藤さんの母校である埼玉県立浦和高校での講演をもとに語られた内容。
高校独自の校風やカリキュラムの特筆性が語られているかというと、そんなでもなく、佐藤さんの経験談もほとんどは高校卒業後を交えて(当然ですが)の内容でした。
ただ高校時代の三年間は大事なんだよ、ということは良く伝わったかな。自分自身の通った高校は「現役合格」に拘りのあるとこでしたので、浪人してでも、というのは学校内では限られていました。
高校生との質疑応答も含めて、丁寧な佐藤塾という感じでしたね。一度講演は聞いてみたいもんです。
Posted by ブクログ
2019/5/6
ずっと前から気になってた浦和高校について書かれた本。書いてあることにはとても共感できる部分が多かった。自分が浦和高校と似たような高校出身で、浦和高校の内実とかなり共通して重なる部分が多く、現役時代、自分はその高校の仕組みを十分に活かしきることができていなかったんだなと、今更になって考えさせられた。
この本曰く、受験型刑務所学校が増えて、受験産業も大学にこれくらい受かったとか現役合格が、とか大学進学に目的をシフトしていくところが多い中で、学校行事に重きをおく意味、その目的、本当に大切にしていきたい勉強のことなど、この本では教育を手段として考えるのではなく目的として考えることの重要性を訴えているように感じます。
自分も数学や化学が苦手で、というか自分で見切りをつけて苦手意識を持っていて、今の今まで避けて生きてきたけど、この本でも繰り返し数学と英語が重要であり、そうである理由まで明確に述べられていて、過去の自分が恥ずかしくなりました。この本の中に出てきた大学基礎数学キャンパスゼミっていう本は読んでみたいなと思います。
テレビで活躍してる林修先生も国語の先生でありながら、大切なのは数学であると言い切っていますし、そこにも何か共通するものを感じました。
1つの正解にたどり着くのではなく、皆で納得解を考えていかなければならない世の中に変化していて、それに対応していく力をつけることが今後必要になるとのことですが、自分にどんなことが出来るのか考えていかなきゃいけないなーと思わされました。
Posted by ブクログ
佐藤優さん、流石。
とても後輩思いなんだね。
中学生も読んで欲しいな。
こんな高校生活もいいんじゃない。
学ぶことは大人になってもできるけど、
高校時代にたくさん勉強するのがいいよね。
人生で貴重な時間だと思う。
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話の内容が多岐にわたり、引き込まれる。受験スキルではなく、厚い教養が必要ということに、同感。心の不調に対する対処なども配慮しており、信頼できる人柄と思った。大学にお金が必要というくだりは、誇張が多く反感。優秀な学生には、奨学金がありますので、親に「何千万も必要」と不安をあおる言い方は舌足らずか。
Posted by ブクログ
公立進学校の社会的役割を上手く説明していると思った。親の所得の差が受験対策に決定的に影響するような入試ではなく教育成果を上げられる学校の重要さを認識した。一部の公立校での中高一貫化や難問揃う独自入試の採用などは一つの方向として推奨されても致し方ないと思うが、浦和高校のような学校の生徒さん達にこそ大学進学実績でも立派な成果が上げられるように頑張ってもらいたい。
Posted by ブクログ
第1章
面白い先生がいっぱいいていいなぁ…。
自分の行った高校は、生徒をイジって(しかもド下手ないじり)笑いを取って人気があるつもりの教師、気に入らない生徒(自分と同じノリではしゃげない生徒)は完全無視といういじめのようなことを平然とする教師、より上位の進学校に行ってる自分の娘と比較して受け持ち生徒をディスる教師など、今思うと腐った高校だったなぁ。
p. 73 「今の日本はなんというか、国中が偏差値教育で疲弊しているような気がします。(中略)役所や会社の中で、ごくごくたまに「自分は東大法学部の出身で、二次試験の数学では4問中3問正解した」などと言うことを同僚に自慢するような人間もいますが、そういう人はそういう価値でしか自己アピールできない、とても可哀想な人です(笑)。組織の中ではまず間違いなく劣位集団に属しています。そう考えると、偏差値というよりも、その学校の工夫などを基準に大学を選んだ方がいいかもしれません。」
p. 74 「文系理系に分かれているのは結論から言うと、後進国・途上国が他の教育の残滓なんですね。開国直後の明治政府は、近代国家化に合わせて大量の官僚を促成栽培で養成する必要があった。ところが、すべての学生にすべての教育を施すことはできない。特に実験設備などでお金のかかる理系は志望者を減らす必要があった。そこで数学の試験をもとに全学生を文系・理系に振り分けることにしたーーと言うものです。この文系と理系でも分けっぱなしにするというのは日本独特のシステムです。」
p. 108 「浦高みたいな学校の教育のいいところはですね、OS、つまり自分頭というコンピュータを動かすための「総合知」という名のオペレーティングシステムをしっかりと作ってくれるんです。」
p. 112 「この浜松西高は2002年に中高一貫校になって、さっき話したような「中学・高校1年間のムダ」を無くしています。しかもこの学校も文科系、理科系を基本的に分けずに、数III以外のほぼすべての科目を2年生までにやらせる。こういうやり方ですから知識の欠損がないんです。それだから大学に入ってきたらすごく伸びるし、このまま教養をつけていけばケンブリッジ大学やオックスフォード大学に出しても十分通用するぐらいに地力があるんですね。」
p. 120「大学入学共通テストの導入や学習指導要綱の改訂は、(中略)安定した後というのはスペックが高い車体、機体ですからずっと長く乗り継がれるようになります。これと同様にいまから20年後の大学生たちのスペックというのはおそらく非常に高くなります。(中略)つまり20年後のまだ現役の世代は、新基準のスペックを身につけておかないと後から学んだ学生たちに簡単に追い抜かれます。いま20代、30代の人たちにとって、これはすごく深刻な問題になるはずです。」
→思わぬところで自分にも影響のある話が来た!
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キーワードは「教養」。「学力」と似ているけれど、優秀な浦高生たちは違いをよく知っているのだろう。
『効率的な勉強法!』みたいな本を有りがたがる、悩める高校生に読んでほしい。
Posted by ブクログ
佐藤優氏が母校である浦和高校の教育についてまとめた書籍である。散りばめられた教育理論や経験からは今の佐藤優氏の原点が見えた。
まず、この本を読んで取り組もうと思ったことはもう一度世界史を学習することである。
Posted by ブクログ
佐藤優氏、浦和高校出身なのですよね。
学を積み上げる方法、それは読書を基点にすることなのかと思いますが、その学ぶ分野が、論理の上にリベラルーアーツの幅が広い。
何のために、学ぶのか?
それは人それぞれ答えが違うはずで、その自分自身の軸を持っていないと、こうした書籍はハウツー本のように使われがちなのではないかと思ったりします。
しかし、人生を豊かにするために、自分では思いつかないような分野について触れるには、効率的なのかなと思います。
おススメされていた以下の9冊。「なぜ、これらに目を通すのか?」 真理的なところは外さないようにして、時間があるときに手に取ってみたいです。
1. 実務につながる数学 「高専の数学」(森北出版)
2. 「論理トレーニング101題」(産業図書)
3. 「民族とナショナリズム」 アーネスト・ゲルナー
4. 「20世紀の歴史」エリック・ホブズボーム (三省堂)
5. 「トランスクリティーク」 柄谷行人 (岩波現代文庫)
6. 「世界史の構造」 柄谷行人 (岩波現代文庫)
7. 「哲学の歴史」 (中央公論新社)
8. 「東大の数学入試問題を楽しむ 数学のクラッシック鑑賞」 (日本評論社)
9. 「大学基礎数学 キャンパス・ゼミ」 (マセマ)
Posted by ブクログ
・歴史は「クロノス(ひたすら流れていく時間)」と「カイロス(出来事を境に物事が変わる)」の結び合わせでできている
・教育を目的でなく手段で語る
・自分が「世界のどこかを支えるんだ」という自覚と気概を持つ
Posted by ブクログ
佐藤氏のオススメの本が参考になる。
浦和高校が良さそうな事は、良くわかる。生きる力をつける最初が高校という場所だから。
でも、ご本人も校長先生も、客観性には欠ける内容になってしまうね。
Posted by ブクログ
20180614 タイトルは具体的な校名だが高校の在り方に踏み込んで日本の高校教育のあるべき姿に繋がっている。私より上に世代にとっては懐かしい思い出でかぶるのではないか。逆にこの40年でどれだけ教育が壊れてきたのかを知ったような気がする。良い高校は知名度だけでなく中身も良いと皆が納得する世の中にならないとやばい。
Posted by ブクログ
僕には少し難しいお話でした。。。
ただ、浦和高校が目指している教育のほんの一部でしたが、それに触れられてよかった気がします。
「非合理なものにこそ意味がある」
「受験産業」
なんて言葉にはドキッとしました。